犯歴事務解説(法務総合研究所の,平成30年3月5日発行の五訂版)102頁ないし103頁には,「第3 身上照会(規程第14条)」として以下の記載があります(規程とあるのは,犯歴事務規程(昭和59年4月26日付の法務大臣訓令)のことです。)。
1 検察官又は検察事務官が,市区町村長に対し,身分関係の照会を書面でする場合には,身上調査照会書により行う。
2 身上調査照会書には, 「戸籍筆頭者氏名」の不動文字が印刷されているので,戸籍筆頭者が判明しているときは,その氏名を当該箇所に必ず記載する必要がある。市区町村においては, この照会を受けた場合,戸籍筆頭者の氏名により戸籍簿を調査するからである。また,照会庁の所在地.郵便番号も必ず記載する。
3 回答書の本籍欄が,「現」,「旧」の2欄になっているのは,本籍地方検察庁においては転籍の事実を知らない場合が多いので,転籍している場合,新本籍地を管轄する地方検察庁に前科照会をしても,前科なし, あるいは転籍後の前科のみが回答されるおそれがある。このような場合に,旧本籍が分かっていれば,再度旧本籍地を管轄する地方検察庁に照会することが可能だからである(なお,この場合,旧本籍地を管轄する地方検察庁から前科がある旨回答があったときは, 同地方検察庁に対し,規程第11条第1項に規定する通報を要する。)。
4 身上調査照会書による回答事項は,本籍氏名,生年月日を始めとして数多くの事項にわたっているので,市区町村の事務の軽減を図るため, 「破産の有無」欄以外の各欄の記入を省略し, これに代えて「戸籍簿及び住民登録の通知に基づく家族」欄に「別紙戸籍及び戸籍の附票の写しのとおり」と記載し,認証文を省略した当該戸籍謄本及び戸籍の附票の写しを添付する取扱いとされている(注1)。
また,身分関係の照会をする場合,家族関係を照会する必要がないものについては,身上調査照会書の「家族」欄を削除した上で照会することとされている(注2)。
(注1)昭44.5.20刑事(総)405号刑事局総務課長通達「身上調査照会書(犯歴事務規程様式20号)回答欄の取扱いについて」
(注2)昭49.5.1刑総265号刑事局総務課長通達「市区町村長に対する身上関係の照会事項について」
* 身上調査照会書及び回答書の様式は以下のとおりです。