目次
第1 遺産分割に関するメモ書き
1 特別受益
2 寄与分
3 詐害行為取消権及び無償否認
4 代償分割
5 要素の錯誤
6 非嫡出子の相続分
7 遺産分割の調停及び審判の管轄
8 未支給年金
9 その他
第2 限定承認に関するメモ書き
1 総論
2 限定承認と訴訟承継
3 限定承認と判決
4 限定承認と譲渡所得税
5 その他
第3 相続放棄に関するメモ書き
1 総論
2 相続放棄の期間制限の起算点
3 法定単純承認に当たる例
4 法定単純承認に当たらない例
5 その他
第4 遺言に関するメモ書き
1 遺言の解釈
2 相続させる遺言
3 自筆証書遺言の押印
4 自筆証書遺言の破棄
5 その他自筆証書遺言関係
6 秘密証書遺言
7 その他
第5 相続欠格事由に関するメモ書き
1 自筆証書遺言の訂正
2 遺言書の破棄又は隠匿
第6 相続回復請求に関するメモ書き
第7 預貯金債権の仮払い
1 総論
2 民法909条の2に基づく預貯金債権の仮払い
3 家事事件手続法200条3項に基づく預貯金債権の仮分割の仮処分
第8 共有関係に関するメモ書き
第9 遺産確認の訴えに関するメモ書き
第10 相続税に関するメモ書き
1 敷金の取扱い
2 債務控除
3 相続税のかかる家庭用財産等
4 個人事業主が従業員に支払う退職金に関するメモ書き
5 相続税における配偶者の税額の軽減
6 未分割遺産に関する更正の請求の特則
7 相続税評価額
8 その他
第11 在日韓国人の相続に関するメモ書き
1 総論
2 家族関係証明書の取得
3 電算化除籍謄本
4 相続の準拠法
5 相続放棄
6 その他
第12 デジタルの相続手続きに関するメモ書き
第13 関連記事その他
第1 遺産分割に関するメモ書き
1 特別受益
(1) 10年の期間制限がないこと
・ 相続人間の「遺産分割協議における遺産分割の割合(具体的相続分)」の特別受益については,遺留分算定の場合の特別受益と異なり,相続法改正前と同様,特に10年という期間制限はありません。
ただし,令和10年4月1日以降については,相続開始の時から10年以内に遺産分割の請求をしない限り特別受益及び寄与分を考慮してもらえなくなります(民法904条の3のほか,愛知県名古屋市の相続弁護士HPの「相続開始から10年で特別受益、寄与分の主張ができなくなります」参照)。
(2) 死亡保険金は原則として特別受益にならないこと
ア 被相続人を保険契約者及び被保険者とし,共同相続人の1人又は一部の者を保険金受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は,民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが,保険金の額,この額の遺産の総額に対する比率,保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係,各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して,保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,特別受益に準じて持戻しの対象となります(最高裁平成16年10月29日判決)。
イ 広島高裁令和4年2月25日決定(判例体系に掲載)は,「本件死亡保険金の合計額は2100万円であり、被相続人の相続開始時の遺産の評価額(772万3699円)の約2.7倍、本件遺産分割の対象財産(遺産目録記載の財産)の評価額(459万0665円)の約4.6倍に達しており、その遺産総額に対する割合は非常に大きいといわざるを得ない。」としつつも,結論としては,最高裁平成16年10月29日判決が判示するところの特段の事情はないと判断しました。
(3) 遺留分については特別受益の持戻し免除はないこと
特別受益に当たる贈与についてされた当該贈与に係る財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の被相続人の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合,当該贈与に係る財産の価額は,上記意思表示が遺留分を侵害する限度で,遺留分権利者である相続人の相続分に加算され,当該贈与を受けた相続人の相続分から控除されます(最高裁平成24年1月26日判決)。
つまり,遺留分減殺請求により特別受益に当たる贈与が減殺された場合、持戻し免除の意思表示は、遺留分を侵害する限度で失効するということです(あなたの弁護士HPの「遺留分には持ち戻し免除の制度がない|特別受益の持戻しと遺留分の関係」参照)。
(4) 無償による相続分の譲渡
・ 共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は,譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き,上記譲渡をした者の相続において,民法903条1項に規定する「贈与」に当たります(最高裁平成30年10月19日判決)。
令和5年4月1日から施行される,新民法904条の3は危険。相続開始後10年経過した後は特別受益や寄与分の主張が原則できなくなる。事案によっては各相続人の取り分に甚大な影響が出る。相手側に多大な特別受益がある事案なのに,改正を知らない弁護士が10年直前に受け,10年を徒過すると詰む。
— 木下宗一郎【弁護士/福岡県久留米市】 (@sk123454321) September 16, 2022
4月から寄与分や特別受益に10年の期限ができますが、例えば、特別受益がある依頼者に「10年待ちましょう」と安易に助言するのは法的にも弁護士倫理的にも危険です。
「時効待ち作戦」と同じように期限直前の保全措置で作戦が失敗した場合、事件放置や証拠散逸のリスクがあります(最判H25.4.16)。 https://t.co/LhiA4KHE8q
— 弁護士 荒井達也 (@AraiLawoffice) February 6, 2023
2 寄与分
(1) 家事審判法9条1項乙類9号の2の寄与分を定める処分の審判は,憲法32条,82条に違反しません(最高裁昭和60年7月4日決定)。
(2) 令和10年4月1日以降については,相続開始の時から10年以内に遺産分割の請求をしない限り特別受益及び寄与分を考慮してもらえなくなります(民法904条の3のほか,愛知県名古屋市の相続弁護士HPの「相続開始から10年で特別受益、寄与分の主張ができなくなります」参照)。
(3) 遺産相続弁護士ガイドHPの「寄与分と遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)の関係」には「遺留分を侵害する寄与分の主張を裁判所が認めてくれることは実際上ほとんどありません。 例外として認められる可能性があるとすれば、例えば、被相続人の財産のほとんどが寄与分を主張する相続人からの贈与による場合等のように、寄与の割合が特別大きい場合のみでしょう。」と書いてあります。
(4) 千葉の弁護士による相続の無料相談HPの「Q. 遺産分割調停の中で寄与分を主張するにはどのようにすればよいですか。」には「調停手続きの場合には、特別の申立なく寄与分を主張することが可能です。遺産分割審判の中では、寄与分を定める処分の審判申立が必要です。」と書いてあります。
(5) 遺言により相続分がないものと指定された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使したとしても、特別寄与料を負担しません(最高裁令和5年10月26日決定)。
寄与分という弱いもので精算しようという発想は出来るだけやめましょう。貢献の都度、その時に精算すべきです。
それがどうしても無理なら、何とか固い証拠を残して保存していくべきです。— 木下宗一郎【弁護士/福岡県久留米市】 (@sk123454321) June 13, 2022
3 詐害行為取消権及び無償否認
(1) 共同相続人の間で成立した遺産分割協議は詐害行為取消権の対象となります(最高裁平成11年6月11日判決)し,国税徴収法39条にいう第三者に利益を与える処分に当たることがあります(最高裁平成21年12月10日判決)。
(2) 東京高裁平成27年11月9日判決(判例秘書に掲載)は,「共同相続人が行う遺産分割協議において、相続人中のある者がその法定相続分又は具体的相続分を超える遺産を取得する合意をする行為を当然に贈与と同様の無償行為と評価することはできず、遺産分割協議は、原則として破産法160条3項の無償行為には当たらない」と判示しています。
4 代償分割
(1) 家庭裁判所は,遺産の分割の審判をする場合において,特別の事情があると認めるときは,遺産の分割の方法として,共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて,現物の分割に代えることができる(家事事件手続法195条(旧家事審判規則109条))ものの,右の特別の事由がある場合であるとして共同相続人の一人又は数人に金銭債務を負担させるためには,当該相続人にその支払能力があることを要します(最高裁平成12年9月7日決定(判例秘書に掲載))。
(2) みずほ中央法律事務所HPに「遺産分割における代償分割の履行確保措置」が載っています。
この場合、これといった争点がなければ、申立人が全遺産を取得して、他の相続人には法定相続分に応じた代償金を支払うと内容の調停に代わる審判をして、確定することが多い。
— 774😷 (@Dj3ArtBq) June 1, 2022
5 要素の錯誤
・ 特定の土地につきおおよその面積と位置を示して分割した上それぞれを相続人甲,乙,丙に相続させる趣旨の分割方法を定めた遺言が存在したのに,相続人丁が右土地全部を相続する旨の遺産分割協議がされた場合において,相続人の全員が右遺言の存在を知らなかったなどといった事実関係の下においては,甲のした遺産分割協議の意思表示に要素の錯誤がないとはいえません(最高裁平成5年12月16日判決)。
これは時々あるあるですね…
配偶者控除フル活用するために一旦カーチャンが全部相続して、後に長男に全部相続させる遺言書いたりとか、自社株を大人数で割ったりとか…— 暇弁@会務やめたい (@himaben1st) May 26, 2022
6 非嫡出子の相続分
(1) 非嫡出子とは,法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子をいいます。
(2)ア 非嫡出子の相続分は半分であるとする民法900条4号ただし書前段(平成25年当時の条文です。)は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反するとされて,最高裁大法廷平成7年7月5日決定(反対意見は5人)が変更されました(最高裁大法廷平成25年9月4日決定(反対意見なし。補足意見3人))。
イ 民法900条4号ただし書前段の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたとする最高裁判所の判断は,上記当時から同判断時までの間に開始された他の相続につき,同号ただし書前段の規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではありません(最高裁大法廷平成25年9月4日決定)。
ウ 最高裁平成12年1月27日判決(反対意見は1人),最高裁平成15年3月28日判決(反対意見は2人),最高裁平成15年3月31日判決(反対意見は2人),最高裁平成16年10月14日判決(反対意見は2人),最高裁平成21年9月30日決定(反対意見は1人)では,民法900条4号ただし書前段は憲法14条1項に違反しないとされていました。
(3) 平成25年12月11日施行の改正民法900条4号に基づき,平成25年9月5日以後に開始した相続については,非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分と同じになりました(法務省HPの「民法の一部が改正されました」参照)。
「全て長男が相続すべき」というコンセンサスがある家は、田舎でも強い。
戦後民法の平等思想に染まった家は、弱体化したり争いになったりしやすい。
人類の長い歴史に照らせば、何が正しく何が間違いかは、本当に分かり難いのだ。
— ピピピーッ (@O59K2dPQH59QEJx) May 14, 2022
7 遺産分割の調停及び審判の管轄
(1)ア 遺産分割調停の管轄は,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所となる(家事事件手続法245条1項)のであって,相続開始地に管轄はありません。
イ 相手方として大阪市在住の甲及び東京都特別区在住の乙の2人がいる場合において大阪家裁に遺産分割調停の申立てをした場合,大阪家裁にだけ管轄が発生する結果(家事事件手続法5条),乙が東京家裁への移送を求めて職権の発動を促したとしても(この場合,移送の申立権がありません。),「家事事件の手続が遅滞することを避けるため必要があると認めるときその他相当と認めるとき」でない限り,東京家裁には移送されません(家事事件手続法9条2項1号)。
そして,相続開始地が大阪市であり,相続人のほとんどが大阪市に住んでいて,相続財産がすべて大阪市にある場合,乙又はその手続代理人が電話会議による出席をすること(家事事件手続法258条1項・54条1項)を前提として東京家裁には移送されないかもしれません。
ウ 離婚又は離縁の調停と異なり,遺産分割調停の場合,調停期日への現実の出席は必須ではありません(家事事件手続法268条3項参照)。
(2)ア 遺産分割審判の管轄は,相続開始地(被相続人の最後の住所地)を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所となります(家事事件手続法66条1項及び191条)。
イ 遺産分割調停の申立てをせずに直接,遺産分割審判の申立てをした場合,原則として,家庭裁判所はこれを遺産分割調停に付しますし(家事事件手続法274条1項の「付調停」です。),遺産分割調停の管轄家庭裁判所に移送します(家事事件手続法274条2項本文)。
(3)ア 相続会議HPの「遺産分割調停をするにはどこの裁判所に行けばいい? 裁判所の「管轄」に注意」には「遺産分割調停と審判で管轄が異なる事案で調停から審判へ移行した場合には、審判の管轄地の家庭裁判所へ移送されるケースもあります。一方、そのまま移送されず調停の裁判所で自庁処理されることもあるように、判断は裁判所に委ねられています。」と書いてあります。
イ 菅野綜合法律事務所HPの「自庁処理~管轄のない裁判所で遺産分割が行われる場合」には「自庁処理を認める例としては、被相続人の最後の住所地は相続財産の所在地や相続人の住所地などから離れているが、調停手続は相続財産の所在地や相続人の住所地で行われ、その家庭裁判所で審判手続を行うような場合があります。」と書いてあります。
(4) 離婚訴訟等の人事訴訟と異なり,遺産分割審判事件を含む別表第二審判事件については調停前置主義が採用されていない(家事事件手続法257条参照)ものの,裁判所は,当事者の意見を聴いて,いつでも,職権で,事件を家事調停に付することができます(家事事件手続法274条1項)。
(5) 荒井法律事務所HPの「相続人が多い土地の遺産分割調停の進め方」には「相続人からの同意取得をスムーズに進めるためには、①事前にお手紙で事情を説明し、必要書類の提出を求めつつ②非協力な相続人がいる場合は遺産分割調停等の裁判手続を利用することが重要です。」と書いてあります。
8 未支給年金
・ 年金の支払は死亡した月の分までとなりますところ,日割り計算は行われず,1日に死亡しても1ヶ月分が支給されます。
そして,被相続人が偶数月の後半に死亡した場合は1ヶ月分,奇数月に死亡した場合は2ヶ月分,偶数月の全般に死亡した場合は3ヶ月分が未支給年金となります(辻・本郷相続センターHPの「未支給年金は相続財産にあたらない?」参照)。
・ 未支給年金について定める国民年金法19条は,相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものであり,死亡した受給権者が有していた当該年金給付に係る請求権が同条の規定を離れて別途相続の対象となるものではありません(最高裁平成7年11月7日判決)。
・ 国民年金法19条所定の者がいない場合,その他の相続人が同条所定の未支給年金を受ける権利を取得することはありませんし,未支給年金が同条を離れて相続の対象となり,相続財産を構成することはないと解されています(東京地裁平成23年3月2日判決参照)。
・ 未支給年金請求権については,当該死亡した受給権者に係る遺族が当該未支給年金を自己の固有の権利として請求するものであり,当該死亡した受給権者に係る相続税の課税対象とはならないものの,遺族が支給を受けた当該未支給年金は当該遺族の一時所得に該当します(国税庁HPの「未支給の国民年金に係る相続税の課税関係」参照)。
9 その他
・ 遺産分割審判は憲法32条及び82条に違反しませんし,家庭裁判所は,遺産の分割に関する処分の審判の前提となる相続権,相続財産等の権利関係の存否を,審判中で審理判断することができます(最高裁大法廷昭和41年3月2日決定)。
・ 扶養権利者を扶養してきた扶養義務者が他の扶養義務者に対して求償する場合における各自の扶養分担額は,協議がととのわないかぎり,家庭裁判所が審判で定めるべきであつて,通常裁判所が判決手続で定めることはできません(最高裁昭和42年2月17日判決)。
・ 保険契約において保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合は,特段の事情のない限り,右指定には相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれ,各保険金受取人の有する権利の割合は相続分の割合になります(最高裁平成6年7月18日判決)。
・ 相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けません(最高裁平成17年9月8日判決)。
・ 相続が開始して遺産分割未了の間に相続人が死亡した場合において,第2次被相続人が取得した第1次被相続人の遺産についての相続分に応じた共有持分権は,実体上の権利であって第2次被相続人の遺産として遺産分割の対象となり,第2次被相続人から特別受益を受けた者があるときは,その持戻しをして具体的相続分を算定しなければなりません(最高裁平成17年10月11日決定)。
・ 共同相続された委託者指図型投資信託の受益権及び個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはありません(最高裁平成26年2月25日判決)。
・ 国立国会図書館HPの「調査資料(2024年刊行分)」に「第8章 故人の遺したデジタルデータの相続等―インターネットを介したサービスの多様化と利用の広がりを受けて― 」が載っています。
法定相続分を前提として、①遺産によっては評価方法が複数ありバッファがある、②取得者にとって遺産に実質的な含み損、含む益が生じる場合がある、③税務上の特例を利用できる分割方法がある、あたりを踏まえて、欲しい遺産を取り合うゲームです。 https://t.co/QKaXUI6cEm
— 古家野 彰平 (@shoheikoyanolaw) November 6, 2021
ちなみに、月報司法書士2011年12月号が参考になります。
— zyxd (@ysd64571897) June 8, 2022
司法書士として相続登記業務は避けられない。
まずはその基礎として、家督相続、隠居、入夫婚姻等の旧民法、措置法を知っておかないとマズイです。
相続人の順位や法定相続分も、被相続人の亡くなった年月日で全く違うので。その点を助けて頂いた書籍です。オススメです。
https://t.co/j5RaDwAr8P— 伊藤恵太郎(司法書士 豊後高田市) (@nouka_kanouka) November 17, 2022
第2 限定承認に関するメモ書き
1 総論
・ 限定承認とは,相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して,相続の承認をすることをいいます。
2 限定承認と訴訟承継
・ 訴訟係属中に当事者が死亡し,数人の相続人がある場合に,右相続人らが限定承認をし,民法936条の規定による相続財産管理人が選任されたときは,右訴訟を承継する者は共同相続人であつて,相続財産管理人はその法定代理人として受継の申立をなすべきであつて,相続財産管理人が訴訟を承継するものではありません(最高裁昭和43年12月17日判決)。
3 限定承認と判決
・ 被相続人に対する債権につき,債権者と相続人との間の前訴において,相続人の限定承認が認められ,相続財産の限度での支払を命ずる判決が確定しているときは,債権者は相続人に対し,後訴によつて,右判決の基礎となる事実審の口頭弁論終結時以前に存在した限定承認と相容れない事実を主張して右債権につき無留保の判決を求めることはできません(最高裁昭和49年4月26日判決)。
4 限定承認と譲渡所得税
・ 東弁リブラ2021年9月号に「他士業に学ぶ─弁護士が見落としがちな実務のポイント─」が載っていますところ,リンク先のPDF4頁には「限定承認があった場合の「みなし譲渡」については,相続開始日の時価で譲渡があったとして被相続人に譲渡所得税が課税されるが,被相続人は翌年1月1日現在には住所がないので,譲渡所得に対する住民税(不動産の長期譲渡所得であれば5%)は課税されない。」と書いてあります。
5 その他
・ 相続人は,民法936条1項の相続財産管理人が選任された場合であつても,相続財産に関する訴訟につき,当事者適格を有し,前記の相続財産管理人は,その法定代理人として訴訟に関与するものであつて,相続財産管理人の資格では当事者適格を有しません(最高裁昭和47年11月9日判決)。
・ 民法921条3号にいう「相続財産」には,消極財産(相続債務)も含まれ,限定承認をした相続人が消極財産を悪意で財産目録中に記載しなかったときにも,同2号により単純承認したものとみなされます(最高裁昭和61年3月20日判決)。
・ 不動産の死因贈与の受贈者が贈与者の相続人である場合において,限定承認がされたときは,死因贈与に基づく限定承認者への所有権移転登記が相続債権者による差押登記よりも先にされたとしても,信義則に照らし,限定承認者は相続債権者に対して不動産の所有権取得を対抗することはできません(最高裁平成10年2月13日判決)。
まずは相続財産(資産・負債)の調査を行い、戸籍類や財産目録を揃えて、死後3か月以内に家裁に申述するのが原則です。
ですが、そもそも限定承認を検討するような事案ですから、相続財産の調査は割と難航します。いろんな機関に照会をかける必要もあるので3か月以内に終わらないことも多い。その場合→— 弁護士 関口 郷思(せきぐち さとし) (@sekiguchisatosh) July 31, 2022
第3 相続放棄に関するメモ書き
1 総論
(1) 相続放棄をするためには,自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければなりません(民法915条1項及び938条)。
(2) 相続の放棄をした場合,その相続に関しては,初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)ものの,その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまでの間,自己の財産におけるのと同一の注意を持って,その財産の管理を継続しなければなりません(民法940条1項)。
(3) 相続放棄は身分行為ですから,詐害行為取消権の対象にはなりません(最高裁昭和49年9月20日判決)。
(4) 弁護士による大阪遺言・相続ネットに「「処分」と単純承認に関する裁判例」が載っています。
相続放棄契約については、穴澤成巳(当時山形家庭裁判所判事)の「相続放棄契約に関する一考察」(判タ483-46)で裁判官の視点から理論的な分析がされている(個人的にも概ね同意見)。これくらいは読んでから判決書いてほしい。
— venomy (@idleness_venomy) July 7, 2023
誤解している人が多いようなのですが、相続放棄をしても全て解放というわけではなく民法940条1項により誰かが財産管理を始めるまでは自己物と同一の注意義務を負うんだよね。
— 菊地正志🐱ペット弁護士⚖水球マン🤽♂️ (@crecelaw) March 1, 2021
【2023年4月27日施行 相続した土地の国庫帰属制度】
<国庫帰属不可な「土地」>
①建物が存在する
②担保権等が設定されている
③通路など他人によって使用されている
④土壌汚染されている
⑤境界が明らかでない
⑥崖がある
⑦工作物、樹木が地上にある
⑧地下に除去すべき有体物がある— 筋肉地蔵(司法書士・筋肉士 佐伯ともや) (@saekigymsho) August 25, 2022
2 相続放棄の期間制限の起算点
(1) 相続人において相続開始の原因となる事実及びこれにより自己が法律上相続人となつた事実を知つた時から3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかつたのが,相続財産が全く存在しないと信じたためであり,かつ,このように信ずるについて相当な理由がある場合には,民法915条1項所定の期間は,相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算されます(最高裁昭和59年4月27日判決)。
(2) 民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいいます(最高裁令和元年8月9日判決)。
相続放棄は期間制限もあり弁護過誤の時に多額の賠償を負う可能性や、何をすれば単純承認にあたるかの細かな質問が多数寄せられて時間を取られるケースも多いので、けして安請合いする業務ではないかと思います。東京大手で申述期間徒過の場合に1人55を取る事務所もありますよ。
— こたろう (@oneoneone010101) January 8, 2022
再転相続と相続放棄の熟慮期間について最高裁令和元年8月9日民集73巻3号293頁という宝物のような裁判例。
ネットで再転相続と相続放棄の記事探すとこの裁判例が反映されていない専門家の説明がたくさんあったのでご注意。— 北白川 (@GUv4i6) December 27, 2022
3 法定単純承認に当たる例
・ 相続人が相続開始後、相続放棄前に相続債権の取立をして、これを収受領得した場合には、民法921条1号にいわゆる相続財産の一部を処分した場合に該当し、相続の単純承認をしたものとみなされます(最高裁昭和37年6月21日判決)。
相続放棄申述なき旨の証明書の交付について(昭和30年7月4日付の最高裁判所家庭局長の回答)を添付しています。 pic.twitter.com/xUA9r1kvVh
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) December 4, 2022
相続放棄の申述に必要な書類(福岡家庭裁判所)https://t.co/8Csdl2EEDZ
わかりやすい!『父または母の年齢が92歳以上のときは,その方の先代(祖父母以前)の戸籍は省略可』
φ(..)メモメモ pic.twitter.com/IFFSUuWZy4— 司法書士 落石憲是(OCHIISHI Noriyuki) (@n_ochiishi) June 8, 2023
4 法定単純承認に当たらない例
(1) 死亡保険金の受領
ア 被保険者死亡の場合,保険金受取人の指定のないときは,保険金を被保険者の相続人に支払う旨の保険約款の条項は,被保険者が死亡した場合において被保険者の相続人に保険金を取得させることを定めたものと解すべきであり,右約款に基づき締結された保険契約は,保険金受取人を被保険者の相続人と指定した場合と同様,特段の事情のないかぎり,被保険者死亡の時におけるその相続人たるべき者のための契約となります(最高裁昭和48年6月29日判決)。
そのため,相続人が固有財産としての死亡保険金を使って,被相続人の相続債務の一部を弁済したことは,相続財産の一部の処分ではないと解されています(福岡高裁宮崎支部平成10年12月22日決定(判例秘書に掲載))。
イ 死亡保険金請求権は,指定された保険金受取人が自己の固有の権利として取得するのであって,保険契約者又は被保険者から承継取得するものではなく,これらの者の相続財産を構成するものではないというべきであり(最高裁昭和40年2月2日参照),また,死亡保険金請求権は,被保険者の死亡時に初めて発生するものであり,保険契約者の払い込んだ保険料と等価の関係に立つものではなく,被保険者の稼働能力に代わる給付でもないのであって,死亡保険金請求権が実質的に保険契約者又は被保険者の財産に属していたものとみることもできません(最高裁平成14年11月5日判決)。
そのため,相続放棄をしたときでも死亡保険金を受領できます(結論につき,生命保険文化センターHPの「A.保険金受取人の固有の財産となるので、相続を放棄しても死亡保険金は受け取ることができます」参照。なお,自由と正義2023年9月号19頁にも同趣旨の記載があります。)。
ウ 保険契約において保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合,特段の事情のない限り,右指定には相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれ,各保険金受取人の有する権利の割合は相続分の割合になります(最高裁平成6年7月18日判決)。
(2) 民法とは異なる支給順位を定める死亡退職金の受領
ア 死亡退職金の支給等を定めた特殊法人の規程に,死亡退職金の支給を受ける者の第一順位は内縁の配偶者を含む配偶者であって,配偶者があるときは子は全く支給を受けないことなど,受給権者の範囲,順位につき民法の規定する相続人の順位決定の原則とは異なる定め方がされている場合,右死亡退職金の受給権は相続財産に属さず,受給権者である遺族固有の権利です(最高裁昭和55年11月27日判決)。
そのため,相続放棄をしたときでも民法とは異なる支給順位を定める死亡退職金を受領できると思います。
イ 三井住友信託銀行HPに載ってある「企業年金事務説明資料 【よくあるご照会①】受給権者さまがお亡くなりになったとき」5頁には「遺族給付金、未支給給付金は相続財産ではなく、規約に定めるご遺族さま固有の権利とされています。そのため、相続放棄を行っていても、遺族給付金、未支給給付金をお受け取りいただくことができます。」と書いてあります。
(3) 相続財産の処分
ア 相続人が判示の事情のもとに被相続人の死亡を知らないで相続財産を処分しても,民法921条1号による単純承認の効果は生じません(最高裁昭和41年12月22日判決)。
イ 民法921条1号本文による単純承認の効果が生ずるためには、相続人が自己のために相続の開始した事実を知りまたは確実視しながら相続財産を処分したことを要します(最高裁昭和42年4月27日判決)。
5 その他
ア 「悪意で相続財産を相続財産の目録中に記載しなかった時」という法定単純承認事由は,相続放棄には適用されません(大審院昭和15年1月13日判決)。
イ 葬祭費(国民健康保険の場合)又は埋葬料(健康保険の場合),未支給年金(最高裁平成7年11月7日判決)及び遺族年金(大阪家裁昭和59年4月11日審判(判例秘書に掲載))は相続放棄をしても受領することができます。
うちの親戚はこの逆をやらかしてくれた。
父さん名義の家と預貯金は母さんに全部相続させよう→子ども3人家裁で相続放棄→私の父含む甥姪約20人に相続権が発生→全員に相続放棄してもらうようお願いするという地獄。 https://t.co/2LpGwHD1EZ— 北光社 (@Hokko_sha) October 17, 2021
いらない不動産の引取業者がいることはご存知ですか?
令和版の原野商法の増加を背景に、この業態には賛否両論ありますが、その辺を含め業者さんに根掘り葉掘り聞きました。
個人的には過去1の記事です!
●いらない土地の引取業者に弁護士が根掘り葉掘り聞いてみたhttps://t.co/nDtOf9VW3f
— 弁護士 荒井達也 (@AraiLawoffice) May 27, 2022
相続放棄だとか、超単純な貸金とか、別に本人から詳細な事情聴取せんでもできるやんと思う事件が落とし穴である。
本人に会わせろと言ってみたら本人との葛藤事案であることを白状されたり、本人と会ってみたら明らかに認知症入ってたり、弁護士業務は危険がいっぱい。— 弁護士α (@NOlHT1yemE0873v) December 16, 2021
昨日、愛知県司法書士会さんで民法不登法改正の研修をさせていただいたのですが、職権名変の新制度につき、住所繋がらない問題が根深く実効性如何とのご指摘をいただきました。
私の想像以上に切実な問題のようですので関連省令や通達を含め動向を要注視と強く感じました。https://t.co/sE0rkW3oA6 pic.twitter.com/6JfycvbYMJ
— 弁護士 荒井達也 (@AraiLawoffice) September 18, 2022
第4 遺言に関するメモ書き
1 遺言の解釈
(1) 遺言の解釈にあたっては,遺言書の文言を形式的に判断するだけでなく,遺言者の真意を探究すべきものであり,遺言書の特定の条項を解釈するにあたっても,当該条項と遺言書の全記載との関連,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などを考慮して当該条項の趣旨を確定すべきとされています(最高裁昭和58年3月18日判決)。
(2) 遺言の解釈に当たっては,遺言書に表明されている遺言者の意思を尊重して合理的にその趣旨を解釈すべきであるが,可能な限りこれを有効となるように解釈することが右意思に沿うゆえんであり,そのためには,遺言書の文言を前提にしながらも,遺言者が遺言書作成に至った経緯及びその置かれた状況等を考慮することも許されます(最高裁平成5年1月19日判決)。
(3) 丁の遺言書中の特定の遺産を一部の親族に遺贈等をする旨の条項に続く「遺言者は法的に定められたる相続人を以って相続を与へる。」との条項について,丁は,その妻戊との間に子がなかったため,丁の兄夫婦の子甲を実子として養育する意図で丁戊夫婦の嫡出子として出生の届出をしたこと,丁と甲とは,遺言書が作成されたころを含めて,丁が死亡するまで,実の親子と同様の生活をしていたとみられること,遺言書が作成された当時,甲は,戸籍上,丁の唯一の相続人であったことなどといった事情を考慮することなく,遺言書の記載のみに依拠して,上記の遺贈等の対象とされた特定の遺産を除く丁の遺産を甲に対して遺贈する趣旨ではなく,これを単に法定相続人に相続させる趣旨であるとした原審の判断には,違法があります(最高裁平成17年7月22日判決)。
(4) 複数の包括遺贈のうちの一つがその効力を生ぜず,又は放棄によってその効力を失った場合,遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き,包括受遺者が受けるべきであったものは,他の包括受遺者には帰属せず,相続人に帰属します(最高裁令和5年5月19日決定)。
2 相続させる遺言
(1) 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言があった場合には,当該遺言において相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして,当該遺産は,被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継されます(最高裁平成3年4月19日判決)。
(2)ア 特定の不動産を特定の相続人甲に相続させる旨の遺言により、甲が被相続人の死亡とともに当該不動産の所有権を取得した場合には、甲が単独でその旨の所有権移転登記手続をすることができ、遺言執行者は、遺言の執行として右の登記手続をする義務を負いません(最高裁平成7年1月24日判決)。
イ 遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格を有する者は,遺言執行者があるときであっても,遺言書に当該不動産の管理及び相続人への引渡しを遺言執行者の職務とする旨の記載があるなどの特段の事情のない限り,遺言執行者ではなく,右の相続人です(最高裁平成10年2月27日判決)。
(3) 特定の不動産を特定の相続人甲に相続させる趣旨の遺言がされた場合において,他の相続人が相続開始後に当該不動産につき被相続人から自己への所有権移転登記を経由しているときは,遺言執行者は,右所有権移転登記の抹消登記手続のほか,甲への真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めることができます(最高裁平成11年12月16日判決)。
(4) 遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはありません(最高裁平成23年2月22日判決)。
(5) 平成30年の相続法改正によって,相続させる遺言は「特定財産承継遺言」として明文化されました(民法1014条2項)。
よく家族法の講義では波平が死亡したときの磯野家の法定相続分を計算させる問題をよく扱ったものだ。それなり以上の知名度があり、カツオを死なせてれば甥への代襲相続まで説明できるというの、なかなか良くできてて他に適当な例を思いつかない。
— たかしRX (@yst64) February 10, 2022
3 自筆証書遺言の押印
(1) 自筆遺言証書における押印は,指印をもつて足ります(最高裁平成元年2月16日判決)。
(2) 遺言者が,自筆証書遺言をするにつき書簡の形式を採ったため,遺言書本文の自署名下には押印をしなかったが,遺言書であることを意識して,これを入れた封筒の封じ目に押印したものであるなどといった事実関係の下においては,右押印により,自筆証書遺言の押印の要件に欠けるところはありません(最高裁平成6年6月24日判決)。
(3) 遺言者が,入院中の日に自筆証書による遺言の全文,同日の日付及び氏名を自書し,退院して9日後(全文等の自書日から27日後)に押印したなど判示の事実関係の下においては,同自筆証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちに同自筆証書による遺言が無効となるものではありません(最高裁令和3年1月18日判決)。
4 自筆証書遺言の破棄
・ 遺言者が自筆証書である遺言書に故意に斜線を引く行為は,その斜線を引いた後になお元の文字が判読できる場合であっても,その斜線が赤色ボールペンで上記遺言書の文面全体の左上から右下にかけて引かれているといった事実関係の下においては,その行為の一般的な意味に照らして,上記遺言書の全体を不要のものとし,そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であり,民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し,遺言を撤回したものとみなされます(最高裁平成27年11月20日判決)。
5 その他自筆証書遺言関係
・ 自筆証書遺言の無効確認を求める訴訟においては,当該遺言証書の成立要件すなわちそれが民法968条の定める方式に則って作成されたものであることを,遺言が有効であると主張する側において主張・立証する責任があります(最高裁昭和62年10月8日判決)。
6 秘密証書遺言
・ 秘密証書によって遺言をするに当たり,遺言者以外の者が,市販の遺言書の書き方の文例を参照し,ワープロを操作して,文例にある遺言者等の氏名を当該遺言の遺言者等の氏名に置き換え,そのほかは文例のまま遺言書の表題及び本文を入力して印字し,遺言者が氏名等を自筆で記載したなど判示の事実関係の下においては,ワープロを操作して遺言書の表題及び本文を入力し印字した者が民法970条1項3号にいう筆者です(最高裁平成14年9月24日判決)。
7 その他
(1) 仮処分命令の本案訴訟において原告敗訴の判決が確定したとしても,その一事をもって,直ちに右過失が存すると断ずることはできない(最高裁昭和43年12月24日判決参照)ところ,仮処分命令の本案において,仮処分申請における原告の主張が採用されず原告敗訴の判決が確定した場合においても,請求の当否が遺言の趣旨の解釈にかかるものであり,原告が右遺言の趣旨を遺産分割方法の指定と解したことが首肯し得るものであった等といった事実関係の下においては,直ちに仮処分申請人に過失があったものとすることはできません(最高裁平成2年1月22日判決)。
(2) 遺言者が遺言を撤回する遺言を更に別の遺言をもって撤回した場合において,遺言書の記載に照らし,遺言者の意思が当初の遺言の復活を希望するものであることが明らかなときは,当初の遺言の効力が復活します(最高裁平成9年11月13日判決)。
(3) 「相続させる」趣旨の遺言による不動産の権利の取得については,登記なくして第三者に対抗することができた(最高裁平成14年6月10日判決)ものの,令和元年7月1日以降については,民法899条の2に基づき,登記が必要となりました。
(4) 遺言執行者は,共同相続人の相続分を指定する旨の遺言を根拠として,平成30年法律第72号の施行日前に開始した相続に係る相続財産である不動産についてされた所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えの原告適格を有するものではありません(最高裁令和5年5月19日判決)。
(5) 行政書士阿久津事務所HPに「遺言書の各種文例」が載っています。
遺言書は、遺言者の権利関係を死後整理するための命令を書いたコードそのものなので、もしバグがあったら権利関係が整理されず混乱が生じます。
「遺言があるんです!」と持ってこられた遺言にバグが含まれていることは多々あります。
遺言作成は、紛争を予期して作らないと、リスク低減しづらいです。 https://t.co/toTpWhXcKS— 向原総合法律事務所 弁護士向原 (@harrier0516osk) July 12, 2021
相続の現場でよく起こる話。
遺言作成で費用を惜しんで専門家の助言なく曖昧に作成したことや遺産分割内容を検討しない結果、仲違いする家族が多い。
人の最後の仕事は家族を過度に信用せず、自分で後始末をつけること。 https://t.co/LVENvmRzIx— さしだ君 (@sashi_sashikun) January 27, 2022
当事者のいう「婿養子」と「相続放棄した」は今のところ“額面通り受け取れないトップ2”のような気がします。
前者は婚姻で妻の苗字を名乗ることになっただけで養子縁組はしていない、後者は単に「わたしは何もいらないから好きに分けて」と言っただけだったりしますよね。
あと、何かあるかな…🧐— 🍀透析弁護士Mii🍀 (@LawyerDialyzing) December 27, 2022
国庫帰属制度の詳細が出てきました!!
●「相続土地国庫帰属制度のご案内」https://t.co/kShQDNrvKM
→申請書の書き方も言及あり●法務局の無料相談も2/22から始まります!https://t.co/XxNlCSXwfc
1回30分本局だけですので、一般の方が1回でスッキリ理解できるかは微妙な気がします。 pic.twitter.com/QDbuNnw4Vg— 弁護士 荒井達也@負動産の窓口を作りました! (@AraiLawoffice) February 15, 2023
第5 相続欠格事由に関するメモ書き
1 自筆証書遺言の訂正
(1)ア 相続に関する被相続人の遺言書又はこれについてされている訂正が方式を欠き無効である場合に,相続人が右方式を具備させて有効な遺言書又はその訂正としての外形を作出する行為は,民法891条5号にいう遺言書の偽造又は変造にあたるが,それが遺言者の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨でされたにすぎないものであるときは,右相続人は同号所定の相続欠格者に当たらない(最高裁昭和56年4月3日判決)ものの,自筆証書遺言自体は無効です。
イ 最高裁昭和56年4月3日判決の事案は,遺言者が前の公正証書遺言を取り消す旨の自筆証書遺言を作成したものの,これには押印がなかったため,この遺言書の形式を整える意味で,遺産の一部を与えられている相続人の一人が遺言書に押印したというものでした。
(2) 自筆証書遺言における証書の記載自体からみて明らかな誤記の訂正については,民法968条2項所定の方式の違背があっても,その違背は,遺言の効力に影響を及ぼしません(最高裁昭和56年12月18日判決)。
2 遺言書の破棄又は隠匿
・ 相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合において,相続人の右行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは,右相続人は,民法891条5号所定の相続欠格者に当たりません(最高裁平成9年1月28日判決)。
これは、やらかしがちなミス。
子が放棄したら孫は相続人にならないが、父母が放棄したら祖父母が相続人になる。 https://t.co/l0uWS9VxDs— ピピピーッ (@O59K2dPQH59QEJx) February 21, 2021
ある女子が妻子ある男性とセンシティブなやり取りしてたけど、その方ががんになって数年闘病後に亡くなったと。
最後の1通は未読のままで、それが開封される事はないんだと悲しんでたけど、お通夜の日に既読になった。
なるほど、僕もがんになったらやる事リストの中にiPhoneリセットも入れとこう。
— 医タオ会長 (@130R_itaoitsuji) April 7, 2022
相続廃除が認められると、その相続人の遺留分の権利までをも剥奪することになります
ただ、その相続人に子がいる場合は相続権は移行されることになります
これを代襲相続といいます
その他、戸籍の「身分事項」欄に相続人廃除の旨が記載されるようになります
— 終活.com (@syukatsudo_com) May 27, 2022
第6 相続回復請求に関するメモ書き
1 相手方が表見相続人に該当する場合,5年の短期消滅時効の適用がありますところ,表見相続人の具体例は以下のとおりです(ベリーベスト法律事務所の遺産相続問題トータルサポートHPの「相続回復請求権とは? 対象者や時効、遺留分侵害請求との違いを解説」参照)。
① 相続欠格事由に該当して相続権を失った人(民法891条)
② 相続廃除によって相続権を失った人(民法892条,893条)
③ 事実と異なる出生届や認知届が行われ、本当は被相続人の子でないにもかかわらず、子として相続をした人
④ 無効な婚姻に基づき、配偶者として相続をした人
⑤ 無効な養子縁組に基づき、養子として相続をした人
⑥ 自己の持分を超えて相続権を主張する共同相続人(最高裁大法廷昭和53年12月20日判決)
→ 表見相続人に該当するのは,占有管理する相続財産について,自己に相続権があるものと信じるべき合理的な事由がある場合に限られます。
2(1) 相続財産である不動産について単独名義で相続の登記を経由した共同相続人の一人甲が,甲の本来の相続持分を超える部分が他の相続人に属することを知っていたか,又は右部分を含めて甲が単独相続をしたと信ずるにつき合理的な事由がないために,他の共同相続人に対して相続回復請求権の消滅時効を援用することができない場合には,甲から右不動産を譲り受けた第三者も右時効を援用することはできません(最高裁平成7年12月5日判決)。
(2) この場合の第三者に対しては,真正な登記名義の回復を原因とする持分権の移転登記手続を請求することになります(原審である高松高裁平成5年12月7日判決(判例秘書に掲載)参照)。
遺産分割調停に特別代理人を活用するのは、必ずしも一般的ではないかもしれませんが、家事法の立案担当者は通常の民事訴訟と同じように、事理弁識能力を欠くが、未だ後見開始の審判を受けていない者にも特別代理人の選任をし得るとします(金子修編『逐条解説 家事事件手続法』63頁)。
— 弁護士 荒井達也 (@AraiLawoffice) July 19, 2022
第7 預貯金債権の仮払い
1 総論
(1) 最高裁大法廷平成28年12月19日決定による判例変更の結果,共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となりました。
(2) 判例変更前は,葬儀費用等の緊急性の高いものについては,葬儀社から提示された葬儀見積書などを提出することにより,例外的に一部預貯金の払い戻しを認める金融機関もあったものの,判例変更によりそのような取扱いが困難となりました。
そのため,平成30年の相続法改正により預貯金債権の仮払いが認められるようになりました。
(3) 弁護士法人三宅法律事務所の「【相続法改正】遺産分割前の預貯金債権の仮払いを認める改正」が参考になります。
2 民法909条の2に基づく預貯金債権の仮払い
(1) 被相続人の葬儀費用や入院費の支払いなど,死亡に伴う資金需要に迅速に対応するための仮払い制度であって,家庭裁判所の手続は不要です。
(2) この制度の場合,相続開始時の預貯金額✕3分の1✕法定相続分が払戻しを受けられる額の上限となりますし,一つの金融機関で払戻しを受けられる額の上限は150万円です。
遺産分割前に民法909条の2の預貯金の仮払いで引き出そうと思ったところ
A銀行:紛争性のある事案ではこの制度は使えません
B銀行:戸籍に記載のない相続人がいる可能性を否定できない限りは使えませんこの制度って紛争性がある場合に使う意味がある制度だと思っていたのですが…。
— Luna(るな)🌙 (@starship_luna) August 27, 2021
3 家事事件手続法200条3項に基づく預貯金債権の仮分割の仮処分
(1) 遺産分割の調停又は審判が係属している場合において,相続財産に関する債務の弁済,相続人の生活費の支弁その他の事情により必要がある場合,家庭裁判所の審査を経て,遺産に属する特定の預貯金の全部又は一部を仮に取得させてもらえます。
(2) この制度の場合,払い戻しを受けられる額に上限はありません。
「相続登記における対抗要件」の変更で、遺言による不動産相続にも登記が不可欠になりました
平成31年度 相続法の改正
配偶者居住権
特別受益の持ち戻し免除の推定
自筆証書遺言
遺産分割前の預貯金の引き出しの柔軟化
相続登記における対抗要件の変更
遺留分制度の見直し— 終活.com (@syukatsudo_com) May 20, 2022
第8 共有関係に関するメモ書き
1 共同相続人の一部から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が当該共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は,遺産分割審判ではなく,共有物分割訴訟です(最高裁昭和50年11月7日判決)。
2 共有者の一人が死亡し,相続人の不存在が確定し,相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは,その持分は,民法958条の3に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり,右財産分与がされないときに,同法255条により他の共有者に帰属します(最高裁平成元年11月24日判決)。
3 民法258条により共有物の分割をする場合において、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情があるときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法(いわゆる全面的価格賠償の方法)によることも許されます(最高裁平成8年10月31日判決)。
4 不動産の共有者の1人は,共有不動産について実体上の権利を有しないのに持分移転登記を了している者に対し,その持分移転登記の抹消登記手続を請求することができます(最高裁平成15年7月11日判決)。
5 共同相続人甲が相続財産中の可分債権につき権限なく自己の相続分以外の債権を行使した場合には,他の共同相続人乙は,甲に対し,侵害された自己の相続分につき,不法行為に基づく損害賠償又は不当利得の返還を求めることができます(最高裁平成16年4月20日判決)。
5 荒井法律事務所HPに「【いつから?】2021年民法改正で共有制度はどう変わる?【2023年4月1日から】」が載っています。
令和3年民法改正に関する法務省の概要資料は大変良い資料ですが、共有制度の改正が手薄でしたので補助資料を作成いたしました!
①共有制度はなぜ改正された?
②共有は全員一致の決定が大変
③共有は関係解消が大変
④共有は行方不明者がいると大変の4つの切り口で解説しています(転載大歓迎)。 pic.twitter.com/GoeEGKupfd
— 弁護士 荒井達也 (@AraiLawoffice) July 27, 2021
共有持分買取りビジネスの典型例は、持分を1,000万円で買い取り、他の共有者に3,000万円で請求、応じなければ、裁判所に共有解消を求めて換価又は賃料を設定してもらって運用する手法である。相続で揉めて共有状態にある方はご用心。
— 日本橋鑑定総合事務所 (@officenihonbas1) July 13, 2022
【ご紹介】仲卓真「令和3年民法改正が株式の準共有に与える影響〔上〕」商事法務2022年9月25日号(2306号)4頁~
中小企業の事業承継局面における「実質的な承継者の決定」とも言われる権利行使者の指定(会§106)の論点等への影響が詳細に検討されています!
引用文献には拙著も🥲 pic.twitter.com/jfEh2XHyvb
— 弁護士 荒井達也 (@AraiLawoffice) October 4, 2022
第9 遺産確認の訴え
1(1) 遺産確認の訴えは、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであり、その原告勝訴の確定判決は、当該財産が遺産分割の対象である財産であることを既判力をもつて確定し、これに続く遺産分割審判の手続及び右審判の確定後において、当該財産の遺産帰属性を争うことを許さないとすることによつて共同相続人間の紛争の解決に資することができます(最高裁平成元年3月28日判決。なお,先例として,最高裁昭和61年3月13日判決参照)。
(2) 遺産確認の訴えは,共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟です(最高裁平成元年3月28日判決)。
(3) 共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,遺産確認の訴えの当事者適格を有しません(最高裁平成26年2月14日判決)。
2 遺産の範囲に争いがある場合,実務上,①遺産分割審判の申立てを一旦取り下げるなどし,遺産確認訴訟による解決を先行させる,②不起訴合意のうえ審判手続を進める,③一部の遺産分割をするなどの措憧がとられます(家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務57頁参照)。
第10 相続税に関するメモ書き
1 敷金の取扱い
(1) 無利息の預り保証金及び敷金に係る債務控除額は,その元本価額から,通常の利率による返還期までの間に享受する経済的利益の額を控除した額によるのが相当であるとされています(相続実務アカデミーHPの「額面のままではダメ! 預かり保証金・預かり敷金の相続税評価」のほか,国税不服審判所平成19年4月26日裁決)。
(2) 相続税の申告に際し,敷金(差入保証金)について原状回復費用の債務控除は認められないものの,敷金の償却(敷引き)の債務控除は認められています(柳沼隆税理士事務所HPの「第734話 敷金の相続税評価額」参照)。
2 債務控除
(1) 被相続人が雇用していた従業員を相続開始後に解雇し退職金を支払った場合,相続税の課税価格の計算上債務として控除できます(国税庁HPの「被相続人が雇用していた従業員を相続開始後に解雇し退職金を支払った場合の債務控除」参照)。
(2) 原則として保証債務について債務控除は認められません(国税庁HPの「No.4126 相続財産から控除できる債務」参照)。
(3) 相続税の計算上,債務控除の対象にしたことによって債務の性質が変わるものではないのであって,相続人は,保証債務という債務を相続してその履行をするものですから,相続人について所得税法64条2項の規定を適用することができます(国税庁HPの「連帯保証債務に係る債務控除と保証債務の特例」参照)。
3 相続税のかかる家庭用財産等
(1)ア 相続税のかかる家庭用財産等としては以下のものがあります(相続税対策本部HPの「相続税の対象になる財産やその評価方法」参照)。
・ 自動車
・ バイク
・ 貴金属
・ ブランド品
・ 投資目的の仏壇や仏具など
・ 美術品(絵画、書画、壺、刀など)
・ 趣味の道具(ゴルフクラブや楽器など)
・ 一般的な家財道具(家具や電化製品など)
イ 所得税法の場合,自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具,じゆう器,衣服(いわゆる生活用動産)の譲渡については,一個又は一組の価額が30万円を超えない限り,譲渡所得は発生しません(所得税法9条1項9号・所得税法施行令25条)。
(2) 相続税申告書において,家庭用財産としての「家財一式」の評価額は10万円程度としている税理士が多いみたいです(みなと相続コンシェルHPの「【相続税】みんなは「家財一式」をいくらと書いてる?⇒1番多いのは〇〇万円」参照)。
4 個人事業主が従業員に支払う退職金に関するメモ書き
(1) 被相続人が雇用していた従業員を相続開始後に解雇し退職金を支払った場合の債務控除
ア 国税庁HPの「被相続人が雇用していた従業員を相続開始後に解雇し退職金を支払った場合の債務控除」には以下の記載があります。
被相続人の死亡によって事業を廃止して被相続人が雇用していた従業員を解雇する場合において、その者に退職金を支払っているときは、その支給された退職金は、被相続人の生前事業を営む期間中の労務の対価であり、被相続人の債務として確実なものであると認められますから、相続税の課税価格の計算に当っては、その金額を控除して差し支えありません。
イ ゼイケンリンクスHPの「【Q&A】従業員である相続人に退職金を支払った場合の債務控除の可否[税理士のための税務事例解説]」には以下の記載があります。
債務控除の対象になるとする考え方は、上記のとおり、被相続人が事業を営んでいる間の労務の対価であるかどうかがポイントですから、乙が実際に従業員として勤務した事実があれば、相続人(家族従業員)であるか否かは関係しませんし、相続税法第13条の規定をみても、相続人に対する債務を債務控除の対象から除外する規定もありません。
ウ 税理士法人チェスターHPの「被相続人が雇用していた従業員を相続開始後に解雇し退職金を支払った場合の債務控除」には以下の記載があります。
(3) 事業の承継人がいないために廃業したことによる解雇
事業を承継する人がいなければ、廃業するしかありません。つまり、相続開始することによって従業員の解雇は確定しており、退職金を支払うことはその時点で確実と認められます。そのため、この退職金については、債務控除の対象になります。
(2) 個人事業主の死亡により雇用契約は当然には終了しないこと
ア 国税不服審判所平成元年12月9日裁決の裁決要旨では,事例判断として以下の記載があります。
被相続人の事業は被相続人の一身に専属する性質のものではなく、相続の対象となり、雇用契約は相続人に承継されるから、被相続人の死亡は雇用契約の終了原因にはならない。
また、当該従業員らは被相続人死亡後も引き続き勤務し、勤務条件、勤務内容に重大な変更はなく、被相続人の事業は、相続人に承継されており廃止されていないから、雇用契約は終了していない。
イ 国税不服審判所平成11年12月9日裁決には以下の記載があります。
使用者の死亡が雇用契約の終了原因になるかどうかについては、明文の規定はないが、相続人は、被相続人の一身に専属したものを除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するのであるから(民法第896条)、使用者個人を看護又は教育するための雇用など労務の内容自体が使用者の一身に専属するものである場合や、使用者の変更によって労務の内容に重大な差異が生ずるような場合等人的色彩の特別に濃厚な雇用を除いては、雇用契約上の使用者の地位は相続の対象となり、使用者の死亡によって当然に雇用契約が終了することにはならないと解するのが相当である。
(3) 退職金支払請求権が発生する場合
・ 国税不服審判所平成13年10月17日裁決には以下の記載があります。
従業員に対する退職金の支払債務及びこれに対応する従業員の退職金支払請求権は、雇用契約の終了、すなわち退職の事実が生じたことにより当然に発生するというものではなく、あらかじめ労働協約、就業規則等でそれを支給すること及びその支給基準が定められているか、あるいは少なくとも明確な支給条件に従った支給慣行がある場合に発生すると解するのが相当である。
5 相続税における配偶者の税額の軽減
・ 国税庁HPの「タックスアンサーNo.4158 配偶者の税額の軽減」には以下の記載があります。
配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(注) この制度の対象となる財産には、隠蔽または仮装されていた財産は含まれません。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。
6 未分割遺産に関する更正の請求の特則
・ 国税不服審判所平成23年12月6日裁決は,未分割遺産に関する更正の請求の特則を定める相続税法32条1号及び55条に関して以下の判示をしています(イ及びロを①及び②に変えています。)。
① 相続税法第55条は、相続固有の問題として、相続税の法定申告期限内に遺産の全部又は一部の分割ができないことがあり得ることにかんがみ、現実に相続により取得する財産が確定していないことを理由に相続税の納付義務を免れるという不都合を防止し、国家の財源を迅速、確実に確保するために、法定申告期限内に申告書を提出する場合に相続人間で遺産が分割されていないときは、その未分割の遺産については、各共同相続人が法定相続分の割合に従って、当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算することとしている。
② そして、相続税法第32条第1号は、相続税の申告書提出時に分割されていない財産があるため同法第55条の規定により民法(第904条の2を除く。)の規定による相続分の割合に従って課税価格が計算されていた場合に、その後当該財産の分割が行われ、共同相続人が当該分割により取得した財産に係る課税価格が当該相続分の割合に従って計算された課税価格と異なることとなったことを理由として更正の請求を認めるものであるから、相続税法第32条第1号の事由は、未分割の遺産につき、いったん同法第55条の規定による計算で税額が確定した後、遺産の分割が行われ、その結果、既に確定した相続税額が過大になるという相続税に固有の後発的事由について規定したものであり、同法第32条第1号に規定する事由があるといえるためには、相続税の申告書提出時に未分割の相続財産があり、かつ、当該財産について相続税の申告書の提出後に分割が行われたことを要するというべきである。
7 相続税評価額
・ 坂本導聰国税庁課税部長は,平成4年4月17日の衆議院土地問題等に関する特別委員会において以下の答弁をしています。
御指摘の相続税における土地の評価に当たりましては、従来から地価公示価格との均衡を保つように努めてきたところでございますけれども、今回、地価公示価格を基準として評定するという考え方に立ちまして、従来地価公示価格の七割程度を相続税評価額としておりましたものを、平成四年分からは八割程度にまで引き上げるということをいたしました。
それからもう一つは、評価時点でございますが、相続税の場合は前年の七月一日が評価時点でございましたが、公示価格の評価時点は当年の一月一日でございますので、相続税評価時点につきましてもこの公示価格の時点に合わせて当年の一月一日にするというようなことをしております。
こういったことによりまして、土地基本法第十六条等の公的土地評価相互の均衡と適正化の要請に沿ってきたものと考えているところでございます。
8 その他
(1)ア 国税庁HPの「相続税の申告のためのチェックシート」によれば,検討項目としては,①相続財産の分割等,②不動産,③事業用財産,④有価証券,⑤現金・預貯金,⑥家庭用財産及び⑦生命保険金・退職手当金等があります。
イ 国税庁HPに資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について(平成17年3月22日付の国税庁長官の法令解釈通達)が載っています。
(2) 相続税のチェスターHPの「回収不能な貸付金債権の相続税評価」には,財産評価基本通達204(貸付金債権の評価)及び財産評価基本通達205 (貸付金債権等の元本価額の範囲)の解説が載っています。
(3) 相続税に関して申告期限後3年以内の分割見込書を提出した場合において,3年以内に遺産が分割できない場合には,「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」をその提出期限後3年を経過する日の翌日から2か月以内に相続税の申告書を提出した税務署長に対して提出する必要があります。
(4) 相続税の申告期限(被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月後)までに延納(相続税法38条)を申請する場合,税務署長が確実と認める保証人の保証(国税通則法50条6号参照)をもって担保とすることができます(国税庁HPのタックスアンサー「No.4211 相続税の延納」参照)。
(5) 「居住用財産の3000万円特別控除」は相続発生前の本人が生存中に適用できる制度であるのに対し,「居住用財産(空き家)の譲渡所得の特別控除」は相続発生後の空き家に対して適用できる制度です(司法書士・行政書士事務所リーガルエステートHPの「家族信託では相続後の空き家3000万円特別控除は使えない?空き家特例と国税庁回答の概要を解説」参照)。
(6) 以下の資料を掲載しています。
・ 大阪国税局の令和4年度資産課税事務実施要領→「第4章 申告審理・行政指導事務」を抜粋したもの
残念な仕組みですが、家族が亡くなっても「請求しないと」保険金は受け取れません。”わからないから請求できない”を防ぐために、コレが昨年7月に誕生しました。 pic.twitter.com/4oA3eVD39K
— ねこみち|毎日図解でお金を学ぶ (@Tomojidien) September 20, 2022
暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書についてhttps://t.co/XmZ1zoF7Hy pic.twitter.com/9Rgu1fr1QX
— まるちゃん🌌丸地 映亜子 (@info_mulchan) December 26, 2022
第11 在日韓国人の相続に関するメモ書き
1 総論
・ 韓国では,2008年1月1日に戸籍制度が廃止されて家族関係登録制度に移行しました(弁護士法人iの「韓国国籍の方には戸籍がない~家族関係登録制度について~」参照)。
2 家族関係証明書の取得
(1) 在日韓国人の場合,本人又はその家族の委任状なしに同人の家族関係証明書を取得することは事実上不可能みたいです(ジュリス・インターナショナル・オフィスHPの「② 韓国籍の方が亡くなった場合」参照)。
(2) 康行政書士事務所HPの「兄弟の韓国家族関係登録証明書を取るのが難しくなりました。」に以下の記載があります。
2021年4月1日からこのような例外的な運用(山中注:日本では在日韓国人の相続における必要性を考慮して、領事が特別の配慮をして例外的に兄弟の家族関係登録証明書の請求を認めていたという運用)が認められなくなり、兄弟の家族関係登録証明書の発行請求が認められないという原則を厳格に適用されることになりました。
3 電算化除籍謄本
(1) 2008年1月1日時点の戸籍の内容は,大使館領事部を含めて日本に10箇所ある総領事館が発行する電算化除籍謄本(日本でいうところの改製原戸籍みたいなものと思います。)に記載されています(韓国語戸籍翻訳.comの「韓国語翻訳 電算化除籍謄本/在日韓国人の相続手続・帰化申請用」参照)。
(2) 債権者が債務者の電算化除籍謄本から現在の住所を調べる場合,電算化除籍謄本で氏名,国籍,性別及び生年月日を確認した上で,東京入国在留管理局長に対する弁護士会照会により居住地の記載がある外国人登録原票の写しを取り寄せた上で,住民票の職務上請求をすることになると思います。
4 相続の準拠法
・ 在日韓国人の場合,相続については大韓民国の法律が適用される(法の適用に関する通則法36条)ものの,相続の準拠法として常居所地がある日本の法を遺言で指定していた場合,相続人の存否は日本の民法によって判断されると思います(大韓民国国際私法49条2項1号)。
5 相続放棄
(1) さむらい行政書士法人HPの「在日韓国人が相続放棄をするときのポイント」には「在日韓国人が亡くなった場合、相続に関する手続きには、韓国の民法が適用されることになります。ただし、日本に住んでいた場合は日本の家庭裁判所で手続きができますが、日本における相続放棄の効力が韓国内で認められるかについては争いがあります。」と書いてあります。
(2) たちばな総合法律事務所HPに「被相続人が在日韓国人である場合の相続放棄の手続、および韓国における相続抛棄の注意点」が載っています。
6 その他
(1) 相続登記.netに「在日韓国人の相続登記の必要書類」が載っています。
(2) 平成24年7月9日に外国人登録法が廃止されましたところ,出入国在留管理庁HPに「死亡した外国人に係る外国人登録原票の写しの交付請求について」が載っています。
第12 デジタルの相続手続きに関するメモ書き
1 手塚司法書士事務所HPの「自分が死んでしまったら、GmailやEvernoteはどうなる?」には「すべてを紙に書いておくのは安心感のある方法ですが、手書きという時点でだいぶハードルが高いと感じる人も、現代では多い気がします。私もその一人です。そうであれば、Evernoteやグーグルドキュメントで一覧を作成してみてはいかがでしょうか。」と書いてあります。
2(1) ラボラジアンの「【Google】アカウント無効化管理ツールの設定」には「事故や死亡といった予期しない出来事で自分の Google アカウントを使用できなくなった場合に、その Google アカウントをどのように処理するかを設定します。」と書いてあります。
(2)ア Googleアカウントにログインした状態で死亡した場合,Googleお支払いセンターの「お支払い方法を追加」において遺族名義のカードを追加してGoogle Oneの保存容量の購入を続けておけば,Gmailその他のGoogleアカウントのデータを保存できる気がします。
イ 令和5年1月における私の個人的経験では,Googleお支払いセンターの「お支払い方法を追加」において遺族名義のカードを追加することができました。
ウ 無料アカウントの場合,Google Oneの保存容量は15GBです。
3 CLOUD USER~クラウドで事業を変える改革者へ~HPの「息子を失ったある家族の出来事 亡くなった家族のApple IDやGoogleアカウントは引き継げるか」には以下の記載があります。
Microsoftアカウントも相続は非対応になる。日本マイクロソフトによると、相続を含めたユーザー死亡時の問い合わせはほとんど届いていないという。日本だけでなくアジア全体でも同様とのことだ。
このあたりはアカウントの活用拠点の違いがあるのかもしれない(スマホは端末のロックを生体認証やパスワード以外で突破するのは非常に難しいが、PCは複数の方法が残されていることが多い)。
第13 戸籍謄本等の職務上請求に関するメモ書き
1 みずほ中央法律事務所HPに「【戸籍・住民票の職務上請求書の不正な使用(弁護士の懲戒)】」が載っています。
2 参議院議員尾立源幸君提出戸籍謄抄本等の不正請求事件並びに本人通知制度に関する質問に対する答弁書には以下の記載があります。
戸籍謄本等の不正請求の防止等のために講じた措置としては、市区町村を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局(以下「管轄法務局等」という。)において、当該市区町村の戸籍事務担当者に対する研修等の際に、個人情報の保護が必要とされている情勢に鑑み、いわゆる「戸籍公開の原則」を見直し、戸籍の謄本等を請求することができる場合を制限した平成十九年の戸籍法改正の趣旨を踏まえて戸籍謄本等の交付請求を認めるか否かを厳格に審査するよう指導している。また、法務省において、日本行政書士会連合会等の関係団体(以下「関係団体」という。)に対して戸籍法施行規則(昭和二十二年司法省令第九十四号)第十一条の二第四号に定める統一請求書の適正な管理等について適宜要請し、指導内容を行政書士等に周知するよう依頼しているほか、行政書士等が紛失するなどした統一請求書に関する情報を集約した上、管轄法務局等を通じてこの情報を全国の市区町村に提供するなどしている。
お尋ねの「住民票の写し請求等の厳正な取扱」に関する関係団体に対する働きかけ等については、総務省において、関係団体に対し、制度改正などの機会を捉えて、住民基本台帳の一部の写しの閲覧及び住民票の写し等の交付に関する省令(昭和六十年自治省令第二十八号)第十一条第二号に定める、関係団体が発行した住民票の写し等の交付を申し出る書類等の適正な管理等について、適宜要請している。
お尋ねの戸籍謄本等の不正請求の「実態調査」やその「防止に向けた必要な措置」、「個人情報保護の原則を守るよう関係士業団体等に働きかける」こと及び「関係省庁と連携した偽造防止策や啓発の強化等について有効な手立てを講じるべき」ことについては、戸籍謄本等の不正請求の実態及びこれによる被害状況について、今後とも、市区町村等の関係機関と連携して情報の収集に努め、必要に応じて、この情報を全国の市区町村に提供するなどの措置を講ずるとともに、個人情報の保護の観点から、引き続き、関係団体に対し、統一請求書等の適正な管理等に更に努めるよう働きかけ、戸籍謄本等の不正請求の防止に取り組んでまいりたい。
戸籍謄本等の不正請求に係る被害の相談については、市区町村や管轄法務局等において戸籍事務に関する相談として既に対応しているところ、引き続き、このような対応を適切に講じてまいりたい。
第14 関連記事その他
1 名古屋家裁HPの「申立添付書類等一覧表(家事受付センター) 」に,別表第一審判事件(ただし,後見,保佐及び補助は除く。)及び別表第二調停事件の管轄,申立添付書類及び収入印紙が載っています(郵便切手の組み合わせについては,消費税が8%になった平成26年4月時点のもののようです。)。
2(1) 個人の観賞ないしは記念のための品として作成され,対外的な関係で意味のある証明文書として利用されることが予定されていなかった本件家系図は,行政書士法1条の2第1項にいう「事実証明に関する書類」に当たりません(最高裁平成22年12月20日判決)。
(2) 家系図の作成は,戸籍取得のための正当事由には該当しないとされています(家系図作成・先祖調査請負人HPの「戸籍の収集」参照)。
(3) 保存された男性の精子を用いて当該男性の死亡後に行われた人工生殖により女性が懐胎し出産した子と当該男性との間に,法律上の親子関係の形成は認められません(最高裁平成18年9月4日判決)。
3 民法上の配偶者は,その婚姻関係が実体を失って形骸化し,かつ,その状態が固定化して近い将来解消される見込みのない場合,すなわち,事実上の離婚状態にある場合には,中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たりません(最高裁令和3年3月25日判決)。
4 相続財産についての情報が被相続人に関するものとしてその生前に個人情報保護法2条1項にいう「個人に関する情報」に当たるものであったとしても,そのことから直ちに,当該情報が当該相続財産を取得した相続人又は受遺者に関するものとして上記「個人に関する情報」に当たるということはできません(最高裁平成31年3月18日判決)。
5(1) 法務省HPに「あなたと家族をつなぐ相続登記 ~相続登記・遺産分割を進めましょう~」が載っています。
(2) 令和3年の不動産登記法改正による相続登記の義務化(不動産登記法76条の2)は令和6年4月1日に開始するものの,3年以内に相続登記又は相続人申告登記(不動産登記法76条の3)をすれば足りるのであって,令和9年3月31日までに登記をすれば問題ありません(松谷司法書士事務所HPの「相続登記(不動産の名義変更)」参照)。
6 京都市HPの「固定資産(土地・家屋)課税台帳等閲覧」に, 土地名寄帳,家屋名寄帳,土地(補充)課税台帳,家屋(補充)課税台帳の閲覧手続の説明が載っています。
7(1) 預金者の共同相続人の一人は,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき,被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができます(最高裁平成21年1月22日判決)。
(2) 東京高裁平成23年8月3日判決(判例秘書に掲載)は,銀行が,預金契約解約後に死亡した元預金者の相続人に対し,預金契約の取引経過開示義務を負わないとした事例です。
8 一般社団法人生命保険協会が行っている生命保険契約照会制度は,生命保険契約の有無だけを回答してくれる制度です(生命保険協会HPの「生命保険契約照会制度のご案内」参照)。
9 旬刊商事法務2306号及び2307号に「令和3年民法改正が株式の準共有に与える影響」が載っています。
10 贈与を受けたと主張されている目的物を受贈者に引き渡すことは,特段の事情のない限り,贈与契約の履行として行われたものと解される(最高裁平成21年7月15日判決(判例時報2082号20頁及び21頁))結果,書面によらない贈与契約であっても解除することができなくなります(民法550条ただし書)。
11 事業における売掛金,他人に貸した現金,不動産の賃料による収益及び損害賠償請求権は原則として可分債権となります(相続税のチェスターHPの「可分債権とは相続割合に応じて分割できる債権-可分不可分の具体例も紹介」参照)。
12(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 相続による納税義務の承継マニュアル(令和3年7月の大阪国税局徴収部徴収課の文書)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 家事事件に関する審判書・判決書記載例集(最高裁判所が作成したもの)
・ 離婚時の財産分与と税金に関するメモ書き
・ 相続財産管理人,不在者財産管理人及び代位による相続登記
・ 公正証書遺言の口授
・ 大阪家裁後見センターだより
・ 訴訟能力,訴状等の受送達者,審判前の保全処分及び特別代理人
・ 裁判所関係国賠事件
・ 後見人等不正事例についての実情調査結果(平成23年分以降)
・ 平成17年以降の,成年後見関係事件の概況(家裁管内別件数)
路線図風の親等図👨👩👧 pic.twitter.com/CB5JZUrUqq
— みっけ (@q_micke) December 17, 2021
意外に知られていなかったので徒然。
親などが亡くなったら
法務局で「法定相続情報一覧図」を作ったら
戸籍とか基本いりません。これ1枚で銀行口座解約、不動産登記手続き、
各種役所・年金の手続き、自動車引き取り
など戸籍代わりに使える便利書類です(続く1 pic.twitter.com/hpvPXQiUsJ— 石武丈嗣(10月ついに会社清算完了!あとは税金払うのみじゃー!しかし赤字1000万越え!) (@_596_) October 25, 2022
【主に士業向け】
早いもので令和3年の民法改正が今年4月に施行されます!主な改正項目を整理してみたので、確認漏れがないか、仕事始めまでにチェックしてみてください!
「?」がある方は法務省の説明資料をご確認ください。https://t.co/jUzegrsdCT pic.twitter.com/zuvyhPL3Jh
— 弁護士 荒井達也 (@AraiLawoffice) January 3, 2023
残念な仕組みですが、家族が亡くなっても「請求しないと」保険金は受け取れません。”わからないから請求できない”を防ぐために、コレが一昨年の7月に誕生しました。 pic.twitter.com/QjBhvRnptK
— ねこみち|毎日図解でお金を学ぶ (@Tomojidien) March 7, 2023