谷口園恵裁判官(41期)の経歴


生年月日 S37.12.21
出身大学 一橋大
定年退官発令予定日 R9.12.21
R5.4.28 ~ 東京高裁2民部総括
R3.10.8 ~ R5.4.27 和歌山地家裁所長
R3.1.11 ~ R3.10.7 横浜地家裁川崎支部長
H31.4.1 ~ R3.1.10 東京高裁21民判事
H26.3.1 ~ H31.3.31 東京地裁6民部総括
H22.4.1 ~ H26.2.28 最高裁民事調査官
H19.4.1 ~ H22.3.31 京都地家裁判事
H15.8.1 ~ H19.3.31 東京地裁21民判事
H13.5.10 ~ H15.7.31 法務省人権擁護局付
H12.4.1 ~ H13.5.9 法務省民事局付
H12.3.25 ~ H12.3.31 東京地裁判事
H11.4.11 ~ H12.3.24 神戸地裁判事
H9.4.1 ~ H11.4.10 神戸地裁判事補
H6.7.1 ~ H9.3.31 福岡地家裁判事補
H4.6.15 ~ H6.6.30 最高裁民事局付
H1.4.11 ~ H4.6.14 東京地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 高裁の部総括判事の位置付け
 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
 最高裁判所調査官
・ 最高裁判所判例解説
 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
 判事補の外部経験の概要
・ 判検交流に関する内閣等の答弁
 行政機関等への出向裁判官
*2の1 東京地裁平成28年1月15日判決(判例秘書に掲載。裁判長は41期の谷口園恵裁判官)は以下の判示をしています。
    共有物について,遺産分割前の遺産共有の状態にある共有持分(以下「遺産共有持分」といい,これを有する者を「遺産共有持分権者」という。)と他の共有持分とが併存する場合,共有者が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり,共有物分割の判決によって遺産共有持分権者に分与された財産は遺産分割の対象となり,この財産の共有関係の解消については同法907条に基づく遺産分割によるべきものと解するのが相当である(最高裁昭和50年11月7日第二小法廷判決・民集29巻10号1525頁,前掲最高裁平成25年11月29日第二小法廷判決参照)。
    そうすると,遺産共有持分と他の共有持分とが併存する共有物について,競売による分割の判決がされた場合には,執行裁判所から共有者らに交付される売却代金のうち遺産共有持分の換価分については,遺産分割によりその帰属が確定されるべきものであるから,その交付を受けた共有者は,これをその時点で確定的に取得するものではなく,遺産分割がされるまでの間これを保管する義務を負うというべきである。そして,民法258条に基づく共有物分割訴訟は,その本質において非訟事件であって,法は,裁判所の適切な裁量権の行使により,共有者間の公平を保ちつつ,当該共有物の性質や共有状態の実情に適合した妥当な分割が実現されることを期したものと考えられることに照らすと,裁判所は,遺産共有持分と他の共有持分とが併存する共有物について,競売による分割の判決をする場合には,その判決において,各遺産共有持分権者において遺産分割がされるまで保管すべき売却代金の範囲を定めた上で,各遺産共有持分権者にその保管すべき範囲に応じた額の売却代金を交付するものとすることができると解するのが相当である(前掲最高裁平成25年11月29日第二小法廷判決参照)。
*2の2 41期の谷口園恵裁判官は,最高裁平成25年11月29日判決に関する最高裁判所判例解説の執筆者です。
*2の3 令和3年の民法改正において,最高裁平成25年11月29日第二小法廷判決に基づく取扱いが民法258条の2第1項によって明文化されました。


*3の1 東京地裁令和4年3月23日判決(裁判長は51期の五十嵐章裕)は,昭和34年から昭和59年にかけて,在日韓国・朝鮮人やその日本人妻ら9万3千人以上を北朝鮮に移住させた「帰還事業」で過酷な生活を強いられたとして,脱北者ら4人が同国に各1億円の損害賠償を求めた訴訟において,対外国民事裁判権法2条1号にいう『国』には北朝鮮のような未承認国を含まないとし,脱北者側が主張した北朝鮮による「継続的不法行為」を認めたものの,除斥期間の経過を理由に請求を棄却しました。
    東京高裁令和5年10月30日判決(裁判長は41期の谷口園恵)は東京地裁令和4年3月23日判決を取り消し,審理を東京地裁に差し戻しました(NHK HPの「北朝鮮帰還事業裁判「苦しみは今も続いている」」,及び産経新聞HPの「北朝鮮帰還事業は「継続的不法行為」 日本の管轄権認め審理差し戻し 東京高裁」参照)。
*3の2 一般に,我が国について既に効力が生じている多数国間条約に未承認国が事後に加入した場合,当該条約に基づき締約国が負担する義務が普遍的価値を有する一般国際法上の義務であるときなどは格別,未承認国の加入により未承認国との間に当該条約上の権利義務関係が直ちに生ずると解することはできず,我が国は,当該未承認国との間における当該条約に基づく権利義務関係を発生させるか否かを選択することができます(最高裁平成23年12月8日判決のほか,朝日新聞HPの「北朝鮮映画の著作権、日本では「保護義務なし」 最高裁」参照)。
*3の3 優生保護法に関する最高裁大法廷令和6年7月3日判決は以下の判示をしています。
    裁判所が除斥期間の経過により上記請求権が消滅したと判断するには当事者の主張がなければならないと解すべきであり、上記請求権が除斥期間の経過により消滅したものとすることが著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には、裁判所は、除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができると解するのが相当である。これと異なる趣旨をいう平成元年判決(山中注:最高裁平成元年12月21日判決)その他の当裁判所の判例は、いずれも変更すべきである。


*4 東京高裁令和6年10月30日判決(判決要旨)(裁判長は41期の谷口園恵)は,同性同士の結婚を認めない民法と戸籍法の規定は憲法違反だとして,同性カップルの当事者7人が国に合計700万円の損害賠償を求めた訴訟において,規定は「個人の尊厳」を定める憲法24条2項などに反して「違憲」と判断したものの,賠償請求は退けました(産経新聞HPの「同性婚認めぬ規定、東京高裁も「違憲」 国の賠償責任は認めず」参照)。


広告
スポンサーリンク