裁判官の給料と他の国家公務員の給料との整合性に関する答弁例

(1) 裁判官は、憲法の定める分立している三権のうち司法権を担うものであり、その良心に従い独立して憲法判断を始めとする職権を行使するものであることから、憲法は裁判官につき相当額の報酬を受けることを保障している。
検察官は、刑事について、公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求するなどの検察権を行使する等、その職務は、司法権の適正円滑な運営を図る上で極めて重大な職責を有し、準司法官的な性格を有するものであり、その職責については、他の一般政府職員とは異なった著しい特殊性が認められ、その職責及びその準司法官的性格にかんがみれば、裁判官に対する待遇に準じた待遇を受けるべきものである。
お尋ねの裁判官及び検察官の給与の額については、それぞれの職務と責任の特殊性に照らしてふさわしいものであること、超過勤務手当の支給がないこと、その重責にふさわしい適材確保の必要性等も満たすべきものであること等を考慮しつつ、民間企業の給与水準とのバランスにも配慮して、裁判官の報酬については裁判官の報酬等に関する法律によって、検察官の俸給については検察官の俸給等に関する法律によってそれぞれ定められていると理解しており、それぞれの給与の額は適正・妥当なものであると考えている。
(2) 検察官のうち、事務次官と同額以上の給与を受けている者は、検事総長、次長検事、検事長、最高検察庁の検事、検事正などであり、また、裁判官のうち、事務次官と同額以上の給与を受けている者は、最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官、高等裁判所の部を総括する判事、地方裁判所長、家庭裁判所長などであるところ、これらの検察官及び裁判官は、いずれも重大な職責を担っており、事務次官と同額以上の給与を受けることは、相当な待遇であると考えている。

(1) 29期の大谷直人最高裁判所事務総局人事局長の答弁
① 判事一号以上の報酬を受けている裁判官ですが、最高裁判所の長官、それから最高裁判所判事、東京高等裁判所長官、その他の高等裁判所長官及び判事一号の裁判官ということでございまして、その人数及びそれぞれの報酬の年額でございますが、最高裁の長官が約四千万円、それから最高裁判所判事が、これは十四人の方々ですが、約二千九百万円、東京高等裁判所長官が約二千八百万円、その他の高等裁判所長官が七名の方、約二千六百万円、そして判事一号が百八十五人で約二千三百万円ということになっております。
② これまで我が国におきまして、裁判官の労働基本権ということが問題となった事例がございませんで、法令の解釈にかかわるという事柄でもありますので、私の立場から意見を述べることは差し控えさせていただきたいと思うわけです。
従来から、裁判官につきましては、憲法によって報酬あるいは身分といったものについて強い保障を受けるとともに、職務の執行についてもその独立性が強く保障されているわけでございます。一般の勤労者のように、使用者と対等の立場に立って経済的地位の向上あるいは労働条件の改善を図る必要がない、こういった理由から、裁判官に、労働組合を結成し、またはこれに加盟する権利は認められない、このように理解されてきたものと承知しております。

(2) 稲田伸夫法務省大臣官房長の答弁
① 平成二十二年七月一日現在の数字でございますが、事務次官より高額の俸給を受けている検察官は、検事総長あるいは検事長などの認証官が十名でございます。それから、事務次官と同額の俸給を受けている検察官は、検事正あるいは高検の次席検事など五十九名であると承知しておるところでございます。
なお、それぞれの俸給の年額でございますが、検事総長につきましては約二千九百万、次長検事及び東京高検検事長以外の検事長が約二千四百万、東京高検の検事長が二千六百万、それから一号俸の検事正等が約二千三百万円というところでございます。
② 御指摘ございましたように、法務省には、局長クラス以上の役職に、検察官出身者でありますとかあるいは裁判官の出身の方が転官して来ていただいているという実情にございます。
まずその人数から申し上げますと、法務本省の内部部局で申し上げますと、七月一日現在で局長以上の役職についているのは裁判官出身者二名、それから検察官出身者六名でございます。
次に、俸給の比較というところでございますが、これは同じポストに検察官以外の一般職職員がついた場合との格差ということで、やや、こういう言い方はあれですけれども、そうしてみればという話なものでございますので、なかなか比較しにくいところがございます。給与の場合、どうしてもそれぞれの者が背負ってきているものというようなものもございますし、俸給体系自体が異なりますので、単純に比較は難しいということを前提に御説明をさせていただきたいと思うんですが、局長級の一般職の俸給としては、通常、指定職の俸給表の四号あるいは五号ぐらいだろうと言われております。
検察官につきましても、局長級のポストにだれがつくかによって号俸は必ずしも一定ではございませんが、高い方で仮に比較するといたしますと、検事一号と指定職五号とでは月収で二十万近い差があるというのが実情でございます。(大口委員「年収では」と呼ぶ)年収は、済みません、ちょっと今、手元にそのあれがございませんが、その倍数を掛けるぐらいの数になると思います。十六ぐらい掛ければいいと思いますけれども。
③ 御存じのとおりでございますが、法務省の所掌事務のかなりの部分と申し上げますと、司法制度に関する法令でありますとか民事及び刑事の基本法令、これらの立案、それから訟務を中心といたしました訴訟事項の追行、あるいは検察に関すること、あるいは検察の周辺といいますか刑事司法全体にかかわるものなど、そういう意味では、専門的な法律的知識、経験を要する事務が他省庁に比べてかなり多いというふうに認識しております。これらの事務を適正に行うためには、どうしても法律専門家としての実務経験を有する検察官や裁判官を法務省において任用する必要があるというのが、いわば必要性というか実態でございます。
他方で、裁判官出身者を含めて、検事、これは検察庁にいる検事の職にある者を法務事務官という形で転官させるということなりますと、検察官の身分保障との関係で、人事行政上非常に難しくなるというようなこともございまして、法令上も、一部の検事を検事のまま法務省の職員に充てることができるというふうにされております。そこで、給与につきましても、現在御審議いただいております検察官の俸給等に関する法律が適用されるというようなことになっております。
これは、検察庁法二十五条によりまして、検察官につきましては、その意に反して官を失うことがなく、また俸給を減額されることはないという身分保障が定められているというところ、今申し上げましたような事務官に転官させるということになりますと、一時的であれ検事の身分を失うというようなこともございますので、そのような点からなかなか実態上は難しいということもございまして、現在、申し上げるような検察官の俸給法の適用のままというふうにしております。また、実際上も、このような形で行えないと、なかなか異動が難しいというような実態にあるということでございます。

(3) 35期の後藤博法務省大臣官房司法法制部長の答弁
 裁判官は、特別職の国家公務員の中でも、司法府に属し、独立してその職権を行使するなど、その地位や職責に特殊性がございます。また、憲法上、裁判官の報酬は在任中これを減額することはできないという規定も設けられておるところであります。このような特殊性から、一般職の国家公務員はもとより、特別職の国家公務員の給与法とも別に裁判官報酬法が定められております。
それから、検察官でございますけれども、検察官は、司法権の発動を促し、その適正円滑な運営を図る上で極めて重大な職責を担う準司法官的性格を有する特殊な官職であるとされております。また検察官は、原則として裁判官と同一の試験及び養成方法を経る者でございます。これらの点などから、試験、任免、身分保障等についても検察庁法に特例が定められておるところであります。このように、検察官の職務等の特殊性から、検察官の給与については、一般の政府職員とは別個に、裁判官の給与に準じて検察官俸給表が制定されているものと承知しております。