叙位の対象となった裁判官(平成31年1月以降の分)


目次
1 叙位の対象となった裁判官
2 相続税における葬式費用の範囲
3 葬儀費用の取扱い
4 関連記事その他

1 叙位の対象となった裁判官
・ 平成31年1月以降に叙位の対象となった裁判官は,プロパーの簡易裁判所判事は除き,以下のとおりです(「元」が就いていない場合,在職中に死亡したことを意味します
(令和5年)
10月26日:12期の田中貞和 元福岡高裁2民部総括(正四位)
9月10日:8期の杉山修 元名古屋地裁6刑部総括(正四位)
8月9日:11期の村重慶一 元松山地裁所長(従三位)
7月13日:15期の岨野悌介 元大阪高裁3民部総括(従三位)
7月4日:21期の安廣文夫 元東京高裁2刑部総括(従三位)
6月15日:13期の高橋金次郎 元大阪高裁4刑部総括(従三位)
5月7日:17期の福島裕 元大阪高裁5刑部総括(従三位)
5月1日:12期の篠田省二 元東京高裁2民部総括(従三位)
4月15日:45期の安達玄 元大阪家裁家事第1部判事(正四位)
3月25日:13期の井関正裕 大阪高裁5民部総括(従三位)
3月8日:30期の田中知 元東京高裁12民判事(正四位)
3月6日:7期の三好達 元最高裁長官(従二位)
1月25日:15期の清水利亮 元東京高裁6民部総括(従三位)
1月17日:5期の石田穣一 元東京高裁長官(正三位)
1月16日:9期の前田一昭 元高松高裁長官(正三位)
(令和4年)
12月22日:27期の小池信行 元釧路地家裁所長(正四位)
12月17日:7期の千種秀夫 元最高裁判事(正三位)
12月 3日:15期の猪瀬俊雄 元名古屋家裁合議第3部部総括(正四位)
11月10日:26期の鈴木健太 元東京高裁23民部総括(従三位)
11月4日:24期の渡邉等 元東京高裁21民部総括(従三位)
9月26日:15期の谷村允裕 元大阪高裁2刑部総括(従三位)
9月19日:15期の山田博 元浦和家裁所長(従三位)
8月28日:47期の石井伸興 東京高裁5刑判事(従四位)
8月22日:14期の中山善房 元東京高裁11刑部総括(従三位)
5月29日:35期の端二三彦 元東京高裁21民判事(正四位)
5月12日:14期の後藤一男 元仙台家裁所長(従三位)
4月 7日:9期の砂山一郎 元大阪高裁7民部総括(従三位)
2月14日:17期の増田定義 元広島家裁判事(正四位)
(令和3年)

12月15日:3期の山中孝茂 元大阪高裁1刑部総括(従三位)
10月11日:16期の堀内信明 元名古屋高裁1刑部総括(従三位)
10月6日:22期の清水信雄 元千葉地家裁松戸支部判事(正四位)
9月14日:16期の塩谷雄 元静岡家裁所長(正四位)
7月31日:50期の久保孝二 名古屋高裁1民判事(正四位)

7月23日:8期の佐々木泉 元仙台高裁判事(従四位)
6月27日:1期の堀江一夫 元東京家裁所長(従三位)
6月15日:8期の中川敏男 元大阪高裁10民部総括(従三位)
4月12日:24期の坂本由喜子 元横浜家裁家事第1部部総括(正四位)
4月4日:21期の相良朋紀 元広島高裁長官(正三位)
4月2日:14期の笹本忠男 元名古屋家裁所長(従三位)
2月26日:30期の中村隆次 元高知地家裁所長(正四位)
2月5日:2期の鈴木重信 元札幌高裁長官(正三位)
1月15日:18期の近藤敬夫 元福岡地裁所長(従三位)
同   日:23期の菅英昇 元名古屋家裁判事(正四位)
1月14日:49期の宮島文邦 東京高裁16民判事(正四位)
(令和2年)
12月12日:2期の可知鴻平 元名古屋地裁所長(従三位)
11月26日:10期の野田殷稔 元大阪高裁1民部総括(正四位)
11月17日:期外の角田礼次郎 元最高裁判所判事(正三位)
10月15日:38期の福吉貞人 元大阪地裁判事(正五位)
9月12日:16期の福富昌昭 元大阪高裁12民部総括(従三位)
7月26日:31期の白石研二 元大阪家裁家事第二部部総括(正四位)
5月24日:21期の石川善則 元東京高裁22民部総括(従三位)
5月 9日:17期の谷口伸夫 元岐阜地裁1民総括(正四位)
4月13日:14期の萩原昌三郎 元神戸家裁所長(従三位)
4月11日:7期の古田時博 元松江地家裁益田支部判事(従四位)
3月13日:3期の草場良八 元最高裁判所長官(従二位)
2月 9日:3期の大和勇美 元大阪高裁11民部総括(従三位)
(平成31年→令和元年)
12月4日:10期の上谷清 元大阪高裁長官(正三位)
11月26日:16期の日比幹夫 元大阪高裁6刑部総括(従三位)
11月16日:10期の古館清吾 元宇都宮家裁所長(正四位)
10月6日:48期の樋上慎二 大阪高裁2刑判事(正四位)
8月29日: 3期の簑田速夫 元福岡地裁所長(従三位)
8月 6日:26期の大橋寛明 元札幌高裁長官(正三位)
7月31日:14期の松田光正 元浦和家裁少年部部総括(正四位)
7月30日: 期外の大嶋恵 元福岡地家裁小倉支部判事(従四位)
7月21日:32期の土屋靖之 元東京高裁3刑判事(正四位)
6月11日: 2期の蕪山厳 元東京高裁6民部総括(従三位)
5月30日:30期の平賀俊明 元横浜家裁川崎支部判事(正四位)
4月13日:21期の江見弘武 元高松高裁長官(正三位)
4月9日:16期の浜崎恭生 元名古屋高裁長官(正三位)
3月27日:38期の竹田光広 札幌家裁所長(従三位)
3月16日:13期の寺本栄一 元名古屋高裁3民部総括(従三位)
2月3日:14期の宍戸達徳 元東京高裁10民部総括(従三位)
2月 1日:18期の渡部雄策 元大阪高裁5民判事(正四位)
1月12日:48期の堀禎男 元東京地裁判事(従四位)
1月11日:18期の白井万久 元大阪高裁4刑部総括(従三位)


2 相続税における葬式費用の範囲
(1) 相続税法13条1項2号は「被相続人に係る葬式費用」について債務控除を認めていますところ,相続税基本通達13-4及び13-5によれば,相続税における葬式費用の範囲は以下のとおりです。
(葬式費用)
① 葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあっては、その両者の費用)
② 葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用
③ ①又は②に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの
④ 死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用
(葬式費用でないもの)
① 香典返戻費用
② 墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料
③ 法会に要する費用
④ 医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用
(2)ア 葬式費用としての「葬式に際し、施与した金品」の例としては,お寺へのお布施,町内会等への謝礼があります(仙台相続サポートセンターHPの「葬儀に関する支出入について」参照)。
イ 葬式費用としての「葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの」の例としては以下のものがあります(税理士法人チェスターHPの「葬式費用の範囲 ~控除対象になるもの・ならないもの~」参照)。
① 通夜及び告別式に際して葬儀会社に支払った費用
② 通夜及び告別式に係る飲食費
③ 葬儀に関しお手伝いしてもらった人などへの心付け
(3)ア 葬式費用ではない「法会に要する費用」の例としては,初七日,四十九日(満中陰ともいいます。),一周忌などのためにかかった費用があります。
    ただし,①告別式の直後,火葬前に行う「繰り込み初七日」(「式中初七日」ともいいます。),及び②火葬直後に葬儀場に戻って行う「繰り上げ初七日」(「戻り初七日」ともいいます。)のためにかかった費用は葬式費用に含まれます。
イ 四十九日で実施した納骨費用は葬儀費用に含まれます。
(4) 国税庁HPのタックスアンサー「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」のほか,相続税申告相談プラザHPの「相続税から控除できる葬式費用」が参考になります。


3 葬儀費用の取扱い
(1) 葬儀費用は相続開始後に生じる債務ですから,葬儀費用をめぐる問題は,遺産分割調停及び審判で解決するという合意が相続人間にない限り,民事訴訟で解決されることとなります。
(2)ア 審判では解決しがたい遺産分割の付随問題への対応93頁ないし96頁によれば,葬儀を行うのに直接必要な費用以外の葬儀費用の範囲については以下のとおりとなります。
① 仏式での法要(例えば,初七日及び四十九日)の費用,及び神道式での御霊祭(みたままつり)(例えば,十日祭及び五十日祭)の費用
・ 精進落としは遺族や親戚を中心に葬儀や火葬後に行われる会食のことでありますところ,葬儀費用に含まれます。
・ 葬儀費用に含まれるかどうかについてはケースバイケースとなるものの,繰り込み初七日及び繰り上げ初七日は通常,葬儀費用に含まれるようです。
・ 繰り込み初七日は火葬前に初七日法要を行うものであるのに対し,繰り上げ初七日は火葬後に初七日法要を行うものであって,後者の場合,火葬場から再び葬儀場に戻る必要があります。
② 仏式での年忌法要(例えば,初盆,一周忌,三回忌及び七回忌),及び神道式での式年祭(例えば,一年祭及び五年祭)の費用
・ 祭祀承継者の負担となるようです。
③ 墓地の取得費
・ (a)火葬後の遺骨を先祖代々から承継した既存の墓地に埋蔵したり,新規で契約する納骨堂へ埋蔵・収蔵したりすることが可能であること,及び(b)新規に取得した墓地は当該被相続人を含む家族のための墓地となり得ることなどから,祭祀承継者の負担であるとする見解が多いようです。
④ 石碑建立・彫刻の費用
・ 墓地の取得費と同様に葬儀費用ではないものの,当該被相続人の戒名などを墓石や墓誌に彫刻する費用については葬儀・埋葬に伴うものとして葬儀費用に含まれるようです。
⑤ 納骨堂の費用
・ 当該被相続人の遺骨の納骨に当たり発生する費用は葬儀費用に含まれる場合があるものの,当該被相続人だけではなく後の親族の祭祀のためのものも含まれる場合,祭祀承継者の負担となるようです。
⑥ 仏壇・祭壇の購入費用
・ 祭祀承継者の負担になるようです。
イ 葬儀費用については,①相続人又は相続財産の負担とする見解,及び②喪主の負担とする見解に分かれます(名駅南法律事務所相続相談窓口HP「相続における葬儀費用の取り扱い」参照)。
(3)ア 祭祀承継者(祭祀主宰者)は,①系譜(例えば,家系図及び過去帳),②祭具(例えば,仏教の仏壇及び位牌,神道の神棚及びキリスト教の十字架)及び③墳墓(例えば,墓石,墓碑及び墓地の使用権又は所有権)といった祭祀財産や遺骨を管理し、祖先の祭祀を主宰すべき人のことであり,お墓の管理,仏壇の管理,檀家としてのお寺との付き合い及び法要を行います(遺産相続弁護士ガイドHPの「祭祀承継者とは。知っておくべき祭祀承継者のルールを丁寧に説明」参照)。
イ 祭祀承継者は,被相続人の指定,慣習又は家庭裁判所の調停・審判によって決まります(民法897条)。
ウ 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(「祭祀承継者指定審判事件」などともいいます。)の管轄裁判所は,被相続人の住所地(民法883条)を管轄する家庭裁判所です(家事事件手続法190条)。
エ 最高裁平成元年7月18日判決(判例秘書に掲載)は,遺骨の所有権は,慣習に従って祭祀を主宰すべき者に帰属したとして,祭祀を主宰すべき者への遺骨の引渡しを命じた原審の結論を維持した事例です。
オ 奈良家裁平成13年6月14日審判(判例秘書に掲載)は,祭祀財産の承継者の指定申立事件において,被相続人と当事者の生活関係,祭具の管理状況,当事者の対立状況等によれば,祀財産の承継者を各別に指定することもやむを得ないとして,祭具の承継者を申立人とし,墳墓の承継者を相手方と定めた事例です。
(4) みずほ中央法律事務所HPに「【祭祀主宰者・祭祀財産の承継→相続とは無関係|承継者・相続への影響・相続税】」が載っています。
(5) 公益社HP「今さら聞けない「通夜」「葬儀」「告別式」の違いとは?」が載っています。
(6)ア 知っておきたい葬儀の知識HPの「戒名と法名って何が違うの?戒名と法名のそれぞれの意味や構成とは?」に,「法名は、浄土真宗における戒名にあたる名前になります。注意したい点としては、戒名が故人様に与えられる名前であるのに対し、法名は生前に仏弟子として誓いを立てて生きる際に授かる名前であるという点です。」と書いてあります。
イ 浄土真宗(主な宗派は浄土真宗本願寺派(西本願寺)及び真宗大谷派(東本願寺)です。)の場合,「告別式」とはいわずに「葬儀式」といいますし,「戒名」ではなく「法名」が授与されますし,清め塩がありません(安心葬儀HPの「浄土真宗の葬儀の流れや特徴、マナーなどを分かりやすく解説」参照)し,法名には「釈(釋)」が付きますし,10万円程度のお布施を追加すれば院号を受けることができるみたいです(よりそうお葬式HPの「法名にランクや金額の違いは無い?法名と戒名の違い」参照)。
ウ お墓さがしHPの「戒名のお布施の相場は?ランクごとの戒名料と渡し方」に,宗派ごとに戒名に関するお布施の相場が載っています。

4 関連記事その他
(1) 叙位の対象となるのは死亡した裁判官及び裁判所職員であり,叙位の日付は死亡した日付であり,叙位の内容は毎月1日発行の裁判所時報に掲載されています。
(2)ア 下級裁判所の裁判官の報酬については、当該裁判官が逮捕又は勾留されたことを理由として減額することはできません(参議院議員前川清成君提出弾劾手続き中の裁判官に対する給与支払いに関する質問に対する答弁書(平成21年4月10日付))から,心身の故障により職務をとることが全くできない場合であったとしても,死亡した日が属する月までの報酬を支給されると思います(裁判官の報酬等に関する法律5条2項)。
イ 公職選挙法251条の規定により遡って大阪市の議会の議員の職を失った当選人は,同市に対し議員として行った活動に関し不当利得返還請求権を有することはありません(最高裁令和5年12月12日判決)。
(3)ア 大塚製薬工場HPの「食べる力をサポートする咀嚼開始食品「プロセスリード」®」には「咀嚼開始食品プロセスリードは、摂取時には固形物の食感を持ち、咀嚼すると飲み込みやすいペースト状になる物性に調整してあり、咀嚼・えん下機能の低下した方にも食べていただくことを考えた医療や介護の場のニーズに対応した食品です。」と書いてあります。
イ 大塚製薬工場HPの「革新的なメディカルフーズの開発を目指して“どこにもない新しい濃厚流動食品の開発”」には「流動食が胃から逆流することによって引き起こされる誤嚥(ごえん)性肺炎や、下痢などの合併症をどうしたら防げるか。こうした医療の課題に向き合い、これまでにない画期的な新製品によって解決したい。そんなチャレンジから生まれたのが、使用時には液体で、胃の中でゲル状に物性が変化する濃厚流動食品です。」と書いてあります。
(4) 河合外科内科HP「『延命治療って何だろう』」には「点滴や酸素吸入することで改善する場合は延命治療とは言いません。必要な治療ですから。点滴や酸素吸入で改善の見込みがなく、自分で食事摂取出来ない時、胃瘻や点滴、人工呼吸を行い、命を延命することを延命治療と言います。」と書いてあります。
(5)ア ドクタラーゼHPに「人生の最終段階の経過」が載っていて,ニュートリー株式会社HPに「12-1:人生の最終段階の身体の徴候と栄養」が載っています。
イ 鳥取市立病院HP「終末期の症状」が載っています。
ウ 半蔵門スマイルライン矯正歯科HPの「死亡する24時間前に起こる人の身体的変化について」には「下顎呼吸が始まると残された時間は24時間という指標となるそうで、入院されている場合、「親族に集まって頂いた方がいい」というタイミングと言えるのだそうです。」と書いてあります。
エ 小さなお葬式HPに「危篤から臨終までの期間はどのくらい?知っておきたい基礎知識をご紹介」が載っています。
(6)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 栄典事務の手引(平成30年の,内閣府賞勲局の初任者研修配布資料)
・ 栄典事務の手引(令和2年4月改訂の,法務省大臣官房人事課の文書)
・ 叙位対象者の推薦に関する,令和2年6月頃の最高裁判所の文書(最高裁判所長官書簡,功績調書,履歴書,刑罰等調書,死亡診断書,叙位審査票)
→ 中身は真っ黒です。
イ 以下の記事も参照してください。
・ 国葬儀
・ 故安倍晋三国葬儀
・ 裁判官の死亡退官
→ 位階の授与についても記載しています。
・ 裁判所関係者及び弁護士に対する叙勲の相場
・ 勲章受章者名簿(裁判官,簡裁判事,一般職,弁護士及び調停委員)
・ 伊藤栄樹検事総長の,退官直後の死亡までの経緯
・ 裁判所職員の病気休職
・ 弁護士の自殺者数の推移(平成18年以降)
・ 交通死亡事故の損害額に関するメモ書き
・ 令和4年1月1日以降の裁判所時報
 裁判所時報マニュアル(平成31年4月に開示されたもの)



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