司法修習生と国民年金保険料の免除制度及び納付猶予制度

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目次
1 71期以降の司法修習生は必ず国民年金に加入すること
2 国民年金保険料の免除申請
3 国民年金保険料の納付猶予申請
4 国民年金保険料の免除又は納付猶予の共通事項
5 国民年金保険料の追納制度
6 生計を一にする親による国民年金保険料等の支払
7 日本弁護士国民年金基金
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1 71期以降の司法修習生は必ず国民年金に加入すること
(1) 新65期以降の司法修習生裁判所共済組合に加入できないこと
   新65期以降の司法修習生は,国家公務員でない上,国から給与を受けない者(国家公務員共済組合法施行令2条2項4号参照)であるため,国家公務員共済組合法2条1項1号所定の「職員」には該当しません。
   そのため,新65期以降の司法修習生は裁判所共済組合に加入できなくなりました。
(2) いずれのケースであっても,71期以降の司法修習生は必ず国民年金に加入すること
ア 採用直前の時点で国民年金の第1号被保険者であった場合
   司法修習生に採用された後も国民年金の第1号被保険者のままです。
イ 採用直前の時点で国民年金の第2号被保険者(例えば,会社員)であった場合
   遅くとも司法修習生に採用される前に勤務先を退職する必要がありますから,その時点で第1号被保険者として国民年金に加入することとなります。
   そして,司法修習生に採用された後も国民年金の第1号被保険者のままです。
ウ 採用直前の時点で国民年金の第3号被保険者(例えば,配偶者が会社員をしている場合の専業主婦又は専業主夫)であった場合
   修習給付金の支給を受けられるようになりますから,第2号被保険者(例えば,会社員の夫)の収入により生計を維持する者(国民年金法7条1項3号)ではなくなります。
   そのため,第3号被保険者としての資格を失う結果,司法修習生に採用された時点で第1号被保険者として国民年金に加入することとなります。
エ したがって,いずれのケースであっても,71期以降の司法修習生は必ず国民年金に加入することとなります。
(3) 国民年金への加入手続
ア   第2号被保険者であった場合
   本人又は世帯主が,住所地の市区役所又は町村役場において,年金手帳又は基礎年金番号通知書のほか,退職年月日が分かる書類(例えば,離職票)を持参して,退職日の翌日から14日以内に国民年金への加入手続を行う必要があります(日本年金機構HPの「国民年金に加入するための手続き」参照)。
イ 第3号被保険者であった場合
(ア) 市区役所等での加入手続に加えて,配偶者である第2号被保険者の勤務先を通じて年金事務所に対し,被扶養配偶者非該当届(文書の表題は「国民年金第3号被保険者関係届」であり,日本年金機構HPの「「被扶養配偶者非該当届」について」に掲載されています。)を提出する必要があります(一連の届出を「種別変更の届出」といいます。)。
(イ) 第3号被保険者であった人が司法修習生に採用された後も第3号被保険者のままでいて,弁護士登録をした時点で第1号被保険者への切り替えを行った場合において,司法修習が終了した日から2年以上が経過した場合,司法修習生であった期間がそのまま未納期間となり,無年金又は年金減額につながります(「第3号被保険者の不整合記録問題」です。)。
   ただし,「時効消滅不整合期間に係る特定期間該当届」を年金事務所に提出すれば,「時効消滅不整合期間」が特定期間(年金の受給資格期間として算入されるものの,支給される年金には反映されない期間(いわゆるカラ期間))となります。
(ウ) 政府広報オンラインの「会社員などの配偶者に扶養されている方、扶養されていた方(主婦・主夫)へ知っておきたい「年金」の手続」(令和元年7月12日付)が参考になります。

法務省作成の,令和元年6月18日の参議院文教科学委員会の国会答弁資料

2 国民年金保険料の免除申請
(1) 本人,世帯主及び配偶者の前年所得(令和元年11月採用の73期司法修習生の場合,平成30年所得)が一定額以下の場合,国民年金保険料の免除制度に基づき,申請をすることにより全額又は一部を免除してもらえます。
(2) 国民年金保険料の免除制度は,同居している親に一定額以上の所得がある場合は利用できません。
(3) 国民年保険料の免除を受けた場合,免除期間が老齢基礎年金の額に反映されますし,年金の受給資格期間に反映されます。
(4) ちなみに,平成31年4月以降,次世代育成支援の観点から,国民年金第1号被保険者が出産を行った場合,住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口に届書を提出することにより,出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除されるようになりました(日本年金機構HPの「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」参照)。

3 国民年金保険料の納付猶予申請
(1) 本人及び配偶者の前年所得(令和元年11月採用の73期司法修習生の場合,平成30年所得)が一定額以下であり,本人が50歳未満である場合,国民年金保険料の納付猶予制度に基づき,申請をすることにより全部の納付を猶予してもらえます。
(2)ア 国民年金保険料の猶予申請制度を利用する場合,同居している親の所得は関係ありませんから,50歳未満の司法修習生本人及びその配偶者の前年所得が一定額以下であるだけで利用できます。
イ 例えば,50歳未満で独身の73期司法修習生の場合,平成30年の所得が一定額未満であれば令和元年の国民年金保険料について納付猶予申請ができますし,令和元年の所得が一定額未満であれば令和2年の国民年金保険料について納付猶予申請ができます。
(3) 国民年保険料の納付猶予を受けた場合,猶予期間は老齢基礎年金の額に反映されないものの,年金の受給資格期間に反映されます。

4 国民年金保険料の免除又は納付猶予の共通事項
(1) 日本年金機構HPの「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」に一通りの説明が書いてあります。
(2) 住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口で申請をする必要があります。
(3)ア 必要書類は以下のとおりです。
① 必ず必要なもの
・ 年金手帳又は基礎年金番号通知書
② 場合によって必要なもの
・ 前年(又は前々年)所得を証明する書類
→ 7月以降に申請をする場合は前年の,6月以前に申請する場合は前々年の書類が必要です。
・ 所得の申立書
→ 所得についての税の申告を行っていない場合に必要となります。
イ 平成26年10月以降,前年(又は前々年)の所得額が57万円以下であることの申立てを免除等申請書の「前年所得」欄に記入することにより,所得の状況を明らかにすることができる書類の添付を省略できるようになりました(日本年金機構HPの「国民年金保険料の免除等申請手続きの簡素化」参照)。
(4) 平成26年4月以降,保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1ヵ月前までの期間)について,さかのぼって免除又は納付猶予を申請できるようになりました(日本年金機構HPの「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」参照)。

5 国民年金保険料の追納制度
(1) 国民年金保険料について免除又は納付猶予を受けた場合であっても,過去10年分の国民年金保険料を追納することができます(日本年金機構HPの「国民年金保険料の追納制度」参照)。
(2) 過去2年分の国民年金保険料を追納する場合,追納加算額がありません。
   そのため,国民年金保険料について免除又は納付猶予を受けた上で,判事補又は検事となったり,弁護士となったりしてそれなりの所得が発生した後に国民年金保険料を追納した方が,司法修習生時代にお金を手元に残しておくことができますし,将来,社会保険料控除による節税額を大きくすることができます。

6 生計を一にする親による国民年金保険料等の支払
(1) 生計を一にする親に国民年金保険料及び国民健康保険料を支払ってもらった場合,親の社会保険料控除の対象となります(国税庁タックスアンサーの「No.1130 社会保険料控除」参照)。
(2) 国税庁HPの「生計を一にする」には以下の記載があります。
生計を一にする
日常の生活の資を共にすることをいいます。
会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、①生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、②日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

7 日本弁護士国民年金基金
(1) 二回試験に合格して弁護士登録をした場合,弁護士会の新人研修等の際に,日本弁護士国民年金基金への加入を勧誘されるようになります。
(2) ①日本弁護士国民年金基金の取扱いとして,平成7年3月31日までに加入した弁護士の予定利率は現在でも5.5%であるにもかかわらず,平成26年4月1日以降に加入した弁護士の予定利率は1.5%となっていること,②平成30年3月期における20~29歳の加入者は156人であること(加入者全体の1.8%),及び③いったん加入した場合,減口はできるものの,1口目の任意解約はできないこと等については,「日本弁護士国民年金基金」を参照してください。

日本弁護士国民年金基金の総括表(平成31年3月22日の第6回財政再計算報告書からの抜粋)

日本弁護士国民年金基金の年齢階級別加入者数及び平均掛金額(平成30年3月期)

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