刑事確定訴訟記録の保管機関が検察庁となった経緯

1 戦前は検事局が保管していたこと
   昭和22年5月3日に裁判所法が施行されるまで,各裁判所に検事局が付置されていました(裁判所構成法6条1項)。
   そのため,刑事裁判が確定した場合,その執行に当たる検事局が裁判所の「付置」期間として刑事確定訴訟記録を保管することは当然のことでした。

2 刑事訴訟法の制定及びその後の状況
(1)ア 裁判所法及び検察庁法施行により,検察庁が裁判所から分離しましたから,検察庁が裁判終結後の記録をわざわざ裁判所から送付を受けたうえで,保存することについて合理的理由があるかが問題となりました。
   昭和23年2月15日設置の法務庁は,刑事記録は従前通り検察庁が保管すべきと主張したのに対し,最高裁判所は,裁判所が作成した刑事記録は裁判所が保管するのが当然であると主張しました。
結局,両者の主張の一致を見るに至りませんでしたから,制定当時の刑事訴訟法(昭和23年7月10日法律第131号)53条4項は,「訴訟記録の保管及びその閲覧の手数料については、別に法律でこれを定める。」と定め,将来の「別の法律」に対立する議論の決着をゆだねることとしました。
イ 刑事記録については,刑事訴訟法施行後も民刑訴訟記録保存規程(大正7年6月3日司法省法務局庶第7号訓令)を基準として,検察庁が保管することとなりました。
(2)   昭和45年11月,検務関係文書等保存事務暫定要領(法務省刑事局長通達)が制定され,禁固以上の刑の判決原本については永久保存とされました。
   「暫定要領」とされたのは,刑事訴訟法53条4項に基づく法律が制定されるまでの暫定措置という意味合いがあったからです。
(3) これらの点に関して,辻辰三郎法務省刑事局長は,昭和46年9月3日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
① 刑事の確定訴訟記録の保管につきましては、ただいま御指摘のとおり、刑事訴訟法では第五十三条の第四項におきまして、法律で別に定めることになっておるわけでございます。
   ところで、この法律は現在まだできておりません。なぜできてないかという問題になるわけでございますが、これは現行刑訴法になりまして、手続構造が旧法とはたいへん変わってきたわけでございます。
   確定記録の保管庁が裁判所であるか検察庁であるかという点につきましていろいろな意見、いろいろな説がございます。そういう点でまずこの説を調整をしなければならないという点が第一点でございます。
② それから第二点は、この現行刑訴ができましてから各種の確定訴訟記録につきまして、どういう記録はどれくらいの保存期間を設けるべきかどうかというような各記録ごとの保存期間というものが法施行当時すぐにきめられるということは、きめられたかもしれませんが、やはり多少の運用の実績を見てからきめるのが相当であろうということで、この保存期間を少し運用実績を見てからやろうという配慮もあったわけでございまして、そういう事情で現在までこの点の法律が制定されていないわけでございます。
③ そこで、現在どうなっておるかということになりますと、確定記録は大部分は検察庁において保管をいたしておりますけれども、一部の高等裁判所あるいは最高裁判所もそれに当たるかと思うのでございますが、一部の裁判所におきましては判決原本というようなものは裁判所で御保管になっておるという実情もございます。
   しかしながら、大部分の確定訴訟記録は、現状におきましては検察庁が保管をいたしておるわけでございますので、私どもといたしましては、この法律ができ上がるまで保存事務の適正を期するという観点から、施行当時から最近まではずっと昔の通達によりましてまかなってまいったわけでございますが、本年に至りましてとりあえず暫定措置といたしまして、検察庁に保管しております訴訟記録につきましては新たな取り扱い要領を定めまして、法律ができますまでの適正な保存事務を行なっていこうということにいたしておるわけでございます。

3 刑事確定訴訟記録法の制定
(1) 昭和63年1月1日施行の刑事確定訴訟記録法(昭和62年6月2日法律第64号)では,刑事確定訴訟記録の保管機関は検察庁となりました。
(2)   この点に関して10期の吉丸眞最高裁判所事務総局刑事局長は,昭和62年5月26日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
① 訴訟記録はもともと裁判所が訴訟上作成、保管するものであるということなどから、確定後も引き続き裁判所において保管するのが相当であるというような考え方もございます。
   しかし他方、判決の確定後には、先ほど法務省からも御説明がございましたとおり、検察庁において裁判の執行指揮その他各種の事務を行うこととなりますところ、これらの事務を適正かつ円滑に行うためには訴訟記録を必要とするという実情がございます。
   現行刑訴法の制定過程におきまして裁判所と法務省との間で見解が分かれたのは、主として今申し上げましたようなところからでございます。
② その後、確定記録は御承知のとおり法律の制定を見ないまま検察庁が保管してまいりましたが、その間の運用を見てみますと、確かに裁判の執行等のために訴訟記録は検察庁において保管する必要があるというふうに認められます。
   また、記録を保管する実際上の必要といたしましては、裁判所の方が、例えば確定後にも書記官に対する司法行政上の監督権の行使等のために必要であるというような事情はあったわけでございますが、この点につきましても、この間の運用から見ますと、裁判所と検察庁との間でその点を調整することによって格別の支障なく運用されてきたという状況もございます。
   そのようなことを考えまして、今回の立法に当たりましては特に裁判の執行その他の事務の適正円滑な実現というようなところを重く考えまして、検察庁で保管するのが相当であるというふうに考えたわけでございます。
③ 無罪判決の場合に裁判の執行等の問題が生じないということにつきましては、委員御指摘のとおりでございます。
   ただ、御承知のとおり無罪判決は比較的数が少ないということもございますし、有罪判決の場合と無罪判決の場合とによって記録の保管の主体を異にするということは実際上いろいろ問題があろうかと思います。
   例えば閲覧その他の点につきましても、統一的に検察庁において保管するということがまさるというふうに考えられるわけでございまして、無罪判決の記録につきましてはいわばそのような統一的な取り扱いという観点から有罪判決の記録に合わせたということでございます。
④ まず現在の状況(注:民事記録に関する保存に関する現在の状況)を御説明申し上げますと、現在は事件記録等保存規程で保存いたしておるわけでございますが、これは、法形式からいたしますと最高裁判所規則の一形態でございます最高裁規程に属するわけでございます。
   また、確定記録の保存に関する事務はもともと裁判所の内部的な司法事務処理に関する事項に当たると考えられます。
   そのようなことで、これが最高裁判所規則の範囲内に属することははっきりいたしておるところだと思います。
   そのような意味で、私どもといたしましては、今後も民事の記録の保存につきましては最高裁判所の規程で定めていくのが適当であると考えております。

令和元年7月採用の国税審判官の研修資料

1 令和元年7月の国税審判官の採用状況
   令和元年7月10日付で,以下のとおり国税審判官(特定任期付職員)が採用されました。
札幌支部:1人(弁護士1人)
東京支部:5人(税理士3人,公認会計士2人)
名古屋支部:2人(税理士2人)
大阪支部:2人(弁護士2人)
広島支部:2人(弁護士1人,税理士1人)
高松支部:1人(公認会計士1人)
福岡支部:1人(公認会計士1人)
合  計:14人(弁護士4人,税理士6人,公認会計士4人)

2 新任審判官研修
   令和元年7月29日(月)に財務省本庁舎4階(国税不服審判所の大会議室(南430))で実施された研修の資料は以下のとおりです。
・ 令和元事務年度「新任審判官研修」資料一覧表
・ 新任審判官(新規採用者)研修日程表
・ 新任審判官(新規採用者)研修受講者名簿
・ 新任審判官(新規採用者)研修配席図
・ 審判所の役割・組織
・ 法曹出身者から見た国税不服審判所
・ 新任審判官研修(国家公務員倫理法関係)
・ 新任審判官研修(国家公務員の倫理)(国税庁人事課)
・ 新任審判官研修(ハラスメントの防止等)(国税庁人事課)
・ 国家公務員倫理教本(平成31年3月)(国家公務員倫理審査会)
・ 義務違反防止ハンドブック-服務規律の保持のために-(平成31年3月)(人事院)
・ 国家公務員倫理カード(国家公務員倫理審査会)
・ 監察官講話~非行の根絶~
・ 国税審判官(特定任期付職員)の採用について(令和元年7月10日付け)
・ 国税審判官(特定任期付職員)の支部別採用者内訳
・ 参考資料

3 短期研修「審判実務」
   令和元年7月30日(火)から同年8月2日(金)にかけて,税務大学校和光校舎で実施された,短期研修「審判実務」の資料は以下のとおりです。
(7月30日)
・ 「審判実務」時間割表
・ 和光校舎までの交通経路等について
・ 「審判実務」研修生名簿
・ オリエンテーション資料
・ 参考資料(法規集)
・ 審判所の現状と課題等
・ 審判所長講話
→ 当時の国税不服審判所長は,40期の脇博人裁判官です。
(7月31日)
・ 審査事務の概要1/32/3及び3/3
・ 審査事務の概要(参考資料)
・ 審判所事務運営の方針
・ 審査請求の基礎知識
(8月1日)
・ 裁決書起案の留意事項
・ 裁決書起案の留意事項(参考資料)
・ 審判所における審理の実際
(8月2日)
・ 裁決書の概要
・ 事例研究(演習問題)
・ 事例研究(解説)
・ 徴収関係審判実務
・ 徴収関係事件の審理の手引(執務参考資料)




検視,解剖,調査及び検査並びに病理解剖等

目次
第1 司法検視及び行政検視
1 司法検視
2 行政検視
3 犯罪行為により死亡したと認められる死体,及び変死体
第2 死亡診断書又は死体検案書の記載事項証明書の取得方法
1 戸籍の届書類の記載事項証明書
2 利害関係人による証明書の取得
3 戸籍の届書類の保存期間
4 法務省の資料
第3 司法解剖,行政解剖及び監察医制度
1 司法解剖
2 司法解剖としての死体解剖の謝金
3 行政解剖
4 監察医制度
第4 調査及び検査
1 警察による取扱死体の調査
2 解剖の要否に関する判断の実情
3 その他
第5 病理解剖
1 病理解剖及び病理医
2 病理解剖が必要な具体例
3 医事関係訴訟に関する統計
第6 解剖学の雑メモ
第7 孤独死の後始末
第8 検視規則

第1 司法検視及び行政検視
1 司法検視
(1) 検視とは,人の死亡が犯罪に起因するものであるかどうかを判断するため,五官の作用により死体の状況を見分(外表検査)する処分をいいます。
   検視は,犯罪の有無を発見するために行われる捜査前の処分であって,捜査そのものではなく,その意味で検証とは異なります。
(2)ア 変死体(変死者又は変死の疑いのある死体をいいます(検視規則1条)。)があるときは,その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は,検視をしなければなりません(刑事訴訟法229条1項)。
イ 検察官の代わりに司法警察員が検視をすることを代行検視といいます(刑事訴訟法229条2項及び検視規則5条)。
(3) 検視を行うにあたっては,令状なくして以下の処分をすることができます。
① 変死体が存在する場所に立ち入ること。
② 変死体を検査すること。
・ 医学的に外表検査と認められる限度で,眼瞼(がんけん),肛門(こうもん)を検査するなどの身体検査をすることができます。
③ 所持品等の調査
(4) 死体について検視その他の犯罪捜査に関する手続が行われるときは,当該手続が終了した後でなければ,当該死体から臓器を摘出してはなりません(臓器の移植に関する法律7条)。
(5) 衆議院議員細川律夫君提出検視、検案、司法解剖等に関する質問に対する内閣答弁書(平成16年6月29日付)には以下の記載があります。
   刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第一項に規定する検視(以下「検視」という。)は、変死者又は変死の疑いのある死体について、その死亡が犯罪に起因するものかどうかを判断するために、五官の作用により死体の状況を見分する処分と解される。これは、検視が、変死者又は変死の疑いのある死体が存在する場合には、その背後に犯罪が伏在していることが多いと考えられることから、それらの犯罪の発見及び捜査を的確かつ迅速に行うため、緊急に行う捜査前の処分であることによるものであり、このような検視についての解釈を変更する必要はないと考えている。
2 行政検視
(1) 行政検視とは,軽犯罪法第1条第18号その他一定の行政法規に基づく申出,届出,報告,通報等により,犯罪による疑いが全くない不自然死体,例えば,行旅病死者(行き倒れ),水死体,自殺死体,災害死体等につき,公衆衛生,感染症予防,死体の処理,身元の確認等の行政目的から,警察官等が死体を見分する手続をいいます。
   犯罪捜査とは直接の関係がなく,対象・目的において司法検視とは異なります(医師法21条,戸籍法89条及び92条,行旅病人及行旅死亡人取扱法7条1項,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律12条6項,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する規則93条1項,死体解剖保存法8条等)。
(2) 行政検視の過程で,変死者又は変死の疑いがあると認めたときには,司法検視の手続に切り替えられます。
(3) 自宅で家族が死亡した場合,かかりつけ医が24時間以内に診察をしていて死亡診断書(医師法19条ただし書)を作成できるときを除き,行政検視が実施されることがあります(小さなお葬式HP「検視の流れ|御遺体が警察に安置されたらやるべきこと」参照)。
3 犯罪行為により死亡したと認められる死体,及び変死体
(1) 犯罪行為により死亡したと認められる死体については,犯罪捜査の手続として検証又は実況見分が実施され,変死体(変死者又は変死の疑いのある死体をいいます(検視規則1条)。)については検視が実施されることとなります(「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律等の解釈について」(平成25年3月8日付の警察庁刑事局捜査第一課長の文書)2頁参照)。
(2) 変死者とは,自然死(老衰死,通常の病死等)でないいわゆる不自然死で,犯罪による死亡ではないかという疑いのある死体をいいます。
   変死の疑いのある死体とは,自然死か不自然死か不明の死体であって,不自然死の疑いがあり,かつ,犯罪によるものかどうか不明なものをいいます。
(3) 不自然死には,①犯罪死(殺人,過失致死等),②変死(犯罪による死亡ではないかという疑いのあるもの)及び③非犯罪死(水泳中の溺死,衆人環視の中での飛び降り自殺,落雷による感電死等)があります。

第2 死亡診断書又は死体検案書の記載事項証明書の取得方法

1 戸籍の届書類の記載事項証明書
(1) 戸籍の届書類(添付書類を含む。以下同じ。)については,これを市区町村が保管している間は当該市区町村が,法務局に送付された後は当該法務局が,それぞれ届書類の記載事項証明書を発行しています(戸籍法48条2項)。
(2) 戸籍法施行規則48条2項に基づき,市区町村は毎月,管轄の法務局に戸籍の届書類を送付しています。
2 利害関係人による証明書の取得
(1) 利害関係人は,特別の事由がある場合,死亡届に添付された死亡診断書又は死体検案書の記載事項に関する証明書を市区町村又は法務局において取得できます(戸籍法48条2項)(佐賀地方法務局HP「戸籍の届書記載事項証明書の請求について」参照)。
(2) 本籍地とは異なる,死亡地又は住所地の市区町村に死亡届が提出された場合,当該市区町村は遅滞なく本籍地に死亡届を送付します(戸籍法施行規則26条)ところ,控えとしてコピーした書類を1年間,保存しています(戸籍法施行規則48条3項)。
   そのため,この期間内であれば,当該市区町村においても死亡届に添付された死亡診断書又は死体検案書の記載事項に関する証明書を取得できます(戸籍法48条2項)。
3 戸籍の届書類の保存期間
   法務局における戸籍の届書類の保存期間は27年が原則である(戸籍法施行規則49条2項)ものの,戸籍事務がコンピュータ化されている場合,戸籍の副本データが遅滞なく法務局に送信される関係で5年です(戸籍法施行規則49条の2)。
4 法務省の資料
   戸籍制度に関する研究会(法務省)の資料としての,「システムの一元化に伴う制度の見直しの要否について」が参考になります。

第3 司法解剖,行政解剖及び監察医制度
1 司法解剖
(1) 検証,実況見分又は検視の結果,犯罪性がある,又は犯罪性が疑われる場合,犯罪の捜査をするについて必要があるときに当たるとして,検察官又は司法警察職員は,医師に鑑定を嘱託します(刑事訴訟法223条1項)。
   嘱託を受けた医師は,鑑定処分許可状(刑事訴訟法225条1項)に基づき,死体を解剖します(刑事訴訟法168条1項)ところ,これを司法解剖といいます(死体解剖保存法2条1項4号参照)。
(2) 司法解剖の場合,遺族の承諾は不要です(死体解剖保存法7条3号)。
(3) 平成31年1月29日付の法務省の連絡文書によれば,検察修習における司法修習生の解剖立会いの実施方法が書いてある文書は存在しません。
(4) 検察修習中に犯罪死体又は変死体が出てきた場合,司法修習生として司法解剖に立ち会う機会がありますところ,法律よもやま話HP「変死体と検視・司法解剖」には以下の記載があります(改行を追加しました。)。
① 当然、犯罪死でありまともな死体ではない。私の見たのは母親と子供を殺害した事件の被害者両名の司法解剖であった。
   解剖は外傷のある部分だけ行うわけではない。頭部に傷はなくても、頭蓋骨をノコギリで切り開いて脳を取り出して観察するのである。もちろん胸や腹の中の臓器は当然である。
   しかも、摘出した臓器をどんどん無造作に積み重ねていく。ひとつひとつ戻しながら見分するのではないのである。そこには「もと人間であったもの」という尊厳はない。肉屋じゃないんだから勘弁してくれ、という感じである。
   しかし、そうでもしなければ解剖は1時間や2時間じゃ終わらないのである。
② それより辛いのは死体そのものの匂い、薬品の匂いである。匂いが気分に与える影響は極めて大きい。
   私は解剖の場面をビデオに録画したものであれば平気で見ていられると思うが、匂いがあるととても辛い。私は脂汗を流して耐えていた。
③ 司法解剖の最後もひどい。臓器はどんどん摘出して積み上げているから、元通りに戻るはずがない。
   だから、だいたいの位置にとにかく入れる(というか、突っ込む)のである。子供の脳などは、柔らかいため摘出するともとの位置には戻らないそうで、何と脳はお腹に入れ、頭には別の臓器を詰めていた。
   閉じてしまえば外観上は分からない。しかし、もうそこでは死体は単なる物である。
2 司法解剖としての死体解剖の謝金
(1) 警察法37条1項・警察法施行令2条4号は,犯罪鑑識に必要な検案解剖委託費は国庫が支弁するとしています。
(2) 衆議院議員細川律夫君提出検視、検案、司法解剖等に関する質問に対する内閣答弁書(平成16年6月29日付)には以下の記載があります。
 警察法施行令(昭和二十九年政令第百五十一号)第二条第四号に掲げられている「犯罪鑑識に必要な検案解剖委託費及び謝金」としては、刑事訴訟法第二百二十九条第二項に基づき司法警察員である警察官が行う検視への立会いに係る死体検案謝金、同法第二百二十三条第一項に基づき警察官が鑑定を嘱託して行われる死体の解剖に係る死体解剖謝金等が計上されており、これらは、予算科目上、医師等に対して支払う謝金として区分され、所要の予算措置が講じられている。
 警察官が刑事訴訟法の規定に基づき鑑定を嘱託する場合には、犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)第百九十二条第一項により、鑑定の経過及び結果が簡単であるときを除き、鑑定人から、鑑定の日時、場所、経過及び結果を記載した鑑定書の提出を求めるようにしなければならないとされており、死体の解剖を伴う鑑定については、通常、鑑定人から鑑定書が提出されているものと承知している。
なお、死体の解剖は大学における医学教育・研究の一環として必要な業務であるという側面もあり、死体解剖謝金と医師等の行為との間に必ずしも対価性があるとは考えていない。

 警察法施行令第二条第四号に掲げられている「犯罪鑑識に必要な検案解剖委託費」とは、司法警察員である警察官が行う検視に医師の立会いを求める場合又は死体の解剖を伴う鑑定を警察官が嘱託する場合に必要となる経費であり、こうした経費については警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第三十七条第一項の規定により国庫が支弁することとされている。これらの規定に基づき前述の死体検案謝金、死体解剖謝金等の予算措置が講じられているのであるから、「法令に違反している」との御指摘は当たらない。
3 行政解剖
(1) 公衆衛生,食中毒の原因調査,検疫感染症の検査,死因調査のために行う解剖を行政解剖といいます(死体解剖保存法2条1項3号,5号,6号及び7号)。
(2) 公衆衛生(監察医制度が前提です。)又は死因調査のために解剖を行う場合,遺族の承諾は不要です(死体解剖保存法7条3号)。
   しかし,食中毒の原因調査又は検疫感染症の検査のために解剖を行う場合,原則として遺族の承諾が必要です(食品衛生法59条,検疫法13条2項)。
(3) 衆議院議員細川律夫君提出検視、検案、司法解剖等に関する質問に対する内閣答弁書(平成16年6月29日付)には以下の記載があります。
   刑事訴訟法に規定する手続以外の手続により行われた解剖において、当該死体につき犯罪と関係のある異常が認められたときは、死体解剖保存法(昭和二十四年法律第二百四号)第十一条により、死体を解剖した者は、二十四時間以内に解剖をした地の警察署長に届け出なければならないこととされ、これにより捜査機関への情報提供がなされ、適正な捜査活動の開始が期待されることから、刑事訴訟法に規定する解剖とそれ以外の解剖とが制度上区別されていることによる特段の弊害はないと考えている。
4 監察医制度
(1) 政令で定める地を管轄する都道府県知事は,その地域内における伝染病,中毒又は災害により死亡した疑のある死体その他死因の明らかでない死体について,その死因を明らかにするため監察医を置き,これに検案をさせ,又は検案によっても死因の判明しない場合には解剖させることができます死体解剖保存法8条)。
(2) 監察医が設置されているのは,東京23区内,横浜市,名古屋市,大阪市及び神戸市です(監察医を置くべき地域を定める政令。なお,厚生労働省HPの「監察医制度の概要」参照)。
(3) 千葉大学付属法医学教育研究センターHP「Vol.4 監察医制度の落とし穴」には以下の記載があります(改行を追加しました。)。
① 司法解剖が行われる場合、警察本部から検視官が出動し、所轄署に対して適切な捜査指揮を行う。
全ての変死体に関して、初動捜査の一環として司法解剖が実施されている限り、綿密な死因調査の上に、充分な状況捜査がなされることが期待できるので、正しい結論が導き出される可能性が比較的高い。
② 監察医の検案による遺体の処分は、警察本部への報告も、検視官から要請される追加捜査も要さないし、また監察医の行う行政解剖実施に当たっては裁判所への令状請求も要さないので、司法解剖に比べれば格段に簡便な手続きなのである。

第4 調査及び検査
1 警察による取扱死体の調査
(1) 警察官は,犯罪行為により死亡したと認められる死体又は変死体「以外の」死体について,その死因及び身元を明らかにするため,外表の調査,死体の発見された場所の調査,関係者に対する質問等の必要な調査をしなければなりません(警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律(平成24年6月22日法律第34号)4条2項)。
(2) 警察署長は,取扱死体(犯罪捜査の手続きが行われる死体を除きます。)について,その死因を明らかにするために体内の状況を調査する必要があると認めるときは,警察嘱託医を通じて,その必要な限度において,体内から体液を採取して行う出血状況の確認,体液又は尿を採取して行う薬物又は毒物に係る検査,死亡時画像診断等を行うことができます(警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律5条1項及び2項)。
(3) 警察署長は、取扱死体の組織の一部を採取した場合において、当該取扱死体の身元を明らかにするため必要があると認めるときは、警視庁又は道府県警察本部の科学捜査研究所長に当該資料を送付することにより、当該資料のDNA型鑑定を嘱託することができます(死体取扱規則(平成25年国家公安委員会規則)4条1項)。
2 解剖の要否に関する判断の実情
(1) 警察署長は,取扱死体について、国公立大学法人又は学校法人等に所属する医師その他法医学に関する専門的な知識経験を有する者の意見を聴き,死因を明らかにするため特に必要があると認めるときは,解剖を実施することができます。この場合,当該解剖は医師に行わせるものとされています(警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律6条1項)。
(2) 千葉大学付属法医学教育研究センターHP「Vol.16 停滞を続ける死因究明制度改革」には,「法医学者の意見を聴くように規定されたものの、現実には電話で「持っていってもいいか」の確認をするのみで終わっている。わが国は解剖の要否を一切警察官の判断に依っているのが実情だ。」と書いてあります。
3 その他
(1) 警察庁HPに「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律等の解釈について」(平成25年3月8日付の警察庁刑事局捜査第一課長の文書)が載っています。
(2) メディカルリサーチ株式会社HP「画像鑑定」にCTやMRIを使用した死亡時画像診断のことが書いてあります。
   ただし,入墨等がある遺体についてMRI検査をした場合,加熱による物理的変化が発生するという問題があります(遺体管理学HP「死因究明のためのAi」参照)。
(3) 行旅中に死亡して引取者がいない者を行旅死亡人といいます(行旅病人及行旅死亡人取扱法(明治32年3月28日法律第93号)1条1項)ところ,行旅死亡人となった場合,その状況,遺留物件等が官報に公示されます(行旅病人及行旅死亡人取扱法9条)。
(4) 指掌紋(ししょうもん)の取扱については以下の文書があります。
① 指掌紋取扱規則(平成9年国家公安委員会規則第13号)
② 指掌紋取扱細則(平成18年12月26日付の警察庁訓令)
③ 十指指紋の分類に関する訓令(昭和44年9月4日付の警察庁訓令)

第5 病理解剖
1 病理解剖及び病理医
(1)   病理解剖とは,御遺族の承諾のもとで病死された患者さんの御遺体を解剖することをいい,略称は「剖検(ぼうけん)」です。また,剖検率とは,その病院で1年間に亡くなった患者さんに対する剖検数の割合をいいます(済生会滋賀県病院HP「3.剖検率」参照)。
(2) 病理解剖,組織診断及び細胞診断を行う医師として病理医がいます(日本病理学会HP「病理医」参照)。
2 病理解剖が必要な具体例
(1) 日本病理学会HP「病理解剖について」によれば,病理解剖が必要な具体例は以下のとおりです。
①  診療中の病気の経過や死因について、臨床的には説明がつかない、あるいは、病理解剖以外の方法では確実な説明がつかない場合*
②  病理解剖によって、予期されなかった合併症が明らかになると考えられる場合
③  診療行為中、あるいはその直後に予期されない死亡をされた場合**
④  治療中の方で、院内において突然死あるいは予期されない死亡**をされ、診療行為と関係がないと考えられると同時に、司法解剖の対象とならない場合***
⑤  治験、臨床研究に参加している方が亡くなられた場合
⑥  臓器移植のドナー(臓器提供者)、ならびにレシピエント(臓器移植を受けた方)が亡くなられた場合
⑦  病理解剖の結果によって、ご遺族や一般の人の不安や疑念が解消できると考えられる場合
⑧  妊産婦の方が亡くなられた場合(全例)
⑨  全ての周産期あるいは小児死亡例
⑩  職業、あるいは環境に関連する原因で亡くなられたと考えられる場合
⑪  心肺停止状態で搬送された方で、その死亡について事件性がなく、司法解剖などの対象ではない場合****
 * 死因については、臨床的な検討や死亡時画像などに基づく方法によっても判断されるが、確実な診断を得るには病理解剖を行うことが望ましい。
**医療法に定められた医療事故調査制度の対象になる死亡例が含まれる。調査制度の「予期されない死亡」の定義については、平成27年厚生労働省令第100号(平成27年5月8日付交付)を参照のこと。
*** 診療中の患者さんが治療中の疾患あるいは治療行為に関係なく突然、あるいは予期せず死亡した場合をさす。例えば就寝中に死亡していた場合などが挙げられる。
**** 司法解剖および「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律」の対象となる場合(いわゆる新法解剖)は病理解剖の対象とならない。
(2) 病理解剖に必要な費用は原則として病院が負担するため,患者及びその遺族が支払う必要はないそうです。
   また,病理解剖でご遺体及びその臓器を調べた結果は,生前の症状や検査結果と総合的に判断して「病理解剖診断書」としてまとめられ,1ヶ月から数ヶ月後に主治医に報告されます。ご遺族の方も,主治医を通じて病理解剖診断書について知ることができるそうです。
3 医事関係訴訟に関する統計
   以下の統計を掲載しています。
① 平成16年から平成29年までの医事関係訴訟新受件数(地裁別)
② 医事関係訴訟既済件数(診療科目別)(平成18年~平成30年3月)

第6 解剖学の雑メモ
1 溺死した死体の肺には水が入っているのに対し,陸で死んだ死体の肺には空気が入っていますから,陸で死んだ死体が海で見つかった場合,その人は殺害されたと推測されます(ウェブ1丁目図書館HP「海に死体を遺棄しても必ずばれる。解剖学の前では素人の浅知恵は通用しない。」参照)。
2 外傷がない死体は,何が死因か見た目で判断するのは困難ですし,その死体を解剖するのも手間がかかります。
   しかし,死亡時画像診断(Ai)として死体をCTやMRIで画像診断をすれば,メスを入れる前に怪しい部分を発見できる場合があります。
   脳や胸部に異常が見られるとなれば,その部分だけを解剖すれば,それで死因を究明できるといわれています(ウェブ1丁目図書館HP「死亡時画像診断(Ai)導入で困るのは警察でも医師でもなく製薬会社かもしれない 」参照)。

第7 孤独死の後始末
   「仏壇・位牌の整理」をしたい人向け,お役立ち情報サイト「遺品整理&孤独死後の仕舞い」に以下のページが載っています。
・ 孤独死を発見したら最初にすること:慌てないための初期対応
・ 孤独死発見後の緊急対策:腐敗臭とハエの拡散防止
・ 孤独死の部屋の消臭方法:死臭(腐敗臭)はどうすれば消えるか?

第8 検視規則
   検視規則(昭和33年11月27日国家公安委員会規則第3号)は以下のとおりです。

(この規則の目的)
第一条 この規則は、警察官が変死者又は変死の疑のある死体(以下「変死体」という。)を発見し、又はこれがある旨の届出を受けたときの検視に関する手続、方法その他必要な事項を定めることを目的とする。
(報告)
第二条 警察官は、変死体を発見し、又はこれがある旨の届出を受けたときは、直ちに、その変死体の所在地を管轄する警察署長にその旨を報告しなければならない。
(検察官への通知)
第三条 前条の規定により報告を受けた警察署長は、すみやかに、警察本部長(警視総監又は道府県警察本部長をいう。以下同じ。)にその旨を報告するとともに、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第一項の規定による検視が行われるよう、その死体の所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官に次の各号に掲げる事項を通知しなければならない。
一 変死体発見の年月日時、場所及びその状況
二 変死体発見者の氏名その他参考となるべき事項
(現場の保存)
第四条 警察官は、検視が行われるまでは、変死体及びその現場の状況を保存するように努めるとともに、事後の捜査又は身元調査に支障をきたさないようにしなければならない。
(検視の代行)
第五条 刑事訴訟法第二百二十九条第二項の規定により変死体について検視する場合においては、医師の立会を求めてこれを行い、すみやかに検察官に、その結果を報告するとともに、検視調書を作成して、撮影した写真等とともに送付しなければならない。
(検視の要領)
第六条 検視に当つては、次の各号に掲げる事項を綿密に調査しなければならない。
一 変死体の氏名、年齢、住居及び性別
二 変死体の位置、姿勢並びに創傷その他の変異及び特徴
三 着衣、携帯品及び遺留品
四 周囲の地形及び事物の状況
五 死亡の推定年月日時及び場所
六 死因(特に犯罪行為に基因するか否か。)
七 凶器その他犯罪行為に供した疑のある物件
八 自殺の疑がある死体については、自殺の原因及び方法、教唆者、ほう助者等の有無並びに遺書があるときはその真偽
九 中毒死の疑があるときは、症状、毒物の種類及び中毒するに至つた経緯
2 前項の調査に当つて必要がある場合には、立会医師の意見を徴し、家人、親族、隣人、発見者その他の関係者について必要な事項を聴取し、かつ、人相、全身の形状、特徴のある身体の部位、着衣その他特徴のある所持品の撮影及び記録並びに指紋の採取等を行わなければならない。

募集停止又は廃止された法科大学院38校に対する支援額は約266億円であること等に関する国会答弁

○募集停止又は廃止された法科大学院38校に対する支援額は約266億円であることが明らかにされた,令和元年6月18日の参議院文教科学委員会における国会答弁は以下のとおりです。
○松沢成文参議院議員は日本維新の会所属であり,柴山昌彦衆議院議員は文部科学大臣(53期の弁護士でもあります。)であり,伯井美徳政府参考人は文部科学省高等教育局長です。

○松沢成文君 (中略)
   大臣、今回のこの法曹教育の改革、法科大学院含めたこの改革ですね、結果を見ると、今までの法科大学院の実績というのは、失礼ですけど、惨たんたるものだったわけですよね。最初三千人と言っていた人数も、もう半分以下になってしまっていますしね。それから、法科大学院の数だって七十六校あったのが、もう今三十八校ぐらい募集停止して、まあ募集停止というのは柔らかい言葉だけど、民間企業だったらもう事業諦めて潰れているわけですよね、法科大学院が潰れているわけです。合格率だって七、八割というのを予想していた。予想していたというか、そこまで持っていって受験者を増やしたい、あるいはより質の高い法曹を増やしたいと言っているのに、現実は二割ですよね。
   やっぱり、政治は結果責任ですから、この十五年間の法科大学院制度というのは、私は結果を見ると大失敗だったと言わざるを得ないと思うんですけれども、大臣は、この十五年間の法科大学院制度やってきて、失敗だったという認識はありますか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 今御指摘になられた、その当初の見込みですね、平成十三年六月の司法制度改革審議会の意見書においては、平成二十二年頃には合格者数の年間三千人の達成を目指すと、これは要するに将来の需要予測ということです。そして、法科大学院修了者のうち相当程度、例えば七、八割の者が合格できるように充実した教育を行うべきということ、そして、法科大学院の設置は基準を満たしたものを認可することとして広く参入を認める仕組みとすべきことが提言をされ、そして、この特に第三点目によって、法科大学院の創設時に非常に多くの大学が言わばブームに乗るようにして設置に手を挙げ、そして政府の側も、規制緩和の流れの中で基準を満たした法科大学院については広く参入を認めて、その後、競争による自然淘汰に委ねるという姿勢を貫いてしまった結果、過大な定員規模となり、その結果、非常に合格率が低く、当初のもくろみが甘かったということになって、その後の希望者の急激な縮小ということにつながったわけですから、率直に言って、私は見込み違いによって当初予定していた姿とは大分違ったものになってしまったということを認め、そして反省をしなければいけないというように思っております。
   この間、もっと早く、例えば定員の削減とか補助金の抜本的な縮減、特に合格率の低い大学に対してですね、ということを行わなくちゃいけないんじゃないかということを私も実は政治の中でいろいろと訴えてきたんですけれども、対応が遅れることによって傷口が深くなってしまったということは、率直に言って認めざるを得ないと思います。
○松沢成文君 大臣は失敗だったとは言えないと思いますけどね、立場上。ただ、見込み違いで大きく最初の計画から狂ってしまって、その結果については反省をしているという立場ですよね。まさに、大臣一人がこの制度を背負ってやってきたわけじゃない、今文科大臣としてこの法改正をしなきゃいけない立場なんで、なかなかそこは言えないのは分かるんですが、ただ、やっぱり政治というのは結果責任ですので、これだけ惨たんたる結果であったということは、私はこれで成功だとは言えないですよね、絶対に言えないと思います。物事は成功か失敗しかないわけで、やはり結果としては失敗だったと私は言わざるを得ないと思うんですね。
   もう少し質問を進めますと、現在までに募集停止や廃止された法科大学院、三十八校ございます。この三十八校に国庫から支出された補助金や交付金の総額はいかほどでしょうか。このうち、施設に充てられたものと法科大学院の教授などの人件費に充てられたものの額はどうなっていますでしょうか。
○政府参考人(伯井美徳君) お答え申し上げます。
   国立大学に対する運営費交付金や私立大学の経常費補助金は、特定の教育研究組織に対する交付額を切り分けられるものではございませんので、法科大学院に対して支出した金額を正確に算出することはできませんが、予算上の積算等から先生の御指摘に沿って推計を行うと、平成十六年度の制度設立当初から平成三十一年度予算分までにおいて募集停止若しくは廃止された計三十八校の法科大学院に対する支援額は、概算で約二百六十六億円となります。内訳は、国立大学法人運営費交付金が七十二・六億、私立大学等経常費補助金特別補助が百九十三・八億の約二百六十六億となります。
   これらのうち、法科大学院の施設費や教員の人件費に充てられた額については、これ切り分けできないと説明いたしましたが、そういう意味で計算が困難となっております。
○松沢成文君 この十五年間の法科大学院の運営に税金から二百六十六億円出ている、違う、廃止された三十八校に二百六十六億円出ているんですよね。これ、結果としてもう廃止されちゃったわけだから、国費の壮大な無駄遣い、失敗に終わったと指摘されても私は仕方ないと思いますよ。私学で百九十三億、国立で七十億ちょっとですよね。
   これだけの国費が政府の政策立案の失敗で、運用の失敗で、もちろん大学側の努力不足もあると思いますが、結果として国民の税金が二百二十六億円無駄に使われたという事実に対して、大臣はどう責任感じます。
○国務大臣(柴山昌彦君) 確かに、今局長から二百六十六億円、募集停止や廃止された法科大学院に対して公費の投入があったという答弁をさせていただいたわけなんですけれども、例えば、募集停止や廃止された法科大学院の教員が、その実績や経験を生かして法学部など別の組織ですとか、あるいはほかの大学の法科大学院などで勤務をしているということもあります。また、実際に卒業した学生が、母校はなくなったけれどもその後法曹になったということもあるわけですから、必ずしもどぶにそのお金がなくなってしまっているというわけではないというようには思います。
   ただ、委員御指摘のとおり、これまで持続可能な形で法曹養成機関をつくっていくということを目指していたということを考えれば、先ほど申し上げたとおり、見込み違いであったことは非常に遺憾だというように考えておりますし、それは、私の立場としては、文部科学省としてもやはりしっかりとした政策転換の責任を負っているというように考えております。
○松沢成文君 この法科大学院制度をスタートさせた、その制度をつくったときの文科大臣というのはどなたでしたか分かりますか、今。
○政府参考人(伯井美徳君) 遠山文部科学大臣でございます。
○松沢成文君 かなり昔なんで、私もよく覚えていませんけれども、私は、やはり二百二十六億、国の税金が、今募集を停止してしまっている、ある意味でなくなってしまっている法科大学院につぎ込まれた。大臣が言うように、教授もほかの法科大学院に回ってまた継続している方もいますし、様々な要因もあるので、全てがどぶに捨てたわけじゃない、継続して生かされている部分もあるというのは分かりますが、でも、法科大学院をつくった以上、それはもう全校が全て成長していくとは思いませんよ、競争の世界もあるわけだから、しかし半分以上がなくなってしまっている。
   これ、持続可能な法曹養成制度になっていないわけですよ、このことの失敗、それから国費二百六十六億、全額じゃないけれども、その大部分は投資したけれどもそのリターンがなかったわけですね。この大失敗に対して、当時の文科大臣が私は謝罪せよとは言いませんが、私は、国民の皆さんにこの失敗についてはきちっと謝罪をする、あるいは誰かが責任を取る、それぐらいの大きな政府の失政だと私は考えているんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 繰り返しになりますけれども、やはり先ほども答弁をさせていただいたとおり、ずっと長らく法の支配をしっかりと日本全国津々浦々に広げていく、また、新しいリーガルサービスのニーズに従った形で法曹人口を増やしていくという目的、そして、それがこれまで、ともすると、やはり様々な既得権の壁に阻まれてなかなか進んでこなかったという中にあって、やはり政治主導で大胆な改革を進める必要があったということは、これは一面、私は非常に有意義だったというように思います。
   ただ、そのときの見込みがかなり違った部分があったということについては、また、その後の対応についても適切な対応が遅れてしまったということについては、真摯に反省をしなければいけないというように考えております。
○松沢成文君 ちょっと角度を変えますが、今回の法改正によって法科大学院を更に充実していこうということですよね。この改正によって、じゃ、今後は三十八校に続く募集停止をする学校、もうそれはなくなって、少なくとも、あと残っている、今残っている学校は持続可能な法科大学院として成長できる、そういうふうに大臣として明言できますか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 今後は法改正によって合格に要するコストや時間が短縮され、そして何よりも、法科大学院の入学者数の総数についても現状の定員規模を上限に制度的に管理をしていく、そういった質と量の改革というものを進めていくわけですから、もちろん、今後しっかりと法改正の進捗について、定数管理がどのように行われているかということを注意深く検証を続けていく必要はあるかというふうに思いますけれども、これまでのような失敗というのはもう起きないというように考えております。

厚生労働省労働基準局の,労災保険に係る訴訟に関する対応の強化について

労災保険に係る訴訟に関する対応の強化について(平成22年8月4日付の厚生労働省労働基準局補償課労災保険審理室長の事務連絡(平成29年3月29日最終改正))の本文は以下のとおりです。

1 訴訟追行における密接な連携等
(1) 適切な事前協議の実施
   応訴方針に係る労災保険審理室との協議については、平成17年3月30日付け事務連絡「労災保険に係る訴訟に関する応訴方針等について」の記の1において、新規提訴された全ての事件について行うこととされている。
   したがって、全ての新規提訴事件について、事前協議(新件協議(当室において会議形式で行うものをいう。以下同じ。)又は担当中央労災補償訟務官との書面等による協議)を行うこととし、担当中央労災補償訟務官との協議の結果、新件協議を行わないこととした事件についても、担当中央労災補償訟務官と必ず書面等により事前協議を行う。
(2) 原審判決区分Ⅲ又はⅣの訴訟事件の控訴審対応
   平成28年度に、最高裁において1件、高裁において10件の敗訴判決があったことから、当分の間も判決区分Ⅲ又はⅣであって勝訴した事件のうち、一審の判決内容に国側主張と異なる事実認定がされている事件等が上訴された場合は、控訴審における応訴方針について、事前に中央労災補償訟務官あて、応訴方針案等を送付した上で、新件協議に準じた協議を行う。

2 応訴方針の協議等
(1) 応訴方針に係る協議について
   事前協議に当たっては、その1週間前までに応訴方針案(別添様式1)及び医師意見書(原告側及び国側)を担当中央労災補償訟務官あて送付した上で、応訴方針案の適否、国側医師意見書の適否等について協溌する。
(2) 事前協議後の対応について
   事前協議において、応訴方針等に関する指摘事項等があった塙合は、事前協議後2週間以内を目途に当該指示事項を踏まえて応訴方針の修正案を作成し、担当中央労災補償訟務官に送付する。

3 新件協議を行わない場合の適切な事前協議(書面等による協議)の実施
   上記1(1)の担当中央労災補償訟務官との書面等による協議は、新件協議に準じて処理する。

4 労災保険審理室と都道府県労働局が共同して処理する事件への対応
(1) 労災保険審理室と都道府県労働局が共同して処理する事件の指定
   労災保険審理室と都道府県労働局が共同して処理する事件(以下「共同処理事件」という。)は、新件協議及び担当中央労災補償舩務官との書面による協議の結果を踏まえて労災保険審理室長が指定する。
(2) 共同処理事件の指定対象とする事件
   敗訴した際に行政実務に重大な影響を与えることが予想される下記に掲げる労災訴訟事件を指定対象とする。
ア 脳・心臓疾患事件、精神障害事件、石綿関連疾患事件など認定基準等への影響の大きいもの
イ 労働基準法施行規則別表1の2及び告示(平成8年3月29日付け労働省告示33号・改正平成25年9月30日)において示されている疾病に含まれない疾病(化学物質過敏症など)を争点とする事件
ウ 一審で勝訴し控訴された(敗訴し控訴した)事件で上記に準じる事件
エ その他、特に労災保険審理室の指導・支援が必要と認められる事件
(3) 都道府県労働局における対応
   共同処理事件に関して、都道府県労働局が対応する必要のある事項を以下(アからオ)に具体的に記述する。
ア 新件協議等における指摘事項に係る実施状況(補充調査、関係者の聴取等)については、実施後速やかに担当中央労災補償訟務官に報告するとともに、調査結果等を送付し、立証内容等について協識する。
イ 法務局又は選任弁護士(以下「法務局等」という。)との協議(期日における協議を含む。)を行った場合、協議後速やかに担当中央労災補償訟務官に内容を報告するとともに、協議によって作成することとした書証、必要な人証等について担当中央労災補償訟務官と協議する。
ウ 準備書面案の作成、尋問案等の作成、医学証人や専門医等の確保、医師意見書等の作成などの各段階において担当中央労災補償訟務官と協議する。
   答弁書、準備書面、医師意見書等の案及び準備書面等での主張に係る証拠を、原則として法務局等への提出期限の3週間前までに担当中央労災補償訟務官に送付し、内容を協議する。
   証拠調で証人尋問が行われる場合には、尋問案及びその根拠となる書証等を原則として法務局等への提出期限の2週間前までに担当中央労災補償訟務官に送付し、内容を協議する。
工 相手側準備書面等については、入手後速やかに担当中央労災補償訟務官に送付し、対応を協議する。その際、原告等相手側準備書面の主張についての証拠を併せて送付する。
オ 最終の口頭弁論期日の前の期日終了後、双方の主張及び証拠を整理した上で、準備書面及び証拠提出の要否について担当中央労災補償訟務官と協議する。
(4) 都道府県労働局管理者による事案の把握と指示
   労災補償課長は、法務専門員等の積極的な活用を図り、共同処理事件の処理体制の強化に努める。
   労災補償課長など局管理者は、共同処理事件として指定された事件について、準備書面案の作成、尋問案の作成、医学証人や専門医の確保、医師意見書等の作成などの各段階において進ちょく状況を把握するとともに、提訴後事前協議までの間(必要に応じて原告側から医師意見書が提出された口頭弁論期日終了後)に、調整官、補佐、監察官、その他必要な職員を構成員とする応訴方針検討会議を開催し、主張・立証方法等の適否や補充調査の必要性等(山中注:不開示部分8文字)について検証した上で、必要な指示を行う。

(山中注:12行ぐらいの不開示部分がある。)

(5) 中央労災補償訟務官における対応
   担当中央労災補償訟務官は、都道府県労働局の指定代理人と同様、準備書面作成や医証の確保などについて、都道府県労働局と共同して訴訟を処理する。(下記アからキ)
ア 新件協議における本省指示事項を速やかに作成し、都道府県労働局に提示
イ 原告等相手側主張に対する反論方針の検討
ウ 準備書面案、尋問案等の作成
工 医学証人や専門医等の確保、医師意見書等の作成
オ 準備書面作成のために必要な資料(医学専門書など)の確保・提供
力 原告等相手側主張に対する反論漏れや主張不足の有無の確認
キ その他

5 労災保険審理室への報告等
(1) 新件協議等における指摘事項に係る実施状況の報告
   新件協議等における指摘事項に係る実施状況(補充調査、関係者の聴取等)について、実施後速やかに担当中央労災補償訟務官に別添様式2「共同処理事件に関する対応状況報告」に、調査結果等を添付して報告する。(上記4の(3)のア)
(2) 訴訟追行上の問題点等の報告
   共同処理事件として指定された事件については、以下アからウの場合に別添様式「共同処理事件に関する対応状況報告」により口頭弁論期日、弁論準備期日等(以下「口頭弁論期日等」という。)における法務局等の指示の具体的内容や訴訟追行上の問題点(問題点と必要とされる対応とをできる限り書き分ける。)等を、その都度速やかに報告する。
ア 上記4の(3)のアの指摘事項に基づく対応に問題が生じた場合
イ 法務局等との協議を行った場合(上記4の(3)のイ)
   法務局等から新たな指示があった場合、及び本省指摘事項と異なる指示等があった場合
ウ 次回口頭弁論期日等に備えた準備書面案、尋問案等を作成した場合、医学意見書(案を含む。)を入手した場合及び医学証人や専門医を確保した場合(依頼をしようとする場合など確保の準備を行うときを含む。) (上記4の(3)のウ)
工 原告等相手側から準備書面、医学意見書等が提出された堀合(上記4の(3)の工)
(3) 報告に当たっての留意点
ア 上記(2)イについて、協議の結果、作成することとした書証や必要な人証等に関する資料、及び証拠化した書証等を併せて送付する。
イ 上記(2)ウについて、準備書面案、尋問案、医学意見書(案を含む。)、及び根拠となる書証等を添付して報告する。
   医学証人や専門医の医学意見書等の確保(依頼)に当たっては、候補者の所属、専門分野その他参考となる事項を記載すること。
ウ 上記(2)エについて、原告等相手側準備書面の主張についての証拠を併せて送付する。

6 共同処理事件に指定しない事件等の処理
   共同処理事件に指定しない事件又は新件協議の対象としない事件については、担当中央労災補償訟務官と準備書面案等の事前送付(上記4、 (3)、ウ)等の対応の要否を協議する。
   原告等相手側準備番面等については、入手後直ちに担当中央労災補償訟務官に送付する。
   その際、原告等相手側準備書面の主張についての主要な証拠も併せて送付する。
   証拠調で証人尋問が行われる場合には、尋問案を法務局等に提出する2週間前までに担当中央労災補償訟務官に送付し、内容を協議する。
   最終の口頭弁論期日の前の期日終了後、必要に応じて双方の主張及び証拠を整理した上で、準備書面及び証拠提出の要否について検討し、担当中央労災補償訟務官に報告する。

7 共同処理事件の随時指定と指定解除
   共同処理事件として指定を行っていない事件であって、原告等から新たな主張がなされたこと等により、共同処理事件として指定する必要が生じた事件、判決区分Ⅱの訴訟事件であって、一審で勝訴した事件のうち、一審の判決内容に国側主張と異なる事実認定がされている事件等判決の内容に問題が認められる事件は、都道府県労働局労災補償課長等と協識の上、共同処理事件として追加指定する。
   また、訴訟の進行に伴い、共同処理事件として処理する必要性が消滅した事件については、都道府県労働局労災補償課長等と協議の上、共同処理事件の指定を解除する。

係争中の労災行政事件訴訟等の現状(厚生労働省労働基準局補償課労災保険審理室長説明資料からの抜粋)
労災行政事件訴訟の推移(厚生労働省労働基準局補償課労災保険審理室長説明資料からの抜粋)

 

厚生労働省労働基準局の,文書提出命令等に対する具体的な対応

裁判所等からの文書提出命令等に対する具体的な対応について(平成14年3月1日付の厚生労働省労働基準局総務課長の通達(平成28年4月1日最終改正))によれば,以下のとおりです。

1 調査の嘱託について
   調査の嘱託は、文書送付の嘱託が書証として労働基準行政機関が保有する文書そのものの送付を求めるものであるのに対し、書証としてではなく、調査事項について文書による報告を求める点で異なるが、職務上知り得た私人の秘密に関する情報の保護及び公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれ等に十分配慮した上で、客観的事実について報告すること。

2 文書送付の嘱託について
(1) 対象となる文書
   裁判所から、労働基準行政機関が保有する労働災害の発生状況等客観的事実を把握できる文書や関係者からの証言等の文書について提出を求められた場合には、職務上知り得た私人の秘密に関する情報の保護及び公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるか否か等に十分配慮し、適切な対応を行うべきものである。
   これを踏まえ、文書送付の嘱託に応じて提出する主な文害は次のとおりとすること。
ア 関係者からの提出文書
(ア) 事業主がら届出のあった各種報告書、就業規則届又は労使協定届
(イ) 事業主が作成した出勤簿、賃金台帳、勤務時間表、超過勤務証明書、業務日誌等業務内容報告書、人事経歴簿、人員組織構成表、配置表又は作業手順表
(ウ) 事業主からの回答書(業務内容、勤務実態等に関するもの)
(エ) 定期健康診断実施結果(被災者のもの)
(オ) 事故に関係した機器類の機能等(寸法、規格等を含む)の説明書
(カ) 被災者又は当該被災者の親族、上司、同僚その他の関係者(以下「親族等」という。)が作成した手帳、日記、メモ等
(キ) 労災保険の支給請求書
(ク) 各種許認可申請書
イ 関係者からの聴取害等
   被災者本人又は当該被災者の親族等の聴取書、陳述書等
ウ 労働基準行政機関が発出した文書
(ア) 労災保険支給(不支給)決定通知書等(控)
(イ) 是正勧告書(控)
(ウ) 指導票(控)
(エ) 安全衛生指導書(控)
(オ) 主治医に対する意見照会書(控)
(カ) 各種許認可書(控)
エ 医師の作成した文害等
(ア) 主治医作成の診断書、診療録、レントゲン写真、検査結果又は死亡診断書
(イ) 主治医又は専門医作成の意見書又は鑑定書
(ウ) 公的機関からの回答書
(気象台からの回答書、検死調書等警察からの回答書)
オ 他の官公署からの各種証明書等(上記(エ)ウに掲げるものを除く。以下同じ。)
カ 労働基準行政機関の職員が作成した復命書等
(2) 具体的手続について
   強制手続である文書提出命令とは異なり、文書送付の嘱託に対して労働基準行政機関が保有する上記(1)の文書を裁判所に提出するに当たっては、
① 文書提出者等が当該文霧の一部分について開示を望まない場合には、当該部分を黒塗りして提出すること.
② 同意の確認に関する経過については記録することに留意するとともに、それぞれ下記により対応すること。
ア 関係者からの提出文書
   文書送付の嘱託申立人(以下「申立人」という。)から提出された文書については、文害送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、その写しを提出すること。
   申立人以外の者から提出された文書については、当該者の利害に配意する必要があることから、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうか、当該者に対し同意確認を行った上で、同意力鳴られた場合にのみ、その写しを提出すること。
   また、同意が得られなかった場合には、当該文書の標題のみを回答すること。
   なお、当該文書に、申立人以外の者に係る情報が記載されている場合には、当該部分を黒塗りして提出すること。
イ 関係者からの聴取書等
   申立人の聴取書等については、文書送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、その写しを提出すること。
   申立人以外の者の聴取書等については、当該者の秘密に関する情報の保護に十分配意する必要があることから、次の手順により処理すること。
(ア) 聴取した者に対し、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうかの
同意確認を行うこと。
(イ) 同意が得られた場合には聴取書等の写しを裁判所に提出することとするが、同意が得られない場合にはその旨、次の例を参考に文書により裁判所に回答すること。
「◯月◯日、文書送付の嘱託のあった件につき、◯◯ほか◯名の聴取書(写)を別添のとおり送付します。なお、◯名については本人の同意が得られなかったため提出は差し控えます。」
※ 同意の得られなかった者についてはその人数のみを回答すること。ただし、同意しない者が訴舩の相手方当事者であるときは、同意しない者の氏名を秘匿する必要がないので、この場合は相手方当事者の氏名を回答して差し支えないこと。
ウ 労働基準行政機関が発出した文書
   労働基準行政機関が、申立人に発出した文書については、文書送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、その写しを提出すること。なお、当該文書に、申立人以外の者に係る情報が記載されている場合には、当該部分を黒塗りして提出すること。
   申立人以外の者に発出した文書については、当該者の秘密に関する情報の保護に十分配意する必要があることから、上記イの手順に準じて処理すること。
エ 医師の作成した文書等
   医師の意見書等の文書については、医師等が職務上知り得た事実で秘密にすべき事項が含まれている場合があるため、当該医師等に対し、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうかの同意確認を行った上で、同意が得られた場合にのみ、その写しを提出すること。
   なお、同意が得られなかった場合には、上記イの(イ)の手順に準じて処理すること。
オ 他の官公署からの各種証明書等
   基本的には他の官公署において提出を判断すべきことであるが、災害発生後相当期間経過し、当該証明害等を保有していないなど、当時の証明等を改めて当該官公署から求めることが困難な場合に限り、労働基準行政機関が文書提出に協力すること。
力 労働基準行政機関の職員が作成した復命書等
   労働基準行政機関の職員が作成した復命番等の文書に係る文書送付の嘱託がなされた場合には、当該文書の記載内容に応じて個別に対応すること。
   文書提出の範囲は、原則として、①調査担当官が職務上知ることができた事業場等にとっての私的な情報に関する部分とし、②行政内部の意思形成過程に関する情報の部分については、黒塗りして提出すること。
   なお、①の情報に該当するもののうち、申立人に係る情報については、文書送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、該当部分について提出することとなるが、申立人の相手方当事者に係る情報については、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうかの同意確認を行い、同意が得られなかった部分については、公知の事実を除き、提出しないこと。
   申立人及び申立人の相手方当事者以外の第三者を特定する情報については、同意確認が困難であることから、黒塗りして提出すること。
同意確認に際して、対象文書そのものの提示が困難である場合には、提出対象とされる各情報の項目を列挙して提示をするなど、包括的な方法によらざるを得ないものであることから、同意の判断に当たっては、守秘義務の観点から慎重に行う必要があることに留意すること。
   また、関係者から聴取した内容がそのまま記載又は引用されている部分や、医師の作成した文書等からそのまま記載又は引用されている部分については、当該部分について、上記(2)のイないしはエと同様に取り扱うこと。
(3) 担当裁判所書記官等への説明等
   上記の(2)の結果、文書を提出することができない場合及び申立人からの申出の内容に照らし、十分応えることができない場合には、担当裁判所書記官等に対してその理由を詳しく説明し、理解を得るべく努めることが肝要であること。
   また、このような場合であっても、調査内容における客観的事実についての回答をすることにより対応が可能である場合には、記の1に準じて対応すること。

3 本省との協議について
   調査の嘱託又は文書送付の嘱託がなされ、本省と協議を行う必要がある場合には、それぞれの業務所管課に対して行うこと。
   なお、都道府県労働局労働基準部所管課及び総務部労働保険徴収主務課(東京労働局にあっては労働保険徴収部所管課)が本省労働基準局担当課と協議する場合は、都道府県労働局労働基準部監督課を窓口とし、本省労働基準局総務課を経由して行うこと。
   また、都道府県労働局雇用環境・均等部又は雇用環境・均等室が労働基準行政に係る文書等について本省労働基準局担当課と協議する場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部企画課又は雇用環境・均等室を窓口とし、本省労働基準局総務課を経由して行うこと。
   また、裁判所が文書提出命令の決定に先立って行う審尋について意見を述べるに当たって事前に競技する場合も同様とすること。

厚生労働省労働基準局の,文書送付嘱託に対する対応(要旨)

平成30年度全国労災補償課長会議資料のうち,資料Ⅵ-5 平成30年3月26日付け事務連絡「文書提出命令等に係る業務参考資料の送付について」に含まれる「厚生労働省労働基準局の,文書送付嘱託に対する対応(要旨)」によれば,以下のとおりです。

文書送付嘱託に対する対応(要旨)

文書送付の嘱託に対して労働基準行政機関が保有する各文書を裁判所に提出するに当たっては、①文書提出者等が当該文書の一部分について開示を望まない場合、当骸部分を黒塗りして提出すること、②同意の確認に関する経過について記録することに留意し、下記により対応。

1 関係者からの提出文書
◯ 文書送付の嘱託申立人(申立人)から提出された文書→写しを提出
◯ 申立人以外の者から提出された文書→同意が得られた場合にのみ、写しを提出
◯ 同意が得られなかった場合→文書の標題のみを回答
◯ 文書に申立人以外の者の情報が記載されている場合→当該部分を黒塗りして提出

2 関係者からの聴取書等
◯ 申立人の聴取書等→写しを提出
◯ 申立人以外の者の聴取書等→当該者の秘密に関する情報の保護に十分配意し、次の手順により処理
① 聴取した者に対し、文書送付の嘱託に応じてよいかどうかの同意確認を実施
② 同意が得られた場合→聴取書等の写しを裁判所に提出
③ 同意が得られない場合→その旨を次の例を参考に文書により裁判所に回答
「◯月◯日、文書送付の嘱託のあった件につき、◯◯ほか◯名の聴取書(写)を別添のとおり送付しますもなお、◯名については本人の同意が得られなかったため提出は差し控えます。』
同意の得られなかった者についてはその人数のみを回答
同意しない者が訴訟の相手方当事者であるときは、相手方当事者の氏名を回答

3 労働基準行政機関が発出した文書
◯ 労働基準行政機関が、申立人に発出した文書→写しを提出
◯ 当該文書に、申立人以外の者に係る情報が記載されている場合→当該部分を黒塗りして提出
◯ 申立人以外の者に発出した文書→上記2の手順に準じて処理。

4 医師の作成した文書等
◯ 医師の意見書等の文書→当該医師等に対し、同意確認を行った上で、同意が得られた場合にのみ、その写しを提出
◯ 同意が得られなかった場合→上記2の③の手順に準じて処理

5 他の官公署からの各種証明書等
◯ 基本的には他の官公署において提出を判断’
◯ 災害発生後相当期間経過し、当該証明書等を保有していないなど、当時の証明等を改めて当該官公署から求めることが困難な場合に限り、労働基準行政機関が文書提出に協力

6 労働基準行政機関の職員が作成した復命書等
◯ 労働基準行政機関の職員が作成した復命書等の文書に係る文書送付の嘱託がなされた場合、当該文書の記載内容に応じて個別に対応
◯ 文書提出の範囲→原則として、①調査担当官が職務上知ることができた事業場等にとっての私的な情報に関する部分とし、②行政内部の意思形成過程に関する情報の部分については、黒塗りして提出
◯ ①の情報に該当するもののうち、申立人に係る情報→該当部分について提出
◯ 申立人の相手方当事者に係る情報→同意確認を行い、同意が得られなかった部分については、公知の事実を除き、不提出
◯ 申立人及び申立人の相手方当事者以外の第三者を特定する情報→同意確認が困難であることから、黒塗りして提出
◯ 同意確認に際して、対象文書そのものの提示が困難である場合、提出対象とされる各情報の項目を列挙して提示をするなど、包括的な方法によらざるを得ないことから、同意の判断は、守秘義務の観点から慎重に実施
◯ 関係者から聴取した内容がそのまま記載又は引用されている部分、医師の作成した文書等からそのまま記載又は引用されている部分→上記1ないし4と同様

平成30年度全国労災補償課長会議資料

平成30年度全国労災補償課長会議資料を以下のとおり掲載しています。

◯資料Ⅰ  労災管理課長説明資料
資料Ⅰ-1 プレスリリース資料「雇用保険、労災保険等の追加給付のスケジュールの見通しを示す「工程表」を作成しました」
資料Ⅰ-2 平成31年度予算案の概要(労働保険特別会計労災勘定)

◯資料Ⅱ 主任中央労災補償監察官説明資料
資料Ⅱ-1 「平成30年度中央労災補償業務監察結果報告書」

◯資料Ⅲ 労災保険財政数理室室長説明資料
資料Ⅲ-1 労災保険経済概況
資料Ⅲ-2 労災保険の積立金について
資料Ⅲ-3 労災保険の積立金と保険料収入の関係
資料Ⅲ-4 労災保険率設定の基本的考え方
資料Ⅲ-5 労災保険率について

◯資料Ⅳ 石綿対策室室長説明資料
資料Ⅳ-1 アスベスト訴訟への対応について
資料Ⅳ-2 工場型アスベスト訴訟実績推移
資料Ⅳ-3 工場型訴訟個別周知リーフレット
資料Ⅳ-4 建設アスベスト訴訟の概要及びこれまでの判決結果

◯資料V 補償課職業病認定対策室長説明資料
資料V-1  「労働基準法施行規則第35条専門検討会」報告書

◯資料Ⅵ 補償課労災保険審理室長説明資料1/22/2
資料Ⅵ-1 係争中の労災行政事件訴訟等の現状
資料Ⅵ-2 労災行政事件訴訟の推移
資料Ⅵ-3 平成22年8月4日付け事務連絡「労災保険に係る訴訟に関する対応の強化について」
資料Ⅵ-4 審査請求事案の現状
資料Ⅵ-5 平成30年3月26日付け事務連絡「文書提出命令等に係る業務参考資料の送付について」
資料Ⅵ-6 行政不服審査法に基づく審査請求一覧

◯資料Ⅶ 補償課医療福祉担当補佐説明資料
資料Ⅶ-1  アフターケア通院費リーフレット

◯資料Ⅷ 補償課業務担当補佐説明資料
資料Ⅷ-1 平成31年度労災補償業務の運営にあたって留意すべき事項について(庵)
資料Ⅷ-2 平成30年10月9日付け基発1009第2号「今後の保険給付の迅速処理に当たって留意すべき事項について」
資料Ⅷ-3 平成30年5月21日付け基発0521第2号「今後の労災保険給付等の適正な事務処理に当たって留意すべき事項について」
資料Ⅷ-4 平成23年3月25日付け基労発0325第2号「今後における労災保険の窓口業務等の改善の取組について」
資料Ⅷ-5 平成29年10月27日付け基補発1027第2号「今後の技能実習生の死亡災害に関する労災保険給付の請求勧奨等について」
資料Ⅷ-6 第三者行為災害に係る事務処理の流れ

◯資料Ⅸ 労災管理課総務担当補佐説明資料
資料Ⅸ-1 平成31年度労災、労働保険適用・徴収関係非常勤職員の業務体制
資料Ⅸ-2 平成31年1月22日付け地発0122第10号・基総発0122第1号・職総発0122第1号・雇均総発0122第1号・開総発0122第1号・政統総発0122第4号「平成31年度の都道府県労働局における非常勤職員の勤務条件等について」(抄)
資料Ⅸ-3 平成31年1月22日付け事務連絡「平成31年度の都道府県労働局における非常勤職員の勤務条件等の決定に係る留意事項について」(抄)

労災保険率について(労災保険財政数理室室長説明資料からの抜粋)
係争中の労災行政事件訴訟等の現状(補償課労災保険審理室長説明資料からの抜粋)
労災行政事件訴訟の推移(補償課労災保険審理室長説明資料からの抜粋)

国民年金基金及び確定拠出年金に関する国会答弁

1 香取照幸厚生労働省年金局長は,平成27年8月28日の衆議院厚生労働委員会において以下の答弁をしています。
① まず、国民年金基金と個人型のDCの違いですが、先生お話ありましたように、非常にわかりやすく言いますと、国民年金基金は、確定給付型、いわばDBと同じように給付型の年金ですので、給付の基本的な設計が異なっているということがございます。
 ただ、機能としてはいずれも自営業者や一号被保険者の方の自助努力を支援するということで、そういう意味では目的は共通するものがあるということで、それぞれメリット、デメリットがございまして、個々人の御判断によって加入されるということになります。
 国民年金基金は、平成元年に法律が成立して平成三年から適用しておりますので、こちらの方が歴史が長いものでございますし、こちらは地域型と職能型という形で二つの形があるわけですけれども、御案内のように、国民年金基金の加入者自身は少しずつ減少傾向にある。
 これは、そもそも一号全体の数が減っている。自営業者の数が減っているということもございますし、もう一つは、お話ありましたように、一号の中で、いわゆる自営業者といいますか純粋一号といいますか、本来の制度が想定している一号の方々は、全体の一号の数の減少よりもさらに実は減少している。一号の中で、一定の所得のある方、パート労働の方とか、そういう被用者で一号になっている方もふえているということもありまして、国民年金基金の場合には、掛金の水準等々からいって一定の所得のある方が入るということになりますので、そういった自営業者の方が減っているということもあって少なくなっているというふうに思っております。
 その意味でいいますと、個人型の確定拠出年金の方が、個々人の方の制度設計、個々人の御判断で掛金が決められるということになりますと、入りやすいといいますか取り組みやすい制度ということになりますので、一号被保険者の方の対応が変わってきているということも頭に置きながら、国民年金基金と個人型の二つの制度を御用意して入っていただくということを考えております。
 数字でいいますと、今、国民年金基金が四十五万人、確定拠出に関しましては、平成二十六年度末、直近でいきますと、約二十一万人の方が入っておられる。
 いずれにしても、一号全体から比べると非常に数が少ないわけでございまして、これからその適用拡大を図っていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
② 先ほどちょっと答弁漏れがございましたが、個人型のDCと国民年金基金に重複で入っておられる方は約六千名ぐらいいらっしゃるということでございます。
 どちらが有利かということで言いますと、税制上は同じ枠の中でやることになりますので、その意味では、どちらをどういうふうに組み合わせるかということはありますが、若い方が継続的にお掛けになる、若いうちから入るということを考えますと、国民年金基金はたしか一口目が七千円ぐらいから始まるんだと思うんですが、割と高い水準から上がるということになりますので、例えば、少ない金額、三千円、四千円ぐらいから始めて、自分の年齢がいったときに積み上げていって大きくしていくといったような形を考えますと、早い段階から入ってずっと続けるということであれば、入り口はやはり個人型から入るという方が恐らく取り組みやすいということになろうかと思います。
 いずれにしても、両方加入できるということから考えますと、年齢によって、自分の所得や就労形態に応じて、途中で例えば国民年金に入るとか掛金を変えていくとかできますので、その意味では、早く始めるということでいいますと、入りやすいというか、最初に取り組みやすいのは個人型ということになろうかと思います。
③ ポータビリティーという観点でいいますと、個人型は、今回の制度改正で、お話しのように企業型への移換あるいは継続というのができるようになりますが、国民年金基金はそれがありませんので、お話しのように、生涯自営業、家が代々自営業でというような方ですと国民年金基金ということになりますが、その意味では、脱サラをされたりあるいはパートで働いたりということで一号でいらっしゃる方の場合には、先々のことを考えると個人型の方が便利であるということはあろうかと思います。
 国民年金基金なんですが、お話しのように、今回の制度改正の過程でも、国民年金基金についても同様のポータビリティーを認めていただく必要があるのではないかということは私どもも議論をしましたが、実は国民年金基金は、制度をつくったときの経緯もございまして、御案内のように、付加年金というのがくっついていることになっています。この付加年金部分は国庫負担が入っているということもございまして、給付としては非常に小さい部分なんですが、制度設計上はやはりちょっと制度のたてつけが違っているということもございまして、なかなかそこは、税務当局を含め、制度の趣旨が違っているので、今の段階で一足飛びにポータビリティーを認めるということについては、なかなかそういう結論がいただけなかったということでございます。
 ただ、お話しのように、先々のことを考えますと、国民年金基金についても同様な御議論もありますし、国民年金基金の当事者といいますか事業体の方からは、例えば二号とか三号の方についても個人型同様加入できるようにするというのはないのかとか、幾つか御要望をいただいております。そういったものも含めて今後考えていかなきゃいけないと思っております。
 それから、限度額については、前回のこの委員会でも御答弁申し上げましたが、それぞれ制度をつくっていく中で税制当局と調整をしながらこういった形でなってきましたので、今現在、個人型が事実上皆さんが入られるとなった今の状況で見ますと、確かに、でこぼこしているし、移動した場合に限度額が変わってしまいますと、さまざま利益、不利益が出るということがございます。なので、今後、公的年金の二階の一元化でありますとかパートの適用拡大等々が進む中で、やはり三階についてもある程度共通のルールで限度額を考えるということをこれから早急に詰めて、これは税務当局と御相談しなければいけないことでもございますけれども、先生の御指摘のようなことも踏まえてちょっと検討してまいりたいと思っております。

2 以下の記事も参照してください。
① 日本弁護士国民年金基金
② 個人型確定拠出年金(iDeCo)

資産運用をする場合,手数料を気にすることが非常に大事であることが分かります。

国会制定法律の一覧へのリンク

衆議院HP「制定法律の一覧」につき,平成元年以降の制定法律へのリンクを張っています。衆議院の解散は赤文字で,参議院議員通常選挙は緑文字で表記しています。

第197回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成30年11月30日法律第82号から平成30年12月14日法律第105号まで
第196回国会(常会)制定法律の一覧
平成30年2月7日法律第1号から平成30年7月27日法律第81号まで
第195回国会(特別会)制定法律の一覧
平成29年12月15日法律第77号から同日法律第86号まで
第194回国会(臨時会)制定法律の一覧(平成29年9月28日解散)
(制定法律なし)
第193回国会(常会)制定法律の一覧
平成29年2月8日法律第1号から平成29年6月23日法律第76号まで
第192回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成28年10月19日法律第75号から平成28年12月26日法律第115号まで
第191回国会(臨時会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第190回国会(常会)制定法律の一覧(平成28年7月10日参議院議員通常選挙)
平成28年1月26日法律第1号から平成28年6月7日法律第74号まで
第189回国会(常会)制定法律の一覧
平成27年2月12日法律第1号から平成27年10月2日法律第78号まで
第188回国会(特別会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第187回国会(臨時会)制定法律の一覧(平成26年11月21日解散)
平成26年11月12日法律第104号から平成26年11月28日法律第137号まで
第186回国会(常会)制定法律の一覧
平成26年2月17日法律第1号から平成26年6月27日法律第103号まで
第185回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成25年11月20日法律第74号から平成25年12月13日法律第112号まで
第184回国会(臨時会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第183回国会(常会)制定法律の一覧(平成25年7月21日参議院議員通常選挙)
平成25年3月6日法律第1号から平成25年7月3日法律第73号まで
第182回国会(特別会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第181回国会(臨時会)制定法律の一覧(平成24年11月16日解散)
平成24年11月26日法律第93号から平成24年11月26日法律第102号まで
第180回国会(常会)制定法律の一覧
平成24年2月15日法律第1号から平成24年9月14日法律第92号まで
第179回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成23年11月28日法律第113号から平成23年12月16日法律第126号まで
第178回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成23年10月7日法律第111号から平成23年法律第112号まで
第177回国会(常会)制定法律の一覧
平成23年3月22日法律第1号から平成23年8月30日法律第110号まで
第176回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成22年10月29日法律第49号から平成22年12月10日法律第72号まで
第175回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成22年8月11日法律第47号から平成22年8月11日法律第48号まで
第174回国会(常会)制定法律の一覧(平成22年7月11日参議院議員通常選挙)
平成22年2月3日法律第1号から平成22年6月23日法律第46号まで
第173回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成21年11月30日法律第86号から平成21年12月11日法律第100号まで
第172回国会(特別会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第171回国会(常会)制定法律の一覧(平成21年7月21日解散)
平成21年2月20日法律第1号から平成21年7月17日法律第85号まで
第170回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成20年10月22日法律第84号から平成20年12月26日法律第98号まで
第169回国会(常会)制定法律の一覧
平成20年2月14日法律第4号から平成20年6月18日法律第83号まで
第168回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成19年11月16日法律第114号から平成20年1月17日法律第3号まで
第167回国会(臨時会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第166回国会(常会)制定法律の一覧(平成19年7月29日参議院議員通常選挙)
平成19年2月15日法律第1号から平成19年7月6日法律第113号まで
第165回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成18年11月1日法律第99号から平成18年12月22日法律第123号まで
第164回国会(常会)制定法律の一覧
平成18年2月10日法律第1号から平成18年6月23日法律第98号まで
第163回国会(特別会)制定法律の一覧
平成17年10月21日法律第97号から平成17年11月9日法律第124号まで
第162回国会(常会)制定法律の一覧(平成17年8月8日解散)
平成17年2月9日法律第1号から平成17年8月15日法律第96号まで
第161回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成16年10月28日法律第136号から平成16年12月10日法律第167号まで
第160回国会(臨時会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第159回国会(常会)制定法律の一覧(平成16年7月11日参議院議員通常選挙)
平成16年2月16日法律第1号から平成16年6月23日法律第135号まで
第158回国会(特別会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第157回国会(臨時会)制定法律の一覧(平成15年10月10日解散)
平成15年10月16日法律第139号から平成15年10月16日法律第147号まで
第156回国会(常会)制定法律の一覧
平成15年2月5日法律第1号から平成15年8月1日法律第138号まで
第155回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成14年11月22日法律第106号から平成14年12月20日法律第192号まで
第154回国会(常会)制定法律の一覧
平成14年2月8日法律第1号から平成14年8月7日法律第105号まで
第153回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成13年11月2日法律第113号から平成13年12月14日法律第158号まで
第152回国会(臨時会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第151回国会(常会)制定法律の一覧(平成13年7月29日参議院議員通常選挙)
平成13年2月20日法律第1号から平成13年7月11日法律第112号まで
第150回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成12年11月1日法律第1号から平成12年12月8日法律第149号まで
第149回国会(臨時会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第148回国会(特別会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第147回国会(常会)制定法律の一覧(平成12年6月2日解散)
平成12年2月9日法律第1号から平成12年6月7日法律第117号まで
第146回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成11年11月25日法律第139号から平成11年12月22日法律第226号まで
第145回国会(常会)制定法律の一覧
平成11年2月16日法律第1号から平成11年8月18日法律第138号まで
第144回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成10年12月15日法律第144号から平成10年12月18日法律第152号まで
第143回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成10年9月28日法律第110号から平成10年10月22日法律第143号まで
第142回国会(常会)制定法律の一覧(平成10年7月12日参議院議員通常選挙)
平成10年1月30日法律第1号から平成10年6月15日法律第109号まで
第141回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成9年11月21日法律第105号から平成9年12月19日法律第132号まで
第140回国会(常会)制定法律の一覧
平成9年2月7日法律第1号から平成9年7月16日法律第104号まで
第139回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成8年12月11日法律第111号から平成8年12月26日法律第120号まで
第138回国会(特別会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第137回国会(臨時会)制定法律の一覧(平成8年9月27日解散)
(制定法律なし)
第136回国会(常会)制定法律の一覧
平成8年2月20日法律第1号から平成8年6月26日法律第110号まで
第135回国会(臨時会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第134回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成7年10月25日法律第114号から平成7年12月20日法律第137号まで
第133回国会(臨時会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第132回国会(常会)制定法律の一覧(平成7年7月23日参議院議員通常選挙)
平成7年2月15日法律第1号から平成7年6月26日法律第113号まで
第131回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成6年11月7日法律第88号から平成6年12月28日法律第119号まで
第130回国会(臨時会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第129回国会(常会)制定法律の一覧
平成6年2月18日法律第6号から平成6年7月18日法律第87号まで
第128回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成5年11月10日法律第80号から平成6年2月4日法律第5号まで
第127回国会(特別会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第126回国会(常会)制定法律の一覧(平成5年6月18日解散)
平成5年2月16日法律第1号から平成5年7月1日法律第79号まで
第125回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成4年12月16日法律第91号から平成4年12月24日法律第110号まで
第124回国会(臨時会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第123回国会(常会)制定法律の一覧(平成4年7月26日参議院議員通常選挙)
平成4年2月18日法律第1号から平成4年7月2日法律第90号まで
第122回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成3年12月20日法律第97号から平成3年12月24日法律第112号まで
第121回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成3年9月19日法律第86号から平成3年10月5日法律第96号まで
第120回国会(常会)制定法律の一覧
平成2年12月27日法律第77号から平成3年5月24日法律第85号まで
第119回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成2年11月15日法律第76号
第118回国会(特別会)制定法律の一覧
平成2年3月27日法律第2号から平成2年7月3日法律第75号まで
第117回国会(常会)制定法律の一覧(平成2年1月24日解散)
平成2年2月2日法律第1号
第116回国会(臨時会)制定法律の一覧
平成1年11月2日法律第66号から平成1年12月28日法律第96号まで
第115回国会(臨時会)制定法律の一覧
(制定法律なし)
第114回国会(常会)制定法律の一覧(平成1年7月23日参議院議員通常選挙)
平成1年1月11日法律第1号から平成1年7月1日法律第65号まで

*1 一部改正法等の日付から,一部改正法等の原文をすぐに確認できるよう,平成1年以降の国会会期と法律の公布年月日を結びつけました。
*2 衆議院HPには以下の情報があります。
① 国会会期一覧 
→ 昭和22年5月20日召集の第1回国会からの分が記載されています。
② 衆議院議員総選挙一覧表
→ 昭和22年4月25日施行の第23回総選挙から記載されています。
*3 内閣法制局HPの「平成29年1月から現在までに公布された法律(題名)」を見れば,直近の法律の公布日及び法律番号,議員立法かどうか,並びに修正の有無が分かります。
*4 国会会議録検索システムを利用すれば,国会答弁を検索できます。
*5 衆議院HPの「会議録議事情報 会議の一覧」には,第151回国会(平成13年1月31日召集)以降の本会議及び委員会の議事録が載っています。
*6 参議院HPの「付帯決議」には,第164回国会(平成18年1月20日召集)以降の参議院の委員会における付帯決議が載ってあります。
*7 外部HPの「弁護士法の改正」に,弁護士法の改正法に関する新旧対照表等が全部,載っています。
*8 国立国会図書館HPレファレンスに以下の記事が載っています。
・ 予算と法律との関係-日本国憲法の予算理論を中心として-(平成24年1月号)
・ 法令整理-その歴史と可能性-(短報)(平成25年8月号)
・ 戦後主要政党の変遷と国会内勢力の推移(資料)(平成26年6月号)
・ 二院制の意義ならびに参議院の独自性-国会の憲法上の位置付けから見た論点整理-(平成27年4月号)
・ 国会改革の経緯と論点(資料)(平成27年7月号)
・ 議員立法序説(平成27年9月号)
・ 議員立法と内閣立法の諸相-農林・環境分野の立法例を中心に-(平成28年7月号)
・ 主要国議会の法律案提出手続及び法律の成立状況(平成28年12月号)

天皇の生前退位に関する国会答弁

天皇の生前退位に関する国会答弁は以下のとおりです。

横畠裕介内閣法制局長官(28期の検事です。)の,平成29年6月1日の衆議院議院運営委員会における答弁
 天皇がその意思に基づいて退位するということについては、憲法との関係において、まず、憲法第一条が規定する象徴天皇制のもとでふさわしいものであるかどうか。第二点として、御指摘の憲法第四条第一項が「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」と規定していることと抵触しないかどうか。また、三つ目として、憲法上の制度であります天皇、皇室の安定的な維持という観点から問題を生ずることがないのかといった問題があると考えております。
 すなわち、天皇の退位という行為が憲法に規定されている国事に関する行為に当たらないことは明らかでありますことから、天皇の交代という国家としての重要事項が天皇の意思によって行われるものとした場合、これを国政に関する権能の行使に当たるものではないと言えないのではないかという問題、また、仮に天皇がその意思によって退位することができるとした場合、将来においてでありますが、いわゆる退位の強制、例えば天皇に対して退位を迫るような行為が行われることや、いわゆる恣意的な退位、例えば政治的な意図を含んだ退位あるいはその表明が行われるといったことが生じないことを制度として担保することができるのかといった諸問題があると考えられます。

◯羽毛田信吾宮内庁次長の,平成13年11月21日の参議院共生社会に関する調査会における答弁
 現行の皇室典範が御指摘のように天皇の意思によります退位の制度を認めていないということはそのとおりでございます。
 そういうふうになっておりますところのゆえんのものは、一つには、退位を認めるということが、歴史上いろいろ見られましたようないわゆる上皇でありますとか法皇的な存在というもののある種弊害を生ずるというおそれがありはしないかということ、それから、必ずしも天皇の自由意思に基づかない退位ということの強制があり得るということです。
 いろいろ政治的な思惑の中でそういうようなことが起こるというようなことがありはしないかということ、あるいは天皇が恣意的に退位をされるというようなことになりはしないかというようなことを懸念をいたしまして、そういったことを挙げて、天皇の地位を安定させるということが望ましいという観点から退位の制度を認めないということに現行法なっておるわけでございます。
 そういった皇室典範制度の制定当時の経緯というものをやはり踏まえていかなければならないと思いますし、さらに今、先生もちょっとお挙げになりましたけれども、天皇に心身の疾患あるいは事故があるというような場合につきましては、現在も国事行為の臨時代行でありますとかあるいは摂政の制度が設けられておりますので、そういった事態の起きました場合にはそういった対応をする制度もあるということを考えますと、現在の段階で退位制度を設けるというようなことについては私ども考えていないところでございます。

◯宮尾盤宮内庁次長の,平成4年4月7日の参議院内閣委員会における答弁
 これ[注:天皇の生前退位]も現在の皇室典範制定当時いろいろな考え方があったようでございますけれども、その制定当時、退位を認めない方がいいではないか、こういうことで、制度づくりをしたときの考え方といたしましては三つほど大きな理由があるわけでございます。
 一つは、退位ということを認めますと、これは日本の歴史上いろいろなことがあったわけでございますが、例えば上皇とか法皇というような存在が出てまいりましていろいろな弊害を生ずるおそれがあるということが第一点。
 それから第二点目は、必ずしも天皇の自由意思に基づかない退位の強制というようなことが場合によったらあり得る可能性があるということ。
 それから第三点目は、天皇が恣意的に退位をなさるというのも、象徴たる天皇、現在の象徴天皇、こういう立場から考えまして、そういう恣意的な退位というものはいかがなものであろうかということが考えられるということ、これが第三番目の点。こういったことなどが挙げられておりまして、天皇の地位を安定させることが望ましいという見地から、退位の制度は認めないということにされたというふうに承知をいたしております。
 以上でございます。

◯宮尾盤宮内庁次長の,平成3年3月11日の衆議院予算委員会における答弁
1 今御質問の中にあったようなお考え方というものも一つの考え方であろうかと思うのでございますが、ただ、現在の皇室典範にはそういう考え方というものは全く導入されていないわけでございます。現在の皇室典範の制定当時にも、そういうようなことを含めた制度の検討というか考え方がいろいろあったようでございますが、それは現在の典範には取り込まれていない。
 その理由といたしましては、三つぐらいの考え方があったようでございます。第一点は、生前の退位でございますが、退位をするということについては、日本の歴史などを振り返ってみましても明らかなところでありますけれども、例えば上皇とか法皇というような形の存在があったわけでございまして、そういうものが天皇制というものに対していろいろな弊害を生じた過去の歴史的な経験というものが一つあるわけでございます。第二点は、この退位という制度を仮に認めたといたしますと、天皇の自由意思に基づかないでの退位ということがあり得ては非常に困ることになるわけでございます。そういうことの可能性というものを運用によっては残すという問題が出てくる。第三点は、今度は天皇御自身が理由なしに恣意的な形でおやめになるというようなことが出てきては困るということがあるわけでございます。
 そういういろいろな問題がありまして、そういう制度をつくることはいかがなものであろうかということで、現在の皇室典範ではそういう制度を採用していない、退位の制度を認めていない、こういうふうにしてあるわけでございます。
 そしてさらに、仮に天皇陛下に心身の疾患あるいは事故というようなことがある場合には、現在の皇室典範では、現在の制度といたしましては、国事行為の臨時代行に関する法律の制度がありますし、また、典範の中に摂政という制度も認められておるわけでございますから、臨時代行あるいは摂政という制度を活用することによって退位の制度というものを考える必要はないではないかというのが今私どもの基本的な考え方でございます。
2 まず、摂政の規定ですが、この第三条の方はこれは直接摂政の問題では……(沢田分科員「順序ですよね」と呼ぶ)ええ。これは第三条の方は皇位継承順位ですから特にあれはありません、十六条の関係でございますね。
 それで、ここには身体の重患または重大な事故というふうに摂政を置く場合の規定、それから御成年に達しないとき、こういうことがありますが、今お話の中にありましたように、昭和天皇は大変御高齢で天皇としてのお務めをなさったわけでございますが、御病気になる前は、確かに年齢は八十を超えたりいたしまして相当な御高齢に達しておられましたけれども、そういう点から私どもとしましてはいわゆる御負担の軽減ということを実際上は図りながら、しかし天皇としてのお務めというものは立派にお果たしになれたわけでございます。ですから、何歳以上だからそれは隠居をしなければならぬというような考え方をとる必要はないのであって、やはりその年齢にかかわらず、その地位としてのお務めが十分果たせられるならばこれは全く問題がない、ただ御負担軽減というようなものは図っていきましょう、こういうのが私どもの考え方であります。
 ただ現実に、御病気になられた昭和六十二年、それから手術をされたとき、それから昭和六十三年、病いが重くなられたこのときには、これはやはり御公務をお果たしをすることがなかなか困難であったわけでございますから臨時代行の制度を置きまして、これによって天皇としてのお務めを当時の皇太子さんにお果たしいただいた、こういうことになっておるわけでございます。ですから、こういう制度がありますから、高齢化、お年を召したからそういう退位の制度を考えたらどうかという点については、私どもは今全く必要がないのではないかと考えておるわけでございます。

*1 令和の代替わりに際しての天皇の生前退位に関する基本資料は以下のとおりです。
① 象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(ビデオ)(平成28年8月8日付)
② 天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議(平成28年10月17日初会合)最終報告(平成29年4月21日付)
③  天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年6月16日法律第63号),及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法施行令(平成30年3月9日政令第44号) 
④ 天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典準備委員会(平成30年1月9日初会合)基本方針(平成30年3月30日付)
⑤ 天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典委員会(平成30年10月12日初会合)の各種決定
*2 天皇の生前退位の日は,天皇の退位等に関する皇室典範特例法の施行期日を定める政令(平成29年12月13日政令第302号)によって平成31年4月30日とされました。
*3 「令和への改元に関する閣議書及び内閣総理大臣談話」も参照してください。

衆議院の解散に関する内閣答弁書

1 衆議院の解散に関する内閣答弁書としては以下のものがあります。
① 衆議院議員飯田忠雄君提出内閣の衆議院解散権に関する質問に対する答弁書(昭和54年2月16日付)
 衆議院の解散は、憲法第七条の規定により天皇の国事に関する行為とされているが、実質的に衆議院の解散を決定する権限を有するのは、天皇の国事に関する行為について助言と承認を行う職務を有する内閣である。
 憲法第六十九条は、同条に規定する場合には、内閣は、「衆議院が解散されない限り」、総辞職をしなければならないことを規定するにとどまるものと理解している。
 なお、衆議院の解散が憲法第七条の規定によつて行われるものであることは、既に先例として確立しているところであると考えている。
 右答弁する。
② 衆議院議員飯田忠雄君提出内閣の衆議院解散権に関する再質問に対する答弁書(昭和54年3月23日付)
一及び二について
(一) 内閣が実質的に衆議院の解散を決定する権限を有することの法的根拠は、憲法第七条の規定である。
(二) 衆議院の解散は、それ自体としては高度の政治的性質を有する行為であり、したがつて、国政に関するものであることは疑いのないところであるが、天皇は、内閣の助言と承認により衆議院を解散することとされており、ここにいう内閣の助言と承認とは、天皇が行う衆議院の解散について内閣が実質的にこれを決定することを意味すると解されるから、憲法第七条の規定がその法的根拠であると考えられる。
(三) 天皇が行う衆議院の解散は、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が実質的に決定したとこうに従つて形式的・名目的に行うものであるから、右に述べたように解しても、憲法第四条第一項の規定と矛盾するものではない。
(四) (一)に述べたことにより、御指摘の内閣の職務の範囲の逸脱という問題は起こらないと考える。
三について
 衆議院の解散権についての政府の見解は、一及び二についてにおいて述べたとおりであり、衆議院の解散の詔書に対し、多数の議員が万歳をもつてこたえたことをもつて、衆議院の解散の議決があつたものと解することはできないと考える。
四について
 御指摘の質問第五号の質問一、三及び六については、一及び二についてにおいて述べたことによつて承知されたい。
 右答弁する。
③ 参議院議員飯田忠雄君提出衆議院解散詔書の効力に関する質問に対する答弁書(昭和61年4月11日付)
 衆議院の解散は、憲法第七条の規定により、天皇の国事に関する行為として行われるものである。 
 天皇の行う衆議院の解散は、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が実質的に決定したところに従つて形式的・名目的に行うものであるから、天皇が国政に関する権能を行使したことにはならず、したがつて、憲法第四条第一項に違反するものではない。
④ 衆議院議員柿澤未途君提出内閣総理大臣の衆議院解散権に関する質問に対する答弁書(平成23年5月17日付)
一について
お尋ねの衆議院解散権は、内閣が、国政上の重大な局面等において主権者たる国民の意思を確かめる必要があるというような場合に、国民に訴えて、その判定を求めることを狙いとし、また、立法府と行政府の均衡を保つ見地から、憲法が行政府に与えた国政上の重要な権能であり、現行の公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)等の規定の下で内閣が衆議院の解散を決定することは否定されるものではないと考える。
二について
憲法第五十四条の規定により、衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行うこととなる。なお、内閣が衆議院の解散を決定することについて、憲法上これを制約する規定はない。
三について
憲法第五十四条の規定により、衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行うこととされていること等から、選挙期日の特例や任期の特例を規定した御指摘の平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律(平成二十三年法律第二号)と同様の対応をとることはできないものと考える。
四について
仮定の御質問にお答えすることは差し控えたい。なお、内閣が衆議院の解散を決定することについて、憲法上これを制約する規定はない。
⑤ 衆議院議員逢坂誠二君提出内閣の国会召集の権限に関する質問に対する答弁書(平成29年11月10日付)
一、二及び五について
 憲法第五十三条による臨時会の召集の決定と憲法第七条による衆議院の解散とは別個の事柄であり、また、お尋ねの「質問時間を確保して議論を行う」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十九年六月二十二日に衆議院及び参議院から送付のあった臨時国会召集要求書を踏まえ、内閣として諸般の事情を勘案した上で、同年九月二十八日に国会の臨時会を召集することを、同月二十二日に決定したところである。他方、内閣が衆議院の解散を決定することについて憲法上これを制約する規定はなく、いかなる場合に衆議院を解散するかは内閣がその政治的責任で決すべきものと考えている。こうしたことから、「日本国憲法第五十三条の要請するところを踏みにじることにほかならない」との御指摘は当たらない。
三及び四について
 お尋ねの「時間的制約」、「いわゆるプログラム規定」及び「政治的な要請」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として申し上げれば、憲法第五十三条の規定により、いずれかの議院の総議員の四分の一以上から、国会の臨時会の召集要求があった場合には、内閣は、臨時会で審議すべき事項等をも勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に臨時会の召集を行うことを決定しなければならないものと考えている。
⑥ 衆議院議員逢坂誠二君提出内閣の国会召集の権限に関する再質問に対する答弁書(平成29年11月24日付)
一及び二について
 お尋ねの「専ら内閣総理大臣の政治判断により衆議院の解散が決定される」及び「内閣の解散権は内閣総理大臣の自由意思によっても行使できる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、先の答弁書(平成二十九年十一月十日内閣衆質一九五第八号)一、二及び五についてでお答えしたとおり、内閣が衆議院の解散を決定することについて憲法上これを制約する規定はなく、いかなる場合に衆議院を解散するかは内閣がその政治的責任で決すべきものと考えている。
三について
 お尋ねの「論理、価値基準」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「合理的な期間」については、召集に当たって整理すべき諸課題等によって変わるものであるため、一概にお答えすることは困難である。
四について
 お尋ねの「この間、国民の多くが国会を開会し、国政の課題を議論することを望んでいる事実」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
⑦ 衆議院議員奥野総一郎君提出日本国憲法第七条による衆議院解散に関する質問に対する答弁書(平成30年5月11日付)
一について
御指摘の「第一回解散においては、「第六十九条及び第七条」を根拠としてのみ解散を行うことができるとの解釈にたっていた」の意味するところが必ずしも明らかではないが、憲法第六十九条は、同条に規定する場合には、内閣は、「衆議院が解散されない限り」、総辞職をしなければならないことを規定するにとどまり、内閣が実質的に衆議院の解散を決定する権限を有することの法的根拠は、憲法第七条の規定である。
二から五までについて
御指摘の「実質的決定権を含む場合もある」及び「内閣の自由な解散決定権」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、個々の学説についての見解を述べることは差し控えたいが、衆議院の解散は憲法第七条の規定により天皇の国事に関する行為とされているところ、実質的に衆議院の解散を決定する権限を有するのは、天皇の国事に関する行為について助言と承認を行う職務を有する内閣であり、内閣が衆議院の解散を決定することについて憲法上これを制約する規定はなく、いかなる場合に衆議院を解散するかは内閣がその政治的責任で決すべきものと考えている。

2 「衆議院の解散」も参照してください。

原子力損害賠償の状況,中国残留邦人等への支援,被災者生活再建支援制度等

1 原子力損害賠償の状況(被災地域によって支給額は異なります。)等
(1)ア 文部科学省HPの原子力損害賠償紛争審査会(第48回)「資料4-1 原子力損害賠償のお支払い状況等」によれば,平成30年6月末日現在,本賠償の金額が約8兆1522億円であり,仮払補償金が約1529億円であり,合計8兆3051億円です。
   また,東京電力HPの「賠償金のお支払い状況」によれば,2019年9月13日現在,本賠償の金額が約8兆9295億円であり,仮払補償金が約1529億円であり,合計9兆824億円です。
イ Wikipediaの「第二次世界大戦後におけるドイツの戦後補償」には,「ドイツ連邦共和国が行った補償総額は、2009年時点で671億1800万ユーロに達する。」と書いてあります。
   七十七銀行HPに「ユーロ対円相場(仲値)一覧表 (2009年)」が載っていますところ,1ユーロ130円とした場合,ドイツの補償総額は8兆7253億4000万円となります。
(2) 東京電力ホールディングスHP「賠償金のお支払い状況」に,最新の「原子力損害賠償のご請求・お支払い等」が載っています。
(3) 国立国会図書館HPの「調査と情報」に,「東京電力への公的支援の現状と課題」(2018年12月25日発行)が載っています。
(4) 金融庁HPの「東日本大震災に係る保険金・共済金の支払い見込み額、支払い実績等について」(平成23年7月19日付)によれば,保険金の見込み合計が約2兆7000億円,保険金の実績合計が約1兆8000億円です。
(5) zakzak HP「【震災から3年 福島のリアル】賠償の差が生み出した被災生活格差 被害大きくても対象地区外れると…」には以下の記載があります。
   文部科学省によれば、原発事故の賠償金は、原子力損害賠償紛争審査会の指針に基づき、東京電力が負担し、帰還困難区域は故郷喪失慰謝料が上乗せされる。
   同省の試算では、30代の夫、妻、子供2人の持ち家4人世帯が福島県内の都市部へ移住した場合、(1)帰還困難区域で1億675万円(2)居住制限区域で7197万円(3)避難指示解除準備区域で5681万円(いずれも総額)-に分かれる。
(6) SYNODOS HP「UNSCEARの報告はなぜ世界に信頼されるのか――福島第一原発事故に関する報告書をめぐって明石真言氏インタビュー / 服部美咲」(平成30年5月12日付)によれば,「UNSCEAR2013報告書」の8つのポイントは以下のとおりですし,「UNSCEAR2013報告書」の見解の根幹を揺るがすような論文は今日まで出ていないそうです。
① 福島第一原発から大気中に放出された放射性物質の総量は、チェルノブイリ原発事故の約1/10(放射性ヨウ素)および約1/5(放射性セシウム)である。
② 避難により、住民の被ばく線量は約1/10に軽減された。ただし、避難による避難関連死や精神衛生上・社会福祉上マイナスの影響もあった。
③ 公衆(住民)と作業者にこれまで観察されたもっとも重要な健康影響は、精神衛生と社会福祉に関するものと考えられている。したがって、福島第一原発事故の健康影響を総合的に考える際には、精神衛生および社会福祉に関わる情報を得ることが重要である。
④ 福島県の住民の甲状腺被ばく線量は、チェルノブイリ原発事故後の周辺住民よりかなり低い。
⑤ 福島県の住民(子ども)の甲状腺がんが、チェルノブイリ原発事故後に報告されたように大幅に増える可能性を考える必要はない。
⑥ 福島県の県民健康調査における子どもの甲状腺検査について、このような集中的な健診がなければ、通常は発見されなかったであろう甲状腺の異常(甲状腺がんを含む)が多く発見されることが予測される。
⑦ 不妊や胎児への影響は観測されていない。白血病や乳がん、固形がん(白血病などと違い、かたまりとして発見されるがん)の増加は今後も考えられない。
⑧ すべての遺伝的影響は予想されない。

2 帰還困難区域の住民に対する賠償の金額
(1)ア 日経新聞HPの「原発事故の賠償、4人世帯で9000万円 東電が実績公表」(平成25年10月26日付)には,「文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は25日、東京電力福島第1原子力発電所の事故の賠償実績を公表した。東電が帰還困難区域の住民に支払った額は4人世帯で平均9000万円だった。」とか,「1人あたり月10万円を支払っている避難指示区域の住民への慰謝料は、避難指示を解除してから1年間払い続ける方向で大筋合意した。」と書いてあります。
   また,リンク先の表によれば,東電の賠償実績として,4人世帯の平均値は,財物が4910万円,就労不能損害が1090万円,精神的損害が3000万円であり,合計9000万円とのことですし,単身世帯の平均値は,財物が3210万円,就労不能損害が550万円,精神的損害が750万円であり,合計4510万円とのことです。
イ 日経新聞HPの「原発事故5年、賠償巡り住民分断 同じ町で異なる救済  」(平成28年3月2日付)には,「避難指示区域に指定され、人影のない同県富岡町に商店を構える60歳代男性は店舗の土地・建物への賠償などで「1億5000万円を受け取り、4000万円の借金を返済できた」と打ち明ける。」と書いてあります。
(2) 帰還困難区域の住民に対する慰謝料は,平成26年3月26日付で700万円増えました(東電HPの「移住を余儀なくされたことによる精神的損害に係る賠償のお取り扱いについて」参照)から,合計1450万円です。
(3) 日本エネルギー会議HP「いわき市四倉町が全国3位」(平成28年11月12日付)には,「福島第一原発の事故で浜通りの住民が県内外に避難したが、賠償金支払いを契機に県内、特にいわき市に新たに家を求める動きが強まった。このため、いわき市の土地が高騰、地元市民からは「避難者が地価を吊り上げた、いわき市内に家を持つことが出来なくなった」と嘆く声があがった。」などと書いてあります。
(4) 福島地裁いわき支部平成30年3月22日判決は,帰還困難区域,居住制限区域及び避難指示解除準備区域の原告について一人当たり追加で150万円の慰謝料を認めました。
   なお,原告らの請求額は,1人当たり古里喪失の慰謝料2000万円と避難に伴う精神的苦痛に対する慰謝料として月額50万円だったみたいです(河北新報HP「<原発事故避難者集団訴訟>古里喪失の損害認定、東電に賠償命令 福島地裁いわき支部」(平成30年3月23日付))。
(5)ア 『気になるあの人のウラ側一挙ご開帳SP』(平成30年6月15日,テレビ東京放送分)には以下の記載があります。
   弁護士の通帳を見せてもらう。弁護士の平均年収は1000万円でテレビに出演している弁護士先生は5000万円から1億円になるそうだ。今回、通帳を見せてくれるのは福永活也弁護士。通帳には1週間で6億円の賠償金が入金されていた。独身の福永弁護士は旅行が趣味で今まで旅先は130ヵ国だそうで、登山も趣味で780万円でエベレスト山頂を行っていた。
イ Youtube動画「通帳見たらスゴかった 2018年6月15日 【~気になるあの人のウラ側一挙ご開帳SP~】 」には,新62期の福永活也弁護士に関して,「6億円のうち報酬金は?」→「1億円いかないくらい」(36分23秒の字幕)とか,「被災者への賠償金は140億円 その内の一部を報酬金として受け取る」(37分5秒の字幕)と書いてあります。
(6) 南相馬市で暮らしていますブログ「東電から賠償金をもらっている人と、そうでない人と」には「賠償金でマンションを2つも3つも買ってる人もいるそうです。」などと書いてあります。

3 福島の原子力発電所と地域社会
   Wikipediaの「福島の原子力発電所と地域社会」が参考になります。
   例えば,「2002年の東京電力原発トラブル隠し事件の余波は、立地町村にも降りかかった。トラブル隠し対策のため県が態度を硬化させたことで再稼働が進まない中、検査による収入が見通せないため本発電所の地元8町村で就労していた協力企業の社員(当時約7300名)の消費もまた低迷し、飲食店などには打撃となったという。」などと書いてあります。

4 中国残留邦人等への支援
(1)   中国残留邦人等には,中国残留邦人及び樺太残留邦人がいます。
(2) 中国残留邦人等に対する援護の概要は,①従前の支援として,一時帰国援護(毎年の一時帰国のための旅費の実費相当額),永住帰国援護(帰国旅費の実費相当額),定着・自立援護(首都圏中国帰国者支援・交流センターの定着促進事業宿泊施設への入所等)のほか,②平成20年から開始された支援として,老齢基礎年金等の満額支給,老齢基礎年金等を補完する支援給付,地域社会における生活支援があり,③平成26年10月から開始された支援として,配偶者に対する支援策があります(外務省HPの「中国残留邦人等への支援」参照)。
(3) 中国帰国者支援・交流センターHP「ご存じですか中国残留邦人問題 中国からの帰国者に温かい支援を!」が載っています。

5 被災者生活再建支援制度に基づく給付金等

(1) 被災者生活再建支援制度の場合,①基礎支援金(住宅の被害程度に応じて支給する支援金)が100万円(全壊,解体又は長期避難)又は50万円(大規模半壊)であり,②加算支援金(住宅の再建方法に応じて支給する支援金)は200万円(建設又は購入),100万円(補修)又は賃借(50万円)です(内閣府防災情報のページ「被災者生活再建支援法」参照)。
(2) 世界のニュース トトメス5世HP「福島の被災貴族 一世帯1億円貰って優雅な生活」に以下の記載があります。
   原発の避難家族が1億円もらった一方で、津波の被害にあった家族は国からの直接補償金と生活費の援助など合計しても数百万円だった筈でした。
   倒壊した家を再建するための支援なども後で実施されたかも知れませんが、支給された金額は福島の原発避難家族の1割以下です。
   金の出所は両者とも要するに日本政府で、違いは原発避難は東電の補償金という名目で出されたという点でした。

(3) 日刊SPA!の「東日本大震災、賠償金を「もらった原発被災者」と「もらい損なった津波被災者」の格差」に以下の記載があります。
   「生活再建支援金は数百万円単位で、家や暮らしを本当に再建するにはとても足りない。あとは代替地といって津波で流された代わりの土地を安く買えたり、好条件で融資が受けられたりする程度。東電の賠償金の額もバラツキはありますが、東電からの賠償金をもらえる人ともらえない人では、特に大きな差がある。少なくとも津波被災の方は相当複雑な感情を抱いていると思います。生活していた家を失ったという意味では、原発避難者も津波被災者も同じわけですから」
(4) 編集者かさこブログ「津波被災者の心の叫び「原発避難者ばかりがなぜ優遇・・・」」が載っています。

6 犯罪被害者等給付金制度等
(1) 犯罪被害者等給付金制度は,犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年5月1日法律第36号)に基づく制度です。
(2) 犯罪被害者等給付金制度における障害給付金の場合,犯罪被害者の収入と残った障害の程度に応じて算出した額が支払われますところ,重度の障害が残った場合(障害等級1級から3級までに該当する場合),3974万4000円(最高額)から1056万円(最低額)までの間となります(警察庁HPの「犯罪被害給付制度」参照)。
(3)ア 平成7年3月20日発生の地下鉄サリン事件を始めとするオウム真理教の犯罪行為による被害者の場合,死亡した人の遺族に対しては2000万円が,後遺障害が残った人に対しては最高で3000万円が支給されています(オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律5条1項)。
イ 地下鉄サリン事件の被害については通勤災害も認定されました(深田法律事務所HP「通勤中に犯罪行為に遭って怪我をした場合,通勤災害になりますか?」参照)。
(4) Smart FLASH「車で殺されれば6000万円なのに…通り魔被害は「殺され損」と弁護士」には,平成20年6月8日発生の秋葉原通り魔事件(トラックで跳ねられた5人につき死亡3人・負傷2人。ナイフで刺された12人につき死亡4人・負傷8人)に関して以下の記載があります。
刃物で刺された10代~20代の犠牲者は、犯給法で300万~400万円が支払われただけ。一方、トラックで轢かれて亡くなった人には、6000万~7000万円が支払われました。同じ犠牲者でもこんなに大きな差があるのです。

7 交通事故における政府保障事業
(1) 国土交通省自動車局保障制度参事官室が運営している政府保障事業は,自動車損害賠償保障法に基づき、自賠責保険(共済)の対象とならない「ひき逃げ事故」や「無保険(共済)事故」にあわれた被害者に対し、健康保険や労災保険等の他の社会保険の給付(他法令給付)や本来の損害賠償責任者の支払によっても、なお被害者に損害が残る場合に、最終的な救済措置として、法定限度額の範囲内で、政府(国土交通省)がその損害をてん補する制度です(国土交通省HPの「政府保障事業について(ひき逃げ・無保険事故の被害者の救済)」参照)。
(2) 法定限度額は,傷害の場合が120万円,死亡の場合が3000万円,後遺障害の場合が障害の程度に応じて75万円から4000万円です。
(3) 自動車損害賠償保障事業委託業務実施の手引1/32/3及び3/3を掲載しています。

8 拉致被害者等への支援

(1) 北朝鮮による日本人拉致問題HP「拉致被害者・家族に対する総合的な支援策について」に拉致被害者等への支援が一通り書いてありますし,「帰国被害者等が本邦に永住する場合には、拉致被害者等給付金を、永住の意思決定の時から10年を限度として、毎月、支給する。なお、北朝鮮での生活が非常に長期間に及んでいるため10年間では生活基盤再建に至らない可能性があること等を踏まえ、被害者及び被害者の配偶者については、例外的に5年を限度として支給期限を延長することができる。」とのことです。
(2) 内閣府HPに載ってある「施策名:拉致被害者等への支援」には以下の記載があります。

○拉致被害者等給付金
   帰国した被害者等が1人の世帯で17万円、2人いる世帯で24万円を基本とし、以降1人増えるごとに3万円を加算し、所得により調整を行う(支給期間10年)。また、大都市居住の場合の地域間の調整や子の配偶者等への扶養加算などを行う。
○老齢給付金等の給付
   帰国拉致被害者等の老齢時における良好かつ平穏な生活を保障するための老齢給付金、65歳以上で帰国した拉致被害者に65歳から帰国した時点までの国民年金相当額の特別給付金の支給、子供の国民年金保険料の追納支援等を行う。
○委託費

   派遣形式による指導業務(社会適応・日本語指導、生活自立指導)や社会体験研修、地域交流事業などを被害者等が居住する地方公共団体(県・市町村)に委託する。また、日本語の不自由な高齢者を想定した生活相談といった委託事業も行う。

9 関弁連理事長及び東京三会会長の声明
   関弁連理事長及び東京三会会長が出した「東日本大震災・福島第一原子力発電所事故から7年を迎えるにあたっての声明」(平成30年3月9日付)には,「原子力発電所事故の被害者に対する救済・賠償は依然として不十分である。いくつかの集団訴訟で国や東京電力の責任を認める画期的判決が出ているが、残念ながら被害者救済に資する十分な賠償を命じたと言える内容ではない。」と書いてあります。

即位の礼及び大嘗祭に関する,平成2年4月17日の衆議院内閣委員会における質疑応答

○即位の礼及び大嘗祭に関する,平成2年4月17日の衆議院内閣委員会における質疑応答は以下のとおりです。
なお,文中の山口(那)委員は山口那津男衆議院議員(平成13年7月29日から参議院議員であり,平成21年9月30日に第3代公明党代表に就任)(34期の弁護士)であり,工藤政府委員は工藤敦夫内閣法制局長官であり,宮尾政府委員は宮尾盤宮内庁次長であり,多田説明員は内閣官房内閣参事官室首席内閣参事官兼内閣総理大臣官房総務課長です。

○山口(那)委員 私は、即位の礼、大嘗祭等についてお尋ねするものでありますが、その前提として、次の点を確認しておきたいと思います。
まず、公明党は、党の綱領で日本国憲法を守るということを規定した唯一の政党であり、象徴天皇制も是認すると同時に、国民主権及び信教の自由を初めとする基本的人権を擁護する立場に立っております。私は、日本国憲法のもとで生まれ育った者として初めて即位の礼を迎えるわけでありますが、主権を有する国民の一人として、この憲法の趣旨を最大限に尊重する立場で御答弁をお願いしたい、このように思います。
さてそこで、即位の礼に対しては、旧皇室典範及び登極令等に詳細な規定が置かれてありますが、このたびの即位の礼は、国事行為として行う範囲として、即位礼正殿の儀、祝賀御列の儀、饗宴の儀、この三つに集約されました。この儀式の範囲を定めるに当たって、憲法の趣旨に沿ってどのような点を配慮したのか、具体的に述べていただきたいと思います。
○多田説明員 皇室典範の二十四条で「皇位の継承があつたときは、即位の礼を行う。」という規定がございまして、その即位の礼というものが具体的にどういうものを指すかということについては、各方面からいろいろな意見がございましたので、準備委員会で慎重に検討いたしまして、そして先生おっしゃったとおり憲法の趣旨に沿って、しかも皇室の伝統等を尊重してという基本路線で各儀式等を検討して整理をしていった結果、この三つは即位の礼ということで国事行為として行うことに非常にふさわしい儀式だというふうに判断をいたしまして、この三つに具体的には決定させていただいたということでございます。
○山口(那)委員 その際、旧登極令に細かな規定があるわけですが、それらのすべての儀式のうちからこの三つに絞ったということは、例えば宗教性の伴う儀式等を外したということになるのでしょうか。
○多田説明員 おっしゃるとおり、宗教の問題のほかにも現行の憲法から考えるとどうもふさわしくないという性格のものもかなりございますので、そういうものは全部外させていただいたということでございます。
○山口(那)委員 その宗教的性格のほかに、現行憲法のもとでふさわしくないとお考えになった具体的な基準を幾つか述べていただきたいと思います。
○工藤政府委員 若干申し上げますと、今首席参事官の方から政教分離原則のお話がございましたけれども、それ以外にも、まず国民主権の原則に反しないかどうかというのが一つございます。それから、憲法一条に規定してございます象徴たる天皇にふさわしいものであるかどうか、こういった基準があろうかと思います。
○山口(那)委員 次に、さきの御崩御の際の内閣総理大臣の謹話にもありますように、天皇陛下におかせられましては国民とともに歩む皇室を念願されておられる旨が表明されておりますが、即位の礼はその陛下の念願を国民に示される非常によい機会であろうと思われます。この儀式のほかに何か具体的な方策をお考えでしょうか。
○宮尾政府委員 ただいま御質問にもありましたように、天皇陛下には国民とともに歩む皇室ということを絶えず念願をされておられまして、折あるごとにそのような機会を持つように努められておるわけでございます。
それで、具体的に即位礼等に関連をして何かあるかということの御質問でございますが、今回の一連の行事の一つといたしまして、御質問の趣旨に沿うような意味合いをもちまして一般参賀というものを新しく設けることといたしております。それから、京都、関西方面への御親謁も予定されておりますので、その際、ゆかりのある京都におきまして茶会を催し、関西方面の方々とも直接お会いして祝意を受けられ、陛下としてもお会いする機会を設けるというようなことを新しく考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 そのほかに、例えばマスコミ等を通して国民に対してお言葉を述べられるような機会はお考えですか。
○宮尾政府委員 一般参賀では当然陛下も参賀においでになられた国民の方々に親しくお言葉をおかけになります。それから茶会等におきましても、これはまだ今後どうするかということでありますけれども、何らかのお言葉というものがあるのではなかろうか、こういうふうに考えられます。そしてそういうものが一般参賀なり茶会に取材にお見えになる報道関係等の方々を通じて国民に紹介をされるわけでございますので、御質問のような趣旨というものはそういう機会を設けることによって生かされておると思っております。
今、特別の形で何らかの予定がそれ以外にあるかという点については、考えておるものは特段ないわけでございます。これは一つの機会をつかまえてという御趣旨であろうかと思いますが、陛下のお気持ちというものは今後長い間の陛下のいろいろな機会における国民に対する接触の仕方、お言葉等の中で十分あらわれていくと考えておりますし、私どももそういう意味でいろいろなお手伝いをしていきたいと思っておるわけでございます。
(中略)
○山口(那)委員 次に、大嘗祭についてお尋ねします。
大嘗祭の伝統的意義についてもう一度確認をしたいと思います。いかがですか。
○宮尾政府委員 大嘗祭の伝統的な意義という御質問でございますが、これは日本書紀等にも記述がございますように、古くから大嘗、新嘗という区分は必ずしもその時代はなかったようでございますけれども、大嘗祭というものが御即位に伴って行われておる、こういう記述がございます。
それから、奈良時代に入りましては大嘗、新嘗の区別がなされまして、一番最初にその区別が行われて大嘗祭をとり行われたのは第四十代の天武天皇のときからであると言われております。
以来、御即位の都度、皇室にとりましては一世一度の非常に重要な即位儀礼という形で行われてまいりまして、そういった点は貞観儀式等にもきちんといろいろ書かれておるわけでございます。そういう意味からいたしまして、大嘗祭は皇室で長い間続いてきた伝統的儀式でありますが、これは一世一度の皇位継承儀礼であると私どもは重く考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 大嘗祭の歴史的伝統に照らして、これは天皇個人に関する儀式という性格が強いのでしょうか、それとも皇室というある意味での集団に関する儀式という色彩が強いのでしょうか。
○宮尾政府委員 これを歴史的にどういうふうに申し上げるかというのはなかなか難しい話かもしれませんが、少なくとも現在の憲法では天皇は象徴的な地位、国民統合の象徴である。そういう象徴的な地位というお立場に立っておられます。古くから皇室が国内的にどういうお立場であったのか、こういうことはいろいろ難しい、難しいといいますか、一口に言うことはできないかもしれませんが、少なくとも、抽象的に申し上げれば今の憲法に明記されているようなお立場にあったと私ども考えておるわけでございます。
そういう意味で、天皇個人のということではなくて、御主宰になるのは天皇がお一人で御みずからなされますけれども、それは皇室にとっても非常に重要な儀式でありますし、それから現行の憲法のもとにおきましても、あるいは往時のいろいろな歴史的なものをたどってみましても、日本の天皇という意味でそういう行事をとり行われることは大変国家的な意味でも重要なことであったというふうに考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 この大嘗祭は宗教的な性格を帯びているということが指摘されておりますが、どのような点で宗教的な性格があるとお考えでしょうか。
○宮尾政府委員 政府が昨年取りまとめました見解の中にもその点は記述をしてあるわけでございますが、大嘗祭の中心的な儀式としましての大嘗宮の儀というのは、陛下御みずからその年とれました新穀を皇祖、天神地祇にお供えになり、また、御みずからも召し上がって、そして安寧と五穀豊穣を感謝する。そういう儀式の趣旨、形式等からいたしまして宗教上の儀式としての性格を有することは否定しがたい。こういうふうに言われておるわけでございます。
○山口(那)委員 その際、宗教的な儀式というその宗教というのはどのような御理解をしておられますか。
○宮尾政府委員 これは皇室の伝統的な方式によりましてとり行われてきておるものでございまして、皇室におきましてはいろいろな祭祀を日常行っておられますし、事あるごとに皇室の伝統的な方式によりまして行っておられるわけでございます。大嘗祭もそういう意味では皇室の伝統に従った儀式のやり方で行われるだろうと理解をしておるわけでございます。
○山口(那)委員 その皇室の伝統的な方式というのは、神式で行うことを指しているわけですか。
○宮尾政府委員 いわゆる神式というのは、私どもそういう教学的な素養も十分持っておりませんし、間々世の中には誤解を招くような使い方もありますので注意をしなければならぬと思いますが、大きく分けて仏式だとか神式だとかキリスト教の方式だとかいろいろな方式というものがあるとすれば、そういう大きな意味での神式という考え方による方式であると言って差し支えないと思います。
○山口(那)委員 天皇が現人神とされた旧憲法のもとでは、学校教育の現場で、アマテラスオオミカミと天皇が御一体とおなりあそばす御神事であって、我が大日本が神の国であることを明らかにするものである、このように修身の教科書には書かれてあったわけですが、この大嘗祭というのはアマテラスオオミカミと天皇が御一体となる神事である、このように理解していいわけですか。
○宮尾政府委員 昭和十八年から終戦までの国定教科書にそのような記述があるということは私どもも承知をしておるわけでございますが、それをちょっと調べてみましたところ、これこそ実にオオミカミが天皇と御一体におなりあそばす御神事であって、我が大日本が神の国であることを明らかにするためというふうに書いてあるわけですね。昭和十八年から終戦までというのは日本にとっても非常に大変な時代でありまして、そういう中で、我が国は神の国だというようなことで戦意高揚を図ったという特殊な事情によってそういう記述がなされておるものではないかというふうに思うわけでございます。
天皇が神と一体となる儀式であるとか、神性を得る儀式であるかといういわゆる説、考え方を大嘗祭に関してはとられている向きがありますけれども、私ども理解しているところでは、大嘗祭は、何度もくどくど申し上げるようでございますが、天皇が御即位の後、初めて大嘗官において、新穀を皇祖、天神地祇にお供えになって、御みずからもお召し上がりになる、そして皇祖、天神地祇に対して安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに、今後とも国家国民のために安寧と五穀豊穣などを祈念される儀式というのが正確な理解であると思っておりまして、その式次第とかお告げ文等を先例等で見てみましても、そこには神と一体となるとか神性を得るとかいうことを見受けられる点はございません。したがいまして、宮内庁としてはそのような説には賛成いたしかねると考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 大嘗祭が伝統的な皇室の姿に照らしてとり行われるわけでありますから、先ほどの修身の教科書の神事であるという記述はその時代の特殊な理解であって、現行憲法のもとでは皇室の伝統というものはそのような神事という側面を含まない、このように理解するわけですか。
○宮尾政府委員 戦争中の教科書の記述で特殊な事情によるものだと私が申し上げておりますのは、我が大日本が神の国であることを明らかにするためにそういうことが行われるということが書いてあるわけですね。まさに日本は神国であるという意識高揚を盛んに図った時代の特殊な考え方であろうと思うのです。
それで、神と一体になるという説は、私自身も専門外でこんなことを申し上げてはいかがかと思うのですが、いろいろな学説等をたどってみますと、折口信夫さんがそういうことを昭和の初頭に「大嘗祭の本義」というものに記述をされて、大嘗祭というものはそういうものだと一定の方々が唱えておられる。ところが、これについては、専門の学者の中でも、そういうことは全くない、折口さんが私人としての発想からそういうことを申されたのだということを最近の国学院の雑誌等に掲載されている先生もあるわけです。ですから、そういう意味で、特殊な学説で、これは完全に定着をしている学説ではないと御理解をいただきたいと思います。
それから、神事をするのではないかということでございますが、先ほど申し上げましたように陛下が安寧と五穀豊穣を皇祖並びに天神地祇にお祈りをするということでありますから、お祈りをするということはいわゆる神事的なことだと言われればそれを否定することはできないと考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 学説のせんさくはともかくとして、私が一番聞きたいことは、天皇が神になるという側面を含むのかどうか、この点なんです。もう一度はっきり言ってください。
○宮尾政府委員 我々の立場と天皇陛下の立場を単純に比較していいかどうかわかりませんけれども、我々も神様にお祈りをする、仏様に手を合わせることがいろいろな折々にあるわけでございます。それから、我々が農民であればことしの五穀豊穣を祈ることはいろいろな形であろうと思うのです。そういうことがありますが、それによって大嘗宮の諸儀式の中に、天皇が神になるんだ、陛下が御みずから神様になるんだ、そういうことが見受けられる部分はないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 それでは、憲法二条で世襲を規定しておりますが、これは大嘗祭を当然に予定したものとして理解していますか、それとも大嘗祭は憲法の枠外のものだと理解していますか。
○工藤政府委員 大嘗祭が憲法二条で書いてございます世襲というのに非常に結びついているということは事実だろうと思います。
ただ、いわゆる皇室典範におきまして、先ほどもお話がございましたけれども、これは二十四条「即位の礼を行う。」というふうに書いてございまして、「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」ということは国事行為たる儀式として即位の礼を行うことを予定したものだと考えておりますが、大嘗祭の中核は、今も宮内庁次長からお話がございましたように、大嘗宮において天皇が皇祖及び天神地祇に安寧と五穀豊穣を祈念されるというふうなこともございますし、そういう趣旨、形式等から宗教上の儀式としての性格を有するんだ、そういうことは否定できないであろう。したがって、大嘗祭を七条で言う国事行為として行うとすれば、やはり憲法の二十条三項に言う宗教的活動を国が行うということになるのではないか、そういう疑いはなお消し切れませんので、そういう意味で大嘗祭を国事行為として行うべきではない、かように考えているわけでございます。
○山口(那)委員 大嘗祭をとり行う費用を宮廷費で支出するということですが、これは憲法二十条三項及び八十九条の趣旨と調和するのでしょうか。
○工藤政府委員 ただいまも申し上げましたように、大嘗祭は、皇位の継承があったときは必ず挙行される、一世に一度の儀式として古来から行われてきた、極めて皇位継承に結びついたあるいは皇位の世襲制と結びついた、即位に伴う儀式の一環である、こういうことだと思います。そういう意味で、いわば皇位とともに伝わるべき由緒ある儀式、こういうふうに性格づけられるだろうと思います。
皇位の世襲制、先ほども御指摘のように憲法二条にございますが、そういう世襲制をとる日本国憲法のもとにおきまして、その儀式の挙行について国として関心を持つ、人的あるいは物的な側面からその挙行を可能にするような手だてを講ずる、こういうことは当然であろうと考えられます。そういう意味で、大嘗祭は公的性格があるというふうなことを従来から申し上げてきているわけでございます。
ただ、大嘗祭が宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは今申し上げたように否定できないわけでございますけれども、例えば津の地鎮祭判決などに照らしましても、大嘗祭は皇室の行事として行われるものでございまして、国の機関の行事ではない。それから、その挙行のために必要な費用は、今申し上げたような大嘗祭の公的性格に着目いたしまして、宮廷費あるいは一部は宮内庁費から支出されるものでございます。そういう意味で、その支出の目的が宗教的意義を持たない。いわゆる津地鎮祭で言われます目的・効果論に照らしまして、支出の目的が宗教的意義を持たない、また特定宗教への助長、介入等の効果、その効果を有する行為を行うことになるとも言えない。そういうことで、国がこういうような面でかかわり合いを持ちましても、大嘗祭のための費用を公金から支出するということは憲法二十条三項の宗教的活動を国がするということにはならないし、また、そういうような公金の支出というものは、津の地鎮祭判決等に照らしましても憲法八十九条が禁止いたします宗教上の組織、団体に対するものというふうには言えないと思います。憲法八十九条の面からも問題はない、かように思っております。
○山口(那)委員 少なくとも法的な理解からすれば、世襲ということは血のつながりということを規定しているわけであって、当然に即位の儀式とそれに伴う大嘗祭までも予定しているものと理解するのは困難だろうと思います。また、憲法及び皇室典範二十四条に照らして言えば、皇位の継承というのは即位の礼に限られるわけであって、法律上は大嘗祭というものはそのらち外にあるというふうに理解すべきであろうと思います。
 その上で、この大嘗祭は公的性格があるというふうに盛んに述べられておりますが、公的性格があるなしということは、例えば私的な事柄として内廷費で賄うにはそぐわないという趣旨で述べるのであればそれは理解できますけれども、大嘗祭に国が宮廷費をもってお金を出すということは、まさに国家と宗教とのかかわりは否定できないわけで、それを合憲的にもし説明をするとすれば、もっと説得力のある理由を考える必要があろうかと思います。
 そこで、先ほどおっしゃった津の地鎮祭の事件の判決でありますが、原則的に行政当局としてはこの判決の意義をどのように理解されていますか。
○工藤政府委員 津の地鎮祭判決につきましては、いわゆる憲法の二十条あるいは八十九条、八十九条については比較的触れるところが少ないわけでございますが、そういう意味でそれの解釈の基準になるもの、かように考えております。
○山口(那)委員 行政府としてもその基準を尊重するというお立場かと思いますけれども、いわゆる目的・効果説と言われて先ほどお述べになりました。これは非常に抽象的な表現であったわけですが、大嘗祭とのかかわりにおいて具体的にその目的及び効果についてもう一度述べていただきたいと思います。
○工藤政府委員 今の御質問でございますが、具体的にと申しますと、まず第一に大嘗祭は皇室の行事として行われるもので、国の機関の行為ではないということでございます。その挙行のために必要な費用というものは、大嘗祭が皇位の世襲制と結びついて、一世に一度の儀式として古来から皇位の継承があったときは必ず挙行される、こういうことで行われてまいりました極めて重要な儀式である、そういう面に着目して、宮廷費からあるいは一部は宮内庁費から支出をいたしましても、その支出の目的がその宗教的意義に着目して支出をするものではないということが一つでございます。そういう意味で、目的・効果論のうちのまず目的の部分でございます。
 それから効果としましても、これが特定宗教への助長、介入という津地鎮祭判決で述べておりますようなそういう効果を有することになるとは到底言えないであろう、かように考えているわけでございます。
○山口(那)委員 今の御答弁は非常に抽象的でわかりにくいわけでありますけれども、大嘗祭が人的、物的な一体の宗教的性格を帯びる儀式として行われる以上、それを経済的に支えるということは、その目的において宗教的意義を持つことになりませんか。また、その効果において、特定の宗教かどうかはともかくとしても、それが宗教的儀式にかかわる、それを支持する人々に対してその援助、助長の感覚を覚えさせ、また、他の信仰を持つ人に対して圧迫感を覚えさせる。現に多数の宗教団体でこの大嘗祭の宮廷費支出については反対を述べているところもあるわけですけれども、その点について、今のような御答弁では到底納得しがたいものがあると思いますが、いかがですか。
○工藤政府委員 地鎮祭判決のその部分でございますけれども、「憲法二〇条三項は、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と規定するが、ここにいう宗教的活動とは、前述の政教分離原則の意義に照らしてこれをみれば、およそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、そのかかわり合いが右にいう相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであって、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいうものと解すべきである。」というふうなことでございまして、私どもはこれに照らして、「かかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、そのかかわり合いが右にいう相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであって、」ということで目的・効果諭を解釈しているわけでございます。
○山口(那)委員 時間が少なくなりましたので、もう一点だけ伺います。
宮中三殿、これは皇室の私有財産として理解され、皇室経済法における「由緒ある物」、こういうふうに理解されているようですが、この宮中三殿の修繕あるいは建てかえ、この費用はどういう費目でお出しになるのですか。
○宮尾政府委員 宮中三殿は皇室御所有の財産でありますが、先生おっしゃったように、皇室経済法第七条に定める「皇室とともに伝わるべき由緒ある物」、こういう特殊な性格もあるわけでございます。したがいまして、これは国有財産ではもちろんありませんで、皇室が御所有の財産であるといたしましても、皇室経済法に特に「由緒ある物」として規定をされておるという意味におきまして公的な色彩を持つ財産というふうに考えられますから、建てかえということまでは申せませんが、その保存上必要な営繕等については宮廷費からこれを支出できると考え、また、そういうふうにいたしておるわけでございます。
○山口(那)委員 この宮中三殿の中に神殿というものもあるわけでして、やはりお金を出すということは宗教とのかかわりを否定できないわけですが、この点についても先ほどの目的・効果説のような御説明をされるわけですか。
○工藤政府委員 さようでございます。
○山口(那)委員 それでは最後になりますが、天皇陛下といえども私的生活の部分では信教の自由を当然享受されるわけでありまして、また、主権者である国民各位も同様であると思います。これらの行事の挙行に当たっては、そうした国民とともに歩む皇室を標榜されるわけですから、この信教の自由に対して十分な配慮をした上で行っていただくよう要望して、私の質問を終わります。

*1 しんぶん赤旗HP「天皇の「代替わり」にともなう儀式に関する申し入れ」(2018年3月22日発表)に,①剣璽(けんじ)等承継の儀,②即位後朝見の儀,③即位礼正殿の儀及び④大嘗祭に関する日本共産党の問題意識が書いてあります。
*2 以下の記事も参照してください。
① 柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容
② 人事院規則14-7(政治的行為),及び名古屋家裁裁判官の反天皇制に関する行為

天皇の崩御・即位に伴って行われる国事行為としての儀式に関する,昭和63年11月8日の衆議院決算委員会における質疑応答

○天皇の崩御・即位に伴って行われる国事行為としての儀式に関する,昭和63年11月8日の衆議院決算委員会における質疑応答は以下のとおりです。
なお,文中の東中委員は東中光雄衆議院議員(日本共産党)(3期の弁護士(大弁))であり,小渕国務大臣は小渕恵三内閣官房長官であり,味村政府委員は味村治内閣法制局長官であり,宮尾政府委員は宮尾盤宮内庁次長です。

○東中委員 私は、天皇の代がわりに伴う、憲法七条による国事行為としての諾儀式についてお伺いをしたいと思います。
主権在民と政教分離の原理が明記されております日本国憲法下において、天皇の代がわりの儀式がどのように行われるのか。憲法第七条の「天皇の国事行為」として行われる儀式はどういう儀式があるのか、お伺いをしたいと思います。
○味村政府委員 法律上の事柄について申し上げますが、憲法第七条は天皇の国事行為を限定列挙しているわけでございます。そして、その十号に「儀式を行ふこと。」というのがございまして、ここに言う「儀式」というのは、天皇が主宰されまして国の儀式として行うにふさわしいものを言うというふうに考えております。
ところで、皇室典範第二十四条には、「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」と規定しておりまして、また同じく、皇室典範の二十五条には「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。」こう規定しております。これは皇位の継承及び天皇の崩御がございました場合には、憲法第一条が規定いたしておりますように、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」であることにかんがみまして、国事行為たる儀式として、即位の礼及び大喪の礼を行うことを予定したものと解されるわけであります。
○東中委員 国事行為として行われる即位の礼、それから大喪の礼、新皇室典範に書いてあるその儀式の具体的内容をお聞かせ願いたいと思います。
○小渕国務大臣 皇室典範に定める即位の礼及び大喪の礼の儀式は、憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したものになると考えておりますが、具体的内容につきましては現在お答えのできる段階ではございません。
○東中委員 今まで政府は、憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重してということを言われておって、そうしたものにたると質問主意書に対する答弁もそう書いてあります。
問題は、皇室の伝統等を尊重すると言っておるその伝統というのは一体何なのかということに結局帰着するわけでありますが、帝国憲法と旧皇室典範では、名前は同じ天皇ですけれども、天皇は天照大神から授かった祖宗の神器を受ける、これは旧皇室典範に書いてありますね、受けた万世一系の神聖不可侵の現人神で、国の元首にして統治権の総攬者である、陸海軍の統帥権者である、こういう絶対的な天皇であったわけです。その天皇の代がわりの場合には、帝国憲法と旧皇室典範に基づいてつくられた皇室令、登極令なり皇室喪儀令なり、こうした皇室令に基づいて天皇代がわりの儀式がやられてきたわけであります。大正から昭和に代がわりしたときの儀式は、践祚の式として四儀式、大喪の儀として二十九儀式、即位の礼及び大嘗祭として二十八儀式、一年余にわたって合計六十一の儀式がとり行われてきた。このことは、宮内庁なども、我々の方に七九年の内閣委員会のときなどで資料で出されておるところであります。
そこで問題は、この皇室令というのは、日本国憲法によって、その九十八条の趣旨からいっても、帝国憲法及び皇室典範が現行憲法に反する、原理が反するものだとして廃止されたものですね。だから、皇室令に基づいてやられた明治以後の儀式というのは、皇室の伝統じゃなくて、帝国憲法に基づいた、旧皇室典範に基づいた皇室令によってやられたものであって、それは今や廃止されているものであります。だから、主権在民で、しかも政教分離の原理をちゃんと出している中では、さきに皇室令に基づいてやられた儀式を踏襲するということは、憲法原理がまるきり違いますから、私は許されないことだと思うのですが、その点についての政府の御見解を承りたいと思います。
○味村政府委員 旧皇室令が新憲法の施行と同時に廃止になっておりますことは、委員の御指摘のとおりでございます。しかし、旧皇室令によって行われておりました御喪儀なり即位の礼が、伝統でないということにはならないと存じます。したがいまして、今回の、先ほど申し上げました即位の礼なり大喪の礼につきましては、新憲法のもとで新憲法の趣旨に沿うような形で、しかも伝統を尊重して行われる、このような、先ほど官房長官の申されたとおりのことになるわけでございまして、およそ新憲法に違反するような儀式というものは国の儀式として行われることはないと申してよろしいと存じます。
○東中委員 天皇代がわりに際して行われる最初の国事行為としての儀式は、どういう儀式ですかい。
○宮尾政府委員 旧憲法下におきましては、践祚の式といたしまして、賢所の儀、皇霊殿・神殿に奉告の儀、剣璽渡御の儀及び践祚後朝見の儀というものが行われております。
○東中委員 何を言うていますか、あなた。新憲法、現在の憲法で最初にやられるのは何ですかと言うて聞いておるのであって、あなたの言われたいわゆる践祚の儀としての四つの儀式、それは旧憲法の皇室令に基づくものですね。だからそんなもの先刻承知なんですが、それをやるつもりですかということを聞いているのです。
ところで、現行の皇室典範によりますと、践祚という概念は既にありませんということを内閣法制局長官が既に答弁をしています。践祚の概念は現行法上ないのですから、践祚の儀式というものはあり得ないわけですが、その点はいかがですか。
○宮尾政府委員 先ほど申し上げましたように、旧憲法下におきましては四つの儀式が行われたわけでございますが、皇位継承があったときに行われます諸儀式のうちで国事に関する行為としての儀式は、憲法の趣旨に沿いまして、かつ、皇室の伝統を尊重したものになるというふうに考えておりますが、その具体的な内容につきましては現在お答えをする段階にはございません。
なお、践祚という言葉は現在の憲法、法律のもとでは即位という言葉になっております。
○東中委員 法制局長官が、践祚の概念は現行法制上ございませんという答弁をしたのは、七九年四月十七日の内閣委員会でそういう答弁をしています。宮内庁がそれを変えると言ったって始まらぬわけで、即位という言葉は前からもあったのです。それで、現行法の即位の言葉と前の即位の言葉では違う、践祚の概念は現行法上ない、しかし践祚の儀式はやるんだというのか、やらないというのか、ここが今の話でははっきりしないわけです。
改めてお伺いをしますけれども、先ほど宮内庁からお話のあった剣璽渡御の儀、現在は言葉をかえて剣璽等承継の儀という言葉で、いわゆる三種の神器などの承継儀式をやるというふうに準備をされているということが、一部もう既に報道をされておるわけです。その後、践祚後朝見の儀というのが即位後朝見の儀というふうに名前を変えてやろうとしているというふうなことが、既に情報として報道をされております。それで私はお聞きしたいのですが、剣璽渡御の儀あるいは即位後朝見の儀というふうなものは、名前を変えても実質的には同じようなことを国事行為としてやることは許されないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○味村政府委員 先ほどの、現在の法制度のもとでは践祚という概念がないということを前の法制局長官が答弁したということでございますが、実は私その答弁を持ってきておりませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、旧憲法のもとにおきましては、践祚というのは皇位の継承である、天皇の位を継承することを践祚と言い、そして、天皇の位を継承したということを内外に宣明することを即位と言ったというふうに、私はそのように理解をいたしております。現在は、先ほど宮内庁の方からおっしゃいましたように、践祚は即位と申しますか、践祚という言葉はございませんで、皇位を継承することはすなわち即位であるというように考えている次第でございます。また、皇室典範もそのように規定をしているものと存じます。
ところで、先ほどの剣璽渡御の儀等についての御質問でございましたが、これは先ほどから御答弁がございますように、皇位の継承があったときに行われます諸儀式のうちでどのような儀式を国事行為として行うかということについては、答弁できる段階にございませんということでございますので、それにつきましてまた御質問にお答えするということはできかねるということは、御理解いただけると思います。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、憲法に反する儀式を国の儀式として行うことはあり得ないわけでございます。
○東中委員 準備してないんだそうですが、私ここへ持ってきておりますので、先ほど言いました昭和五十四年四月十七日衆議院内閣委員会、当時の真田政府委員、法制局長官ですが、現行の制度で申しますと、践祚という概念が実はないわけなんでして、先ほどお読みになりました皇室典範の第四条で「皇嗣が、直ちに即位する。」ということと、云々とあって、次に、この「即位の礼を行う。」という場合の即位の礼は、憲法の規定に照らせば、憲法第七条の国事行為の末号にある「儀式を行ふこと。」という儀式に入るのだろうと思いますが、践祚という概念はもうございません。
と、はっきりそういうふうに言っているので、私が勝手に言っているわけでも何でもないのです。だから、今言われていることを、践祚という言葉がなくなったと、今法制局長官はそう言いました。ところが、ここは私は言葉のことを言っているのではなくて、そういう概念はなくなったんだ、現行制度上、概念はなくなったんだと前の法制局長官は言っているんです。そういうことをごまかしたらいかぬです。その点を指摘しておきます。
だから、践祚の概念がなくなったんだから、践祚の儀式というのはなくなるのが当たり前なのです。それをなくするのか、なくさないのかということについてはっきり言わないというのは、私はこれは非常に重要な問題を含んでいると思うのです。
といいますのは、いわゆる剣璽渡御の儀といいますのは、剣はいわゆる草薙剣というか天叢雲剣というものですね。それから曲玉ですね。それから、鏡の方は三種の神器の中に入るけれどもここには具体的には入らないようですが、そういう剣璽の神器を渡すのは、旧皇室典範には十条ではっきりと「祖宗ノ神器ヲ承ク」というふうにちゃんと書いてあるのですね。ところが、今度の皇室典範ではその部分が削られておるのですから、ないのですから、なくなっておるものをやっちゃいかぬ。
なぜなくなっておるかといえば、三種の神器の承継といいますのは、神話に基づいて天照大神から授けられた神器を新天皇に引き継ぐという儀式で、そして神格性を新天皇に持たせる。だから「神聖ニシテ侵スヘカラス」という旧憲法の天皇にはこれが要ったわけです。しかし、今の新天皇ではそういうものは一切ないのですから、「国民の総意に基く。」という象徴天皇なんですから、だから、そういうものをここへ持ってくるということになれば神話の世界を持ち込む。国の行為としてそれを持ち込むということになれば、これは主権在民の、しかも政教分離の原則をうたっている憲法上そういうことは許されないんだ。
憲法の趣旨に沿ってと言うなら、憲法の趣旨に沿ってこれはやめるべきであるというふうに思うのですが、改めてもう一回御見解をお伺いしたい。
○味村政府委員 先ほどから申し上げますように、具体的な問題についてお答えをできる段階ではございません。この儀式につきまして一番問題となりますのは、憲法第二十条第三項の政教分離の原則でございます。この憲法二十条三項の政教分離の原則につきましては、有名な地鎮祭に関する最高裁の判決がございます。私どもといたしましては、この最高裁の判決を尊重いたしまして、二十条三項に違反するかどうかということを絶えず判定している次第でございます。
○東中委員 もう一つ、即位の儀式に関連しまして。大正から昭和に移ったときは、先ほど申し上げたように、即位及び大嘗祭ということで、ここで大嘗祭の儀式が二十八のうちの相当部分を占めています。この大嘗祭については、国事行為の儀式としてあり得るということなんですか。そういうことは現行憲法上は許されないということなんですか。その点、前の真田法制局長官は、先ほど述べました答弁の続きで、「それから、大嘗祭については現在もう規定はないというふうにお考えになって結構だと思います。」という答弁をしています。
といいますのは、この大嘗祭といいますのは、万世一系の天皇が、神聖不可侵の国家統治の大権を持つ元首として、現人神としての位置につくというためにやられる大嘗祭なんです。大嘗祭がなかったら神格を持てないんだというふうに、これは歴史的には解明されていることですね。そういういわば皇室神道の中核的な呪術的儀式なんです。それを大嘗祭という形で、国家行為としてですよ、内閣の助言と承認によって行われる天皇の国事行為の儀式としてやられるということになりますと、まさに天皇神格化に結びつく。そして皇室神道をそのまま国家行事としてやってしまうということになるので、これは憲法の二十条はもちろん、これは天皇を主権者に押し上げていこうとするそういう動きと関連していきますので、私たちは憲法上絶対許されないというふうに考えております。
大嘗祭についていかがお考えてありますか、改めてお伺いしたいと思います。
○宮尾政府委員 大嘗祭は、皇室に長く伝わっております極めて重要な伝統的儀式でございますが、その性格づけ等につきましては今後慎重に検討すべき問題でございまして、どのようにこれを行うかということについては現在お答えをする段階にございませんので、御了承いただきたいと思います。
○東中委員 今、代がわり――要するに日本国憲法ができてもう四十年なんですね。そして、明治憲法の場合の代がわりのときには、例えば登極令は明治四十二年にできていますね、儀式のやり方について。そしてもう一つ、大喪礼については、この皇室令は大正十五年にできています。いずれも儀式をやる前にちゃんとできているのですよ。ところが、今度の場合は初めてでしょう。しかし何にも言わない。検討中とか言ったり、憲法の趣旨と伝統を尊重してなんということを言って明らかにしないというのは、非常に異常であるということを私は指摘をし、今申し上げたような大嘗祭とそれから践祚の儀、これは一切許されない、それから即位の礼と大喪の礼もやり方によっては政教分離の原則に反するようなことは、そして、主権在民の原則に反するようなことは許されないということをはっきり申し上げまして、私の質問を終わります。

*1 しんぶん赤旗HP「天皇の「代替わり」にともなう儀式に関する申し入れ」(2018年3月22日発表)に,①剣璽(けんじ)等承継の儀,②即位後朝見の儀,③即位礼正殿の儀及び④大嘗祭に関する日本共産党の問題意識が書いてあります。
*2 以下の記事も参照してください。
① 柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容
② 人事院規則14-7(政治的行為),及び名古屋家裁裁判官の反天皇制に関する行為