目次
第1 恩赦制度審議会の最終意見書及び勧告書(昭和23年6月30日付)
第2 関連記事その他
第1 恩赦制度審議会の最終意見書及び勧告書(昭和23年6月30日付)
・ 昭和43年発行の逐条恩赦法釈義(改訂三版)124頁ないし136頁に掲載されている,恩赦制度審議会の最終意見書及び勧告書(昭和23年6月30日付)は以下のとおりです(国立公文書館デジタルアーカイブの「芦田内閣閣議書類(その8)昭和23年6月25日~昭和23年7月12日」でPDFデータをダウンロードできますし,昭和23年7月9日付の閣議書もダウンロードできます。)。
最終意見書
第一 総括的意見
恩赦は、司法作用に関し行政権に留保された極めて重要な権限であって、新潅法下の今日においてもその重要性はいささかも減ずるものではなく、むしろその刑事政策的意義に鑑みるときは、一層活溌な運用が期待されなければならぬ。しかるに、従来の恩赦の実績を見るのに、天皇の大権事項とせられていた関係もあって、その運用は甚だしく制限的であり、またその内容において恩恵的な色彩が濃厚であって、必ずしも合理的な趣旨において十分に行われたとはいい難い。もとより恩赦は沿革的には君主の恩恵をその出発点としていると考えられるが、今日においてこれを見れば、法の画一性に基く具体的不妥当の矯正、事情の変更による裁判の事後変更、他の方法を以てしては救い得ない誤判の救済、有罪の言渡を受けた者の事後の行状等に基くいわゆる刑事政策的な裁判の変更もしくは資格回復などその合理的な面がむしろ重視せられるべきであり、今後の恩赦は、その権限が内閣に属することになったのを機会に、これらの面を中心として刑事司法の機能を一層完全ならしめる方向に活溌に運営せられなければならないと信ずる。そのためには、恩赦の審査が従来の形式的なものより、より実質的なものに進まねばならぬことは当然であると同時に、これを受ける者に遺漏なからしめるため、あらゆる該当者にその審査を受ける十分な機会を与えるような考慮が払われることを特に必要とする。のみならず、一般的恩赦、個別的恩赦を通じて、それが従来のごとく政府部内の手のみによって決定されるということも、事の重要性に鑑み、適当を欠くであろう。恩赦は憲法上内閣の責任において行わるべきものであるけれどもそれに民意を反映せしることは民主主義の原理からいって正当であり、且つ、必要であると考える。
また、それによって他面恩赦権濫用の弊を防止されると信ずるのである。
第二 恩赦法及び昭和二十二年司法省令第七十八号恩赦法施行規則に関する事項
一 恩赦の種類、効果等について
恩赦の種類が大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の五であることは憲法第七条及び第七十三条の明定するところであるし、そのそれぞれの内容も、恩赦法の規定するところで大体適当であると考えるが、なお次の諸点について立法上考慮の必要があると思う。
1 条件附の恩赦
恩赦の効力を一定の条件にかからせること、たとえば一定期間内における本人の善行を待って確定的に恩赦の効果を発生せしめるというごとき方法は、場合によっては恩赦を一層有効ならしめるものとして適切であると考えられる。しかし、現行法上かような条件附の恩赦を行い得るかどうかは解釈上やや疑義があるので、この際法にその点につき明文を設けることが望ましい。
2 刑の執行猶予期間を短縮する減刑
現行恩赦法によれば、刑の執行猶予期間の短縮は、刑の減軽と併せて行うことができるにすぎない。しかし、刑の執行猶予の言渡を受けた者に対しては、その後の情況に照し、当初定められた猶予の期間のみを短縮するのを適当とする場合が十分考えられるので、減刑の一態様としてこれを認めるのを相当とする。
3 刑の執行猶予中の者に対する復権
刑の執行猶予の言渡を受けた者は一応諸種の資格を喪失するわけであるが、事情によっては、執行猶予中の者といえども資格を回復せしめることがかえって制度本来の目的を達するのに有効であることが少くない(改正刑法仮案第百ニ条参照)。従来復権は刑の執行を終り又はその執行の免除を得た者以外については行われなかったけれども、執行猶予中の者にもこれを行い得るようすべきものと思う。
(附帯意見)
なお、これは恩赦法の問題ではないが、今日犯罪人名簿の制度は必ずしも法的に完備しているとはいえず、その結果、恩赦により復権し又は刑の言渡が効力を失った場合においても、その登録の除去、前科公表の禁止等に関して恩赦の事実上の効果を完全たらしめる方法が不十分な実情にある。よって恩赦制度の改正と関連し、この点については再検討を加え、適切な方策を講ずる必要があると考える。
二 恩赦運用の方針について
1 一般恩赦(政令による恩赦)の運用方針
従来は皇室の慶弔時などに際してこの種の恩赦の行われることが多く、今後といえども国家の慶事に当りよろこびをわかつ意味で一般的恩赦が行われることはなんら差支ないと思うのであるが、それ以上に、たとえば社会事情の変化、法令の改廃等のあった場合に衡平の精神に基いて、さらにはまた刑事政策的観点より従前の裁判の効果を変更するような合理的な一般的恩赦が今後活溌に行われ、政令による恩赦の中心をなすように運用されることを期待する。
2 個別的恩赦の運用方針
個別的恩赦も、従前は極めて狭い範囲で行われたにすぎず、ことに平素に、刑の執行終了後相当期間を経た者に対する復権が考慮された程度であった。しかし、今後においては、個別的恩赦は全面的に広く運用せらるべきものであって、一般的恩赦の行われた場合にこれに洩れたものを個別的に拾う任務はもとよりとして、それ以外に、刑の執行を終った者に対する資格回復、前科抹消的意味のものは勿論、受刑中の者、仮釈放中の者などに対しても、その事後の行状等を参酌して、あるいは刑期を短縮し、あるいは刑の執行を免除するなど刑事政策的見地よりする恩赦が十分に行わるべきであり、またかような刑事政策的意味のものが個別的恩赦の主たる地位を占めるべきものであると信ずる。而して、この場合においては、あらかじめ一定の基準を設け、これによって審査の公平を期するような方法をとることが望ましい。
三 恩赦の手続について
恩赦の手続については、職権申出の手続と本人の出願による手続とが考えられるので、項を分けてこれを検討したい。
1 職権申出の手続
イ 職権申出の機関
現行制度によれば、有罪の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官又は受刑者の在監する監獄の長のみが職権申出の権限を有しているのであるが、近く国会に提出を予想される犯罪者予防更生法案によれば、仮釈放中の者又は刑の執行猶予中の者等については、地方少年犯罪者予防更生委員会及び地方成人犯罪者予防更生委員会が観察官又ば保護委員をして観察又は保護の措置を行わぜることになっていて、これらの者については、直接その観察又は援護の措置に当っている観察官が最もよく本人の性質、行状、生活状態等に通じていると思われるので、職権申出機関ば次の通りとするのを可とする。
(一) 在監者については受刑者の在監する監獄の長。
(二) 仮釈放中又は刑の執行猶予中の者で観察又は援護中のものについては、その観察又は援護に当っている地方少年犯罪者予防更生委員会の少年保護事務局の地区事務所又は地方成人犯罪者予防更生委員会の成人保護事務局の地区事務所に所属する観察官の先任者。
(三) 罰金若しくは科料の刑に処せられた者、刑の執行停止中の者、刑の執行の免除を受けた者又は懲役若しくは禁この刑の執行を受け終った者で援護中のものについては、その援護に当る前記観察官の専任者
(四) 前記各項に属しない有罪の言渡を受けた者については、有罪の言渡を受けた裁判所に対応する検察庁の検察官。
(五) なお、各誤判の救済、法令の改廃等を理由とする恩赦については、検察官がその申出をするに適当であることが多いから、前記のごとく監獄の長又は観察官の先任者が職権申出権を有する場合においても、有罪の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官は別個にその者につき職権申出権を有するものとしたい。
ロ 職権申出をするについての必要な調査を行う機関
恩赦の申出をするについてば、その審査に必要な事項を調査し、その資料を添附することになっているが、これらの調査を行う第一次的責任者は当然職権申出をする機関でなければならない。その調査で不十分なときにば、右の申出の経由する機関がそれぞれ独自に調査し、又は職権申出をした機関に再調査を委嘱するものとする。なお、この点に関し、当該機関は公務所に対し必要な調査、報告を求めることができる旨の法的根拠を明らかにすることが適当であろう。
ハ 職権申出の経由機関
現行制度によれば、恩赦の申出は、検察官以外の者がこれをする場合において必ず有罪の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官を経由することになっている。これは、検察官が原裁判に関与してその内容をよく知っていることと、裁判の執行を指揮監督し、又公益の代表者として法の正当な適用を請求しその他法令上諸種の権限をもっている立場とに鑑み、当該恩赦に対する意見を附せしめることを適当としたものであって、その点は観察官が恩赦の申出をする場合にも同様でなければならないと思う。これに反し、検察官自らが申出をする場合には、その調査に際して監獄の長又は観察官の意見は自ずから反映するわけでもあるし、手続を簡明ならしめる意味においても、改めてこれらの機関を経由せしめることは適当でないと考える。
ニ 恩赦の申出又はその審査に当り裁判官の意見を聞くことの可否
有罪の言渡をした裁判所の意見を聞くことは、実際上は当該裁判官の転退職により形式的なものに流れ易いのみならず、裁判官が行政権の作用たる恩赦に関与することはその性質上もともと疑義があるから、むしろ避けるのがよいと考える。
2 出願による恩赦申出の手続
イ 出願条件について
恩赦の出願を認める現行制度は広く恩赦の機会を与える意味で最も好ましい制度である。その意味においては、出願条件はなるべくゆるやかであることが望ましいとも考えられる。しかし、期間に関する出願条件をこの際全面的に撤廃することは、かえって出願権濫用の弊を生ずる虞も考えられるので、さし当っては現行の恩赦の出願期間を今少しく短縮することを考慮すると共に右の期間に達しない者でも恩赦の出願をするについて相当の理由があると思われる者については期間短縮許可の制度を活用し、その実際の運用を完からしむくきものと思う。
ロ 出願権者について
現在は恩赦の出願は有罪の言渡を受けた本人で今なければこれを行うことができないことになつているのであるが、受刑者の場合等を考えると、一定範囲の親族等にも出願権を認めることが恩赦の機会を広くする趣旨からも望ましいと思われる。
ハ 出願の名宛機関について
恩赦法施行規則によれば、恩赦の出願は有罪の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官又は受刑者の在監する監獄の長に対してこれを行い、右の検察官又は監獄の長は必ずこれに意見を附して法務総裁に恩赦の申出をすることとなっているのであるが、今これを変更して出願権者に直接法務総裁宛の恩赦申出権を与えることは、諸種の調査を行う上からいっても適当でなく、現行制度をむしろ勝れりとしなければならぬ。よって出願は、その出願者につき職権で恩赦の申出をする権限のある機関に対してなさるべきである。
ニ 出願のあった場合の調査機関、経由機関
出願は右のようにその出願者につき職権で恩赦の申出をする権限のある機関に対してこれを行うのであるから、必要事項の調査も右の機関が行うべきである。而して、右の出願に基く恩赦申出の経由機関については、職権申出の場合に準ずるものとする。
3 恩赦申出に当り添附すべき調査資料について
現在恩赦申出に当り添附を要する資料は判決謄本又は抄本、戸籍謄本又は抄本、刑期計算書及び犯罪の情状、本人の性行、受刑中の行状、将来の生計その他参考となるべき事項に関する調査書類等であるが、本人の行状、性質、将来の生計見込等は一片の調査書のみによって僅かにこれをうかがい知る実情であつて、到底完全なものとは言い難い。この種の調査資料は恩赦の審査に当り最も重要なものであるから、できるだけ豊富、詳細であることが望ましく、かつ必要に応じて、行刑、観察若しく援護に関する資料等を参照するよう考慮する必要がある。
4 恩赦審議機関
恩赦の決定は専ら内閣の職権に属するのであるが、総括的意見中にも述べたごとく、その決定に当って内閣部外の意見を斜酌する機会がないということは今日適当でない。よって、一般的、個別的恩赦を通じ、その決定に民意と専門的意見とを反映せしめるため、次のような機関を設置する必要があると考える。
イ 恩赦審議会(仮称)
内閣に諮問機関として恩赦審議会(仮称)を置く。委員は国務大臣級の者を以てこれに充てる。なお、委員に委員補佐を附するものとする。
審議会は次の事項につき進んで内閣に勧告し、又は内閣の諮問に対し答申するものとする。
(一) 政令による恩赦に関する事項、たとえば政令による恩赦を行うべきか否か、またその内容など。
(二) 個別的恩赦の運用能率に関する事項
ロ 恩赦審査会(仮称)
法務総裁の諮問機関として法務庁に恩赦審査会(仮称)を置く。委員は内閣の恩赦審議会の委員補佐を以てこれに充て、審議会との人的つながりを保たせる。
法務総裁は、個別的恩赦の決定を内閣に求めるに当り、あらかじめ審査会に諮問するものとし、審査会は恩赦審議会の定める運用基準に従い、その可否を審査して、意見を答申する。審査会は、必要があるときは、自ら所要の調査をし、又は他の機関に調査を委嘱することができる。
第三 恩赦法及び昭和二十二年司法省令第七十八号恩赦法施行規則と仮釈放及び受刑者の分類、作業の賦課、累進処遇その他仮釈放に関係のある監獄法中の諸制度との関係に関する事項
沿革的には、恩赦は主権者の仁慈であると考えられたのに反し、仮釈放の制度は近代的な純然たる刑事政策的制度として発足した。しかし、前述のように恩赦が合理的刑事政策的な色彩を強く帯びてくることとなると、在監者に対する個別的恩赦と仮釈放とは非常に接近して来る。すなわち、在監者に対するこの種の恩赦は、その刑執行中の行状、将来の生計見込等を考慮し、あるいは刑期を減じ、あるいはその執行を免除する方法によって行われ、場合によっては刑の言渡の効力を失わしめることすら考えへられるのであるが、その際審査の資料となる事項は、仮釈放を決定する場合のそれとほとんど異るところがない。のみならず、受刑者に対してさきに述べた条件附の恩赦が恩赦法上新たな形として考えられることとなれば、それは、実質において仮釈放と極めて近似する制度となることは明らかである。ここに恩赦と累進処遇、受刑者の分類、作業の賦課その他仮釈放に関係のある監獄法中の諸制度との密接な関連が生ずる。たとえば、上級の処遇を受けている者について主として仮釈放が行われるように、恩赦についてもまたその者の累進処遇の段階の如何が重要な意味を持つであろうし、初犯者たりや累犯者なりやの分類がその際考慮せらるべきととも当然であり、また賦課された作業の種類成績も、その者の将来の生計の問題を考える上において無視することの出来ぬ点だといわなければならない。受刑者に対する恩赦法及びその施行規則の適用に当っては、これらの諸制度との深い関係が常に考慮されなければならないのである。
ただ、ここで、受刑者に対する恩赦と仮釈放との相違点を指摘しておく必要があろう。以上述べたごとく、この両者は極めて接近した性質をもつものではあるが、しかし、恩赦はあくまで仮釈放の足らざるところを補充する関係にあるべきであって、仮釈放の条件を具える者についてはやはりまず仮釈放が行われるのを本則とし、かような法定の条件を具備するに至らない者、また仮釈放期間を所定より短縮する必要のある者などについてはじめて恩赦がその機能を発揮するところにその意義があると考える。この両者のそれぞれの任務を混同することは、かえって無用の混乱を生ずる以外の何ものでもないのである。
第四 恩赦法及び昭和二十二年司法省令第七十八号恩赦法施行規則と受刑者の釈放の申請に関する書類作成(官庁における受刑者の釈放に関する記録作成を含む)との関係に関する事項
現在恩赦法施行規則により恩赦申出に際し添附している調査資料は、前述のように審査資料としては甚だ不十分であるといわなければならないが、在監者については、その受刑中の行状その他を身分帳簿等に記入することとなっており、現在仮釈放の具申に使用されている書類は、本人の犯罪関係、身上関係、保護関係を表わす書類であって、行刑成績その他が詳細に記録されていることに鑑みても、在監者に対する恩赦の申出又は審査には、適宜この種の行刑資料を利用することが、仮釈放と恩赦との密接な関連性から見ても適当であり且つ必要であると考える。なお、観察又は援護中の者に関しても、今後この種の調査書類の作成が予想されるので、これらの者については、かような調査書類を参照することが同様の理由によって望ましい。
勧告書
本審議会は、恩赦制度一般に関し、次のように勧告する。
第一 恩赦法及び昭和二十二年司法省令第七十八号恩赦法施行規則に関する事項
一 恩赦の種類、効果等について
1 恩赦法中に条件附の恩赦を行うことができる旨の明文を設けること。
2 刑の執行猶予の期間のみを短縮する減刑を認めること。
3 刑の執行猶予中の者に対しても復権を行うことができるようにすること。
二 恩赦運用の方針について
1 一般的恩赦(政令による恩赦)の運用方針
社会事情の変化、法令の改廃等を理由とする合理的な一般的恩赦若しくは刑事政策的観点に基く一般的恩赦に重点が置かるべきこと。
2 個別的恩赦の運用方針
個別的恩赦を全面的に広く活用すること。例えば刑の執行終了者に対する復権特赦はもとより、受刑中の者、仮釈放中の者に対しても、その事後の行状等を参酌し、刑事政策的観点より恩赦を行うこと。なお、個別的恩赦を行うに当っては、あらかじめ一定の基準を設け、これによって審査の公平を期すること。
三 恩赦の手続について
1 職権申出の手続
仮釈放中の者、刑の執行猶予中の者、刑の執行停止中の者、刑の執行を終り又はその免除を受けた者等で、観察官の観察又は援護の対象とされるものについては、観察官にも職権申出権を与え、有罪の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官を経由して恩赦の申出をさせること。なお、検察官には、他の機関が職権申出権を有する場合にも、独自の職権申出権を与えること。
2 出願による恩赦申出の手続
イ 出願権者
一定範囲の親族にも出願権を与えることを考慮すること。
ロ 出願の条件
現行の恩赦の出願期間をいま少しく短縮すると共に、恩赦の出願をするについて相当の理由があると思われる者については期間短縮許可の制度を活用すること。
3 恩赦審議機関
恩赦に民意と専門的意見とを反映せしめるため、次のような機関を設置すること。
イ 恩赦審議会(仮称)
内閣の諮問機関としてこれを置く。委員は国務大臣級の者を以てこれに充て、委員には委員補佐を附することとする。
審議会は政令による恩赦に関する事項、個別的恩赦の運用基準に関する事項及び恩赦制度一殻に関する事項につき進んで内閣に勧告し、又は内閣の諮問に対し答申する。
ロ 恩赦審査会(仮称)
法務総裁の諮問機関として法務庁にこれを置く。委員は内閣の恩赦審議会の委員補佐を以てこれに充てる。法務総裁は、個別的恩赦の決定を内閣に求めるに当り、あらかじめ審査会に諮問するものとする。
第二 恩赦法及び昭和二十二年司法省令第七十八号恩赦法施行規則と仮釈放及び受刑者の分類、作業の賦課、累進処遇その他仮釈放に関係のある監獄法中の諸制度との関係に関する事項
受刑者に対する個別的恩赦の運用に当っては、この種の恩赦等に条件附恩赦と仮釈放との密接な関連性に鑑み、累進処遇の段階、初犯者なりや累犯者なりやの分頬、作業の種類及び作業能力等を常に十分考慮すること。なお、この種の恩赦は、仮釈放制度に対して、その足らざるところを補充する関係に立つものであることに留意すること
第三 恩赦法及び昭和二十二年司法省令第七十八号恩赦法施行規則と受刑者の釈放の申請に関する書類作成(官庁における受刑者の釈放に関する記録作成を含む)との関係に関する事項
仮釈放の具申に当りその審査資料として利用されている行刑資料は、恩赦の審査に際しても十分に利用せらるべきこと。なお、観察若しくは援護中の者についても、同様の資料の活用を考慮すること。
第2 関連記事その他
1 恩赦審査会に相当するものとして,中央更生保護審査会が設置されました。
2 法務庁は昭和24年6月1日に法務府となり,昭和27年8月1日に法務省となりました。
3 結果として,①条件付きの恩赦,②刑の執行猶予の期間のみを短縮する減刑及び③刑の執行猶予中の者に対する復権,並びに④恩赦審議会の設置に関する法改正は実施されませんでした。
4 令和2年11月17日付の答申書(平成31年2月22日以降,法務省が首相官邸との間で実施した恩赦に関する検討会の資料)を掲載しています。
5 以下の記事も参照してください。
・ 恩赦制度の存在理由
・ 恩赦の手続
・ 恩赦申請時に作成される調査書
・ 恩赦の効果
・ 前科抹消があった場合の取扱い
特別基準恩赦の結果について(令和2年12月18日閣議後の報道解禁文書)を添付しています。 pic.twitter.com/FCYnDqQ3nL
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) March 6, 2021