募集停止又は廃止された法科大学院38校に対する支援額は約266億円であること等に関する国会答弁

Pocket

○募集停止又は廃止された法科大学院38校に対する支援額は約266億円であることが明らかにされた,令和元年6月18日の参議院文教科学委員会における国会答弁は以下のとおりです。
○松沢成文参議院議員は日本維新の会所属であり,柴山昌彦衆議院議員は文部科学大臣(53期の弁護士でもあります。)であり,伯井美徳政府参考人は文部科学省高等教育局長です。

○松沢成文君 (中略)
   大臣、今回のこの法曹教育の改革、法科大学院含めたこの改革ですね、結果を見ると、今までの法科大学院の実績というのは、失礼ですけど、惨たんたるものだったわけですよね。最初三千人と言っていた人数も、もう半分以下になってしまっていますしね。それから、法科大学院の数だって七十六校あったのが、もう今三十八校ぐらい募集停止して、まあ募集停止というのは柔らかい言葉だけど、民間企業だったらもう事業諦めて潰れているわけですよね、法科大学院が潰れているわけです。合格率だって七、八割というのを予想していた。予想していたというか、そこまで持っていって受験者を増やしたい、あるいはより質の高い法曹を増やしたいと言っているのに、現実は二割ですよね。
   やっぱり、政治は結果責任ですから、この十五年間の法科大学院制度というのは、私は結果を見ると大失敗だったと言わざるを得ないと思うんですけれども、大臣は、この十五年間の法科大学院制度やってきて、失敗だったという認識はありますか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 今御指摘になられた、その当初の見込みですね、平成十三年六月の司法制度改革審議会の意見書においては、平成二十二年頃には合格者数の年間三千人の達成を目指すと、これは要するに将来の需要予測ということです。そして、法科大学院修了者のうち相当程度、例えば七、八割の者が合格できるように充実した教育を行うべきということ、そして、法科大学院の設置は基準を満たしたものを認可することとして広く参入を認める仕組みとすべきことが提言をされ、そして、この特に第三点目によって、法科大学院の創設時に非常に多くの大学が言わばブームに乗るようにして設置に手を挙げ、そして政府の側も、規制緩和の流れの中で基準を満たした法科大学院については広く参入を認めて、その後、競争による自然淘汰に委ねるという姿勢を貫いてしまった結果、過大な定員規模となり、その結果、非常に合格率が低く、当初のもくろみが甘かったということになって、その後の希望者の急激な縮小ということにつながったわけですから、率直に言って、私は見込み違いによって当初予定していた姿とは大分違ったものになってしまったということを認め、そして反省をしなければいけないというように思っております。
   この間、もっと早く、例えば定員の削減とか補助金の抜本的な縮減、特に合格率の低い大学に対してですね、ということを行わなくちゃいけないんじゃないかということを私も実は政治の中でいろいろと訴えてきたんですけれども、対応が遅れることによって傷口が深くなってしまったということは、率直に言って認めざるを得ないと思います。
○松沢成文君 大臣は失敗だったとは言えないと思いますけどね、立場上。ただ、見込み違いで大きく最初の計画から狂ってしまって、その結果については反省をしているという立場ですよね。まさに、大臣一人がこの制度を背負ってやってきたわけじゃない、今文科大臣としてこの法改正をしなきゃいけない立場なんで、なかなかそこは言えないのは分かるんですが、ただ、やっぱり政治というのは結果責任ですので、これだけ惨たんたる結果であったということは、私はこれで成功だとは言えないですよね、絶対に言えないと思います。物事は成功か失敗しかないわけで、やはり結果としては失敗だったと私は言わざるを得ないと思うんですね。
   もう少し質問を進めますと、現在までに募集停止や廃止された法科大学院、三十八校ございます。この三十八校に国庫から支出された補助金や交付金の総額はいかほどでしょうか。このうち、施設に充てられたものと法科大学院の教授などの人件費に充てられたものの額はどうなっていますでしょうか。
○政府参考人(伯井美徳君) お答え申し上げます。
   国立大学に対する運営費交付金や私立大学の経常費補助金は、特定の教育研究組織に対する交付額を切り分けられるものではございませんので、法科大学院に対して支出した金額を正確に算出することはできませんが、予算上の積算等から先生の御指摘に沿って推計を行うと、平成十六年度の制度設立当初から平成三十一年度予算分までにおいて募集停止若しくは廃止された計三十八校の法科大学院に対する支援額は、概算で約二百六十六億円となります。内訳は、国立大学法人運営費交付金が七十二・六億、私立大学等経常費補助金特別補助が百九十三・八億の約二百六十六億となります。
   これらのうち、法科大学院の施設費や教員の人件費に充てられた額については、これ切り分けできないと説明いたしましたが、そういう意味で計算が困難となっております。
○松沢成文君 この十五年間の法科大学院の運営に税金から二百六十六億円出ている、違う、廃止された三十八校に二百六十六億円出ているんですよね。これ、結果としてもう廃止されちゃったわけだから、国費の壮大な無駄遣い、失敗に終わったと指摘されても私は仕方ないと思いますよ。私学で百九十三億、国立で七十億ちょっとですよね。
   これだけの国費が政府の政策立案の失敗で、運用の失敗で、もちろん大学側の努力不足もあると思いますが、結果として国民の税金が二百二十六億円無駄に使われたという事実に対して、大臣はどう責任感じます。
○国務大臣(柴山昌彦君) 確かに、今局長から二百六十六億円、募集停止や廃止された法科大学院に対して公費の投入があったという答弁をさせていただいたわけなんですけれども、例えば、募集停止や廃止された法科大学院の教員が、その実績や経験を生かして法学部など別の組織ですとか、あるいはほかの大学の法科大学院などで勤務をしているということもあります。また、実際に卒業した学生が、母校はなくなったけれどもその後法曹になったということもあるわけですから、必ずしもどぶにそのお金がなくなってしまっているというわけではないというようには思います。
   ただ、委員御指摘のとおり、これまで持続可能な形で法曹養成機関をつくっていくということを目指していたということを考えれば、先ほど申し上げたとおり、見込み違いであったことは非常に遺憾だというように考えておりますし、それは、私の立場としては、文部科学省としてもやはりしっかりとした政策転換の責任を負っているというように考えております。
○松沢成文君 この法科大学院制度をスタートさせた、その制度をつくったときの文科大臣というのはどなたでしたか分かりますか、今。
○政府参考人(伯井美徳君) 遠山文部科学大臣でございます。
○松沢成文君 かなり昔なんで、私もよく覚えていませんけれども、私は、やはり二百二十六億、国の税金が、今募集を停止してしまっている、ある意味でなくなってしまっている法科大学院につぎ込まれた。大臣が言うように、教授もほかの法科大学院に回ってまた継続している方もいますし、様々な要因もあるので、全てがどぶに捨てたわけじゃない、継続して生かされている部分もあるというのは分かりますが、でも、法科大学院をつくった以上、それはもう全校が全て成長していくとは思いませんよ、競争の世界もあるわけだから、しかし半分以上がなくなってしまっている。
   これ、持続可能な法曹養成制度になっていないわけですよ、このことの失敗、それから国費二百六十六億、全額じゃないけれども、その大部分は投資したけれどもそのリターンがなかったわけですね。この大失敗に対して、当時の文科大臣が私は謝罪せよとは言いませんが、私は、国民の皆さんにこの失敗についてはきちっと謝罪をする、あるいは誰かが責任を取る、それぐらいの大きな政府の失政だと私は考えているんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 繰り返しになりますけれども、やはり先ほども答弁をさせていただいたとおり、ずっと長らく法の支配をしっかりと日本全国津々浦々に広げていく、また、新しいリーガルサービスのニーズに従った形で法曹人口を増やしていくという目的、そして、それがこれまで、ともすると、やはり様々な既得権の壁に阻まれてなかなか進んでこなかったという中にあって、やはり政治主導で大胆な改革を進める必要があったということは、これは一面、私は非常に有意義だったというように思います。
   ただ、そのときの見込みがかなり違った部分があったということについては、また、その後の対応についても適切な対応が遅れてしまったということについては、真摯に反省をしなければいけないというように考えております。
○松沢成文君 ちょっと角度を変えますが、今回の法改正によって法科大学院を更に充実していこうということですよね。この改正によって、じゃ、今後は三十八校に続く募集停止をする学校、もうそれはなくなって、少なくとも、あと残っている、今残っている学校は持続可能な法科大学院として成長できる、そういうふうに大臣として明言できますか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 今後は法改正によって合格に要するコストや時間が短縮され、そして何よりも、法科大学院の入学者数の総数についても現状の定員規模を上限に制度的に管理をしていく、そういった質と量の改革というものを進めていくわけですから、もちろん、今後しっかりと法改正の進捗について、定数管理がどのように行われているかということを注意深く検証を続けていく必要はあるかというふうに思いますけれども、これまでのような失敗というのはもう起きないというように考えております。