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民事法律扶助に関する法テラス業務方法書―現行版・主要条文・2026年改正(AIリライト)

日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助は,経済的に余裕のない人に対し,無料法律相談,弁護士・司法書士費用等の立替え又は裁判所提出書類等の作成に関する援助を行う制度である。

本記事が従前掲載していたのは平成30年当時の業務方法書であり,現行版では,遠隔法律相談,電磁的記録を含む書類等作成援助,養育費事件の償還,ひとり親に対する免除及び免除不許可に対する不服申立て等が追加又は改正されている。

以下は令和8年(2026年)9月23日現在の整理である。利用時には,法テラスが公表する最新の業務方法書,細則及び様式を確認する必要がある。

第1 現行の業務方法書

現行の「日本司法支援センター業務方法書」は,令和8年3月25日に最終変更が認可されたものであり,同年5月21日から施行されている。ただし,附則により一部は同年4月1日から施行されている。

民事法律扶助の法的根拠は総合法律支援法にあり,業務方法書は援助の種類,申込み,審査,立替え,償還,免除及び不服申立て等の基本的な仕組みを定めている。具体的な金額,提出資料及び運用基準は,民事法律扶助業務運営細則にも定められている。

業務方法書の「最終変更認可日」と附則の「施行日」は同じとは限らない。旧版又は直前版ではなく,表紙の日付と附則を含む現行PDFを確認する必要がある。

第2 民事法律扶助の三つの援助

業務方法書5条は,民事法律扶助の中心となる援助を,代理援助,書類等作成援助及び法律相談援助に分けている。

援助主な内容費用の基本
代理援助民事・家事・行政事件の裁判手続や,必要と認められる裁判前の交渉等について,弁護士・司法書士等の報酬及び実費を立て替える。原則として立替金を償還する。
書類等作成援助裁判所に提出する書類又は電磁的記録等の作成に必要な報酬及び実費を立て替える。原則として立替金を償還する。
法律相談援助民事・家事・行政に関する問題について,弁護士又は司法書士から法的助言を受ける。一般法律相談援助等は原則として利用者負担がない。

従前の名称は「書類作成援助」であったが,現行規程は「書類等作成援助」としている。総合法律支援法30条1項2号も,書類又は電磁的記録の作成を規定している。

第3 代理援助及び書類等作成援助の要件

業務方法書9条は,代理援助及び書類等作成援助について,原則として次の三つの要件を定めている。

  1. 申込者が資力に乏しい国民等であること
  2. 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  3. 民事法律扶助の趣旨に適すること

「勝訴の見込みがないとはいえない」は,勝訴を保証する要件ではない。請求内容,証拠,法律関係及び費用対効果等を踏まえて審査される。また,資力基準を満たすかどうかは,収入だけでなく,配偶者の収入,家族数,資産,家賃・住宅ローン,医療費,教育費その他のやむを得ない支出等を踏まえて判断される。

配偶者が事件の相手方である場合には,その配偶者の収入又は資産を加算しない取扱いがある。個別の申込者について,表面上の月収だけで利用可能性を判断すべきではない。

第4 法律相談援助と遠隔相談

法律相談援助の対象は,民事,家事又は行政に関する案件である。一般法律相談援助は,資力基準を満たし,民事法律扶助の趣旨に適する場合に行われる。

同一の者に対する法律相談援助は,原則として同一問題につき3回が上限である。ただし,特定援助対象者法律相談援助には別の上限と例外がある。

現行の業務方法書16条は,対面の相談だけでなく,音声及び動画又は音声のみを電気通信回線で送受信する方法による法律相談援助を予定している。もっとも,すべての申込者が常に電話又はテレビ電話で相談できることを意味するものではなく,実施場所,担当者,通信機器及び法テラスの運用条件を確認する必要がある。

第5 費用の立替えと償還

代理援助及び書類等作成援助は,弁護士費用等が当然に無料になる制度ではない。法テラスが報酬や実費を立て替え,被援助者が決定された方法で立替金を償還することが基本である。

援助開始決定では,立替費用の種類・額又は限度,被援助者が負担する実費,事件進行中の償還方法,必要に応じた償還猶予等が定められる。立替金は原則として自動払込み等による割賦償還となる。

事件の結果,相手方等から金銭等を得た場合には,取得した金銭等から報酬又は立替金を償還する扱いが問題となる。毎月の養育費のような継続給付には,生活維持への影響を考慮した特則がある。

第6 養育費事件の特則

現行の業務方法書57条は,将来の養育費を得た場合の報酬金について特則を設け,同60条の2は,養育費その他の子の監護に要する費用から立替金を償還する場合の特則を定めている。

民事法律扶助業務運営細則18条の2は,一定の場合に法テラスが立て替える報酬金の上限を13万2000円とし,相手方等から2か月分の養育費が支払われたことの確認等を定めている。また,同条は婚姻費用の一部を養育費と同じ性質を有するものとして扱う場合や,特則の対象となる金額を定めている。

これらは,養育費の将来分を一括して取得したものとみなす一般ルールではない。事件類型,実際の支払状況,取得した金銭等の性質及び終結決定の内容を確認する必要がある。

第7 償還の猶予及び免除

終結後の償還が著しく困難になった場合,被援助者は償還方法の変更又は償還の猶予を申請できる。猶予は原則として3年を超えない期間で決定されるが,特別の事情があれば延長される場合がある。

業務方法書65条は,生活保護受給中である場合,又はこれに準ずる程度に生計が困難で,将来にわたって資力回復の見込みに乏しい場合に,未償還額の免除を決定できる旨を定めている。相手方等から金銭等を得た場合には,その25%相当額について免除が制限されることがある。

業務方法書65条の2は,一定の養育費請求事件及び関連事件について,法律上の婚姻関係を有せず,義務教育対象年齢までの子と同居・扶養する低所得のひとり親に関する免除の特例を定めている。法テラスの公式案内によれば,拡充された制度は令和6年4月1日以後の免除申請に適用され,従前に免除が認められなかった場合でも再申請できることがある一方,既に償還した金額が返還される制度ではない。

生活保護受給中の者を対象とする償還免除申請は,令和8年4月1日からインターネット受付が全国で開始された。ただし,準生活保護又はひとり親等の免除申請はオンライン受付の対象外であり,紙による申請も引き続き利用できる。

第8 決定に対する不服申立て

地方事務所長がした援助開始,不開始,費用又は終結等に関する決定については,業務方法書69条以下の不服申立て及び再審査の仕組みが問題となる。不服申立ては,原則として決定通知が到達した日から30日以内に行う。

これとは別に,業務方法書65条の3は,償還免除を認めない決定について,通知が到達した日から30日以内に理事長へ不服を申し立てる手続を定めている。この不服申立ては原決定の効力を当然には停止しない。

対象となる決定,提出先,期間及び必要書面が異なるため,「法テラスの決定にはすべて同じ不服申立てができる」と理解してはならない。通知書の記載と現行条文を確認する必要がある。

第9 旧掲載版と現行版の主な相違

論点旧掲載版現行版で確認すべき事項
援助名称書類作成援助書類等作成援助。電磁的記録を含む。
法律相談対面を中心とする規定電話・テレビ電話等の遠隔相談に対応。
申込み・報告書面中心電磁的方法又はファクシミリ等に関する規定を整備。
養育費現在の特則なし報酬立替,償還及びひとり親免除の特則を整備。
免除不許可現行の独立規定なし通知到達から30日以内の不服申立てを規定。

本記事では,旧版の全文転記を現行条文として残さない。旧版を参照する必要がある場合は,「平成30年当時の版」であることを明示し,現行版及び経過措置と区別する必要がある。

第10 公式資料及び関連記事

①e-Gov法令検索「総合法律支援法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000074

②日本司法支援センター業務方法書(令和8年3月25日最終変更認可)
https://www.houterasu.or.jp/uploaded/attachment/7523.pdf

③法テラス「弁護士・司法書士の方へ 法令・規程集」
https://www.houterasu.or.jp/site/bengoshitou-horei-kitei/

④法テラス「民事法律扶助」
https://www.houterasu.or.jp/site/bengoshitou-fujo/

⑤法テラス「償還免除申請のインターネット受付」
https://www.houterasu.or.jp/soshiki/15/internet-syoukanmennjoservice.html

⑥法テラス「ひとり親に対する償還免除制度」
https://www.houterasu.or.jp/soshiki/15/hitorioyashien.html

⑦関連記事「法テラスの民事法律扶助業務運営細則の条文」
https://yamanaka-bengoshi.jp/2019/03/07/hujyo-saisoku/