◯名古屋地裁平成29年12月20日判決(判例秘書)は,新64期司法修習生,現行65期司法修習生及び新65期司法修習生が行った司法修習について以下のとおり判示しています。
(ア) 新64期司法修習生
新64期司法修習生は,平成22年11月から平成23年12月までの約1年間,その修習を行ったところ,まず,配属庁会において,分野別実務修習を民事裁判修習,刑事裁判修習,検察修習及び弁護修習の各2か月間行い,分野別実務修習終了後,選択型修習及び司法研修所における集合修習を各2か月間行い,その後,裁判,検察,弁護の実務についての筆記試験である考試を受け,これに合格することで,その修習を終えた。
(イ) 現行65期司法修習生
現行65期司法修習生は,平成23年7月から平成24年12月までその修習を行ったところ,司法研修所での前期修習を2か月間行った後,配属庁会において分野別実務修習を各3か月間実施し,司法研修所での後期修習を行い,上記(ア)と同様に考試に合格することで,その修習を終えた。
なお,現行65期司法修習生は,法科大学院の修了を前提としないことから,新65期司法修習生の修習と異なり,前期修習があり分野別実務修習が1か月間長くなっていた。現行65期司法修習生の修習期間は新65期司法修習生の修習期間と1年間重なっているところ,修習の内容自体にも重複する部分が多く存在していた。例えば,現行65期司法修習生の実務修習中,全体講義や研究講義では,新65期司法修習生と同じ部屋で同じ内容の講義を聴くこともあったり,後期修習は,新65期司法修習生の一部の集合修習と同時期に実施され,基本的に同じ講義を受け,同じ起案に取り組んだり,同じ考試を受けた。
(ウ) 新65期司法修習生
新65期司法修習生は,平成23年11月から平成24年12月までの約1年間,その修習を行ったところ,その内容は,新64期司法修習生とほぼ同様である。
もっとも,給費を受けられず,かつ,修習専念義務によって兼業等が禁止されたことにより,分野別実務修習における配属地の指定によって転居を余儀なくされた場合の転居費や埼玉県和光市所在の司法研修所の寮に入寮できなかった場合の住居費用,集合修習をした後に選択型修習があることによって,集合修習の期間中二重に住居を確保する必要が生じた際の費用,就職活動のための交通費等,その他日々の生活にかかる費用,学生時代の奨学金の返済等を,貸与された修習資金,貯蓄又は親族からの借入れ等により賄う必要が生じた。新65期司法修習生の中には,修習資金の貸与が借金であることを考え,申込みを断念する者がいたほか,法律学に関する書籍の購入をためらったり,交通費を節約したり,修習時間外の学習の機会があるにもかかわらず費用がかかることから参加しなかったりした者も多くいたほか,大学及び法科大学院に通学した際の奨学金と併せて借入額が総額1000万円以上になった者や,疾病を抱えながら十分な治療を受けられないまま修習をした者などもいた。
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