保釈保証金の没取

Pocket

1 保釈保証金の没取
(1) 被告人が逃亡したり,罪証隠滅を図ったり,保釈条件に違反したりした場合,裁判所は保釈を取り消したり(刑訴法96条1項),保釈保証金の全部又は一部を没収したりできます(刑訴法96条2項)。
(2) 保釈保証金の「没収」は,刑訴法96条2項の「没取」のことです。

2 保釈保証金の没取金額の推移
(1) 保釈保証金の没取金額の推移は以下のとおりです。
平成29年度:1億9120万円
平成28年度:1億1370万円
平成27年度:1億2055万円
平成26年度:  8120万円
平成25年度:  7580万円
(2) 元データは以下のとおりです。
・ 令和元年6月14日付の開示文書
→ 平成25年度から平成29年度までの金額が載っています。
・ 各庁ごとの保釈保証金の没取金(平成29年度分)
・ 各庁ごとの保釈保証金の没取金(平成28年度分)
・ 各庁ごとの保釈保証金の没取金(平成27年度分)
(3) 日本保釈支援協会HP「保釈に関する数値データ」が載っています。

3 被告人の保釈に関する統計
・ 勾留された被告人の保釈の取消しに関する統計(平成30年分)
・ 被告人の保釈に関する人員数-全裁判所及び裁判所種別(平成14年~平成30年)

4 出国確認の留保,及び国外逃亡被疑者等の追跡
(1) 外国人が国外に出国する場合,入国審査官から出国の確認を受けなければならず,出国の確認を受けなければ出国できません(入管法25条)。
(2)ア 長期3年以上の罪で訴追されていたり,勾留状等が発せられたりしている場合,24時間以内で出国確認を留保されます(入管法25条の2)。
イ 外国人被告人の出国確認留保の通知に係る事務の取扱いについて(平成12年8月28日付の最高裁判所刑事局長,家庭局長通達)を掲載しています。
(3)ア 41期の島田一 東京地裁14刑部総括は,平成31年3月5日,保釈金10億円でカルロス・ゴーンの保釈を許可し,同年4月25日,保釈金5億円で被告人カルロス・ゴーンの保釈を再び許可しました(外部HPの「保釈をめぐる事件経過一覧」参照)。
イ カルロス・ゴーンは,保釈条件に違反して国籍国であるレバノンに出国していたことが令和元年12月31日に発覚しました。
   そのため,同日付で15億円の保釈保証金が没取されました。
ウ カルロス・ゴーンの国外出国に対する高野隆弁護士のコメントが,同人のブログの「彼が見たもの」(2020年1月4日付)に載っています。
(4) igaki.workブログ「カルロス・ゴーン氏が逃げた理由、日本の刑事司法の10個の闇。」(2020年1月5日付)が載っています。
(5) 令和元年警察白書の「第2部 本編」→「第4章 組織犯罪対策」→「第3節 来日外国人犯罪対策」→「第3項 国際組織犯罪に対処するための取組」には,「国外逃亡被疑者等の追跡」として以下の記載があります。
   国外逃亡被疑者等の数の推移は、図表4-18のとおりである。
   警察では、被疑者が国外に逃亡するおそれがある場合には、出入国在留管理庁に手配するなどして、出国前の検挙に努めている。また、被疑者が国外に逃亡した場合には、関係国の捜査機関との捜査協力を通じ、被疑者の所在確認等を行っており、所在が確認された場合には、犯罪人引渡条約(注2)等に基づき被疑者の引渡しを受けるなどして、確実な検挙に努めている。
   このような取組の結果、平成30年中は、出国直前の外国人被疑者17人のほか、国外逃亡被疑者113人(うち外国人64人)を検挙した。
   このほか、事案に応じ、国外逃亡被疑者等が日本国内で行った犯罪に関する資料等を逃亡先国の捜査機関に提供するなどして、逃亡先国における国外犯処罰規定の適用を促し、犯罪者の「逃げ得」を許さないための取組を進めている。

5 保釈者等の視察に関する犯罪捜査規範の条文
第十七章 保釈者等の視察
(保釈者等の視察)
第二百五十三条 警察署長は、検察官から、その管轄区域内に居住する者について、保釈し、又は勾留の執行を停止した者の通知を受けたときは、その者に係る事件の捜査に従事した警察官その他適当な警察官を指定して、その行動を視察させなければならない。
2 前項に規定する視察は、一月につき、少なくとも一回行うものとする。
(事故通知)
第二百五十四条 前条に規定する視察に当たり、その者について次の各号の一に該当する理由があるときは、これを前条に規定する通知をした検察官に速やかに通知しなければならない。
一 逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
二 罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
四 住居、旅行、治療等に関する制限その他保釈又は勾留の執行停止について裁判所又は裁判官の定めた条件に違反したとき。
五 その他特に検察官に通知する必要があると認められる理由があるとき。
(視察上の注意)
第二百五十五条 第二百五十三条(保釈者等の視察)に規定する視察は、穏当適切な方法により行うものとし、視察中の者又はその家族の名誉及び信用を不当に害することのないように注意しなければならない。
(視察簿)
第二百五十六条 第二百五十三条(保釈者等の視察)に規定する視察を行つたときは、視察簿(別記様式第二十四号)により、これを明らかにしておかなければならない。

スポンサーリンク