目次
1 総論
2 日弁連事務総長
3 日弁連事務次長
4 日弁連事務局出身の,歴代の日弁連事務次長(令和2年7月2日追加)
5 日弁連事務次長の定例業務
6 関連記事その他
1 総論
(1) 日弁連の総次長
ア 日弁連の事務総長及び事務次長は,日弁連会長とともに日弁連の会務執行の中枢をなしています。
イ 総次長室は弁護士会館16階にあります。
ウ 日弁連の事務総長及び事務次長の任免は,日弁連理事会の議を経て,会長が行います(日弁連会則82条の2第5項)。
(2) 日弁連事務局
ア 日弁連の会務を補助する機関として,日弁連事務総長の下に日弁連事務局が設けられています(日弁連会則82条の3)。
イ 日弁連事務局は2009年当時,6部16課141名でしたが,2019年1月1日現在,総務部,審査部,法制部,人権部,業務部及び企画部の6部17課171名です(日弁連七十年の「日弁連の組織運営にかかわる諸問題への取組」参照)。
ウ 日弁連事務局職員の任免は,会長が行います(事務局職制4条)。
2 日弁連事務総長
(1)ア 日弁連事務総長は,会長の旨を受けて日弁連の事務を掌理し,事務次長以下の事務局の職員を指揮監督します(日弁連会則82条の2第2項)。
イ 昭和35年5月28日定期総会決議に基づき,同日以降,日弁連事務総長は,日弁連会則に基づく機関となりました。
(2)ア 事務総長の選任は,理事会での承認が必要となるものの,日弁連の組織の中で,会長が唯一,自由に推薦できる人事です(二弁フロンティア2018年10月号に「出井先生,お疲れ様でした~出井直樹 前日弁連事務総長にインタビュー~」参照)。
イ 日弁連新聞第554号(令和2年3月1日付)の「日弁連短信」に以下の記載があります。
事務総長は、理事会の審議で選任・解任される役職だが、実質的には会長の推薦によるため、会長の任期に合わせ任免が決められる。
3 日弁連事務次長
(1)ア 日弁連事務次長は,日弁連事務総長を補佐して日弁連の会規又は規則に定める事務を掌ります(日弁連会則82条の2第5項参照)。
イ 昭和63年5月28日定期総会決議に基づき,平成元年4月1日以降,日弁連事務次長は,日弁連会則82条の2に基づく機関となりました。
ウ 日弁連事務次長のうちの一人は通常,日弁連事務局出身者が就任しています。
(2)ア 昭和41年7月1日以降,日弁連事務次長は2人となり,平成5年7月1日以降,日弁連事務次長は3人となり,平成8年6月1日以降,日弁連事務次長は4人となり,平成28年1月1日以降,日弁連事務次長は7人となりました。
イ 日弁連創立70周年記念誌である「日弁連七十年」の「旧会館時代の思い出」(筆者は梶谷剛 元日弁連会長)には以下の記載があります。
(山中注:平成2年及び平成3年)当時、事務次長は2名で、就任前半は尾崎昭夫次長、後半は葉山水樹次長と組んだ。2名しかいないので1年毎にほぼすべての委員会を担当することになり、大変勉強になった。
(3) 菰田優日弁連事務総長は,平成30年5月25日の日弁連定期総会において以下の答弁をしています。
事務次長は、全員で7名おり、うち弁護士事務次長は6名である。嘱託は、その他に94名おり、いずれも弁護士である。事務次長は、事務総長を補佐して事務をつかさどり、理事会の議を経て会長が任命している。嘱託は、事務総長の推薦に基づいて会長が委嘱する。人件費総額は、事務次長と嘱託の総額で2017年度決算では、6億508万円余りであり、弁護士職員報酬規則に基づいて経理委員会で決定されている。
業務内容は、様々であるが、常勤嘱託は1名のみで、司法調査室嘱託として法曹養成や情報統計を中心に幅広い任務に当たっている。それ以外には、綱紀委員会調査員、懲戒委員会調査員、綱紀審査会事務局に任命されている弁護士職員がおり、それぞれ委員長の求めに応じ、事案の調査や懲戒手続に関する調査研究を行っている。
(4) 日弁連新聞第541号(平成31年2月1日付)の「日弁連短信」に以下の記載があります。
会規第1号である事務局職制の2条には「事務次長は、各種委員会、調査室、広報室、国際室等の事務の連絡、調整及び事務局の監督を掌り、事務総長の指示を受けて対外的事務を処理する」と規定され、具体的にはこの規定に則って職務を行っていました。委員会に出席して意見を申し上げたり、委員会がまとめた意見書案等の修正をお願いしたりしたのはこの規定に則った行為です。過去には担当委員会から「越権次長!」と呼ばれた事務次長がいたとの噂もありましたが、委員会等で発言をすることは決して越権ではないのです。
また、対外的には、最高裁や法務省をはじめとする諸官庁や国会関係者などとの折衝、マスコミの取材対応を行いました。対外業務は緊急対応を求められることも多く、対外業務が重なるとそれ以外のことはほとんどできず、やむを得ず後回しになることもありました。
(5) 神奈川県弁護士会新聞2020年8月号(筆者は武内大徳 元日弁連事務次長)に以下の記載があります。
事務次長は、弁護士が6人、職員が1人の7人体制で、弁護士次長は4ヶ月に1人交代する。次長交代のたびに所管業務がシャッフルされるので、幅広い分野を経験することになるが、私の場合、2年の任期を通じて担当し続けたのは、法曹養成、財務・経理、消費者保護等であった。
(6) 日弁連新聞576号(2022年3月号)には以下の記載があります(改行を追加しています。)。
次に2年間過ごした総次長室の役割について紹介したい。総次長室は会長の掲げる政策を副会長と共に委員会等に諮り実現に向けて活動するだけではなく、理事会や正副会長会に上げる議案に関し、委員会の意図を伝える役割を担う。
そのため次長らはときに間に入って苦労することもあり、次長らが大変なときにアドバイスするのが総長の役目でもあった。
4 日弁連事務局出身の,歴代の日弁連事務次長
(1) 日弁連事務局出身の歴代の日弁連事務次長は以下のとおりです。
野口繁栄:1949年9月1日~1969年9月30日
橋本清吉:1969年10月1日~1971年4月30日
水野幸雄:1971年5月1日~1974年3月31日
神谷三郎:1974年4月1日~1975年3月31日
(日弁連事務局出身の日弁連事務次長なし。)
眞野登 :1981年7月1日~1987年11月25日
(日弁連事務局出身の日弁連事務次長なし。)
北原達三:1993年7月1日~1996年8月13日
福島進 :1996年8月14日~2007年12月15日
新部正樹(1974年入局)2007年12月16日~2009年6月30日
大橋勝晴(1974年入局)2009年7月1日~2010年3月21日
野口啓一(1977年入局)2010年3月22日~2014年1月31日
松本利幸(1992年入局)2014年2月1日~2017年6月30日
添田真一(1994年入局)2017年7月1日~2020年6月30日
下園剛由(1999年入局):2020年7月1日~2023年6月30日
笹沼波:2023年7月1日~
(2)ア 日弁連五十年史及び日弁連新聞を見れば,弁護士出身者を含む歴代の日弁連事務次長を調査できます。
イ 毎年1月号の「自由と正義」に掲載される日弁連役員等の名簿では,右下に「事務次長◯◯◯◯(事務局)」と記載されています。
(3) マイナビ2021の「日本弁護士連合会【日弁連】」によれば,添田真一氏の入局後の略歴は以下のとおりです。
審査部審査課(3年間)→法制部法制第二課(3年間)→業務部業務第二課(1年半)→総務部総務課(3年間)→人権部人権第二課課長(3年間)→総務部長(5年間)→法制部長(3年間)→事務次長(現職・今年で3年目)
5 日弁連事務次長の定例業務
(1) 日弁連事務次長の定例業務は以下のとおりです(二弁フロンティア2015年5月号の「飛び出せ!!弁護士Vol5 大貫裕仁(42期)」参照)。
① 総次長会議(原則毎週月曜日)
・ 9時30分からの総次長会議で1週間が始まります。
② 議案打ち合わせ(原則毎週水曜日)
・ 正副会長会の準備のため10時から,会長,総次長及び担当事務局が議案について打ち合わせを行います。
③ 正副会長会(原則毎週金曜日)
・ 会長,15名の副会長(平成28年度までは13名),総次長,担当の室の嘱託,担当弁護士が出席し,10時半から18時くらいまで昼休みを挟んで続きます。
④ 理事会(原則毎月2日間)
⑤ 総会(定期・必要に応じて臨時)
⑥ 総次長・室長会議(原則毎月)
・ 総次長と各室の室長が参加します。
⑦ 総長室会議(原則毎月)
・ 総次長と職員部課長が参加します。
(2) 大貫裕仁弁護士は平成28年5月16日に亡くなりました(西村あさひ法律事務所HPの「【訃報】大貫裕仁弁護士」参照)。
完全にこれなんだが pic.twitter.com/HxAMQOfwa8
— なべさん (@nabesan_go) August 10, 2020
6 関連記事その他
(1) 日弁連HPの「IILACE(International Institute of Law Association Chief Executives/世界弁護士会事務総長会議)」には「IILACEは、1998年に設立された、世界の各法曹団体の事務総長を構成メンバーとして法曹団体の運営・経営に関し議論する唯一の国際組織です。」と書いてあります。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 日弁連の歴代会長及び事務総長
・ 日弁連の組織
・ 日弁連事務局
・ 日弁連役員に関する記事の一覧
遺言執行者をした後に特定の相続人の代理人をすれば原則として懲戒されますが,
私が代理人として関与した懲戒請求の場合,破産管財人をした後に非免責債権に関して破産者の訴訟代理人をした兵庫県弁護士会副会長経験者は日弁連懲戒委員会の全員一致で懲戒されませんでした。https://t.co/qE20MMGBxJ— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) October 3, 2019