谷間世代(無給修習世代)に対する救済策は予定していない旨の国会答弁等

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0 平成29年11月14日付の司法行政文書不開示通知書によれば,司法修習資金貸与制の対象となった新65期ないし70期に対して,どのような救済措置を講ずべきかについて最高裁が検討した際に作成した文書は存在しません。

1 小山太士法務省大臣官房司法法制部長は,平成29年3月31日の衆議院法務委員会において,以下の答弁をしています。
① 委員から御指摘がございました、修習給付金制度の創設に伴いまして、現行の貸与制下の司法修習生、これは新六十五期から第七十期まででございますけれども、これに対しましても何らかの救済措置を講ずべきとの御意見があることは我々としても承知しております。
   ただ、修習給付金制度の趣旨でございますが、これは、先ほど御答弁申し上げましたとおり、法曹志望者が大幅に減少している中で、昨年六月の骨太の方針で言及されました、法曹人材確保の充実強化の推進等を図る点にあるわけでございまして、この趣旨に鑑みますと、修習給付金につきましては、今後新たに司法修習生として採用される者を対象とすれば足りるのではないかと考えられたところでございます。
   それからまた、加えて、仮に既に貸与で修習を終えられたような方に何らかの措置を実施するといたしましても、現行貸与制下において貸与を受けていらっしゃらない方もいらっしゃいまして、この取り扱いをどうするかといった制度設計上の困難な問題がございます。また、そもそも、既に修習を終えている人に対して事後的な救済措置を実施することにつき、国民的な理解が得られないのではないかという懸念もあるところでございます。
   ということで、本制度につきましては、救済措置を設けることは予定していないわけでございます。
② 本法案が可決、成立いたしますと、本年十一月に修習が開始される第七十一期の司法修習生から修習給付金を支給することになります。まずは新たな制度を導入していただきまして、その後はこの制度について継続的、安定的に運用していくことが重要であろうと考えております。御理解を賜りたいと考えております。


2 41期の堀田眞哉最高裁判所人事局長は,平成29年3月22日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
① まず、修習給付金の金額の点の御質問がございました。
   この具体的な金額につきましては最終的に最高裁判所規則において定めることになりますが、基本給付金として全ての修習生に対して一律十三万五千円、そのほか、住宅を借り受け、家賃を支払っている場合には住居給付金、あるいは移転に必要な移転給付金といったものを支給するということを予定しているところでございます。
   これらの修習給付金の額は、制度設計の過程の中で、法曹人材の確保、充実強化の推進等を図るという制度の導入理由のほか、修習中に要する生活費や学資金等の司法修習生の生活実態その他の諸般の事情を総合考慮するなどして決定されたというふうに承知しているところでございます。
   最高裁といたしましては、この新たな給付金制度の円滑な実施及び継続的かつ安定的な運用に努めてまいりたいというふうに考えておりますが、今後、制度のいろいろな問題点等は運用の中で出てくるかもしれません。そのようなところはまた法務省等とも御相談申し上げて、運用については万全を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
② それから、制度間の不公平の問題も御指摘ありました。
   修習給付金制度の創設に伴いまして、現行貸与制下の修習生、新六十五期から七十期までということですが、これらに対しても何らかの経済的措置や救済措置を講ずべきという意見があることは承知しているところでございます。
   しかしながら、給付金の制度の導入に伴い、現行貸与制下の修習生に対して救済措置を設けるか否かにつきましては、立法政策というところにもかかわるところでございますので、最高裁として、今の段階で意見を述べることは差し控えたいというふうに考えているところでございます。

3 42期の笠井之彦最高裁判所経理局長は,平成29年12月5日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
① 新六十五期につきましては、採用者数二千一人に対して貸与人数は千六百八十八人、この数字を前提といたしますと、貸与割合は約八四%、平均貸与額は約三百十五万円でございます。
以下同様に、六十六期は、採用者数二千三十五人に対して貸与人数は千六百四十五人、貸与割合は八一%、平均貸与額は三百十三万円でございます。
六十七期は、採用者数千九百六十九人に対して貸与人数は千四百四十九人、貸与割合は七四%、平均貸与額は三百十五万円でございます。
六十八期は、採用者数千七百六十一人に対して貸与人数は千百八十一人、貸与割合は六七%、平均貸与額は三百十九万円でございます。
六十九期は、採用者数千七百八十七人に対して貸与人数は千二百五人、貸与割合は六七%、平均貸与額は三百二十三万円でございます。
七十期は、採用者数千五百三十人に対して貸与人数は九百九十三人、貸与割合は六五%でございます。なお、七十期につきましては、修習期間中でございまして、貸与が終了しておりませんので、平均貸与額は算出しておりません。
② 新六十五期から七十期までの司法修習生のうち、貸与金を借り受けた修習生は約八千人でございまして、借り受けた修習生に対して月額十三万五千円を免除する場合の総額は約百四十三億円余りとなります。

4 山下貴司法務大臣は,平成30年11月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
① 弁護士のいわゆる谷間世代問題ということでございますけれども、いわゆる谷間世代の司法修習生に対して救済措置が必要だということでございますが、これはそもそも、要するに、経済的支援制度を導入する際に、相当、超党派で委員の皆様がお集まりになってやられたということはあります。
   ただ、それより先に進んで、既に修習を終えている者に対して国の財政負担を伴う事後的な救済措置を実施することについて国民的理解が得られるのかということになると、若干困難ではないかというふうな指摘もございます。そしてまた、既に貸与制のもとにおいて貸与を受けていない者の取扱いをどうするか。要するに、貸与を受けていない、じゃ、その人には払うのか払わないのかとか、そういった制度設計上の困難な問題もあるということでございます。
   そうしたことは先ほど司法法制部長も答弁したと思いますが、ただ、若い世代の法律家が存分に活躍できる、そういう若い法曹にとって魅力ある社会を我々はつくりたいというふうに考えております。
   そういった中で、今、さまざまな制度変更、例えば相続法制の変更であるとかあるいは民法の債権法の変更であるとか、こういったことも含めて、新しい分野に若い法曹にチャレンジしていただいて、しっかりと頑張っていただきたいというふうに思っております。
② といったことで、谷間世代の問題につきましては、なかなか難しいということを御理解賜ればというふうに思っております。

5 小出邦夫法務省大臣官房司法法制部長は,令和元年5月8日の衆議院文部科学委員会において,以下の答弁をしています。
① 従前の貸与制のもとで司法修習を終えた者に対する救済措置ということでございますが、これは、既に修習を終えている者に対して国の財政負担を伴う事後的な救済措置を実施することにつきまして国民的理解を得ることは困難ではないかということと、仮に何らかの救済措置を実施するとしても、従前の貸与制のもとにおいて貸与を受けていない者、あるいは繰上げ弁済をした者等、そういった者の取扱いをどうするかといった制度設計上の困難な問題もあるところでございまして、貸与制のもとで司法修習を終えた者に対する救済策を講ずることは困難であると考えているところでございます。
② ただ、従前の貸与制のもとでの司法修習生が経済的な事情によって法曹としての活動に支障を来すことがないようにするための措置といたしまして、一定の返還猶予事由がある場合には、貸与金の返還期限の猶予が制度上認められております。
   このような場合には、最高裁判所に対して個別に貸与金の返還期限の猶予を申請することが可能となっておりまして、個別の申請に対しては最高裁判所が適切に判断されるものと承知しております。

6 「司法修習生の修習資金貸与制」も参照して下さい。

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