第1 この記事が扱うのは平成26年度の採点処理である
平成26年度の裁判所職員採用試験では,採点処理の過程で誤りが生じ,本来,総合職試験の第2次試験に合格すべき17人と,特例制度により一般職試験に合格すべき7人が不合格とされた。
この17人と7人を合わせた24人という数字は,当初の誤った不合格判定の人数を表すものであり,その後の再試験による最終合格者数とは区別する必要がある。
この記事は,当時の最高裁判所人事局長の報告及び関連する処分文書を紹介する歴史資料の記事である。
現在の試験区分,受験資格,科目及び日程については,「裁判所職員採用試験とは―受験資格・試験科目・日程・倍率・採用まで」及び裁判所の公式採用試験情報を参照されたい。
第2 原報告書に記載された誤りと点検の問題
1 憲法の得点と受験者の対応関係を誤ったこと
平成26年11月14日付の最高裁判所人事局長報告の「2 非違行為等の概要等」は,総合職試験の大卒程度試験・法律経済区分について,第2次試験の結果をパソコン入力し,偏差値化や得点順の並べ替え等を行う過程で,憲法の受験者と得点の対応関係を誤ったと説明している。
その誤りを含んだまま合否判定資料が作成されたため,本来合格とすべき者が不合格とされたという経過である。
2 入力の確認と合否判定資料の確認を区別する
報告書は,合否判定資料の記載内容を答案等の原資料と照合して点検することなく決裁に上程したことに言及している。
また,入力後に入力結果一覧と答案原本を複数回照合していた職員についても,システムのデータ処理段階では誤りが生じないとの思い込みから,出力された合否判定資料の記載内容を点検しなかったと説明している。
したがって,当時の報告が指摘した問題は,単に手入力の確認回数だけで整理できるものではない。
入力時の照合と,その後の並べ替え・処理を経た合否判定資料の照合は,異なる段階の確認であった。この記事では,この報告書に記載された当時の事実を紹介しており,現在のシステムや点検手続を同じものと評価するものではない。
第3 誤った不合格判定後の対応
1 第2次試験の合格判定と第3次試験
報告書は,誤りの是正により総合職試験の第2次試験合格の判定を受けることになった17人のうち,第3次試験の受験を希望する者に再試験を実施したと説明している。
再試験の結果,総合職試験では新たに3人の最終合格者が追加されたと報告されている。
2 特例による一般職試験の追加合格
同じ報告書は,特例制度による一般職試験の最終合格者として,合計13人が追加されたことにも言及している。
当初誤って不合格とされた17人・7人,再試験の受験希望者,総合職の追加最終合格者及び特例による一般職の追加最終合格者は,異なる段階・区分の人数である。
これらを合算して独自の被害人数や採用人数を算出してはならない。
また,最終合格者の追加と,実際に各裁判所へ採用された人数も別の事項である。合格後の一般的な採用手続は,「裁判所職員採用試験に最終合格した後は―採用候補者名簿・意向照会・採用漏れ」を参照されたい。
第4 掲載している当時の原資料
① 職員の非違行為について(平成26年11月14日付の最高裁判所人事局長報告)―誤りの内容,事後対応及び関係職員の職責等を記載した報告書である。
② 平成26年11月19日付の懲戒処分書,処分説明書及び受領書(各2通)―当時の処分に関する文書である。
当時の文書に記載された処理や人数は,令和8年度以降の試験条件及び実施結果を示すものではない。
最新の募集条件と年度別実施結果は,公式の当該年度の資料を確認する必要がある。
第5 関連記事
① 裁判所職員採用試験に関する各種データ―年度別の人数・試験結果及び関連資料をまとめた記事である。
② 裁判所職員採用試験の得点分布と成績通知―全受験者の得点分布と個人の成績通知を区別して説明する。
③ 平成3年度以降の裁判所職員採用試験の採用案内パンフレット―過去の採用案内等を掲載した資料一覧である。
④ 司法試験受験生が裁判所職員採用試験を受ける場合の面接対策―志望動機や進路に関する説明を整理する記事である。
⑤ 執行官の採用選考実施結果―裁判所職員採用試験とは別の採用選考に関する資料である。
⑥ 裁判所職員に関する記事の一覧―採用・職務・研修等の関連記事への入口である。