執行官

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目次
1 総論
2 執行官採用選考試験の選考資格
3 執行官の監督
4 執行官数の推移
5 関連記事その他

1 総論
(1) 裁判所HPの「執行官」の記載を箇条書きにすると以下のとおりです。
①   執行官は,各地方裁判所に所属する裁判所職員で,裁判の執行などの事務を行います(裁判所法第62条,執行官法1条)。
②   裁判の執行とは,裁判で出された結論が任意に実現されない場合に,強制的に実現することです。
   例えば,家の明渡しを命じられた人が明け渡さない場合に,その家から,明渡義務を負う人(債務者)を排除した上で,明渡しを受ける権利を有する人(債権者)に引き渡したり,借金を返さない人(債務者)の宝石,貴金属等の動産や手形,小切手等の有価証券(裏書の禁止されているものを除く。)を差し押さえて売却し,その代金を貸主(債権者)に返済するお金に充てるといった職務を行っています。
③ 不動産の(強制)競売が申し立てられた場合に,不動産の状況等を調査するなどの事務を担当しています。
④   民事訴訟の裁判関係文書を当事者等に届けるといったことも執行官の職務の一つです。
⑤   執行官は,職務を行う際に抵抗を受ける場合には,その抵抗を排除するために,警察の援助を求めることができるなど強い権限が与えられており,その権限を自らの判断と責任において行使しますが,職務の執行については,地方裁判所の監督を受けます。
⑥ 執行官は,各地方裁判所によって任命される裁判所の職員ですが,国から給与を受けるのではなく,事件の当事者が納めた手数料を収入としています。
(2) ③で作成する書類は現況調査報告書です。

2 執行官採用選考試験の選考資格
(1) 執行官採用選考試験の選考資格は,「一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)第6条第1項第1号イに規定する行政職俸給表(一)に定める職務の級が5級以上の職にあった者若しくはこれに相当する職歴を有する者又は法律に関する実務の経験を通算して10年以上有する者」です。
(2) 「法律に関する事務の経験」としては,「弁護士,弁理士,司法書士又は不動産鑑定士としての実務」,「銀行,長期信用銀行,信用金庫,労働金庫又は信用協同組合における実務」があります(裁判所HPの「執行官採用選考試験案内」参照)。
(3) 毎年7月下旬ころ,裁判所HPの「執行官採用選考試験実施庁」に各地方裁判所が実施する執行官採用選考試験の受験案内が掲載されます。

3 執行官の監督
(1) 執行官等に関する事務について(平成6年12月20日付の最高裁判所事務総長通達)を掲載しています。
(2) 執行官の監督は監督官及び監督補佐官が行います。
   監督官は,地方裁判所長,司法行政事務につき地方裁判所長を代理する裁判官,執行事件を取り扱う部の事務を総括する裁判官,支部長等の中から指名されます。
   監督補佐官は,事務局長,会計課長,支部の庶務課長,民事首席書記官,執行事件を取り扱う部の主任書記官等の中から指名されます。
(3) 総括執行官は,執行官任命後の期間が5年以上であり,執行官の職務及び組織経験に関する識見を有する執行官の中から命ぜられます。
   また,地方裁判所は当該地方裁判所の執行官のうちから,総括執行官の事務を補佐する者を指名することができます。


4 執行官数の推移
(1)ア 執行官数推移(昭和42年度~平成29年度)を掲載しています。
イ 平成29年4月1日現在,大阪地裁本庁の執行官は20人であり,堺支部の執行官は5人であり,岸和田支部の執行官は3人です。
(2) 全国の地方裁判所の本庁支部における執行官数を記載した文書(執行官配置一覧)を以下のとおり掲載しています。
・ 令和 4年4月1日現在のもの(総数は258人)
・ 令和 3年4月1日現在のもの(総数は259人)
・ 令和 2年4月1日現在のもの(総数は270人)
・ 平成31年4月1日現在のもの(総数は286人)
・ 平成30年4月1日現在のもの(総数は318人)
・ 平成29年4月1日現在のもの(総数は338人)
(3) 執行官につき,ピーク時の平成16年度は650人いました。


5 関連記事その他
(1) 地方裁判所は,執行官の事故その他の理由により必要があるときは,執行官規則で定めるところにより,裁判所書記官に執行官の職務の全部又は一部を行なわせることができます(執行官法20条)。
(2)ア 執行官の歴史については,曝松公平(されまつこうへい)の執行官ブログが非常に参考になります。
イ 全銀協HPに「手形・小切手の振出」が載っています。
(3)ア 執行官は,現況調査を行うに当たり,通常行うべき調査方法を採らず,あるいは,調査結果の十分な評価,検討を怠るなど,その調査及び判断の過程が合理性を欠き,その結果,現況調査報告書の記載内容と目的不動産の実際の状況との間に看過し難い相違が生じた場合には,目的不動産の現況をできる限り正確に調査すべき注意義務に違反したことになります(最高裁平成9年7月15日判決)。
イ  現況調査に訪れた執行官に対して虚偽の事実を申し向け,内容虚偽の契約書類を提出した行為は,刑法96条の3第1項の「公の競売又は入札の公正を害すべき行為」に当たるが,上記虚偽の事実の陳述等に基づく競売手続が進行する限り,その行為の時点をもって,刑訴法253条1項にいう「犯罪行為が終つた時」とはなりません(最高裁平成18年12月13日決定)。
(4)ア 担保不動産競売事件の期間入札において,執行官が,最高の価額で買受けの申出をした入札人の入札を誤って無効と判断し,他の者を最高価買受申出人と定めて開札期日を終了した場合には,執行裁判所は,誤って最高価買受申出人と定められた者に対する売却を不許可とした上で,当初の入札までの手続を前提に改めて開札期日及び売却決定期日を定め,これを受けて執行官が再び開札期日を開き,最高価買受申出人を定め直すべきです(最高裁平成22年8月25日決定)。
イ 最高裁平成26年11月4日決定は,不動産強制競売事件の期間入札において,執行官が無効な入札をした者を最高価買受申出人と定めたとして売却不許可決定がされ,これが確定した場合に,当初の入札までの手続を前提に再度の開札期日を開くこととした執行裁判所の判断に違法がないとされた事例です。
(5)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 執行官等に関する事務について(平成6年12月20日付の最高裁判所事務総長通達)
・ 執行官の手数料の配分等に関する規約(平成11年6月2日承認)
→ 平成29年10月27日付の司法行政文書不開示通知書によれば,全国の執行官相互の規約の実施状況に関する報告書は同日までに廃棄されました。
・ 執行官事務の査察について(平成6年12月20日付の最高裁判所民事局長,経理局長通達)
イ 以下の記事も参照してください。
 執行官の採用選考実施結果

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