消費者契約法及び特定商取引法等に関するメモ書き


目次
第1 消費者契約法に関するメモ書き
第2 特定商取引法に関するメモ書き
1 訪問販売等におけるクーリング・オフ
2 通信販売に関する取扱い
3 特定商取引法の申出制度
4 その他
第3 割賦販売法に関するメモ書き
1 総論
2 令和3年4月1日施行の改正割賦販売法の概要
3 割賦販売法に関する最高裁判例
第4 個人情報保護法に関するメモ書き
1 総論
2 個人情報保護法の適用範囲の拡大
3 その他
第5 マイナンバー法に関するメモ書き
第6 関連記事その他

第1 消費者契約法に関するメモ書き
1 消費者契約法は平成13年4月1日に施行されました。
2 平成19年6月に開始した消費者団体訴訟制度は,平成20年の法改正により景表法及び特定商取引法を対象とするようになり,平成25年の法改正により食品表示法も対象とするようになりました。
3 平成28年,平成30年及び令和4年には,①取り消しうる不当な勧誘行為の追加,②無効となる不当な契約条項の追加等の民事ルールの改正が行われました。
4 消費者庁HPに「逐条解説(平成31年2月)」が載っています。
5 「消費者契約法に関する最高裁判例」も参照してください。

第2 特定商取引法に関するメモ書き
1 総論
・ 特定商取引法は,事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し,消費者の利益を守ることを目的とする法律であり, 具体的には,訪問販売や通信販売等の消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に,事業者が守るべきルールと,クーリング・オフ等の消費者を守るルール等を定めています(特定商取引ガイドHP「特定商取引とは」参照)。 
2 訪問販売等におけるクーリング・オフ

(1) 訪問販売(キャッチセールス,アポイントメントセールス等を含む。),電話勧誘販売,特定継続的役務提供及び訪問購入の場合,申込み書面等の受領日から8日以内であればクーリング・オフができます。
(2) 連鎖販売取引及び業務提供誘引販売取引(内職商法,モニター商法等)の場合,申込み書面等の受領日から20日以内であればクーリング・オフができます。
(3) クレジット契約をしている場合にクーリングオフをするときは,販売会社及びクレジット会社の両方にクーリング・オフの通知をする必要があります(国民生活センターHPの「クーリング・オフ」参照)。
3 通信販売の取扱い
(1) 通信販売(例えば,ネットショッピング及びテレビショッピング)の場合,クーリング・オフはできないものの,返品に関する特約がない場合,商品を受け取った日を含めて8日以内であれば,消費者が送料を負担して返品することができます(特定商取引法15条の3)。
(2) Amazon.co.jp及びAmazonマーケットプレイスの大半の出品者は,原則として商品到着から30日以内の返品・交換に応じています(アマゾンHPの「返品・交換の条件」参照)。
4 特定商取引法の申出制度
・ 特定商取引法に規定される7つの取引類型(訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引・訪問購入)において、取引の公正や消費者の利益が害されるおそれがある場合に、消費者庁長官若しくは経済産業局長又は都道府県知事にその内容を申し出て、事業者等に対して適切な措置を採るよう求めることができるものの,申出に対する見解,調査経過,調査結果等の問い合わせに答えてもらうことはできません(消費者庁HPの「特定商取引法の申出制度」参照)。
5 その他
・ 令和3年の特定商取引法改正では,通販の「詐欺的な定期購入商法」対策,送り付け商法対策,クーリング・オフの通知の電子化対応,事業者が交付すべき契約書面等の電子化対応などが定められました(KEIYAKU-WATCH HP「【2022年6月1日等施行】特定商取引法(特商法)
改正とは? 改正点を分かりやすく解説!」参照)。


第3 割賦販売法に関するメモ書き
1 総論

・ 割賦販売法は,「①割賦販売等に係る取引の公正の確保、②購入者等が受けることのある損害の防止及び③クレジットカード番号等の適切な管理等に必要な措置を講ずることにより、割賦販売等に係る取引の健全な発達を図るとともに、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を円滑にし、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする」法律です(割賦販売法1条1項)。
・ 経済産業省HPの「割賦販売法」には,過去の法令改正関係資料(主な改正は平成20年12月施行分,平成28年12月施行分及び令和3年4月1日施行分です。)等が載っています。
・ 経済産業省HPの「割賦販売法(後払信用)の概要」(令和3年6月の経済産業省商務・サービスグループ商取引監督課の文書)5頁に,昭和36年の制定から令和2年改正までの経緯が書いてあります。
2 令和3年4月1日施行の改正割賦販売法の概要
・ 令和3年4月1日施行の改正割賦販売法の概要は以下のとおりです(経済産業省HPの「割賦販売法の一部を改正する法律について(令和2年法律第64号)」(令和3年3月の経済産業省商務・サービスグループ商取引監督課の文書)参照)。
① 「認定包括信用購入あつせん業者」の創設
    従来の包括支払可能見込額調査に代わる与信審査手法によることを許容。
② 「登録少額包括信用購入あつせん業者」の創設極度額
    10万円以下の包括信用購入あつせん業を営む事業者の新たな登録制度による規制合理化。
③ クレジットカード番号等の適切管理の義務主体の拡充
    新たなクレジットカード番号等の保持主体を適切管理義務の主体に追加。
④ 書面交付の電子化利用者の事前の承諾を要することなく、電子による利用明細等の提供を行うことを許容等。
⑤ 業務停止命令の導入
3 割賦販売法に関する最高裁判例
・  最高裁平成13年11月22日判決は,預託金会員制ゴルフクラブに入会するために支払うべき預託金についてされた申込者とクレジット会社との間のクレジット契約においてゴルフ場の開場遅延が同契約に規定する支払拒絶の事由に該当しないとされた事例です。
・ 最高裁平成23年10月25日判決は,個品割賦購入あっせんにおいて,購入者と販売業者との間の売買契約が公序良俗に反し無効であることにより,購入者とあっせん業者との間の立替払契約が無効となる余地はないと判示した事例です。
・ 最高裁平成29年2月21日判決は, 個別信用購入あっせんにおいて,購入者が名義上の購入者となることを承諾してあっせん業者との間で立替払契約を締結した場合に,販売業者が上記購入者に対してした告知の内容が,割賦販売法35条の3の13第1項6号にいう「購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」に当たるとされた事例です。


第4 個人情報保護法に関するメモ書き
1 総論

・ 個人情報保護委員会HPの「個人情報保護法の過去・現在・未来」には昭和55年のOECDプライバシー8原則から平成27年の個人情報保護法改正までの経緯が載っています。
2 個人情報保護法の適用範囲の拡大
(1)ア 令和4年4月1日,個人情報保護法,行政機関個人情報保護法及び独立行政法人等個人情報保護法が個人情報保護法に一本化されました。
イ 令和5年4月1日,地方公共団体にも個人情報保護法が適用される予定です(神奈川県HPの「個人情報保護制度の見直しについて」参照)。
(2)ア 経済産業省HPに「個人情報保護法 令和2年改正及び令和3年改正案について」(令和3年5月7日付)が載っています。
イ BUSINESS LAWYERS「令和3年個人情報保護法改正とは?改正項目の全体像と施行スケジュールを解説(新旧対照表つき)」に,令和2年改正と令和3年改正による個人情報保護法の条番号の変更をまとめた一覧表が載っています。
3 その他
(1) 個人情報保護委員会HPに「マンガで学ぶ個人情報保護法」が載っています。
(2) 日本医事新報社HPの「Vol.3 閉院時のカルテの処分」には「カルテの【法定保存期間は5年】、しかし【損害賠償請求権は10年】を考慮した対応をお薦めします。また、保管場所・処分方法共に、個人情報保護の観点から細心の注意が求められます。」と書いてあります。

第5 マイナンバー法に関するメモ書き
1 マイナンバーは,住民票が日本にあるすべての住民に対して一人に一つずつ付与される12桁の個人番号です。
2 マイナンバーカードは,マイナンバーや個人情報が記載された顔写真付きのカードです。
3 個人番号通知書は,住民の一人ひとりにマイナンバーを通知するものであって,同通知書には「氏名」,「生年月日」,「マイナンバー」等が記載されています。
4 地方公共団体情報システム機構は,マイナンバーカード総合サイトを運営しています。


第6 関連記事その他
1 消費者契約法,特定商取引法及び景品表示法の所管省庁は消費者庁であり,割賦販売法の所管省庁は経済産業省であり,個人情報保護法の所管省庁は個人情報保護委員会であり,マイナンバー法の所管省庁は総務省です。
2 以下の記事も参照してください。
・ 個人事業主の税金,労働保険及び社会保険に関するメモ書き
・ 弁護士法人アディーレ法律事務所に対する懲戒処分(平成29年10月11日付)


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