修習資金の返還の免除


目次
1 総論
2 修習資金貸与要綱29条の条文
3 修習資金の返還免除と税金
4 関連記事その他

1 総論
(1) 死亡又は精神若しくは身体の障害により修習資金を返還することができなくなった場合,その修習資金の全部又は一部の返還を免除してもらえます(裁判所法67条の2第4項)。
(2) 修習資金の返還の免除を申請する場合,最高裁に対し,被貸与者が死亡又は精神若しくは身体の障害により修習資金を返還することができなくなったことを証する資料を添付して,返還免除申請書を提出します(修習資金貸与要綱29条1項及び2項)。
(3)    裁判所HPの「ガイド~据置期間・返還期間中の手続について~」(リンク切れ)の「第6 返還期限の猶予について」によれば,提出書類は以下のとおりです。
① 返還免除申請書(PDF:225KB)
② 障害者手帳等(障害の有無及び程度を証明する書類)
③ 所得証明書,課税証明書,収入額を証明する書類,資産に関する申述書等

2 修習資金貸与要綱29条の条文
(返還の免除の手続)
第29条 法第67条の2第4項の規定による修習資金の全部又は一部の返還の免除の申請は,別紙様式第9による返還免除申請書を最高裁判所に提出してするものとする。
② 前項の返還免除申請書には,被貸与者が死亡又は精神若しくは身体の障害により修習資金を返還することができなくなったことを証する資料を添付しなければならない。
③ 最高裁判所の歳入徴収官が第1項に規定する申請の審査に際し必要と認める場合には,被貸与者は,医師による診断を受けなければならない。この場合において,最高裁判所の歳入徴収官は,当該医師を指定することができる。
④ 最高裁判所の歳入徴収官は,第1項に規定する免除をする場合には,当該免除を申請した者,被貸与者及びその保証人に対し,その旨を通知するものとする。

3 修習資金の返還免除と税金
(1) 学資に充てるために貸与された奨学金の返済を免除する場合,学資金として非課税となることがある(国税庁HPの「別紙 貸与制から給付制への移行に伴い奨学金返済債務が免除された場合等の税務上の取扱いについて」参照)ものの,修習資金はそもそも学資に充てるために貸与されたお金ではありません(「修習給付金は必要経費のない雑所得であるとした国税不服審判所令和3年3月24日裁決」参照)。
    そのため,修習資金の返還免除により生じる経済的利益は,一時所得として収入金額に計上する必要があると思います(国税庁HPの「問9-3 学生に対して大学等から助成金が支給された場合の取扱い〔令和2年5月15日追加〕」参照)。
(2) 一時所得は,その所得金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後に納める税額を計算しますところ,一時所得に係る収入金額が50万円以下であれば,そもそも課税関係は発生しません(国税庁HPの「一時所得」参照)。

4 関連記事その他
1 司法修習生に対する修習資金及び修習専念資金の貸与・返済状況等に関するデータの提供について(令和2年11月16日付の最高裁総務局長回答)を掲載しています。
2 以下の記事も参照してください。
・ 修習資金貸与金の返還を一律に免除するために必要な法的措置,及びこれに関する国会答弁
・ 修習資金の返還の猶予


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