和光市駅から司法研修所までのバス事情

0 公式の説明
司法研修所までのアクセスに関する公式の説明は,裁判所HPの「司法研修所」に載ってあります。

1 和光市駅までのアクセス
(1) 池袋駅から和光市駅まで,東武東上線又は東京メトロ有楽町線で約20分です。
そして,和光市駅の改札から向かって左側が和光市駅南口となります。
(2) 平成25年3月16日,東京メトロ副都心線と東急東横線・横浜高速みなとみらい線が相互直通運転を開始しました(和光市HPの「東京メトロ副都心線・東急東横線相互直通運転」参照)。
そのため,乗り換えなしで横浜駅から和光市駅に行けるようになりました。
(3) 全国タクシーHPの「タクシー料金検索」によれば,和光市駅から司法研修所までのタクシー料金は,深夜割増がない場合,約1180円(移動距離は2.7km。所要時間は8分)となっています。
(4) 東京メトロHPに「和光市駅」が,東武鉄道HPに「和光市駅」が載っています。

2 バス停の場所
(1) 和光市駅南口から向かって右側に東武バスのバス停があり,向かって左側に西武バスのバス停があります。
(2) 文中では「東武バス」と書いてあるものの,実際の表記は「東武バスウエスト」です。
東武バスは,運行担当子会社4社(東武バスセントラル,東武バスウエスト,東武バスイースト及び東武バス日光)の統括会社です。
(3) 税務大学校HPの「和光校舎案内図」に,和光市駅における東武バス停留所及び西武バス停留所の位置,並びに大泉学園駅における西武バス停留所の位置が分かりやすく乗っています。

3 運賃の支払方法等
東武バスの場合,後ろ乗りで運賃180円は後払いであるのに対し,西武バスの場合,前乗りで運賃180円は自己申告制前払いです。

4 和光市駅南口の時刻表
(1)ア 東武バスの時刻表については,東武バスHPの「和光市駅南口(行先 司法研修所循環)」に載っています。
東武バスの場合,和光市駅南口~司法研修所~和光市駅南口という循環路線となっています。
イ 東武バスの路線図を見れば分かりますが,行先が二軒新田となっているものも司法研修所入口を通過するものの,循環路線ではないという違いがあります。
ウ 東武バスのバス停に発着しているバスのうち,和光市役所循環とあるものは司法研修所を通過しません(時刻表につき,東武バスHPの「和光市駅南口(行先 和光市役所循環)」参照)。
(2)ア 西武バスの時刻表については,「和光市駅南口時刻表」に載っています。
イ 西武バスの場合,和光市駅から西武鉄道池袋線の大泉学園駅に向かう路線となっています。
(3) 東武バスの方が西武バスよりも本数が多いです。

5 司法研修所に到着するまでのバス停
(1) 東武バスの場合,和光郵便局,中央公民館入口,和光市役所入口,団地センター前,西大和団地,和光市総合体育館,税務大学校及び樹林公園を経て,司法研修所入口に到着します。
(2) 西武バスの場合,丸山台,広沢,西大和団地南,税務大学校和光校舎及び樹林公園を経て,司法研修所に到着します。
(3) いずれのバスを使用した場合であっても,所要時間は約15分です。

6 司法研修所付近のバス停の位置関係
(1) 和光市内の場合,東京外かく環状道路(グーグルマップでは「東京外環自動車道」)の東側は北から南への一方通行となっていて,西側は南から北への一方通行となっています。
そのため,和光市駅から司法研修所又はいずみ寮に行く場合のバス停は,東京外かく環状道路の東側にあります。
また,司法研修所又はいずみ寮から和光市駅に行く場合のバス停は,東京外かく環状道路の西側(司法研修所敷地の東隣)にあります。
(2)ア 東京外かく環状道路(外環道)は,都心から約15kmの圏域を環状に連絡する延長約85kmの道路であり,昭和38年に計画された3環状(中央環状線,外環道及び圏央道)9放射のネットワークの一環をなすものです。
イ 外環道につき,従前は,関越道と連絡する大泉JCTから三郷南ICまでの約34kmの区間(いわゆる「埼玉区間」であり,平成6年完成。)が開通していただけです(国土交通省東京外かく環状国道事務所HP「ルートと構造」参照)が,平成30年6月2日,三郷南ICから高谷JCTまでの約15.5kmの区間(いわゆる「千葉区間」)が完成しました(国土交通省関東地方整備局HP「東京外かく環状道路(三郷南IC~高谷JCT)今年6月2日(土)に開通」参照)。
ウ 首都高速中央環状線(略称は「中環」です。)は平成27年3月7日に全線開通しました(首都高速道路株式会社HP「中央環状線がいよいよ2015年3月全線開通~首都圏3環状道路の最初のリングが完成します~」参照)。
(3) 3環状の最新の開通状況は,国土交通省関東地方整備局HPの「スイスイ首都圏へ3環状」に載っています。
東京外かく環状道路のうち,大泉JCTと東名JCT(仮称)の区間(いわゆる「東京区間」)は昭和41年7月に都市計画が決定され,平成19年4月に都市計画が変更されたものの,未だに建設中です(国土交通省関東地方整備局HP「外環道東京区間」参照)。

7 司法研修所行きのバスの東側の車窓に関する動画
youtube動画「西武バス 光30 車窓 和光市駅南口⇒司法研修所⇒別荘橋⇒土支田地蔵⇒光が丘駅」を見れば,司法研修所行きのバスの東側の車窓が分かります。
リンク先の動画では,9分42秒後にバス停「税務大学校(和光校舎)」に到着し,11分29秒後にバス停「司法研修所」に到着し,12分17秒後ぐらいに司法研修所前交差点を通過しています。

8 乗車体験記
「マイナーな」路線バスの旅日記「東武バスウエスト 和07 和光市駅南口→和光市駅北口」に,司法研修所を通過する東武バスの乗車体験記が載っています。

9 「司法研修所」も参照して下さい。

司法修習の場所を選ぶ際の基礎データ

1(1) 司法修習の場所を選ぶ際の基礎データを以下のとおり掲載しています。
① 司法修習の場所ごとの司法修習生の人数の推移表(10期から71期まで)
② 司法修習の場所ごとの第1希望の倍率の推移表(新63期から69期まで)
③ 司法修習の場所ごとの第2希望までの倍率の推移表(新63期から69期まで)
④ 司法修習の場所ごとの倍率等の一覧表(新63期)
⑤ 司法修習の場所ごとの倍率等の一覧表(新64期)
⑥ 司法修習の場所ごとの倍率等の一覧表(新65期)
⑦ 司法修習の場所ごとの倍率等の一覧表(66期)
⑧ 司法修習の場所ごとの倍率等の一覧表(67期)
⑨ 司法修習の場所ごとの倍率等の一覧表(68期)
⑩ 司法修習の場所ごとの倍率等の一覧表(69期)
(2) 50期から68期までの,実務修習希望地調査表は,私の苦情申出に基づき,平成28年4月6日までに発見されました(平成28年4月6日付の補充理由説明書参照)。
(3) 元データとして,司法研修所が作成した実務修習希望地順位調査表等(人気調査)(56期~69期)を掲載しています。

2 平成28年11月7日付の司法行政文書不開示通知書及び平成29年度(最情)答申第1号(平成29年4月28日答申)によれば,第70期司法修習予定者の実務修習希望地調査表は作成又は取得していないことになっていますから,70期司法修習生の実務修習希望地倍率を計算できません。

3 「実務修習地の選び方」及び「実務修習地ごとの人数の推移等」も参照して下さい。

大阪高裁管内の実務修習地ごとの司法修習生の人数の推移

○大阪高裁管内の実務修習地ごとの司法修習生の人数の推移は以下のとおりです。
「実務修習地の選び方」及び「実務修習地ごとの人数の推移等」も参照して下さい。

1 大阪修習となった司法修習生の人数の推移
39人(10期),49人(20期),40人(30期),46人(40期),84人(50期)
126人(54期),177人(57期),194人(59期),157人(現行60期)
174人(新60期),88人(現行61期),215人(新61期)
65人(現行62期),216人(新62期),59人(現行63期)
183人(新63期),30人(現行64期),179人(新64期)
210人(新65期),218人(66期),223人(67期),191人(68期),197人(69期)
135人(70期),147人(71期)

2 京都修習となった司法修習生の人数の推移
18人(10期),26人(20期),24人(30期),22人(40期),33人(50期)
48人(54期),48人(57期),54人(59期),79人(現行60期)
0人(新60期),81人(新61期),77人(新62期),73人(新63期),73人(新64期)
71人(新65期),73人(66期),75人(67期),64人(68期),68人(69期)
62人(70期) ,65人(71期)

3 神戸修習となった司法修習生の人数の推移
16人(10期),26人(20期),24人(30期),23人(40期),29人(50期)
47人(54期),48人(57期),49人(59期),0人(現行60期)
74人(新60期),71人(新61期),75人(新62期),73人(新63期),73人(新64期)
72人(新65期),72人(66期),74人(67期),63人(68期),67人(69期),
63人(70期) ,66人(71期)

4 奈良修習となった司法修習生の人数の推移
6人(20期),4人(30期),6人(40期),6人(50期)
8人(54期),8人(57期),8人(59期),27人(現行60期)
0人(新60期),27人(新61期),27人(新62期),24人(新63期),24人(新64期)
24人(新65期),24人(66期),24人(67期),19人(68期),22人(69期)
18人(70期),18人(71期)

5 大津修習となった司法修習生の人数の推移
6人(26期),4人(30期),6人(40期),6人(50期)
8人(54期),8人(57期),16人(59期),24人(現行60期)
0人(新60期),0人(新61期),24人(新62期),23人(新63期),23人(新64期)
23人(新65期),23人(66期),24人(67期),20人(68期),22人(69期)
18人(70期),18人(71期)

6 和歌山修習となった司法修習生の人数の推移
8人(20期),6人(30期),6人(40期),7人(50期)
8人(54期),8人(57期),14人(59期),27人(現行60期)
0人(新60期),27人(新61期),27人(新62期),26人(新63期),25人(新64期)
25人(新65期),24人(66期),24人(67期),20人(68期),22人(69期)
15人(70期),16人(71期)

司法修習の場所ごとの実務修習開始時期

1 昭和31年採用の10期の実務修習地は以下のとおりです。
東京高裁管内:東京地裁,横浜地裁,さいたま地裁,千葉地裁
大阪高裁管内:大阪地裁,京都地裁,神戸地裁
名古屋高裁管内:名古屋地裁
広島高裁管内:広島地裁,岡山地裁
福岡高裁管内:福岡地裁
仙台高裁管内:仙台地裁
札幌高裁管内:札幌地裁
高松高裁管内:高松地裁

2 水戸地裁,宇都宮地裁,前橋地裁,静岡地裁及び岐阜地裁での実務修習は,昭和34年採用の13期から開始しました。

3 新潟地裁,金沢地裁及び熊本地裁での実務修習は,昭和37年採用の16期から開始しました。

4 甲府地裁,長野地裁,奈良地裁,和歌山地裁,津地裁,長崎地裁及び福島地裁での実務修習は,昭和38年採用の17期から開始しました。
これにより,東京高裁管内のすべての地裁で実務修習が開始しました。

5 松山地裁での実務修習は,昭和39年採用の18期から開始しました。

6 大分地裁及び函館地裁での実務修習は,昭和43年採用の21期から開始しました。

7 福井地裁での実務修習は,昭和45年採用の24期から開始しました。

8 大津地裁,富山地裁,山形地裁及び秋田地裁での実務修習は,昭和47年採用の26期から開始しました。
これにより,大阪高裁管内のすべての地裁で実務修習が開始しました。

9 山口地裁,佐賀地裁,鹿児島地裁,那覇地裁,盛岡地裁,徳島地裁及び高知地裁での実務修習は,平成4年採用の46期から開始しました。
これにより,高松高裁管内のすべての地裁で実務修習が開始しました。

10 鳥取地裁,松江地裁,宮崎地裁,青森地裁,旭川地裁及び釧路地裁での実務修習は,平成6年採用の48期から開始しました。
これにより,すべての地裁本庁で実務修習が開始しました。

11(1) 東京地裁立川支部での実務修習は,平成21年採用の新63期から開始しました。
(2) 東京地裁立川支部は,平成21年4月20日,東京地裁八王子支部が移転して設立されたものです。

12 「実務修習地の選び方」及び「実務修習地ごとの人数の推移等」も参照して下さい。

司法修習の場所とクラスの対応関係(67期ないし71期)

○それぞれの組(クラス)を担当する司法研修所教官の氏名等については,「司法研修所教官の名簿」を参照してください。
「実務修習地の選び方」及び「実務修習地ごとの人数の推移等」も参照してください。

1 67期及び68期の場合
(B班14組)
1組:札幌,旭川,釧路   2組:仙台,青森,函館
3組:前橋,長野,那覇   4組:新潟,高松,松山
5組:熊本,鹿児島,宮崎  6組:津,岐阜,金沢
7組:名古屋,福井,富山  8組:福岡,福島,山形
9組: 甲府,岡山,徳島    10組:広島,鳥取,松江
11組:名古屋,盛岡,秋田 12組:福岡,佐賀,長崎
13組:静岡,山口,大分  14組:水戸,宇都宮,高知
(A班14組)
15組:東京        16組:東京
17組:東京        18組:東京,立川
19組:東京,横浜     20組:横浜
21組:さいたま      22組:千葉
23組:大阪        24組:大阪,奈良
25組:大阪,大津     26組:大阪,和歌山
27組:京都        28組:神戸

2 69期の場合
(B班13組)
1組:札幌,旭川,釧路     2組:仙台,秋田,青森,函館
3組:宇都宮,前橋,新潟    4組:水戸,福島,山形,盛岡
5組:静岡,甲府,名古屋,岐阜 6組:長野,名古屋,津
7組:名古屋,金沢,福井,富山 8組:岡山,徳島,高知
9組: 広島,高松,松山      10組:広島,山口,鳥取松江
11組:福岡,佐賀,長崎    12組:福岡,大分,宮崎
13組:熊本,鹿児島,那覇
(A班14組)
14組:東京        15組:東京
16組:東京        17組:東京,立川
18組:東京,横浜     19組:横浜
20組:さいたま      21組:千葉
22組:大阪        23組:大阪,奈良
24組:大阪,大津     25組:大阪,和歌山
26組:京都        27組:神戸

3 70期の場合 
(B班12組)
1組:札幌,函館,旭川,釧路   2組:仙台,盛岡,秋田,青森
3組:水戸,宇都宮,福島,山形  4組:前橋,長野,新潟,富山
5組:名古屋,津,岐阜      6組:名古屋,福井,金沢
7組:静岡,甲府,広島      8組:広島,岡山,鳥取,松江
9組:高松,徳島,高知,松山   10組:山口,福岡,佐賀,長崎
11組:福岡,大分,宮崎     12組:熊本,鹿児島,那覇
 (A班13組)
13組:東京           14組:東京
15組:東京           16組:東京,立川
17組:東京,横浜        18組:横浜
19組:さいたま         20組:千葉
21組:大阪,奈良        22組:大阪,大津
23組:大阪,和歌山       24組:京都
25組:神戸

4 71期の場合
(B班11組)
1組:札幌,函館,旭川,釧路,青森 2組:仙台,山形,盛岡,秋田
3組:福島,水戸,宇都宮,新潟   4組:前橋,静岡,甲府,長野
5組:名古屋,津,岐阜       6組:名古屋,福井,金沢,富山
7組:広島,山口,鳥取,松江    8組:岡山,高知,松山
9組:高松,徳島,熊本,鹿児島   10組:福岡,佐賀,長崎,大分
11組:福岡,宮崎,那覇
 (A班12組)
12組:東京            13組:東京
14組:東京,立川         15組:東京,横浜
16組:横浜            17組:さいたま
18組:千葉            19組:大阪,奈良
20組:大阪,大津         21組:大阪,和歌山
22組:京都            23組:神戸

実務修習地の決定方法等に関する国会答弁

堀田眞哉最高裁判所人事局長は,平成29年3月22日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。これによれば,第1希望又は第2希望の実務修習地に配属される司法修習生の割合が重視されていますから,第2希望の実務修習地も慎重に記載する必要があると思われます(「実務修習地の選び方」も参照してください。)。

1 まず、実家から修習先に通勤できる修習生の割合、あるいは逆に転居が必要になる修習生の割合についてのお尋ねでございますが、お尋ねのあったような修習生の割合についてはこれまで調査したことはございませんので、これらの割合を直ちにお答えすることはできないところでございます。
ただ、貸与制のもとで、住居加算の申請をする者には、実家などから修習先への通勤ができず、新たに住居を確保した者が含まれていると考えられますところ、貸与申請者の中で住居加算の申請をした者の占める割合、これはわかるところでございまして、これは直近五年間で、おおむねでございますが、二割程度となっているところでございます。

2 それから、修習地がどのように決まるかというお尋ねでございます。
実務修習地の決定は司法研修所の方でしておりますが、司法研修所において、修習生の希望を基本として、各人の健康状態、家族状況の切実度など、諸般の事情を考慮して決定しているものと承知しております。
司法研修所は、司法修習生にあらかじめ実務修習希望地の調査書というものを提出させまして、修習地の希望を第六希望まで聴取しておりますところ、四分の三程度の修習生が第一希望または第二希望の実務修習地に配属されている一方で、全く希望外の修習地に配属された修習生はほとんどいないものと承知しているところでございます。

3 各修習生の具体的な経済状況の詳細な情報は、実務修習地の決定の際に詳しく調査をしているわけではないと承知しておりますけれども、先ほども申し上げましたような諸般の事情を考慮して決める中で、そういった面が、転居の負担というのは本人の希望の切実度と裏腹の関係になるというような意味合いにおいては一定程度考慮されるという結果になっているのではないかというふうに考えております。

4 給付金が創設された後、まずはその運用を安定的にしてまいるということを心がけてまいりたいと存じますが、修習生の実情について、どういった形で、どのような項目について把握をしていく必要があるのかどうかということは、その必要に応じて、その時々においてまた検討をしてまいりたいと存じます。

司法修習の希望場所の記載方法

1(1) できる限り第1希望地に配属してもらいたい場合,第1希望地の理由を具体的に記載するほか,第2希望地以下については第1希望地の近くの実務修習地を書くことで,第1希望地へのこだわりが強いことをアピールした方がいいと思います。
その際,平成30年8月1日付の「司法研修所からのお知らせ」8頁で例示されている以下の記載例を参考に,具体的に書けばいいと思います。
① 配偶者(内縁者・修習終了までに婚姻する予定の婚約者を含む。)・子との同居希望
現在,民間企業に勤務している妻及び〇歳の子と同居して生活しているところ,今後も同居を継続するため,現住所地から通える地を希望する。
② 通院・病気
〇〇病に罹患しており,現在月1回△△病院(□□県●●市)に通院して高度に専門性を有する治療を受けており,今後もその治療を継続する必要があるため,現住所地から通える地を希望する。
③ 親族の介護
現在同居中の父親が身体障碍者(1級,介護認定・要介護5)で,母と私で入浴・食事等の介護を行っており,私がいないと介護に支障が生じるため,現住所地から通える地を希望する。
④ 経済的事情
法科大学院在学中の奨学金の返済額が1か月●万円(総額●●●万円)となっているので,現住所地(自宅)から通える地を希望する。
(2) 内縁関係(事実婚関係と同じ意味です。)にあることを書類で証明したい場合,続柄欄に「妻(未届)」という記載がある住民票を提出すればいいと思います(ビズジャーナルHPの「事実婚,消える法律婚との差?メリットの多さに関心高まる「妻(未届)」」参照)。
(3) 外部ブログの「悲喜交々の修習地発表」によれば,親族の介護及び経済的事情は,理由として強いみたいです。

2(1)ア 以下の場合,希望順位が低い,又は希望外の実務修習地に配属される可能性が高くなるといわれています。
① 1群の実務修習地を三つ以上記載するといったルール違反をした場合
② 第1希望地から第6希望地までの選択内容に脈絡がなかった場合
③ 第2希望地として,第1希望地とは全く関係がない,希望者数が極端に少ない実務修習地を書いた場合
イ 平成30年8月1日付の「司法研修所からのお知らせ」9頁に,「希望地の記載がない場合又は表1の実務修習希望地の選択規則に反した記載をしている場合は「一任」として,途中順位までの記載しかない場合には「以下一任」として取り扱う。」と書いてあります。
→ 「表1の実務修習希望地の選択規則に反した記載」の典型例は,1群の実務修習地(東京,立川,横浜,さいたま,千葉,宇都宮,静岡,甲府,大阪,京都,神戸,大津,名古屋,福岡,仙台,札幌)を三つ以上記載することです。
(2) 平成30年8月1日付の「司法研修所からのお知らせ」9頁の「(表3) 実務修習希望地の記載例」につき,「①全部記載の場合」の例として,「第1希望:東京,第2希望:さいたま,第3希望:広島,第4希望:和歌山,第5希望:高知,第6希望:松江」という記載がありますところ,実際にこのような記載をした場合,「第1希望地から第6希望地までの選択内容に脈絡がなかった場合」に該当する結果,第4希望以下で決まる気がします。
また,「②一部一任の場合」の例として,「第1希望:大阪,第2希望:鳥取,第3希望:以下一任」という記載がありますところ,実際にこのような記載をした場合,「第2希望地として,第1希望地とは全く関係がない,希望者数が極端に少ない実務修習地を書いた場合」に該当する結果,第2希望の鳥取修習になる可能性が極めて高い気がします。
そのため,「(表3) 実務修習希望地の記載例」は,できる限り第1希望地又はその周辺の実務修習地への配属を希望する司法修習予定者にとっては,不適切である気がします。

3 配属して欲しい実務修習地だけ具体的理由を挙げて希望し,それ以外については「以下一任」と記載した場合,「以下一任」という記載だけで,希望順位が低い,又は希望外の実務修習地に配属される可能性が高くなるわけではないといわれています。

4(1) 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(略称は「育児・介護休業法」です。)26条は,「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。」と定めています。
そのため,司法研修所の記載例には「子との同居希望」しか書いてありませんが,子の養育に関するその他の事情も実務修習地の希望理由として考慮されるかもしれません。
(2) 厚労省HPの「育児・介護休業法について」に,育児・介護休業法に関する指針及び施行通達が載っています。

 「実務修習地の選び方」も参照してください。

「品位を辱める行状」があったことを理由とする司法修習生の罷免事例及び再採用

1 23期の阪口徳雄修習生(昭和44年4月採用)の事例
(1)ア 阪口徳雄修習生は,昭和46年4月5日(月)の午前中に司法研修所講堂で行われた修習終了式において,23期の裁判官志望者7人に対する任官拒否に抗議するため,司法研修所長のマイクを手にとって,「裁判官への任官を拒否された修習生7人に発言させる機会を与えて欲しい」などと発言を始めたため,約1分後に司法研修所事務局長が修習終了式の終了を宣言したという事件を発生させました。
最高裁判所は,同日午後6時から臨時の裁判官会議を開催し,「品位を辱める行状」があったということで,阪口徳雄修習生に弁明の機会を与えることなく,同人を罷免しました。
イ 23期の裁判官志望者7人に対する任官拒否については,昭和46年4月5日午後1時半頃,23期の裁判官内定者55人のうちの40人が有志で,「青法協会員ら7人の任官拒否は思想・信条,団体加入による差別の疑いが強い。このまま裁判官として職務につくことは耐えがたい不安を感じる。不採用の理由を明らかにせよ」などとする要望書(署名者は23期裁判官内定者45人)を矢口洪一最高裁判所人事局長に提出するため,最高裁判所に赴きました。
しかし,最高裁判所は彼らが構内に入ることを拒否し,要望書を受け取りませんでした。
ウ 阪口徳雄修習生に対する罷免通知の時刻につき,昭和46年4月6日の毎日新聞朝刊では,午後7時40分頃に司法研修所事務局長から罷免通告が伝えられたと書いてあります。
昭和46年5月8日の日弁連臨時総会決議では,午後8時26分に罷免処分が言い渡されたと書いてあります。
自由と正義2018年7月号5頁には,阪口徳雄弁護士が自分で,「1971年4月5日午後8時過ぎ司法研修所の所長室で守田所長(当時)から「司法修習生の品位を汚した」ので罷免するという最高裁裁判官会議の決定書を交付された。」と書いてあります。
エ 外部ブログの「司法研修所卒業式」によれば,当日午後7時頃,卒業式の中止が伝えられたそうです。
オ 23期は昭和46年4月5日付で司法修習を終了し,同月6日の官報にその氏名が公表され,同月8日の官報に「阪口徳雄を削除」という訂正記事が載りました。
カ 平成29年3月15日付の司法行政文書不開示通知書及び平成29年度(最情)答申第47号(平成29年12月1日答申)によれば,昭和46年4月に司法修習生を罷免した際の最高裁判所裁判官会議議事録は保存されていません。
(2)ア 外部ブログの「荒れた司法研修所終了式」によれば,23期の裁判官任官希望者に対しては,昭和46年3月30日,最高裁判所人事局長から,4月6日付で判事補の採用内定通知が電報で届いたものの,7人については不採用の通知がされ,そのうちの6人が青法協会員だったそうです。
また,終了式当日は,「修習生有志で組織された『任官・再任拒否を許さぬ会』の面々が『司法の魔女狩りを許すな』のプラカ-ドを掲げ,中庭では携帯マイクで叫ぶ人,ビラをまく人がそれぞれ息巻いて,さながら大学紛争の様相を呈していた」そうです。
イ 7人の任官拒否等に関しては,日弁連会長は,昭和46年4月3日,「13期裁判官の再任拒否問題に関する談話」を出しました。
なお,13期裁判官は,宮本康昭熊本地家裁判事補のことです。
(3) 東京都千代田区紀尾井町にあった司法研修所は,この事件の3日後,東京都文京区湯島に移転しました。
23期の修習終了式と25期の修習開始式(昭和46年4月16日)の合間を縫って司法研修所の移転作業が行われたわけです。
(4) この事件では,日弁連が昭和46年5月8日に臨時総会を開催して抗議決議を出しました(日弁連HPの「臨時総会・司法修習生の罷免に関する決議」参照)。
また,同決議によれば,この事件に関する矢口洪一最高裁判所人事局長の国会答弁は,阪口徳雄修習生の実際の行動とは異なるとのことです。
(5)ア 23期の場合,昭和44年6月に東大を卒業した司法試験合格者を対象として,昭和44年7月1日付で26人の司法修習生が採用され(日弁連HPの「臨時総会・司法修習生の追加採用に関する決議」(昭和44年7月12日付)参照),昭和46年6月,25期の前期修習中に二回試験が実施されました。
23期(昭和44年7月採用)の修習終了式は,昭和46年7月1日午前10時から司法研修所会議室で行われ,10人が判事補に,6人が検事に,10人が弁護士になりました。
イ   10人の判事補は全員が東大出身であり,現役合格4人・1年遅れ5人・2年遅れ1人であり,退官時のポストは,東京高裁長官1人,名古屋高裁長官2人,知財高裁所長1人,東京高裁部総括2人,名古屋地裁所長1人,さいたま地家裁熊谷支部長1人,名古屋家地裁判事1人,静岡家地裁判事1人です。
23期全体の場合,退官時のポストは,高裁長官5人,知財高裁所長1人,東京高裁部総括5人,大阪高裁部総括6人,広島高裁部総括2人,福岡高裁部総括3人,仙台高裁部総括1人,札幌高裁部総括2人,地家裁所長10人(うち,1人は弁護士任官者)ですから,23期(昭和44年7月採用)の10人の判事補の出世率は非常に高いものでした。
ウ 昭和44年1月18日から同月19日にかけて東大安田講堂攻防戦が行われたこともあって,昭和44年度は東大入試がありませんでした。
(6)ア 阪口徳雄修習生は,2年後の昭和48年4月16日,司法修習を終え(昭和48年4月18日の官報参照),25期の弁護士になっています。
イ 自由と正義2018年7月号6頁には,「1973年1月末に,終了式を「混乱」させたことを謝り,再採用となった。2回試験を合格しているので研修所に通わず修習終了となり,25期の卒業式と同時ではまた騒がれると思ったのか(笑),終了式の1週間後に,守田所長,教官に囲まれ「たった1人の終了式」で罷免事件は終わった。」と書いてあります。

2 33期の男性司法修習生(昭和54年4月採用)の事例
(1)ア   ①岐阜地裁刑事部で実務修習中の昭和55年11月8日午後1時10分頃,地元の女子高生の通学路になっている路上で,下校中の女子高生5人に下腹部を露出する卑猥な行為をしたこと,並びに②昭和49年2月及び昭和54年2月に公然わいせつ行為での検挙歴があったことにかんがみ,昭和55年11月13日(木),「品位を辱める行状」があったということで罷免されました(昭和55年11月13日の毎日新聞夕刊)。
イ 昭和56年11月30日の日本経済新聞夕刊には以下の記載があります(一部,氏名を伏せました。)。
修習性が罷免されたのは,今回を含め9件。うち6件は成績不良や病気などによるもので,○○さんのように裁判所法や「司法修習生に関する規則」18条(裁量的罷免事由)1号(品位を辱める行為があった時)に基づく”強制罷免”は46年4月の阪口徳雄氏(研修所の終了式を混乱させた),55年11月の○○○○氏(破廉恥行為)に続いて3人目。しかし○○氏を除く7人はその後修習生として再採用された。
(2) 昭和55年11月12日の最高裁判所裁判官会議議事録を掲載しています。
(3) ネットの記事によれば,33期の元修習生は毎年,再採用の申し出を出したものの,最高裁判所に拒否され続けたみたいです。

3 34期の男性司法修習生(昭和55年4月採用)の事例
(1) ①司法修習期間中の昭和55年6月から昭和56年6月にかけて,知り合いの女性の父親に対し,過去の扶養料を取り立てるため,この父親の自宅,職場に手紙や電話で金の支払を頻繁に求めたこと,及び②金の支払を求めた際,司法研修所の用紙や東京地裁の裁判官が使う用紙などを用いて支払を催促しており,最終的には300万円を要求したことにかんがみ,昭和56年11月25日(水),「品位を辱める行状」があったということで罷免されました(昭和56年11月30日の日本経済新聞夕刊)。
(2) 昭和56年11月25日の最高裁判所裁判官会議議事録を掲載しています。
(3) 34期の元修習生は,昭和59年4月4日に司法修習を終え,36期の弁護士になっています。
そのため,2年後に再採用してもらえたものと思われます。

4 70期の男性司法修習生(平成28年11月採用)の事例
(1) 平成28年12月,司法研修所の寮の談話室で飲食した際,同期の女性司法修習生2人にみだらな言動をしたほか,ズボンと下着を脱いで下半身を露出したため,平成29年1月18日,「品位を辱める行状」があったということで罷免されました。
(2) 外部ブログの「70期千葉修習の罷免」によれば,12月22日(木)の導入修習終了後の話みたいです。
そして,12月23日(金)がいずみ寮の退去日であったことからすれば,導入修習終了後の打ち上げでの出来事だったのかも知れません。
(3) 平成29年1月18日の最高裁判所裁判官会議議事録を掲載しています。
(4) ちなみに,水戸地検検事正(当時)は,平成23年2月14日の夜,水戸市内のスナックで酒に酔い,居合わせた客や同地検次席検事(当時)ら4人に対し,マイクで頭を殴ったり,髪の毛を引っ張ったりしました。
しかし,東京地検は,平成23年10月13日,暴行の事実はあったとした上で,「酒に酔った際の偶発的な事案で,被害者も処罰を望んでいない」として,起訴猶予にとどめました。
また,職務時間外の行動でしたから,懲戒等の人事上の処分は行われませんでした(外部ブログの「水戸地検検事正(当時。現・最高検検事)が,たたく・蹴るの暴行して。不起訴。懲戒処分無し」参照)。

5 罷免された後の再採用
(1)ア 「品位を辱める行状」があったことを理由に罷免された司法修習生が再採用を申し出た過去の先例では,①司法研修所の修習終了式を妨害したとされた23期司法修習生,及び②知り合いの女性に頼まれて家族の離婚問題に介入し,恐喝まがいの行為をしたとされた34期司法修習生については,2年度に再採用が認められたみたいです。
これに対して公然わいせつ行為を行った33期の司法修習生については,再採用が認められなかったみたいです。
イ   報道されている事実を前提とすれば,公然わいせつ行為を行った70期の司法修習生の場合,再採用が認められなかった33期の司法修習生よりも情状は軽い気がします。
(2) 昭和56年11月30日の毎日新聞夕刊によれば,司法修習生が罷免されたのは,昭和56年11月25日付の罷免を含めて9人であり,うち6人は成績不良や病気などによるものであるところ,33期の司法修習生を除く7人は,後日,再採用されたそうです。
(3)  二回試験不合格という成績不良を理由に罷免された司法修習生について再採用が認められるのは早くても1年後であることにかんがみ,それよりも情状が悪い,素行不良を理由に罷免された司法修習生については,2年後に再採用を認めるという運用をしてきたのかもしれません。

6 性犯罪を犯した裁判官(参考)
「法務省出向中の裁判官の不祥事の取扱い」を参照してください。

民間労働者と司法修習生との比較

〇司法修習生は民間労働者と比べて色々な面で不利な取扱いを受けていますから,最高裁判所としては,司法修習生の労働者性を否定することを当然の前提にしていると思われます。
〇憲法11条は「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と定め,憲法12条前段は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」と定めています。
平成29年4月24日付の司法行政文書不開示通知書によれば,最高裁判所が司法修習生に対して負っている安全配慮義務の内容が分かる文書は存在しません。
「司法修習生の欠席,罷免及び逮捕並びに民間労働者との比較」も参照して下さい。

1 採用時点
(1) 民間労働者の場合
ア 会社には採用の自由があること
(ア) 会社は,経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し,自己の営 業のために労働者を雇用するに当たり,いかなる者を雇い入れるか,いかなる条件でこれを雇うかについて,法律その他による特別の制限がない限り,原則として自由にこれを決定することができます(最高裁平成15年12月22日判決。なお,先例として,最高裁大法廷昭和48年12月12日判決参照)。
つまり,会社は採用の自由を有しますから,採用してもらえるかどうかは原則として会社次第となります。
(イ) 採用の自由については,法律上,以下の制限はあります。
① 雇用対策法10条(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)
→ 例外として,長期間の継続勤務による職務に必要な能力の開発及び向上を図ることを目的とし,期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合,新卒者等に限定した募集及び採用を行うことができます(雇用対策法施行規則1条の3第1項1号)。
② 男女雇用機会均等法5条(性別を理由とする差別の禁止)
→ ちなみに,厚生労働省HPの「都道府県労働局雇用均等室における法施行状況について」に掲載されている「平成27年度都道府県労働局雇用均等室での法施行状況」によれば,第5条関係の労働者からの相談は,206件(25年度),196件(26年度),136件(27年度)と推移しており,第11条関係(セクハラ)の10分の1以下の相談件数です。
なお,平成28年度以降の同趣旨の文書は,厚生労働省HPの「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)における法施行状況について」に掲載されています。
③ 障害者雇用促進法5条(事業主の責務)
④ 労働組合法7条(不当労働行為)1号
イ 国籍による差別は当初から禁止されていたこと
昭和22年9月1日の労働基準法施行当初から,労働者の国籍による差別は禁止されていました(労働基準法3条)。
(2) 司法修習生の場合
ア 一定の欠格事由に該当しない限り差別なく採用してもらえること
(ア)   司法試験合格者は,一定の欠格事由に該当しない限り,性別・年齢等に関係なく司法修習生に採用してもらえます(裁判所法66条1項参照)。
(イ)  健康診断の結果が非常に悪かった場合,「心身の故障により修習をすることが困難である者」に該当する可能性があります。
罰金前科等があった場合,「品位を辱める行状により,司法修習生たるに適しない者」に該当する可能性があります。
そのため,これらの事由がある場合,司法修習生に採用してもらえない可能性があります(「司法修習生の採用選考,健康診断及び名刺」参照)。
イ 以前は日本国籍が必要であったこと
(ア)   昭和51年採用の30期までは,司法修習生採用選考要領の欠格事由が「日本の国籍を有しない者」となっていて,司法修習生となるためには帰化して日本国籍を取得する必要がありましたから,台湾国籍では司法修習生に採用されませんでした(神戸合同法律事務所HPの「吉井正明」参照)。
しかし,昭和52年に在日韓国人の金敬得が帰化せずに31期司法修習生に採用されて以降,司法修習生採用選考要領の欠格事由が「日本の国籍を有しない者(最高裁判所が相当と認めた者を除く。)」となりました。
そして,平成21年11月採用の司法修習生(新63期)から,司法修習生採用選考要領の欠格事由から「日本の国籍を有しない者」が削除されました(外部ブログの「「司法修習生は日本国籍必要」条項を削除 最高裁」参照)。
(イ) 日弁連は,平成6年3月28日付の最高裁判所長官宛要望において,「最高裁判所が司法修習生採用選考において、外国籍の者や逮捕歴・起訴歴を有する者に対して、本人の誓約書や保証人を求めていることは憲法等に違反するとして、司法修習生採用選考要項の「国籍条項」を削除するとともに、これらの差別的取扱・慣行を行わないよう要望した」みたいです(日弁連HPの「司法修習生採用時の国籍条項等による差別人権救済申立事件(要望)」参照)。
(ウ) 平成29年5月12日付の司法行政文書不開示通知書によれば,司法修習生採用に際しての国籍条項が廃止されるに至った経緯が分かる文書は,保存期間を満了しており廃棄済みです。
(エ) 外国人登録原票は現在,法務省入国管理局で保管されています(法務省入国管理局HPの「外国人登録原票を必要とされる方へ」参照)。

2 休暇の有無
(1) 民間労働者の場合
ア   就職してから6ヶ月間継続して勤務し,全労働日の8割以上出勤した場合,10日以上の有給休暇をもらえます(労働基準法39条1項)し,年次有給休暇を取得したことについて,賃金の減額その他不利益な取扱いをされることはありません(労働基準法附則136条)。
イ 事業遂行に必要な技術者の養成と能力向上を図るため,各職場の代表者を参加させて,一箇月に満たない比較的短期間に集中的に高度な知識,技能を修得させ,これを職場に持ち帰らせることによって,各職場全体の業務の改善,向上に資することを目的として行われた訓練の期間中に,訓練に参加している労働者から年次有給休暇が請求されたときは,使用者は,当該休暇期間における具体的な訓練の内容がこれを欠席しても予定された知識,技能の修得に不足を生じさせないものであると認められない限り,事業の正常な運営を妨げるものとして時季変更権を行使することができます(最高裁平成12年3月31日判決)。
ウ 厚生労働省HPに「有給休暇ハンドブック」(年次有給休暇の計画的付与と取得について)が載っています。
エ 外部HPに「ポイントは4つだけ。意外に勘違いが多い有給休暇制度」が載っています。
(2) 司法修習生の場合
休暇という概念がありませんから,正当な理由のない欠席は規律違反として非違行為となります。

3 病気等で働けない場合の取扱い
(1) 民間労働者(社会保険加入が前提です。以下同じ。)の場合(「労災保険」「休職期間中の社会保険及び税金」,及び「症状固定後の社会保険及び失業保険」参照)
ア   病気等で働けない場合,就業規則の内容によっては6箇月から1年は休職できます。
また,休職期間中,健康保険から1年6月を上限として傷病手当金(月給の3分の2)を支給してもらえます(協会けんぽHPの「病気やケガで会社を休んだとき」参照)。
イ(ア) メンタルヘルスの問題で休職した人が職場に復帰する際の配慮事項について,厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課が「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~」を作成しています。
(イ)   労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合においては,現に就業を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても,その能力,経験,地位,当該企業の規模,業種,当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができ,かつ,その提供を申し出ているならば,なお債務の本旨に従った履行の提供があります(最高裁平成10年4月9日判決)。
ウ(ア) 社会保険への加入手続をしてもらっていなかった場合であっても,労働者としての実態があるのであれば,以下のとおり事後的に社会保険に加入できます。
① 労災保険については労基署の職権による成立手続及び労災保険料の認定手続(労災保険法31条1項1号参照)を経ること
② 雇用保険についてはハローワークの職権による被保険者資格の確認(雇用保険法8条及び9条)を経ること
③ 健康保険については年金事務所又は健康保険組合の職権による確認(健康保険法39条・51条1項)を経ること
④ 厚生年金については年金事務所の職権による確認(厚生年金保険法18条2項)を経ること
(イ) 労働者としての実態があるかどうかは,昭和60年12月19日付の労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」に基づいて決定されます。
在宅勤務者が労働者に該当するかどうかについては,厚生労働省HPの「在宅勤務者についての労働者性の判断について」が参考になります。
エ 平成28年10月1日,従業員規模501人以上の企業の場合,所定労働時間が週20時間以上30時間未満・月額賃金8.8万円以上・勤務期間1年以上見込み・学生でないパート・アルバイトについても社会保険が適用されるようになりました(政府広報オンラインの「暮らしに役立つ情報」「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象が広がっています。」参照)。
(2) 司法修習生の場合
ア   病気等で修習に参加できない場合,①トータルで45日以内の欠席しか認められていませんし,②導入修習,実務修習の各クール,集合修習,選択型実務修習といったそれぞれの修習単位について半分までの日数の欠席しか認めれていません。
そのため,それ以上休む必要がある場合,いったん罷免された上で,次年度の司法修習生として再採用される必要があります。
また,休んでいる期間中,修習給付金及び修習専念資金を支給してもらえるに過ぎません。
イ 再採用される際の配慮事項について,司法研修所が作成している手引きは特に存在しないと思います。

4 妊娠,出産及び育児に関する取扱い
(1) 民間労働者の場合
ア 民間労働者が妊娠・出産して育児をする場合,①健康保険から出産育児一時金42万円(協会けんぽHPの「子どもが生まれたとき」参照)を支給してもらえますし,②出産日以前42日から出産日の翌日以降56日までの間,健康保険から出産手当金(賃金日額の3分の2)を支給してもらえますし(協会けんぽHPの「出産手当金」参照),③雇用保険から育児休業給付金(180日目までは賃金日額の67%,181日目以降は賃金日額の50%)を支給してもらえます(大阪労働局HPの「育児休業給付について」参照)。
また,①産前産後休暇(産前6週間・産後8週間)(労働基準法65条)を取ったり,②原則として1年間の育児休業を取ったりできます(育児・介護休業法9条2項参照)し,③育児休業をしたことを理由として解雇その他不利益な取扱いを受けることはありません(育児・介護休業法10条)。
イ 産前産後休業期間(産前42日(多胎妊娠の場合は98日),産後56日のうち,妊娠又は出産を理由として労務に従事しなかった期間)について,健康保険・厚生年金保険の保険料は,被保険者が産前産後休業期間中に事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者・事業主の両方の負担につき免除されます。
申出は,事業主が産前産後休業取得者申出書を日本年金機構(事務センター又は年金事務所)へ提出することにより行います。
この免除期間は,将来,被保険者の年金額を計算する際は,保険料を納めた期間として扱われます(日本年金機構HPの「厚生年金保険料等の免除」参照)。
ウ 育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等期間について、健康保険・厚生年金保険の保険料は,被保険者が育児休業の期間中に事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者・事業主の両方の負担につき免除されます。

申出は,事業主が育児休業等取得者申出書を日本年金機構(事務センター又は年金事務所)へ提出することにより行います。

この免除期間は、将来、被保険者の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます(日本年金機構HPの「厚生年金保険料等の免除」参照)。
エ 平成29年1月1日,上司・同僚からの,妊娠・出産,育児休業,介護休業等を理由とする嫌がらせ等(いわゆるマタハラ・パワハラ等)を防止する措置を講じることが事業主に義務づけられました(リーフレット「育児・介護休業法が改正されます!-平成29年1月1日施行-」「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!」参照)。
オ 平成29年10月1日以降,保育所等における保育の実施が行われないなどの理由により,子が1歳6ヶ月に達する日後の期間についても育児休業を取得する場合,その子が2歳に達する日前までの期間,育児休業給付金の支給対象となります(厚生労働省HPの「平成29年10月より育児休業給付金の支給期間が2歳まで延長されます」参照)。
また,事業主は,労働者又はその配偶者が妊娠・出産した場合,家族を介護していることを知った場合に,当該労働者に対して,個別に育児休業・介護休業等に関する定めを周知するように努めることとなりました(育児休業等制度の個別周知)(厚生労働省HPの「平成29年改正法の概要」参照)。
カ 育児・介護休業法については,厚生労働省HPの「育児・介護休業法について」が詳しいです。
また,平成28年8月2日付の育児・介護休業法に関する施行通達(平成29年9月29日最終改正)を見れば,厚生労働省の解釈が分かります。
キ 外部HPの「あなたの産休・育休の期間と金額を自動計算します。」を使えば,産前・産後休業に関する休業期間,社会保険料免除額,出産育児一時金及び出産手当金,並びに育児休業に関する休業期間,社会保険料免除額及び育児休業給付金を計算できます。
(2)   司法修習生の場合
ア   司法修習生が妊娠・出産して育児をする場合,国民健康保険から出産育児一時金を支給してもらえるだけです。
イ   導入修習,集合修習といったそれぞれの修習単位について半分までの欠席しか認めれていません(民間労働者の場合,産後6週間の女性の就業が禁止されていることにつき労働基準法65条2項ただし書参照)。
そのため,いったん罷免された上で,次年度の司法修習生として再採用される必要があります。
ウ 司法修習の期間が2年だったときは,女性修習生が修習中に出産した場合であっても,修習の必要出席日数をぎりぎりでクリアできて罷免されずにすんだ事例があったみたいです(東洋経済オンラインの「激務さんの「最強育児」は,ママ弁護士に学べ」参照)。
エ   34期の赤根智子法務総合研究所長(平成26年当時)の場合,産後のみ約1ヶ月のお休みをもらった後,司法修習に復帰したみたいです(内閣官房内閣人事局HPの赤根智子法務総合研究所長の記事参照)。
オ 東弁リブラ2015年4月号「湯島2期…「司法の危機」時代の青春」には,25期の酒井幸弁護士の体験談として以下の記載があります。

私は実務修習中に結婚し,出産した。後期が始まる直前の10月18日,弁護修習の時に長男を

出産。修習担当の山本晃夫弁護士(第一東京弁護士会)は,体調を気遣ってくださりながら,大きなお腹を抱える私を伴い,告訴状を出しに警察へも同行してくださった。修習生に産休はなく,2年間の総欠席日数のリミットの範囲で,産前は約1ヶ月休み,産後は11月下旬に始まる後期修習から出た。弁護修習の欠席日数は,多少おまけをしていただいたような気がする。山本弁護士は早く鬼籍に入られ,もうお礼を申し上げることができない。

子育ても頑張りながら緊張が続いた修習最後の二回試験では,さすがに一晩入院する羽目になり,口述試験を後ろのグループに変えてもらい,薄氷を踏む思いでクリアした。柔軟な対応はありがたかった。

5 最低賃金法との関係
(1) 研修医の場合
臨床研修のプログラムに参加している研修医は労働基準法9条所定の労働者に該当しますから, 最低賃金法の適用があります(最高裁平成17年6月3日判決)。
(2) 司法修習生の場合
ア 最低賃金法が適用されない司法修習生の修習資金貸与制については,「司法修習生の修習資金貸与制」を参照して下さい。
イ   71期以降の司法修習生については,修習給付金の基本手当として月額13万5000円が支給されます(「司法修習生の修習給付金及び修習専念資金」参照)。
ところで, 平成28年10月1日発効の,埼玉県最低賃金は時給845円です(埼玉労働局HPの「埼玉県の最低賃金」参照)。
そのため,埼玉県において最低賃金で1日8時間働いた場合の30日分の給料は,845円×40時間×30日/7日=14万4857円となります。
よって,司法修習が労働に該当するとした場合,月額13万5000円の修習手当は,埼玉県の最低賃金を下回ることとなります。

6 労働時間等の管理の有無
(1) 民間労働者の場合
ア 労働時間の意義等
(ア) 労働基準法32条の労働時間とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい,右の労働時間に該当するか否かは,労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって,労働契約,就業規則,労働協約等の定めのいかんにより決定されるものではありません(最高裁平成12年3月9日判決)。
(イ) 憲法27条2項は,「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」と定めています。
イ 労働時間の管理
(ア)  平成12年11月30日付の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」に基づき,使用者は,労働時間を適正に管理するため,労働者の労働日ごとの士業・終業時刻を確認し,これを記録する必要がありますし,原則として,タイムカード,ICカード等の客観的な記録を基礎として始業・終業時刻を確認し,記録する必要があります。
また,労働時間の記録に関する書類については,労働基準法109条に基づき3年間保存する必要があります。
(イ) 平成29年1月20日付の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では,従前の基準では明確にされていなかった労働時間について以下の説明がなされています。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。そのため、次のアからウのような時間は、労働時間として扱わなければならないこと。

ただし、これら以外の時間についても、使用者の指揮命令下に置かれていると評価される時間については労働時間として取り扱うこと。

(中略)
ウ   参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間
(ウ) 厚生労働省HPの「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」と題するパンフレットが詳しいです。
(エ) 椎名宮崎社会保険労務士法人HP「労働時間適正把握対照表」を見れば,平成12年の基準と平成29年のガイドラインの違いがよく分かります。
(2) 司法修習生の場合
ア    登庁又は出勤の状況は出勤簿等によって把握され,何らかの理由で登庁又は出勤が遅れた場合,遅参届を提出する必要がありますものの,修習時間を適切に管理するためのものではないと思います。
イ  司法修習は,法曹三者となるために参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講に当たると思いますが,労働時間には該当しません。

8 労働基本権の有無
(1) 民間労働者の場合
ア 憲法28条のほか,労働組合法及び労働関係調整法に基づき,労働基本権として団結権,団体交渉権及び団体行動権(典型例が争議権です。)が保障されています。
イ 労働組合法1条2項は,「刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十五条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であつて前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。但し、いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない。」と定めています。
ウ 労働組合法7条に基づき,以下の行為は不当労働行為として禁止されています(厚生労働省HPの「不当労働行為とは」参照)。
① 組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱い(1号)
② 正当な理由のない団体交渉の拒否(2号)
③ 労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助(3号)
④ 労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱い(4号)
エ 不当労働行為があった場合,都道府県労働委員会に対する救済申立てができます(行為の日から1年以内に行う必要があることにつき労働組合法27条2項)し,都道府県労働委員会の発した命令に不服がある当事者は,中央労働委員会に対する再審査の申立てをしたり,地方裁判所に命令の取消しを求める行政訴訟(取消訴訟)を提起したりできます(厚生労働省HPの「不当労働行為事件の審査手続きの流れ」参照)。
オ 大阪府労働委員会の場合,大阪府知事が任命した公益委員・労働者委員・使用者委員による三者同数(公益・労働者・使用者を代表する各側11名)の委員で構成されています(大阪府労働委員会HP参照)。
カ 労働組合法に適合する旨の労働委員会の証明を受けた労働組合は,主たる事務所の所在地において登記をすることによって法人となります(労働組合法11条1項,労働組合法施行令2条及び3条)。
(2) 国家公務員の場合(総務省HPの「国家公務員及び地方公務員における労働基本権について」参照)

ア 国家公務員のうち,特定独立行政法人の職員,国有林野事業を行う国の経営する企業の職員には団結権及び団体交渉権(団体協約締結権を含む。)が認められ,非現業職員には団結権及び団体交渉権(ただし,団体協約締結権は除く。)が認められます。
しかし,自衛隊員,警察職員,海上保安庁職員及び刑事施設職員については明文で団結権及び団体交渉権が認められていません(自衛隊法64条,国家公務員法108条の2第5項)。
イ 国家公務員の場合,民間企業の労働組合に相当するものとして,職員団体があります(国家公務員法108条の2及び108条の3・裁判所職員臨時措置法)。
裁判所には全司法労働組合(全司法)(裁判所書記官,裁判所事務官,裁判所速記官,家庭裁判所調査官等で構成されています。)があり,法務省には全法務省労働組合(全法務)(法務省,法務局,保護局,入国管理局及び少年院・少年鑑別所の職員で構成されています。)があります(国交労連(国家公務員労働組合連合会)HP「各単組の紹介」参照)。
ウ 管理職員等と管理職員等以外の職員とは,同一の職員団体を組織することができず,両者が組織する団体は,国家公務員法上の職員団体ではないとされています(国家公務員法108条の2第3項)。
これは,管理職員等とその他の職員とでは,労使関係における立場を異にし,利害が対立する関係にあるので,この両者が混在して同一の団体を組織することは,職員団体本来の目的である構成員の職業上の共通の利益を,民主的,自主的に追求する健全な基礎を欠くものと判断されるためです。
エ 行政機関職員の職員団体は人事院に,裁判所所職員の職員団体は最高裁判所に登録を申請することにより,法人となることができます(職員団体等に対する法人格の付与に関する法律3条1項1号及び2号)。
オ 大谷直人最高裁判所人事局長は,平成22年11月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしていますから,裁判官については解釈上,団結権及び団体交渉権が認められていません。
これまで我が国におきまして、裁判官の労働基本権ということが問題となった事例がございませんで、法令の解釈にかかわるという事柄でもありますので、私の立場から意見を述べることは差し控えさせていただきたいと思うわけです。

従来から、裁判官につきましては、憲法によって報酬あるいは身分といったものについて強い保障を受けるとともに、職務の執行についてもその独立性が強く保障されているわけでございます。一般の勤労者のように、使用者と対等の立場に立って経済的地位の向上あるいは労働条件の改善を図る必要がない、こういった理由から、裁判官に、労働組合を結成し、またはこれに加盟する権利は認められない、このように理解されてきたものと承知しております。
(3) 地方公務員の場合(総務省HPの「国家公務員及び地方公務員における労働基本権について」参照)
ア 地方公務員のうち,企業職員には団結権及び団体交渉権(団体協約締結権を含む。)が認められ,非現業職員には団結権及び団体交渉権(ただし,法的拘束力のない書面による協定を締結する権限までに限る。)が認められます。
しかし,警察職員及び消防職員については明文で団結権及び団体交渉権が認められていません(地方公務員法37条,52条5項)。
イ 地方公務員の場合,民間企業の労働組合に相当するものとして,職員団体があります(地方公務員法52条及び53条)。
大阪市の職員団体としては,大阪市労働組合連合会,大阪市労働組合総連合,大阪市職員労働組合,大阪市従業員労働組合,大阪市役所労働組合,なかまユニオン大阪市職員支部があるみたいです(大阪市HPの「職員団体及び労働組合との交渉など」参照)。
ウ 管理職員等と管理職員等以外の職員とは,同一の職員団体を組織することができず,両者が組織する団体は,地方公務員法上の職員団体ではないとされています(地方公務員法52条3項)。
エ 地方公共団体の職員団体は地方公共団体の人事委員会又は公平委員会に登録を申請することにより,法人となることができます(職員団体等に対する法人格の付与に関する法律3条1項3号)。
(4) 司法修習生の場合
そもそも労働者でありませんから,労働基本権はありません。

9 代償措置の有無
(1) 国家公務員の場合
ア 行政機関の国家公務員の場合,人事院があります(人事院HPの「労働基本権と人事院勧告の意義」参照)
イ 人事院の場合,官房部局のほか,職員福祉局,人材局,給与局及び公平審査局があります(人事院HPの「人事院とは?」参照)。
ウ 裁判所職員の場合,最高裁判所行政不服審査委員会がありますものの,準司法的権限しか有していないと思います。
エ 全農林警職法事件に関する最高裁大法廷昭和48年4月25日判決は,以下のとおり判示しています(改行を追加しました。)。

その争議行為等が、勤労者をも含めた国民全体の共同利益の保障という見地から制約を受ける公務員に対しても、その生存権保障の趣旨から、法は、これらの制約に見合う代償措置として身分、任免、服務、給与その他に関する勤務条件についての周到詳密な規定を設け、さらに中央人事行政機関として準司法機関的性格をもつ人事院を設けている。ことに公務員は、法律によつて定められる給与準則に基づいて給与を受け、その給与準則には俸給表のほか法定の事項が規定される等、いわゆる法定された勤務条件を享有しているのであつて、人事院は、公務員の給与、勤務時間その他の勤務条件について、いわゆる情勢適応の原則により、国会および内閣に対し勧告または報告を義務づけられている。
そして、公務員たる職員は、個別的にまたは職員団体を通じて俸給、給料その他の勤務条件に関し、人事院に対しいわゆる行政措置要求をし、あるいはまた、もし不利益な処分を受けたときは、人事院に対し審査請求をする途も開かれているのである。
このように、公務員は、労働基本権に対する制限の代償として、制度上整備された生存権擁護のための関連措置による保障を受けているのである。
(2) 地方公務員の場合
ア 都道府県及び政令指定都市の場合,地方自治法202条の2第1項・地方公務員法7条1項に基づき人事委員会が設置されています。
和歌山市の場合,地方自治法202条の2第1項・地方公務員法7条2項に基づき人事委員会が設置されています。
それ以外の市の場合,地方自治法202条の2第2項・地方公務員法7条3項に基づき公平委員会が設置されています。

イ 人事委員会及び公平委員会の権限は地方公務員法8条に書いてあります。
ウ 大阪市人事委員会の場合,主な業務は,①給与,勤務時間その他の勤務条件等に関する調査研究,②職員の給与に関する報告及び勧告,③職員等に関する条例の制定又は改廃に関する意見の申出,④職員の採用試験及び昇任選考等,⑤公平審査関係事務等(勤務条件に関する措置の要求,不利益処分に関する審査請求等),⑥労働基準監督機関としての業務及び⑦職員団体の登録等となっています(大阪市HPの「人事委員会の主な業務」参照)。
(3) 司法修習生の場合
そもそも労働者でありませんから,労働基本権の制約に対する代償措置はありません。

司法修習生による取調べ修習の合法性

0(1) この記載は,「修習生って何だろう-司法試験に受かったら」(21世紀の司法修習を見つめる会)77頁ないし80頁の記載に基づいて書いています。
   なお,相島六原則とは,「取調べ修習は違法ではないか」という疑問に対し,当時の相島一之司法研修所長が昭和38年度の司法修習生指導担当者協議会で示した,検察修習中の司法修習生による取調べ修習を合法とするための六原則をいいます。
(2) 日弁連HPの「司法修習終了時点から見た司法修習生の実務修習について」8頁に,相島六原則の説明があります。
(3) 「取調べ」も参照して下さい。

1 司法修習生による取調べ修習の違法説の根拠
① 取調べの主体について定めた刑事訴訟法198条1項は,「司法修習生」を主体としてあげていない。
   そのため,司法修習生による取調べは,同法197条1項ただし書が定める強制処分法定主義に違反する。
② 憲法31条の法定手続原則は,特に刑事手続においては厳格に解釈・運用されるべきである。司法修習生による取調べは法律上の明文の根拠を欠く以上,同原則違反で違憲である。
③ 取調べは被疑者に対して自己に不利益な供述まで求めるという点で,被疑者の人格の深いところまで立ち入るものであるところ,修習目的による取調べは,被疑者の人格を修習の道具として扱うものであり,人格の尊厳を趣旨とする憲法13条に違反する。

2 司法修習生による取調べ修習の合法説の根拠
① 被疑者の同意がある以上,許される。
② 将来の法曹を養成するという公益目的のためには取調べ修習は不可欠であり,それ故これを認める必要がある。
   医師のインターン制度と同じである。
③ 相島六原則を守れば,人権侵害のおそれは少ない。

3 相島六原則
① 指導検察官が,あらかじめ個々の事件ごとに事案の概要,問題点,発問要領等を説明指導すること。
② 被疑者の呼び出しは,指導検察官の責任と名において行い,修習のみを目的とする不必要な呼び出しはしないこと。
③ 指導検察官は,司法修習生の身分を説明し,被疑者の自由な意思に基づく承諾を得ること。
④ 指導検察官があらかじめ黙秘権を告知すること。
⑤ 司法修習生の被疑者に対する質問については,指導検察官が同室し,指導監督を行うこと。
⑥ 司法修習生が作成した調書はそのまま流用することなく,指導検察官があらためて取調べを行い,調書を作成すること。

4 違法説から合法説への反論
① 被疑者と検察官の力関係,司法修習生というものについての一般人の理解からして,自由かつ真摯な同意とはいえない。
   法定手続原則は同意によって放棄できるものではない。
② 公益目的であっても個人の人格を踏みにじることは許されない。
   医師のインターン制度と取調べという権力の行使を同視することはできない。
③ 相島六原則を守ることは不可能である(現実に守られたという例はほとんどない。)。
   拘束時間が長くなることは明白である。
   大部屋で一斉にやらざるを得ず,プライバシー侵害が著しい。

5 「検察修習」も参照して下さい。