復権令(平成元年2月13日政令第28号)


復権令(平成元年2月13日政令第28号)

   内閣は、恩赦法(昭和二十二年法律第二十号)第九条の規定に基づき、この政令を制定する。

第一条 一個又は二個以上の裁判により罰金に処せられた者で、昭和六十四年一月七日(以下「基準日」という。)の前日までにその全部の執行を終わり又は執行の免除を得たものは、この政令の施行の日において、その罰金に処せられたため法令の定めるところにより喪失し又は停止されている資格を回復する。
2 基準日の前日までに一個又は二個以上の略式命令の送達、即決裁判の宣告又は有罪、無罪若しくは免訴の判決の宣告を受け、平成元年五月二十三日までにその裁判に係る罪の一部又は全部について罰金に処せられた者で、基準日から平成元年五月二十三日までにその全部の執行を終わり又は執行の免除を得たものは、基準日からこの政令の施行の日の前日までにその全部の執行を終わり又は執行の免除を得た場合にあってはこの政令の施行の日において、この政令の施行の日から平成元年五月二十三日までにその全部の執行を終わり又は執行の免除を得た場合にあってはその執行を終わり又は執行の免除を得た日の翌日において、それぞれその罰金に処せられたため法令の定めるところにより喪失し又は停止されている資格を回復する。ただし、他に罰金に処せられているときは、この限りでない。

第二条 一個又は二個以上の裁判により禁錮以上の刑に処せられた者で、その全部の刑の執行を終わり又は執行の免除を得た日から基準日の前日までに五年以上を経過したものは、この政令の施行の日において、その禁錮以上の刑に処せられたため法令の定めるところにより喪失し又は停止されている資格を回復する。

第三条 一個又は二個以上の裁判により罰金及び禁錮以上の刑に処せられた者は、罰金については第一条の、禁錮以上の刑については前条の、いずれの要件にも該当する場合に限り、復権する。

附 則

この政令は、平成元年二月二十四日から施行する。

*1 竹下登内閣総理大臣は,平成元年2月13日の衆議院本会議において以下の答弁をしています。
   政令恩赦と公職選挙違反関係者の復権についてであります。
 今回の恩赦は、御在位六十二年の長きにわたって世界の平和と国民の幸福をひたすら祈念された昭和天皇の崩御に際会して行うものであります。政府としては、恩赦制度の趣旨や恩赦の先例等を慎重に検討した上で、復権令につきましては、特定の罪名に処せられた者に限定するとかこれを除外するというようなことなく幅広く行うことが相当である、このように考えたからでございます。
*2 罰金刑に限り基準日を延長し,施行日後3ヶ月が経過した平成元年5月23日までに罰金を完納した事例についても復権を認める内容になっています。
*3 前科登録と犯歴事務(五訂版)191頁に以下の記載があります。
   今回の復権令では,①罰金刑に処せられた者については, その罪名を限定せず,全ての者を復権の対象とし,②罰金刑に処せられた者について,刑の執行を終わった日又は執行の免除を得た日からの経過期間を要せず,基準日までに刑の執行を終わり又は執行の免除を得た者を一律に復権させることとし,③基準日以後に,裁判が確定した者又は刑の執行を終わり若しくは執行の免除を得た者をも一定の条件の下に復権させることとしているほか,④禁鋼以上の刑に処せられている者についても,その刑の執行を終わり又は執行の免除を得た日から5年以上を経過していれば復権させることとしているなど,極めて広い範囲の者を復権の対象としており,罰金刑に係る復権該当者は約1082万人,禁鋼以上の刑に係る復権該当者は約14万4000人にのぼることになる。なお,通常復権令は,大赦令の場合と同様,基準日と政令施行の日が一致していることが多いが,今回はその日が異なっており,復権の効力は特に定めのある場合を除き政令施行の日に生ずることとされた。


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