1(1) 修習資金貸与金は,修習期間の終了した月の翌月から起算して5年を経過した後,10年の年賦により返還することになっています(修習資金の貸与等に関する規則7条本文)。
(2) 新65期の場合,修習期間が終了したのは平成24年12月ですから,翌月から起算して5年を経過した月は平成30年1月となります。
そのため,平成30年7月25日(司法修習生の修習資金の貸与に関する規則7条・修習資金貸与要綱16条)に最初の年賦金を支払うこととなります。
(3) 最高裁判所の歳入徴収官(最高裁判所事務総局経理局長のことであることにつき裁判所会計事務規程3条及び別表第二・1項)は,年賦金等の督促(修習資金貸与要綱23条),保証人に対する請求(修習資金貸与要綱24条)又は返還未済額の全部の返還請求(修習資金貸与要綱25条)をした後,相当の期間を経過してもなお当該督促又は請求を受けた被貸与者又はその保証人が履行しない場合,法務大臣に対し,訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求することを求めるものとされています(修習資金貸与要綱26条)。
2(1) 平成28年7月8日開催の第4回法曹養成制度改革連絡協議会資料4-1法曹の収入・所得,奨学金等調査の集計結果(平成28年7月)の末尾33頁(PDF37頁)には,「イ 司法修習終了後5年6月経過時点(修習資金の返還開始時点)での残債務額」という記載があります。
(2) 平成29年6月7日付の司法行政文書不開示通知書によれば,裁判所HPに掲載しているものを除き,修習資金貸与金の管理マニュアルは存在しません。
3(1) 司法修習ナビゲーションHPの「貸与金制度は利用するべきでしょうか?」には,以下の記載があります。
弁護士になって、売れっ子になれば、300万円や400万円というお金は、場合によっては、一か月の仕事で稼いでしまえるお金です。
そう、実際、吉田は今年、一か月単位の売上は300万円よりは多いです。
そういう、「それなりの弁護士」になることができたのは、やはり、司法修習という人生経験で弁護士としての基盤をしっかりとつくったからだと思います。
貸与制の借金を払い終えるころというのは、弁護士15年目ということになると思います。
弁護士経験15年目の弁護士が「返済に悩むレベル」というのは、3千万から3億円というレベルです。
貸与制の300万円というのは、悩みというには少額すぎる金額です。
ゴーマンをかますというわけでもありませんが,15年目の弁護士にとっては,300万というのは鼻クソです。
鼻クソのことで悩む必要は,普通は,ないと思います。
そういうわけで、悩むことなく、堂々と借金して、精一杯に修習を経験して、楽々と借金を返済してください。
(2) シュルジーブログの「15年目の弁護士にとっては,300万というのは鼻くそです。」(2017年9月29日付)には以下の記載があります。
借金の条件が破格だということと、給費が貸与と同じかどうかは、別のことでしょう。
返済しなければならない債務としての負担の重さは、利息の有無や返済期間とは関係なく、人によるとしか言いようがありません。
同じく、15年目の弁護士にとって300万が鼻クソかどうかも、人によるとしか言えません。
気安く貸与を推奨して、もしその人の人生が狂ったりした場合に、この先生は責任を取れるんでしょうか。
本当の論点は、「貸与を受けるかどうか」などということでは、もはやないのですよ。
我々に突きつけられる問題とは、「法曹は目指すべき職業なのかどうか」です。
4 「司法修習生の修習資金貸与制」も参照して下さい。