厚生労働省労働基準局の,文書提出命令等に対する具体的な対応

Pocket

裁判所等からの文書提出命令等に対する具体的な対応について(平成14年3月1日付の厚生労働省労働基準局総務課長の通達(平成28年4月1日最終改正))によれば,以下のとおりです。

1 調査の嘱託について
   調査の嘱託は、文書送付の嘱託が書証として労働基準行政機関が保有する文書そのものの送付を求めるものであるのに対し、書証としてではなく、調査事項について文書による報告を求める点で異なるが、職務上知り得た私人の秘密に関する情報の保護及び公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれ等に十分配慮した上で、客観的事実について報告すること。

2 文書送付の嘱託について
(1) 対象となる文書
   裁判所から、労働基準行政機関が保有する労働災害の発生状況等客観的事実を把握できる文書や関係者からの証言等の文書について提出を求められた場合には、職務上知り得た私人の秘密に関する情報の保護及び公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるか否か等に十分配慮し、適切な対応を行うべきものである。
   これを踏まえ、文書送付の嘱託に応じて提出する主な文害は次のとおりとすること。
ア 関係者からの提出文書
(ア) 事業主がら届出のあった各種報告書、就業規則届又は労使協定届
(イ) 事業主が作成した出勤簿、賃金台帳、勤務時間表、超過勤務証明書、業務日誌等業務内容報告書、人事経歴簿、人員組織構成表、配置表又は作業手順表
(ウ) 事業主からの回答書(業務内容、勤務実態等に関するもの)
(エ) 定期健康診断実施結果(被災者のもの)
(オ) 事故に関係した機器類の機能等(寸法、規格等を含む)の説明書
(カ) 被災者又は当該被災者の親族、上司、同僚その他の関係者(以下「親族等」という。)が作成した手帳、日記、メモ等
(キ) 労災保険の支給請求書
(ク) 各種許認可申請書
イ 関係者からの聴取害等
   被災者本人又は当該被災者の親族等の聴取書、陳述書等
ウ 労働基準行政機関が発出した文書
(ア) 労災保険支給(不支給)決定通知書等(控)
(イ) 是正勧告書(控)
(ウ) 指導票(控)
(エ) 安全衛生指導書(控)
(オ) 主治医に対する意見照会書(控)
(カ) 各種許認可書(控)
エ 医師の作成した文害等
(ア) 主治医作成の診断書、診療録、レントゲン写真、検査結果又は死亡診断書
(イ) 主治医又は専門医作成の意見書又は鑑定書
(ウ) 公的機関からの回答書
(気象台からの回答書、検死調書等警察からの回答書)
オ 他の官公署からの各種証明書等(上記(エ)ウに掲げるものを除く。以下同じ。)
カ 労働基準行政機関の職員が作成した復命書等
(2) 具体的手続について
   強制手続である文書提出命令とは異なり、文書送付の嘱託に対して労働基準行政機関が保有する上記(1)の文書を裁判所に提出するに当たっては、
① 文書提出者等が当該文霧の一部分について開示を望まない場合には、当該部分を黒塗りして提出すること.
② 同意の確認に関する経過については記録することに留意するとともに、それぞれ下記により対応すること。
ア 関係者からの提出文書
   文書送付の嘱託申立人(以下「申立人」という。)から提出された文書については、文害送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、その写しを提出すること。
   申立人以外の者から提出された文書については、当該者の利害に配意する必要があることから、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうか、当該者に対し同意確認を行った上で、同意力鳴られた場合にのみ、その写しを提出すること。
   また、同意が得られなかった場合には、当該文書の標題のみを回答すること。
   なお、当該文書に、申立人以外の者に係る情報が記載されている場合には、当該部分を黒塗りして提出すること。
イ 関係者からの聴取書等
   申立人の聴取書等については、文書送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、その写しを提出すること。
   申立人以外の者の聴取書等については、当該者の秘密に関する情報の保護に十分配意する必要があることから、次の手順により処理すること。
(ア) 聴取した者に対し、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうかの
同意確認を行うこと。
(イ) 同意が得られた場合には聴取書等の写しを裁判所に提出することとするが、同意が得られない場合にはその旨、次の例を参考に文書により裁判所に回答すること。
「◯月◯日、文書送付の嘱託のあった件につき、◯◯ほか◯名の聴取書(写)を別添のとおり送付します。なお、◯名については本人の同意が得られなかったため提出は差し控えます。」
※ 同意の得られなかった者についてはその人数のみを回答すること。ただし、同意しない者が訴舩の相手方当事者であるときは、同意しない者の氏名を秘匿する必要がないので、この場合は相手方当事者の氏名を回答して差し支えないこと。
ウ 労働基準行政機関が発出した文書
   労働基準行政機関が、申立人に発出した文書については、文書送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、その写しを提出すること。なお、当該文書に、申立人以外の者に係る情報が記載されている場合には、当該部分を黒塗りして提出すること。
   申立人以外の者に発出した文書については、当該者の秘密に関する情報の保護に十分配意する必要があることから、上記イの手順に準じて処理すること。
エ 医師の作成した文書等
   医師の意見書等の文書については、医師等が職務上知り得た事実で秘密にすべき事項が含まれている場合があるため、当該医師等に対し、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうかの同意確認を行った上で、同意が得られた場合にのみ、その写しを提出すること。
   なお、同意が得られなかった場合には、上記イの(イ)の手順に準じて処理すること。
オ 他の官公署からの各種証明書等
   基本的には他の官公署において提出を判断すべきことであるが、災害発生後相当期間経過し、当該証明害等を保有していないなど、当時の証明等を改めて当該官公署から求めることが困難な場合に限り、労働基準行政機関が文書提出に協力すること。
力 労働基準行政機関の職員が作成した復命書等
   労働基準行政機関の職員が作成した復命番等の文書に係る文書送付の嘱託がなされた場合には、当該文書の記載内容に応じて個別に対応すること。
   文書提出の範囲は、原則として、①調査担当官が職務上知ることができた事業場等にとっての私的な情報に関する部分とし、②行政内部の意思形成過程に関する情報の部分については、黒塗りして提出すること。
   なお、①の情報に該当するもののうち、申立人に係る情報については、文書送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、該当部分について提出することとなるが、申立人の相手方当事者に係る情報については、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうかの同意確認を行い、同意が得られなかった部分については、公知の事実を除き、提出しないこと。
   申立人及び申立人の相手方当事者以外の第三者を特定する情報については、同意確認が困難であることから、黒塗りして提出すること。
同意確認に際して、対象文書そのものの提示が困難である場合には、提出対象とされる各情報の項目を列挙して提示をするなど、包括的な方法によらざるを得ないものであることから、同意の判断に当たっては、守秘義務の観点から慎重に行う必要があることに留意すること。
   また、関係者から聴取した内容がそのまま記載又は引用されている部分や、医師の作成した文書等からそのまま記載又は引用されている部分については、当該部分について、上記(2)のイないしはエと同様に取り扱うこと。
(3) 担当裁判所書記官等への説明等
   上記の(2)の結果、文書を提出することができない場合及び申立人からの申出の内容に照らし、十分応えることができない場合には、担当裁判所書記官等に対してその理由を詳しく説明し、理解を得るべく努めることが肝要であること。
   また、このような場合であっても、調査内容における客観的事実についての回答をすることにより対応が可能である場合には、記の1に準じて対応すること。

3 本省との協議について
   調査の嘱託又は文書送付の嘱託がなされ、本省と協議を行う必要がある場合には、それぞれの業務所管課に対して行うこと。
   なお、都道府県労働局労働基準部所管課及び総務部労働保険徴収主務課(東京労働局にあっては労働保険徴収部所管課)が本省労働基準局担当課と協議する場合は、都道府県労働局労働基準部監督課を窓口とし、本省労働基準局総務課を経由して行うこと。
   また、都道府県労働局雇用環境・均等部又は雇用環境・均等室が労働基準行政に係る文書等について本省労働基準局担当課と協議する場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部企画課又は雇用環境・均等室を窓口とし、本省労働基準局総務課を経由して行うこと。
   また、裁判所が文書提出命令の決定に先立って行う審尋について意見を述べるに当たって事前に競技する場合も同様とすること。