「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」と題する,国土交通省自動車交通局保障課長の通知(平成14年3月11日付)

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「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」と題する,国土交通省自動車交通局保障課長の通知(平成14年3月11日付)を以下のとおり掲載しています。
○文中にあるとおり,交通事故における任意保険会社の示談提示額は自賠責保険基準の支払額を下回ることは禁止されています。

国土交通省自動車交通局保障課長から社団法人日本損害保険協会会長・外国損害保険協会会長・全国自動車共済協同組合連合会会長・全国労働者共済生活協同組合再共済連合会理事長・全国トラック交通共済協同組合連合会会長・全国共済農業協同組合連合会代表理事会長・自動車保険料率算定会理事長あて

通知

自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について

平成一三年六月に政府再保険の廃止及び被害者保護の充実を内容とする自動車損害賠償保障法(昭和三〇年法律第九七号。以下「法」という。)が改正され、また同年一二月に関係政省令が制定・改正され、それぞれ平成一四年四月一日から実施されることになったが、これらの改正等に伴う事務の実施については、次の実施細目のとおり取り扱うこととし、平成一四年四月一日から実施することとしたので、傘下会員、傘下組合等に周知願います。

なお、新法の経過措置規定により従前のとおり取り扱うこととしているものがあることを念のため申し添えます。

実施細目
1 政府再保険の廃止等
(1) 政府再保険の廃止
政府による再保険は、契約の始期が平成一四年四月一日以降のものから廃止する。従って、契約の始期が同日以降のものについては従前の手続きは必要としない。
(2) 追加保険料の廃止
追加保険料(追加共済掛金)の支払義務は、契約の始期にかかわらず、平成一四年四月一日以降に死亡した事案から廃止する。

2 支払基準(法第一六条の三関係)
法第一六条の三第一項の規定による支払基準として、別添のとおり「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(平成一三年金融庁・国土交通省告示第一号。以下「支払基準」という。)を定めたので、平成一四年四月一日以降に発生した事故からこれに従つて支払うものとし、現行の自動車損害賠償責任保険(共済)支払基準は廃止する。ただし、平成一四年三月三一日以前に発生した事故については、なお従前の例による。

3 情報提供
書面の交付及び書面等による説明については、次のとおり行うものとし、平成一四年四月一日から実施するものとする。
なお、処理中の事案については、保険金(共済金)等の請求が平成一四年四月一日以降の場合は法第一六条の四及び法第一六条の五の規定を適用し、保険金等の請求は同年三月三一日以前であるが支払を行った日又は支払わないことを請求者に通知した日は同年四月一日以降の場合は法第一六条の四第二項又は第三項及び第四項並びに法第一六条の五の規定を適用することとする。
また、次の(一)から(四)までについては、被害者に対する情報提供を念頭においているが、被保険者(被共済者)に対する情報提供については、被害者のプライバシーに配慮しつつ必要な事項を行うものとする。
(1) 保険金(共済金)等の支払請求があった時(法第一六条の四第一項及び自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払の適正化のための措置に関する命令(平成一三年内閣府・国土交通省令第二号。以下「支払適正化措置省令」という。)第二条関係)
1) 非一括払の場合
支払基準の概要、保険金(共済金)等の支払の手続の概要及び指定紛争処理機関の概要を記載した書面を交付すること。
2) 一括払の場合
被害者と初期に接触した時点で次の事項を記載した書面を交付すること。
(i) 一括払制度の概要
(ii) 被害者は自賠責保険(共済)に直接請求できること
(iii) 一括払額は自賠責保険(共済)支払限度額内では自賠責保険(共済)の支払基準による積算額を下回らないこと
(iv) 自賠責保険(共済)支払基準の概要
(v) 指定紛争処理機関等紛争処理の仕組みの概要
(vi) 自賠責保険(共済)の請求から支払までの手続の概要等
(2) 保険金(共済金)等の支払いを行った時(第一六条の四第二項及び支払適正化措置省令第三条関係)
1) 非一括払の場合
事故の年月日、死亡、後遺障害、死亡に至るまでの傷害及び傷害ごとの支払金額を記載した書面を交付すること。
後遺障害の等級及び当該判断理由、減額を行った場合の減額割合及び当該判断理由並びにこれらに対する異議申立ての手続を記載した書面を交付すること。また、以下に掲げる事案については当該判断の理由を具体的に記載すること。
(i) 後遺障害のうち併合、加重及び相当の事案、外貌醜状の事案、並びに九級以上の神経系統の機能又は精神の障害及び胸腹部臓器の機能障害の事案
(ii) 重大な過失により減額を行った事案のうち、死亡事案及び傷害の程度等により被害者から事故状況の説明を受けることができなかった傷害事案
(iii) (ii)以外の重大な過失により減額を行った傷害事案のうち、異議申立により詳細に審査を行った事案
(iv) 受傷と死亡又は後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難なため、減額を行った事案
2) 一括払の場合
示談額提示の時点において、自賠責保険(共済)支払限度額内の事案については、示談提示額は自賠責保険(共済)支払基準に従って積算した額より低い額ではないこと及び自賠責保険(共済)支払基準の概要を(1)で交付した書面等を活用して説明すること。
認定結果の連絡時等において、後遺障害の等級及び当該判断理由、減額を行った場合の減額割合及び当該判断理由並びにこれらに対する異議申立ての手続を記載した書面を交付すること。
また、以下に掲げる事案については、当該判断の理由を具体的に記載すること。
(i) 後遺障害のうち併合、加重及び相当の事案、外貌醜状の事案、並びに九級以上の神経系統の機能又は精神の障害及び胸腹部臓器の機能障害の事案
(ii) 重大な過失により減額を行った事案のうち、死亡事案及び傷害の程度等により被害者から事故状況の説明を受けることができなかった傷害事案
(iii) (ii)以外の重大な過失により減額を行った傷害事案のうち、異議申立により詳細に審査を行った事案
(iv) 受傷と死亡又は後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難なため、減額を行った事案
(3) 保険金(共済金)等を支払わないこととした時(法第一六条の四第三項及び支払適正化措置省令第四条関係)
1) 非一括払の場合
事故状況の概要、被保険者(被共済者)に損害賠償の責任がない場合(無責事案、他人性がない事案、自損事故事案及び請求時効が完成している事案)の判断理由、事故により損害が発生していない場合(運行起因性のない事案、因果関係がない事案及び後遺障害非該当の事案)の判断理由及び保険会社(組合)がてん補の責を免れる場合(保険契約者(共済契約者)又は被保険者(被共済者)が悪意の事案)の判断理由を具体的に説明した書面を交付すること。
また、当該書面には、これらに対する異議申立ての手続を記載すること。
2) 一括払の場合
一括社が自賠社と連携して非一括払の場合と同様に行うこと。
(4) (2)又は(3)による交付又は説明等を行った後詳細な説明を求められた時(法第一六条の五第一項及び支払適正化措置省令第七条関係)
1) 非一括払の場合
(i) 損害の細目及びその積算根拠については、詳細を記載した書面を交付すること。この場合、法第一五条の規定に基づく被保険者(被共済者)からの請求又は法第一六条の規定に基づく被害者からの請求が競合している事案については、それぞれの請求者に支払われた額の詳細について記載する必要はなく、説明を求めた者に支払われたものについてその詳細を記載することとし、他の者に支払われたものについては、その額のみを記載すること。ただし、自賠責保険(共済)支払限度額を超える事案については、当該限度額を超えている旨の記載をもって足りることとする。
(ii) 後遺障害等級の判断理由の詳細については、「後遺障害等級認定票」、「後遺障害事案整理票」、「面接調査票」等を交付すること。
(iii) 減額を行った場合の減額割合の判断理由の詳細及び損害賠償責任が発生していないと判断した場合の判断理由の詳細については、「事故発生状況図」、減額適用上の過失割合、減額理由等を説明した書面を交付すること。
(iv) 事故により損害が発生していないと判断した場合の判断理由の詳細については、「因果関係事案整理票」等を交付すること。
(v) 保険会社等がてん補の責を免れる場合の判断理由の詳細については、事案に応じて具体的に説明した書面を交付すること。
なお、(i)から(v)に掲げる書面を既に交付している場合は、その旨を説明することとする。
2) 一括払の場合
自賠社において非一括払の場合と同様に行うこと。ただし、一括社が対応する場合は自賠社と連携して行うこと。
(5) (1)から(4)までに記載された事項以外についても、プライバシーの保護に配慮しつつ、できる限り情報提供するものとする。

4 保険金額(共済金額)(法施行令第二条、法施行令別表関係)
神経系統若しくは精神又は胸腹部臓器に著しい障害を残し介護を要する後遺障害の保険金額(共済金額)が、常時介護については四、〇〇〇万円に、随時介護については三、〇〇〇万円に引き上げられたが、複数の後遺障害を有する場合、自動車損害賠償法施行令(昭和三〇年政令第二八六号)別表第一内における併合及び同令別表第一と別表第二を通じての併合は行わないので注意すること。また、同令別表第一及び別表第二の障害が両方ある場合は支払基準の適用上被害者に有利なものを認定すること。

5 保険金(共済金)の支払に関する紛争処理制度(法第二三条の五~法第二三条の二一、支払適正化措置省令第一一条~第二六条関係)
保険金(共済金)等の支払いについて紛争が生じた場合の紛争処理機関として「財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構」が設置され、公正中立で専門的な知見を有する弁護士、医師等で構成する紛争処理委員が調停を行うこととなった。
この機関は、法第二三条の五の規定に基づき国土交通大臣及び内閣総理大臣の指定を受けて自賠責保険(共済)に係る保険金(共済金)の支払いに関する紛争処理(調停)を行うもので、東京と大阪において平成一四年四月から業務を行うこととしている。

6 届出事案(法第一六条の六、法施行規則第三条~第三条の二関係)
法第一六条の六に定める届出については、死亡事案若しくは後遺障害事案のうち後遺障害等級第一級から第三級までに該当するもの若しくは併合、加重若しくは相当に該当するものについて保険金(共済金)等の支払いを行ったとき又は請求があったにもかかわらず3(3)により保険金(共済金)等を支払わないこととした理由を記載した書面を交付したときに行うものとし、平成一四年四月一日から適用するものとする。
なお、政府との間で再保険契約が成立しているものについては、従来通りの取り扱いをするものとし、届出は必要としない。

7 報告及び立入検査(第二三条の二関係)
別途通知する。

8 通達の廃止
次に掲げる通達は廃止する。ただし、1)及び2)について、平成一四年三月三一日以前に発生した事故については、なお従前の例によるものとし、3)、4)及び5)について、契約の始期が平成一四年三月三一日以前の契約については、なお従前の例によるものとする。
1) 「自動車損害賠償責任保険(共済)支払基準について」(昭和五〇年一月二二日付け自保第二五八号、最終改正平成一一年一二月二四日付け自保第二五六号)
2) 「自動車損害賠償責任保険(共済)支払基準における被害者に重大な過失がある場合の損害額等の減額の取扱いについて」(平成一〇年二月二〇日付け自保第三一号)
3) 「自動車損害賠償責任保険契約通知書の早期提出について」(昭和四二年五月一五日付け自再第二一五号)
4) 「自動車損害賠償責任再保険事業における再保険(保険)金請求添付書類について」(昭和五〇年三月三一日付け自再第七二号)
5) 「自動車損害賠償保障法施行規則の一部改正について」(平成五年七月二九日付け自保第二〇三号)