1 平成29年度(最情)答申第3号(平成29年4月28日答申)には,以下の記載があります。なお,本件開示申出文書は,第69期司法修習生組別志望等調査表のことです。
(1) 最高裁判所事務総長は,第68期までの司法修習生については調査表を作成していたが,文書作成事務の合理化の観点から事務処理の見直しを検討したところ,調査表の実際の利用状況を踏まえて,第69期司法修習生組別志望等調査表は作成しないこととしたと説明する。
(2) 口頭説明の結果によれば,第68期までの司法修習生については,修習開始前及び集合修習期間中に調査表を作成し,集合修習期間中のものについてはクラス担当の司法研修所教官に提供しており,これらの作成の目的は,司法研修所事務局として司法修習生の志望状況の概要を把握するほか,この情報を司法研修所教官に提供して,指導の参考にしてもらうことにあったとのことである。しかしながら,修習開始前の志望はその後変わっていくものであるから,開始時に集計する必要は高くなく,また,集合修習期間中についても,各教官は,各修習生の志望を個別に把握すれば足り,調査表を用いる必要は高くない上,調査表を作成する事務負担は大きいことから,当該事務を見直して,第69期からは調査表を作成しないこととしたとのことである。
そこで,この説明を検討するに,これらのうち,司法修習開始前に調査表を作成する必要がないとする点は,相当なものと認められる。また,集合修習期間中についても,司法研修所教官は,担当する組の司法修習生の志望状況を直接確認できる上,定期的に他の教官と情報交換をする場を有しているというのであるから,司法研修所教官は,個々の司法修習生の志望状況に加え,他の組や全体の志望状況を必要に応じて把握することが可能であると認められる。したがって,司法研修所の各教官が司法修習生から進路等の相談を受けるに当たり,志望の状況を一覧表にした調査表が必要であるとも認められない。
そうすると,調査表が存在しなくても,司法研修所における事務に支障があるとは認められず,事務負担の観点も踏まえて,これを作成しないこととしたとする説明は合理的である。
この点について,苦情申出人は,調査表が存在するとする事情を主張するが,これらの事情は,いずれも調査表の存在を推認させるものとは言い難い。
(3) したがって,本件開示申出文書を作成し,又は取得していないとする最高裁判所事務総長の説明は合理的であり,最高裁判所において,本件開示申出文書は保有していないものと認められる。
2 平成30年12月25日付の最高裁判所事務総長の理由説明書には,以下の記載があります。なお,本件開示申出文書は,第71期司法修習生組別志望等調査表のことです。
第68期までの司法修習生については, これらの書面を基に集合修習期間中に志望の状況等を一覧表にした調査表を作成してクラス担当の司法研修所教官に提供しており,その作成目的は,司法研修所事務局として司法修習生の志望状況の概要を把握するほか, この情報を司法研修所教官に提供して,指導の参考にしてもらうことにあった。