選択型実務修習に関する留意点

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◯72期司法修習で使用された,選択型実務修習に関する留意点(平成30年11月15日付)の本文は以下のとおりです(「選択型実務修習の運用ガイドライン」を補足するものです。)。

第1 ホームグラウンドにおける弁譲修習の修習期間
   「ホームグラウンド」 とは,選択型実務修習の期間中,司法修習生が,修習プログラムを修習しないときに,弁護修習を行う弁護士事務所をいう (選択型実務修習の運用ガイドライン(以下「ガイドライン」という。 )第1の2) 。
   「ホームグラウンドにおける弁護修習は,選択型実務修習の期間中,最低1週間は,継続して行わなければならない。 」 (ガイドライン第3の1(1)) とあるが, この趣旨は,少なくとも1週間は継続することで充実した弁護修習を行い,選択型実務修習を弁護士実務に比重を置くものとする制度趣旨を全うしようとするところにある。したがって,この趣旨に反しないのであれば,個別具体的な事情により,1週間継続することを絶対的な条件とまでする必要はないと考えられる。
   例えば,希望する修習プログラムを選択した結果として,ホームグラウンドにおける弁護修習が1週間継続しなくなった場合は,ガイドラインの趣旨に反するとまではいえない。ただし,この場合でも合計5日程度のホームグラウンドでの修習日数を確保した修習計画を立てるようにすべきである。
   これに対して, 自由研究日,新婚旅行等による欠席(病気,忌引等やむを得ない欠席を除く。 )をした結果, 1週間継続してホームグラウンドでの弁護修習を行い得なくなる場合は,ガイドラインの趣旨に反するため,この場合は,ホームグラウンドでの修習期間が,1週間継続して確保できるように修習計画を見直すべきである。
   もっとも,この点に関し承認権限を有しているのは,各配属庁会の司法修習生指導連絡委員会であるから,同委員会の窓口である各配属庁会の指導担当者又は事務担当者等からこれと異なる指示があった場合は,その指示に従う。

第2 自己開拓プログラム
1 修習先
   自己開拓プログラムの修習先の例として,「民間企業の法務部,地方自治体の法務関係部門等」 (ガイドライン第3の4)のほかに,司法書士事務所, 弁理士事務所,税理士事務所,不動産鑑定士事務所及び土地家屋調査士事務所などのいわゆる隣接職種,民間ADR機関,報道機関の社会部などが考えられる。
   しかし,これらの企業等が,自己の就職予定先である場合は,「司法修習生が就職を予定している弁護士事務所を,修習プログラムとしての弁護修習先とすることはできない」としたガイドライン第3の5の趣旨が同様に当てはまるため,認められない。
   これに対し,就職予定先である弁護士事務所の顧問先企業の法務部を自己開拓プログラムの修習先とすることは,特に禁じられてはいないが,修習内容について,専ら就職予定先の弁護士が関与する事件の修習をするなどの事実上の弁護士業務を行ったり,実質的に試用期間的な内容の修習を行ったりしないものとなるように受入先の担当者とよく話を詰めておくべきである。
(2) 弁護士事務所については,当該弁護士事務所が就職予定先である場合には,ガイドライン第3の5に抵触するため当然認められないが,就職予定先の弁護士事務所以外でも,これを認めると,当該弁護士事務所と司法修習生との合意により,修習先としての弁護士事務所が定まることを認めることになることから,原則として認められない。
   例外として,個別修習プログラム及び全国プログラムでは提供されていない領域や分野について,ホームグラウンドの弁護士事務所では十分な修習を行うことが困難であり,開拓先の弁護士事務所でその領域や分野についての修習をすることが可能でその意義があると明らかに認められる場合には,許容される余地もある。
(3) 充実した修習を実施するには,責任ある立場の指導者によって,体系的な指導が行われることが重要である。そのため,修習先とされた組織・団体の受入態勢に疑義があるような場合には, 申出が認められないことがある。
   また,司法修習生の親族が経営している事業所等で修習を行う場合には,一般的に,そこで十分な修習が行われるのか,修習結果に対して評価が適正に行われるのかといった点について,疑義を生じさせるといえる。そのため,例えば,父親が一人で経営している会計事務所を修習先とする申出は認められない。
(4) 自己開拓プログラムについても,原則として,分野別実務修習における配属修習地で行うものとする。例外的に,配属修習地では履修が不可能で,修習の目的,内容に照らし,配属修習地外の開拓先における修習の具体的意義と必要性がある場合には, 当該開拓先での修習が認められる場合もあるが, この配属修習地外での修習が認められる場合でも,その期間は全国プログラムの期間及び自己開拓プログラムの期間を合わせて3週間を限度とする(ガイドライン第2)。
   ただし,配属修習地により近い地域で同様の修習内容を実現できる場合には,当該開拓先で修習する必要性は認められない。とりわけ,高裁(高検)管内を超えた地域の修習先に係る申出については,当該開拓先で修習する必要性についてより詳細な説明を求められたり,より厳格な判断がされることに留意されたい。

2 修習先から承認を得るまでの手続
(1) 受入希望先に対しては,選択型実務修習及び自己開拓プログラムの趣旨を説明するとともに,司法修習生と受入先との合意によって直ちに修習プログラムとして成立するわけではなく,あらかじめ司法修習生が受入先から承諾を得た上で,更に司法修習生指導連絡委員会の承認が必要となることを説明する。
(2) 受入希望先から自己開拓プログラムの受入れの承諾を得た司法修習生は,(1)に留意の上,受入先から承諾書を得, この承諾書と自己開拓プログラム日程表を自己開拓プログラム申出書に添付して,各配属庁会の司法修習生指導連絡委員会に提出する。
   自己開拓プログラムの申出に当たっては, 申出書(特に「修習の目的] ,「修習の内容」の各欄)及び日程表について詳細かつ具体的な記載を心掛ける(その際には,①当該修習先における修習においてどのような知識・技法を獲得しようとしているのか(獲得目標),②当該知識・技法を獲得するために,具体的にどのような修習内容を体験しようとしているのか(達成方法)が明らかになるようにする。)。また,承諾書の内容は,自己開拓プログラムの受入先の代表者による,司法修習生が選択型実務修習を受入先で実施することについての承諾であり,受入先の代表者又はこれに準じる者の記名・押印を求めることが相当である。
(3) 自己開拓プログラム申出書を提出した司法修習生は,司法修習生指導連絡委員会の承認又は不承認の結論が伝えられたら,速やかに受入先の担当者等に連絡を取り,その旨を伝える。
(4) 自己開拓プログラムは,司法修習生自らが主体的にプログラム先を開拓し,受入希望先から受入れの承諾を得るごとにその意義の一端があるプログラムであるから,受入希望先との交渉等についだ配属庁会の指導担当者や事務担当者に相談する場合でも, この趣告を踏まえた上で相談する。
(5) 受入希望先との交渉等に当たっては,例えば,昼時,早朝又は深夜に,受入希望先の企業等に電話をしたり,アポイントを取らないまま相手先企業等を訪問したりするなどマナーに反する行為をしない。

第3 選択型実務修習の履修時の留意点
1 選択型実務修習の修習計画書を作成するに当たっては,指導担当弁護士とよく意思疎通を図り,ホームグラウンド修習をいつどのような日程で行うのかを伝え,ホームグラウンド修習における修習内容及び取組目標について指導担当弁護士とよく協議する(修習終了後に記載する結果レポートにも「取組目標の達成状況」を記載する欄があることから, よく検討した上で取組目標を記載する。 ) 。
2 遅刻,欠席,早退をするとき,個別修習プログラムについては,プログラム提供先である地方裁判所,地方検察庁又は弁護士会に連絡した上で,事前又は連絡後速やかに欠席承認申請書を提出する。これに対し,全国プログラム, 自己開拓プログラム及びホームグラウンド修習については,プログラムの修習先のほか,分野別実務修習地の弁護士会にもその旨の連絡をした上で,事前又は連絡後速やかに欠席承認申請書を,分野別実務修習地の弁護士会に提出する。ただし, .配属庁会の事務担当者等から, これと異なる指示がある場合は,その指示に従う。
3 修習プログラムの開始後速やかに選択型実務修習結果意見書(書式は,別途配属庁会から配布予定) とこれを送付するための封筒(送付先の宛名書きをするとともに,必要な郵便切手(自己開拓プログラム及び修習プログラムで指示があった場合は,特定記録等の特殊取扱いでの送付に必要なもの)を貼ったもの)を修習プログラムの指導担当責任者に交付するとともに,修習プログラム終了後速やかに(遅くとも修習プログラム終了後3日以内に)ホームグラウンドの指導担当弁護士宛てに送付するように依頼する。
   なお,送付先については, これとは異なる指示が配属庁会等からされることがあるので留意する。
4 修習プログラム,ホームグラウンド修習の各終了日までに修習プログラムごとに修習レポート (書式は,別途配属庁会から配布予定)をまとめ,修習プログラムの指導担当者の閲覧に供し,指導担当責任者から修習レポートに署名,押印を受けた上で返却してもらう。返却を受けた修習レポートは,選択型実務修習終了後速やかに(遅くとも選択型実務修習終了日の翌日まで)ホームグラウンドの指導担当弁護士宛てに送付又は交付する。
   なお,修習レポートは,修習プログラムだけでなく,ホームグラウンド修習についても作成する必要があるが,ホームグラウンド修習については,ホームグラウンド修習期間全体を通じて1回作成すれば足りる。

第4 その他
1 旅費,宿泊費及び賭費用
(1) 旅費及び宿泊費
   全国プログラム又は自己開拓プログラムにおいて,例えば,鹿児島配属の者が,福岡でプログラム修習を受ける場合は,鹿児島,福岡往復の所定の旅費及びプログラム期間分の所定の宿泊費が支給される(福岡からプログラム実施の関係で更に他所に行く場合であっても旅費は支給されない。 ) 。
(2) 諸費用
   自己開拓プログラムでは,修習中の諸費用,例えば,修習先での資料等のコピー代や通信連絡費,その他の修習先から請求される費用は全て修習生の自己負担となる。
2 全国プログラムの照会窓口
   全国プログラムの手続について,不明な点があれば,司法研修所事務局企画第二課企画係(電話(山中注:不開示),ファクシミリ(山中注:不開示))に問い合わせる。
   なお,プログラムの内容については,各提供先に問い合わせる。
以上