修習給付金制度等に関する規則案についての司法研修所事務局長の説明

染谷武宣司法研修所事務局長は,平成29年7月12日の第33回司法修習委員会において以下の説明をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
1 先般の通常国会において,法曹人材確保の充実・強化の推進等を図るために,司法修習生に対し修習給付金を支給する制度の創設などを行うことを内容とする裁判所法のー部を改正する法律が成立し,今年11月1日から施行されることになった。
これを受け,最高裁判所では,関連する最高裁判所規則の制定あるいは改正の作業を行ってきた。本日は,改正法と規則案の概要について御説明をし,現時点での規則案について御意見をお聞きしたい。
2(1) まず,裁判所法改正の概要から御説明する。今回の法改正は大きく分けて修習給付金制度の創設と司法修習生に対する懲戒に関する規定の整備の二つを内容とするものである。
(2)   修習給付金制度創設の目的,立法理由について,国会で答弁されたところを若干紹介すると,近年,法曹志望者が大幅に減少しており,新たな時代に対応した質の高い法曹を多数輩出してい〈ためにも,法曹志望者を確保していくということが喫緊の課題になっており,特に,法学部生に対する法曹志望に関するアンケート調査でも,貸与制も含めた法曹になるための経済的負担というところが不安要素のーつとして現れていて,平成27年6月の法曹養成制度改革推進会議決定においても,司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討することが求められたことから,今般,法曹人材確保の充実・強化の推進等を図るために修習給付金制度が創設されたということである。
(3) 修習給付金は,修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間において支給されるものである。
具体的には,司法修習生全員にー律に支給される基本給付金,自ら居住するために住宅を借り受けて家賃を支払っている場合に支給される住居給付金,修習に伴って住所又は居所を移転する必要が認められる場合に支給される移転給付金の3種類からなる。
これらの給付金の額は最高裁判所が定めるとされており,これから御説明する規則案で具体的な金額を定めているが,同金額は立法の立案過程の段階から念頭に置かれて議論が進んできたものであり,国会でもその旨答弁されたところである。
(4) なお,現行の貸与制については,この修習給付金制度の創設に伴い,貸与額を見直した上で併存させることになった。
また,裁判所法改正により,名称が従前の修習資金から修習専念資金と変更された。
3 続いて,懲戒に関する規定の整備について御説明する。
これは,品位を辱める行状その他の司法修習生たるに適しない事由が認められる場合に,現在は罷免しか定められていないところ,これに加えて,修習の停止又は戒告の処分をすることができるようにするという内容である。
それらの処分に該当する事由等については最高裁判所が定めるとされており,これも後ほど規則案のところで御説明する。
今回の裁判所法改正に伴う最高裁判所規則の制定・改正としては,修習給付金関係で新規の規則を制定するほか,現行のニつの規則,貸与の関係の規則と司法修習生に関する規則をー部改正することとしている。
4(1) まず,司法修習生の修習給付金の給付に関する規則案から御説明する。
この規則は,修習給付金の額,支給要件,支給手続等を定めている。
現時点での具体的な条文案については,資料64を御覧いただきたい。
(2) 基本給付金の額については,2条1項のとおり,月額13万5000円を支給することとしている。
月額といっても,正確には,修習開始日から原則 1か月ずつの期間を取っていき,これを給付期間と呼び,このーつの給付期間ごとに13万5000円ということになる。
1か月に満たない最後の給付期間や,後ほど御説明する修習停止の期間については,その部分を控除して日割計算で支給額を計算することになる。
(3) 住居給付金については,4条2項で月額3万5000円を支給することとしている。
先ほど御説明した基本給付金と同様に,日割計算になる場合があるほか,4条3項各号にも日割計算になる期間が定められている。
特に,導入修習あるいは集合修習の期間中に司法研修所の寮あるいは自宅等に居住した場合には,この期間については.住居給付金は支給されないこととなる。
(4) 移転給付金については,10条,別表になるが,最高裁判所の定める路程,簡単にいえば距離に応じた定額を支給することとしており,具体的な支給額は別表で定めるという関係になる。
そして,具体的な距離の取り方については,採用時に住んでいた場所を管轄する地方裁判所と司法研修所との間,あるいは司法研修所と実務修習を行う地方裁判所との間を基準として計算することを予定している。
そして,住居給付金と移転給付金については,法律が定める要件を備えた司法修習生が届け出ると,これに基づいて支給されるという仕組になっている。
5 続いて,司法修習生に関する規則の一部改正案について御説明する。これは,法改正で司法修習生に対する懲戒に関する規定が整備されたことに伴い, 関連する最高裁判所規則を改正するというものである。
改正後の裁判所法6 8条が,成績不良,心身の故障等の事由による罷免を定めた1項と,司法修習生たるに適しない非行に当たる事由による罷免,修習の停止,戒告を規定した2項に分けられたことを受け,それぞれの事由を,司法修習生に関する規則,資料66の17条1項,2項で定めることとしている。
それに加え,新設される修習の停止について, 18条で,停止の期間を1 日以上20日以下とし,停止を命ぜられた司法修習生はその停止の期間中は修習をすることができず,また,修習給付金,具体的には基本給付金と住居給付金の給付を受けることができないと定めている。
6 最後に,司法修習生の修習資金の貸与等に関する規則のー部改正について, 資料66を御覧いただきたい。
修習給付金制度の創設に伴い,現在23万円である貸与の基本額を月額10万円に変更すること,基本額からの増減については,扶養家族がある場合の2万5000円の加算のみ維持し,現行の貸与制における住居を賃借している場合の増額,基本額未満の貸与を廃止することとなる。
なお,住宅を借りている場合の加算は住居給付金で賄われることとなる。
7 以上が最高裁判所規則案の概要である。いずれの規則も改正裁判所法と同じく本年11月1日の施行を予定している。

同日の司法修習委員会議事録31頁には「修習給付金制度等に関する規則案については,委員会で議論した結果,現時点での規則案のとおり制定ないし改正することが相当である。」と書いてあります。
「司法修習生の修習給付金及び修習専念資金」も参照してください。