消費税に関するメモ書き


目次
1 制度の変遷
2 税抜経理方式及び税込経理方式
3 簡易課税制度
4 中間申告・中間納付
5 インボイス制度
6 消費税の計算サイト
7 関連記事その他

1 制度の変遷
(1) 消費税の税率は,平成元年4月1日の制度開始時点では3%であり,平成9年4月1日に5%(地方消費税1%を含む。)となり,平成26年4月1日に8%(地方消費税1.7%を含む。)となり,令和元年10月1日に10%(地方消費税2.2%を含む。)となりました。
(2)ア 免税点制度の適用上限は,平成元年4月1日の制度開始時点では3000万円であり,平成16年4月1日に1000万円となりました。
イ 免税点制度が適用されるかどうかについては,税込みの売上高で判断されます(最高裁平成17年2月1日判決)。
(3) 簡易課税制度の適用上限は,平成元年4月1日の制度開始時点では5億円であり,平成3年10月1日に4億円となり,平成9年4月1日に2億円となり,平成16年4月1日に5000万円となりました。
(4) 仕入税額控除の方式は,平成元年4月1日の制度開始時点では帳簿方式であり,平成9年4月1日に請求書等保存方式となりました。
(5) 内閣府HPの「消費税の歴史」に,平成16年度までの消費税の歴史が載っています。

2 税抜経理方式及び税込経理方式
(1) 国税庁HPの「タックスアンサーNo.6375 税抜経理方式又は税込経理方式による経理処理」には以下の記載があります。
 消費税の納税義務者である事業者は、所得税または法人税の所得計算に当たり、消費税および地方消費税(以下「消費税等」といいます。)について税抜経理方式または税込経理方式のどちらを選択してもよいこととされています。
 税抜経理方式による場合は、課税売上げに係る消費税等の額は仮受消費税等とし、課税仕入れに係る消費税等の額については仮払消費税等とします。
 税込経理方式による場合は、課税売上げに係る消費税等の額は売上金額、課税仕入れに係る消費税等の額は仕入金額などに含めて計上し、消費税等の納付税額は租税公課として必要経費または損金の額に算入します。
 なお、消費税の納税義務が免除されている免税事業者は、税込経理方式によります。
(2) ソムリエHPに「税抜経理方式と税込経理方式、どちらを採用するべき?」が載っています。

3 簡易課税制度
(1) 国税庁HPの「タックスアンサーNo.6505 簡易課税制度」には以下の記載があります。
 簡易課税制度は、中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、事業者の選択により、売上げに係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる制度です。
 具体的には、その納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した課税事業者は、その基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、売上げに係る消費税額に、事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められたみなし仕入率を乗じて算出した金額を仕入れに係る消費税額として、売上げに係る消費税額から控除することになります。
(2) 消費税簡易課税制度選択届出書は,適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(例えば,令和4年分の消費税について簡易課税制度の適用を受けようとする場合,令和3年12月31日まで)に提出する必要があるものの,インボイス制度に関する例外として,国税庁HPの「[手続名]消費税簡易課税制度選択届出手続」には以下の記載があります。
※ 平成28年改正法附則第44条第4項の規定の適用を受ける事業者が、この届出書を適格請求書発行事業者の登録がされた日を含む課税期間中に提出した場合には、経過措置として、この届出書を提出した課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。詳しくは、「消費税軽減税率制度の手引き」 をご覧ください。
(3) 東京トラスト会計HP「【インボイスと一緒に申請】簡易課税届出書の書き方とインボイス特例」には以下の記載があります。
万が一、間違った届出書を提出してしまった場合、簡易課税の適用ができなくなっています。簡易課税の適用要件に「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が法律上の要件となっているためです。(消費税法37条1項)
(中略)
※インボイス制度の開始日(2023年10月1日)から簡易課税を適用する場合を前提として記載しております。

(中略)
簡易課税選択届出書の書き方(中段)

適用開始課税期間:法人の場合は2023年10月1日を含む事業年度を記載します。個人事業主の場合は、事業年度は暦年になりますので、「自 令和5年1月1日 至 令和5年12月31日」と記載します。
①の基準期間:「適用開始課税期間」の2期前の事業年度を記載します。個人事業主の場合は「自 令和3年1月1日 至 令和3年12月31日」となりますね。
(4) 弁護士業は簡易課税制度の第五種事業(サービス業等)に該当しますから,みなし仕入率は50%です。

4 中間申告・中間納付
(1) 前年に納付した消費税(地方消費税は除く。)が48万円を超えた場合,消費税の中間申告が必要になりますから,1年の申告回数は確定申告1回,中間申告1回となります。
(2) 令和元年10月1日以降につき,消費税率は7.8%(標準税率)又は6.24%(軽減税率)であり,地方消費税率は2.2%(標準税率)又は1.76%(軽減税率)です。
(3) 消費税の中間納付税額の算出方法としては,予定申告方式(前年の実績による申告方式)及び仮決算方式があります。
イ 予定申告方式の場合,税務署から「金額が記載された中間申告書と納付書」が郵送されてきますから,そのまま支払をすれば終了です(濱田会計事務所HPの「Q76【消費税】中間申告義務のある方・申告回数・計算方法は?/課税期間短縮との関係は?」参照)。

5 インボイス制度
(1) 令和5年10月1日から導入されるインボイス制度により、請求書等の記載事項が区分記載請求書等保存方式から適格請求書等保存方式に変更になります(TKC HPの「インボイス制度対応ガイド」参照)。
(2) 国税庁HPの「インボイス制度の概要」には以下の記載があります。
適格請求書(インボイス)とは、
売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
インボイス制度とは、
<売手側>
 売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
<買手側>
 買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。
(3)ア マネーフォワードクラウド請求書HP「インボイス制度とは?2023年導入までに消費税免税事業者がとるべき対応をわかりやすく解説」が載っています。
イ 公正取引委員会HPに「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」が載っています。
(4)ア 令和4年時点で免税事業者の場合,「簡易課税制度選択届出書」を令和5年1月1日から同年12月31日までに提出し,「適格請求書発行事業者の登録申請書」を令和3年10月1日から令和5年3月31日までに出せば,同年10月1日から「課税事業者」「インボイスの登録事業者」「簡易課税で仕入税額控除」の3つが同時スタートとなります(みんなの経営応援通信HPの「免税事業者が気になるインボイス制度…簡易課税を選べば節税できる?」参照)。
イ 私の登録番号は「T1810906557835」でありますところ,国税庁適格請求書発行事業者公表サイトにおいて,私が適格請求書発行事業者登録を行っている事業者であることを確認できます。
(5) 東弁リブラ2023年3月号「消費税インボイス制度導入の意義と実務対応」が載っています。


6 消費税の計算サイト
・ 生活や実務に役立つ計算サイトkeisan「消費税」を使えば,税抜き又は税込みの金額から消費税を計算できます。

7 関連記事その他
(1) 消費税の前年納税額が地方消費税を含めて60万円を超えた場合,中間申告が必要となります(国税庁HPの「タックスアンサーNo.6609 中間申告の方法」参照)。
(2) 東京地裁平成2年3月26日判決における国の主張には「事業者が取引の相手方から収受する消費税相当額は、あくまでも当該取引において提供する物品や役務の対価の一部である。この理は、免税事業者や簡易課税制度の適用を受ける事業者についても同様であり、結果的にこれらの事業者が取引の相手方から収受した消費税相当額の一部が手元に残ることとなっても、それは取引の対価の一部であるとの性格が変わるわけではなく、したがって、税の徴収の一過程において税額の一部を横取りすることにはならない。」というものがありました。
(3)ア  事業者が,消費税法施行令(平成7年政令第341号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条7項に規定する帳簿又は請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかった場合は,同項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たります(最高裁平成16年12月16日判決)。
イ 課税対応課税仕入れとは,当該事業者の事業において課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入れをいい,課税資産の譲渡等のみならずその他の資産の譲渡等にも対応する課税仕入れは,全て共通対応課税仕入れに該当します(最高裁令和5年3月6日判決)。
ウ  事業者が消費税等の確定申告において課税期間中に行った課税仕入れに係る消費税額の全額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除したことにつき国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできないとされた事例です(最高裁令和5年3月6日判決)。
(4) 国税庁HPの「テナントから領収するビルの共益費」には以下の記載があります。
 ビル管理会社等が、水道光熱費、管理人人件費、清掃費等を共益費等と称して各テナントから毎月一定額で領収し、その金額の中からそれぞれの経費を支払う方法をとっている場合には、ビル管理会社等が領収する共益費等は課税の対象となります。
(5) 以下の記事も参照してください。
・ 個人事業主の税金,労働保険及び社会保険に関するメモ書き





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