目次
1 軍用地投資
2 軍用地投資入門
3 関連記事その他
1 軍用地投資
(1) 軍用地とは,米軍基地や自衛隊基地の底地のことです。
(2)ア 沖縄県の軍用地の場合,年間借地料×倍率で計算されます。
倍率は,軍用地ごとに異なる係数のようなものであり,通常は30倍から40倍であるものの,返還の見込みが少ない軍用地ほど倍率は高くなるのであって,例えば,陸上自衛隊那覇駐屯地は44倍,嘉手納飛行場は44~46倍,航空自衛隊那覇基地は46倍だそうです(トラベラーズマップHPの「沖縄の軍用地を購入する前に知っておきたいこと」(平成29年9月8日の記事)参照)。
イ 開南コーポレーションHPの「軍用地の一覧」に,価格,倍率,年間借地料及び土地面積の実例が載っています。
(3) 沖縄県の軍用地を売買する場合,軍用地料(年間借地料)が記載されている土地賃借料算定調書,登記簿謄本及び地図(航空写真+地積併合図)を確認する必要があるものの,現地の確認は不要です(カミヤプロデュースHPの「軍用地購入の流れ」参照)。
(4) 軍用地の場合,購入価格の3分の1から4分の1が相続税評価額となっていますし,嘉手納飛行場,航空自衛隊那覇基地及び那覇空港の場合,年間借地料の40倍が銀行の担保評価になっているみたいです(RETAX HPの「【相続税対策】軍用地投資による究極の節税方法」参照)。
(5) 軍用地の相続税評価額は以下の方法で計算されます(税理士事務所おき会計HPの「軍用地の評価方法について教えてください。」参照)。
① 固定資産税評価証明書に記載の固定資産税評価額を入手する。
② 「登記簿」の地目に対応する「公用地の評価倍率表」から該当する倍率を探す。
・ 公用地の評価倍率表は,沖縄県の財産評価基準書に載っています。
③ 固定資産税評価額×倍率×(1-40%(※1))=相続税評価額
(※1)原則として,地上権で「存続期間の定めのないもの」の割合40%を使用します。(相続税法23条)
(6) 軍用地のデメリットは,①購入チャンスが滅多にないこと,及び②土地を自由に使うことができないことの2点だけみたいです(税理士相談Cafe HPの「軍用地のメリットと相続税評価額の計算方法」参照)。
(7) 一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連)HPに「軍用地に係る税務について-所得税と相続税,贈与税への対策に関する説明会-」(平成29年9月作成)が載っています。
(8) 沖縄防衛局HPに載ってある,沖縄防衛局広報誌「はいさい」の平成22年度発行分に,「駐留軍用地特措法の手続き」及び「駐留軍施設の用地買収」が載っています。
(9) 沖縄防衛局の駐留軍年度別購入実績表(平成20年度ないし平成29年度)を掲載しています。
2 軍用地投資入門
(1) ビジネスブックマラソンHPの「『「軍用地投資」入門』里中一人・著 vol.5015」によれば,軍用地投資には以下のメリットがあるそうです(譲渡所得税の5000万円控除は租税特別措置法33条の4第1項1号に基づきます。)。
・ 超ローリスクで年利3%
・ 日本政府が借り主(家賃の滞納リスクなし)
・ 土地だけなので減価しない
・ 景気に左右されない
・ 流動性が高く、換金しやすい
・ 通常の民間地と比べて固定資産税が低い
・ 国に売却できる(譲渡所得税控除で5000万円まで非課税)
・ 現地調査も測量も必要ない(そもそも基地に入れない)
・ 軍用地料は今後もゆるやかに上昇する見込み
(2)ア 「軍用地投資」入門は,現職の沖縄防衛局職員によって平成30年4月22日に発売されたところ,その2日後,職場に出版が発覚し,著者は,別室に軟禁状態となり,出版の差し止め,全冊回収を命令されたみたいです(お金持ちはこっそり始めている 本当は教えたくない「軍用地投資」入門ブログの「再復活しました。①」(平成30年6月9日の記事)参照)。
イ 平成30年6月8日の沖縄防衛局長による懲戒処分(停職20日)関係文書(手続文書)を掲載しています。
(3) 「軍用地投資」入門の主な内容について(沖縄防衛局が作成したもの)によれば,軍用地投資入門の主な内容は以下のとおりです。
ア 軍用地投資を始めよう
・ 軍用地の借主は、国で収入が安定。滞納リスクなし。
・ 借地料は毎年値上がり、景気に左右されにくい。
・ 軍用地投資の利回りは、平均2.33%。
・ 通常の民有地と比べて軍用地は、固定資産税が安い。
・ 軍用地を国へ売却する際は、5千万円まで不課税。
イ 軍用地の基本を押さえる
・ 一般の地価動向と関係なく、軍用地料は年々増加傾向にある。
・ 軍用地料は、毎年、国と地元の土地連との交渉で決まる。
・ 軍用地投資の一番のリスクは、基地の返還。
・ バブル崩壊以後、相続税を支払えない地主が軍用地を手放すケースが増え、軍用地投資が活発になってきた。
ウ 軍用地投資はメリットだらけの投資法
・ 不動産投資には、主に①自然災害、②すぐに現金化ができない、③空室、④老朽化というリスクがあるが、軍用地投資はこれらのリスクが極めて低い。
・ 軍用地は国が借り主であり、なおかつ、米軍が管理しているので、自然災害リスクは無視でき、継続的かつ半永久的に投資資金を回収できる。
・ 軍用地は不動産のわりに換金性が高く、最短一週間で売却が可能。
エ 軍用地の地主になるまでの流れを知る
・ 軍用地は、一般の地主が悩む「借地人との人間関係」「地代の滞納」「安い地代の割に高い税金問題」などがほとんどなく、管理が簡単。
・ 軍用地料の単価上昇度を考慮すれば、「自衛隊基地」よりも「米軍基地」の方が有利。
・ 単価が低く、なおかつ上昇しやすい「宅地見込み地」がねらい目。
・ 「軍用地」の返還はリスクだが、その場合は給付金制度があり、跡地利用・で資産価値が上昇することもある。
オ 軍用地投資を始めるなら、ここに注意
・ 契約前に確認すべきは、土地賃借料算定調書、登記簿謄本、航空写真の3セット。
・ 地主会のメリットは、①軍用地料が早く支払われる。②低利な共済融資制度を活用できる。ただし、年会費はバカにならない。
3 関連記事その他
(1) 東洋経済オンラインに「沖縄「米軍基地」用地が競売にかけられる驚愕実態 「軍用地バブル」に生じた在庫過多の異変」(2024年1月21日付)が載っています。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 在日米軍基地
・ 裁判官及び検察官の定年が定められた経緯(日本国憲法の制定経緯を含む。)
内地では軍用地投資をしている人に会った事はないけど、沖縄では人気の投資。利回りの低さに数年前に聞いた時は興味がなかったけど、最近、あるきっかけで興味を持ったので仲里桂一さんの軍用地投資入門を読んでみたら、さらに興味を持ちました。初心者におすすめの本。分かりやすい。#軍用地投資入門 pic.twitter.com/N7dYFnYeXL
— shun沖縄出版社社長 (@okinawabooks) May 30, 2022