閣議

1 総論
(1) 内閣は,行政権の行使について,全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負います(憲法66条3項,内閣法1条2項)。
(2) 内閣は,国会の指名に基づいて任命された首長たる内閣総理大臣及び内閣総理大臣により任命された国務大臣によって,組織されています(憲法66条1項,内閣法2条1項)。
(3)ア 閣議は,内閣総理大臣及び国務大臣により構成され,内閣官房副長官3人(うち,政務担当が2人,事務担当が1人)及び内閣法制局長官が陪席します。
イ 国務大臣は原則として14人である(内閣法2条2項本文)ものの,復興庁が廃止されるまでは,最大で19人です(内閣法附則3項)。
(4)ア 内閣は,閣議によって職権を行います(内閣法4条1項)。
イ 内閣総理大臣は,閣議にかけて決定した方針に基づいて,行政各部を指揮監督します(内閣法6条)し,行政各部の処分又は命令を中止させることができます(内閣法8条)。
ウ 内閣総理大臣は,少なくとも,内閣の明示の意思に反しない限り,行政各部に対し,随時,その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導,助言等の指示を与える権限を有します(最高裁大法廷平成7年2月22日判決)。

2 閣議の運営
(1) 閣議は,内閣総理大臣が議長として主宰し(内閣法4条2項),内閣官房長官が議事進行を行います。
(2) 内閣官房副長官(政務担当)が閣議案件の内容を説明します。
(3) 内閣官房副長官(事務担当)及び内閣法制局長官が,閣議運営を補助し,必要に応じて行政・法令に関する補足説明を行います。
(4) 閣議案件の決裁(閣議書への署名)等が終わった後,閣僚懇談会が開催されます。

3 閣議の種類
(1) 閣議には以下のものがあります。
① 定例閣議
・ 毎週,火曜日及び金曜日に開催されるものです。
② 臨時閣議
・ 臨時に開催されるものです。
③ 持ち回り閣議
・ 内閣総務官が閣議書及び矢立(やたて)を持ち回り,それぞれの閣僚の署名を集めることによって閣議を成立させるものです。
(2) 定例閣議及び臨時閣議は,国会閉会中は総理大臣官邸閣議室で開催され,国会開会中は国会議事堂内の院内閣議室で開催されます。
(3) 首相官邸HPの「4階・5階」に以下の部屋の写真が載っています。
① 4階の閣僚応接室
・ 総理を中心に閣僚がコの字型に並んで座っている場面がテレビで放映されている部屋です。
② 4階の閣議室
・ 首相官邸の場合,閣僚応接室の奥にあります。
・ 以前の首相官邸の場合,閣議テーブルは楕円形でしたが,現在の首相官邸の場合,直径5.2メートルの閣議テーブルは円形です。
③ 4階の特別応接室
・ 首脳会談等の少人数の会議や,総理のお客様との応対等に利用されています。
④ 4階の大会議室
・ 正面の壁に取り込まれた「大型スクリーン」で画像情報を用いての会議が可能になっています。
(4) 首相官邸HPの「閣議室~官邸の二階にある大臣応接室と閣議室~」に,以前の首相官邸の閣議室が載っています。

4 閣議における意思決定
(1) 閣議における意思決定は,以下のいずれかの形式により行います。
① 閣議決定
・ 憲法又は法律により内閣の意思決定が必要とされる事項,及び法令上規定がない場合でも特に重要な事項について行われます。
② 閣議了解
・ 各府省所管に属する事項で他府省にも関係するなどその及ぼす影響にかんがみ,閣議において意思決定しておく必要のある事項について行われます。
③ 閣議口頭了解
・ 関係閣僚会議の設置や独立行政法人などの人事に関することなどで,閣議書を作成せず口頭で了解する事項について行われます。
・ 内閣官房HPの「各種本部・会議等の活動情報」に,関係閣僚会議等へのリンクが貼られています。
(2) 閣議の議決は,多数決の方式等を採用せず,全員一致によることとされています。
これは,「内閣は、行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う」(内閣法第1条第2項)ことに基づくものです。
(3)ア 閣議決定及び閣議了解は,いずれも内閣の意思決定である点においてその効力に違いはありません。
イ 閣議報告は,各主管の大臣がそれぞれの所管事項について閣議に報告するものであり,内閣の意思決定ではありません。

5 法令上規定がない場合でも特に重要な事項
(1) 法令上規定がない場合でも特に重要な事項としては,以下のものがあります。
① 政府声明
② 内閣総理大臣談話
③ 国会における内閣総理大臣の演説案
④ 各府省の事務次官,局長等の内閣の承認を要する人事
(2) 政府声明の例は以下のとおりです。
・ 平成24年11月16日付の政府声明(衆議院の解散)
・ 平成26年11月20日付の政府声明(衆議院の解散)
・ 平成29年 9月28日付の政府声明(衆議院の解散)
(3) 内閣総理大臣談話の例は以下のとおりです。
・ 平成 7年 8月15日付の談話(いわゆる「戦後50年談話」)
・ 平成17年 8月15日付の談話(いわゆる「戦後60年談話」)
・ 平成27年 8月14日付の談話(いわゆる「戦後70年談話」)
・ 平成31年 4月 1日付の談話(新しい元号「令和」について)
(4) 国会における内閣総理大臣の演説としては以下のものがあります。
① 施政方針演説
・ 通常国会の冒頭で行います。
② 所信表明演説
・ 臨時国会及び特別国会の冒頭で行います。

6 開示対象の閣議関係資料
(1) 内閣官房に対する開示請求があった場合における,開示対象の閣議関係資料は以下のとおりです。
① 閣議案件表
② 閣議配布資料(閣議決定案(法律案等))
③ 閣議書(閣議決裁書)
④ 閣議発言要旨(あらかじめ提出のあった者)
⑤ 御署名原本(条約,法律,政令の公布等の際の御名・御璽の文書)
(2)ア 平成26年4月1日以降,閣議及び閣僚懇談会の議事録の作成及び公開が開始しました(内閣官房HPの「閣議等の議事録の作成及び公表について」参照)。
イ 首相官邸HPの「閣議」に,定例閣議案件,臨時閣議案件及び持ち周り閣議案件が載っています。

7 閣議書
(1) 首相官邸HPの「内閣制度と歴代内閣」に以下の記載があります。
閣議書に閣僚の意思を表わす花押を毛筆で書くことが内閣制度創始以来の慣習となっている。花押は、別名「書き判」とも言われ、その形が花文様に似ていることから「花押」と呼ばれている。広く使われている花押は、そもそも中国の明時代に流行した形が、江戸時代初期に伝えられたもので、先ず天と地の両線(上下の二線)を横に引き、この天地の中間に自分で考えた文字を簡単な形にして作成している。
(2) 以下の閣議書を掲載しています。
① 最高裁判所長官任命の閣議書
② 最高裁判所判事任命の閣議書
③ 衆議院解散の閣議書(平成29年9月28日付)

8 閣議の説明をしている公式HP
閣議の説明をしている公式HPは以下のとおりです。
① 首相官邸HPの「内閣制度と歴代内閣」
② 内閣官房HPの「閣議の概要について」,及び「閣議及び閣僚懇談会について」
③ 衆議院議員金田誠一君提出閣議に関する質問に対する答弁書(平成12年7月14日付)

9 閣僚懇談会
(1) 閣僚懇談会は、法令上の根拠はないが、通常、閣議に引き続いて行われ、各大臣がその所管に拘わらず国務大臣としての立場から、自由で忌憚のない意見交換を行う場であり、閣僚給与の一部返納のような申合せを除いては、原則として意思決定を目的としません。
(2) Wikipediaの「閣議(日本)」には以下の記載があります。
首相が入院したために、閣議を開催できない状態で首相臨時代理を指定しないまま定例閣議の時間を迎えた第1次安倍内閣末期の場合、定例閣議に代わる閣僚懇談会が閣議の議事進行役の内閣官房長官が主導する形で行われ、全閣僚が閣議書に署名した後で首相が入院先の病院で決裁する「持ち回り閣議」の手法をとっていた。