「平成31年度首席家庭裁判所調査官事務打合せにおける協議の結果について」
は以下のとおりです(見出しを太字にしたり,第1,第2及び第3の間に改行を追加したりしました。)。
平成31年度首席家庭裁判所調査官事務打合せにおける協議の結果について
最高裁判所事務総局家庭局
本事務打合せにおいて協議された内容の要点は,以下のとおりである。
第1 家庭局関係
1 家庭裁判所調査官の役割・機能を明確にするとともに確実に実践するために検討すべき事項
(1) 家庭裁判所調査官(以下「家裁調査官」という。)の役割・機能の内容を具体化してより明確にするとともに,職種間における認識の共有を進め,それを確実に実践していくために,高等裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の首席家庭裁判所調査官(以下「所在地首席家裁調査官」という。) として検討すべき事項について協議した。
(2) 協議においては,紛争や問題の実相を捉えて最も適切な解決を図るという家庭裁判所の役割を踏まえて,家裁調査官が果たすべき役割・機能について意見交換を行った。その上で, より的確で質の高い調査事務を遂行し,職種間連携の強化を図るためには,家裁調査官の役割・機能やそれに基づく調査事務を理解するための視点をまとめて,それを活用することが重要であるとの認識を共有した。
2 組を単位とした執務態勢を基盤に質の高い判断に資する調査事務を実践するために検討すべき事項
(1) 行動科学の知見に裏付けられた質の高い調査
ア 行動科学の知見に裏付けられた質の高い調査を実践するための方策及びこれに向けて所在地首席家裁調査官が行うべき調整事務について協議した。
イ 協議においては,調査の質の確保・向上を図るための方策として,組・定例ケース会議や指導(点検)区分による指導はもちろんのこと,組の家裁調査官全員の経験や能力を生かして質の向上を目指すという平成30年度調査官特別研究の趣旨を取り入れた事務処理を実践していく必要があるとの認識を共有した。また, これと併せて,行動科学の知見を共有して適切に調査に活用するための方策として,調査事務の具体的な内容,方法等を明確にするための取組を引き続き進めることの重要性を確認した。これらの方策が推進されるよう,所在地首席家裁調査官は,管内の各庁において,計画的に調整事務を進める必要があることを確認した。
(2) 行動科学の知見を必要とする分野への適時適切な関与
ア 行動科学の知見を必要とする分野への適時適切な関与を実現するための方策及びこれに向けて所在地首席家裁調査官が行うべき調整事務について協議した。
イ 協議においては,適時適切な調査官関与を実現するためには,審理全体の中で家裁調査官が関与すべき場面や果たすべき役割について,裁判官等の関係職種と認識の共有を図るとともに,個別の事件では,期日立会いの段階において,調査受命のタイミング, 目的,内容等についても,主任家裁調査官による指導や組での多角的な検討を行うことが重要であることを確認した。また,面会交流事件については,家裁調査官がどのような場面でどのように関与すべきかについて,家裁調査官内部で引き続き議論をするとともに,関係職種との相互議論を通じて認識の共有を進める必要があることを確認した。さらに,家裁調査官の関与に関して,調停委員と認識を共有するためには,裁判官と共に,それに向けた具体的な方法について検討する必要があることを確認した。_これらの方策が実効性のあるものとなるよう,所在地首席家裁調査官は,管内の各庁の実情に応じたきめ細かな調整事務を行う必要があることを確認した。
(3) 関係職種との相互議論等を通じた調査事務の検証
ア 調査事務を的確に検証するためには,単に裁判官等の関係職種からフィードバックを受けるだけでなく,家裁調査官の具体的な問題意識を伝えて意見交換をするなどの相互議論が重要であることに鑑み,管内の各庁における相互議論の推進に向けて,所在地首席家裁調査官が行うべき調整事務について協議した。
イ 協議においては,調査事務を的確に検証するためには,個別の事件を通じて,又は,一般的な審理の在り方や,組を単位とした事務処理態勢などの事件処理全般に関する事項を検討する中で,裁判官をはじめとする関係職種と相互議論を行うことが重要であるとの認識を共有した。所在地首席家裁調査官は,相互議論の必要性の認識を管内の首席家裁調査官と共有するとともに,管内の各庁において,相互議論を行うための態勢が整備されるよう,実効性のある調整事務を行う必要があることを確認した。
3 とりわけ面会交流事件において質の高い判断に資する調査事務を実践するために検討すべき事項
(1) 前記2の各協議事項に関して,とりわけ面会交流事件において,所在地首席家裁調査官が行うべき調整事務について協議した。
(2) 協議においては,各庁における事件処理の実情や取り組むべき課題を明らかにするために,事件に関する統計データを丁寧に分析する必要があることを確認した。これに加え,関係職種との相互議論を通じて家裁調査官の役割を明確にし,組を単位とした執務態勢を生かして調査の質を高めることが重要であり,所在地首席家裁調査官は,管内の各庁の実情に応じて必要な取組や態勢整備が推進されるよう,調整事務を行う必要があることを確認した。
第2 人事局関係
家裁調査官の人事管理に関し考慮すべき事項について競技した。
第3 裁判所職員総合研修所関係
1 養成課程研修について
実務修習及び後期合同研修の充実について協議を行った。
2 家裁調査官実務研究について
(1) 平成29,30年度家裁調査官実務研究(指定研究)の還元の見通しについては,令和2年2月発刊予定の家裁調査官研究紀要に掲載予定であることを説明した。
(2) 令和元年度家裁調査官実務研究(指定研究)については,家裁調査官の行う調査面接の特質を整理し,調査面接に必要とされる基本的な姿勢及び技法などを明確化して,共有することを目的として,調査面接に関する研究,研修を積み重ねていくための基盤となるような研究を目指すことを説明した。
3 令和元年度家裁調査官特別研修について
家裁調査官の専門性の要となる研修であることを再確認した上で,応募の現状と課題,積極的に応募する環境づくりについて協議を行った。
* 家裁調査官の役割・機能(令和元年12月配布の文書)を掲載しています。